アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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いよいよ最終話…の手前!
最後までよろしくお願いします!


外伝13、交差する世界

 

 

 

 

 

 

 

 ──少し前

 

 

 

 

 

「あぁ~~いい空気! 雄大な景色! 豊かすぎる自然! ()()寂れてるけど、文句ない邸宅!! 私たちの別荘としては最高のロケーションね!! ……地下から、クソキモいエイリアンもどきが出てこなければね……」

 

 

 そこは、浮遊大陸。彼らがたまたま、別荘探しに奔走していたときに見つけた空中都市の名残である。そもそもこの浮遊大陸は、莫大な量の浮遊石の鉱脈が有り、鉱石ハンターのビスケがめざとくソレをかぎつけた故に発見できたのだ。

 

 そして、全員で昇ってみれば、北海道ほどの面積の広大な大陸であった。ちらほらと人間界ではリターンに匹敵するレア植物や、鉱石が大量に眠っており、また、空中大陸ならではのロケーションの良さも最高だった。更には、かつて人間が住んでいたと思われる都市も存在し、別荘としては最上級の評価を下された。

 

 

 ──が。ここで問題が一つ。調査隊として久しぶりに召喚されたジンが、その大陸の南で発見した地下遺跡から、特大の厄ネタを発見。面白半分で封印を解除して、現在に至る。

 

 

 つまり、彼らは絶賛戦闘中であった。

 

 

「も~地下にこんなキモい施設があるなんて聞いてないわよ!! 大体何よ! あの冒涜的な姿は!!」

 

「まぁまぁ。地下に目を瞑れば、割といいと思うからさ。とりあえずここは潰しちゃお?」

 

「ふむ……文明レベルが明らかにおかしい。機械生命体すら可能にしているとはな。念技術と科学も進化するとここまで成るモノなのか」

 

 

 好き勝手いいながら敵を蹴散らすカームの妻達。彼女らも、最近は別荘探しに嵌まっており、最高のロケーション探しに余念が無い。尚、その際邪魔な敵がいれば排除するという、侵略者スタイルである。

 

 

「あのぅ……天界じゃ、ダメですか?」

 

 

 おそるおそる天使がその会話に混じるが、

 

 

「ダメに決まってんでしょ! アンタの実家かもしんないけど、アンタの兄が鬱陶しすぎるのよ!!」

 

「居心地は良かったけどね。僕もちょっとアレは嫌」

 

「私は特に居心地が悪い。普通に却下で」

 

 

 三方向からダメだしを喰らい、あえなく撃沈した。一方

 

 

「うわぁ、マジでキモい。コレ何なんです?」

 

「古代文字によれば、『モイライの遺産』だな。旧い神の叡智を守るガーディアンどもだ。ま、この造詣じゃろくな神じゃねーけどな」

 

「ふ~ん。ところで、ゴンも大きくなりましたね。アレ、貴方よりガタイがいいのでは?」

 

「ますますムキムキになっちまってなぁ。そろそろオレもガチらねーとボコられそうだ。あ、そうそう、アイツ最近イヴリスにお見合いさせられてんだけど、この間来た奴なんてでけースライムだったぜ! 流石のオレも笑っちまった。それに、バイザクにも迫られてるからな、アイツ」

 

「あぁ、だからあんなに荒れてるんですね……可哀想に」

 

「ま、だからまた誘ってくれや。最近はイヴリスもオレ等の冒険を結構許してくれるからよ。アイツらもたまについてくるから困るが」

 

「いいですね。こんど情報交換しましょう。あ、それといい酒を見つけたんですよ。物凄く美味いんですけど()()()()()()()()っていう。天界の近くでね」

 

「おま、それ神酒(ソーマ)じゃねーのか!? オレにもくれ!」

 

「勿論。コレが終わったら開けましょうか」

 

「よし、ソッコーでぶっ飛ばすぞ」

 

 

 顔面が人間の巨大魚を消し飛ばし、ゲロを吐く巨大な亀を叩き潰しながら彼らは暢気に会話をする。その一方で、一足先に最深層に到達したキルアとゴンは

 

 

「なにこの……人間の顔面が付いてる、蟲?」

 

「キモっ。よし、こいつの名前は淫獣キムコウだ!」

 

「ぶふっ、何ソレ。まぁいいや。コレ、オレが潰すね」

 

「いいネーミングセンスだろ…って! はえーよ! 折角名前付けたのに!」

 

「……最近ちょっとストレスたまってて……」

 

「……久しぶりに会ったと思えば、オメーも苦労してんのなぁ。ま、オレの名付けストックはまだまだあるぜ! あそこのキモい心臓はゴメラモスキングな!」

 

「そのネーミングはどっから出てくるのさ、キルア……」

 

 

 

 彼らは久しぶりに再会した。浮遊大陸を発見したビスケが、興奮のあまり皆に自慢したいと言うことで、追跡調査も兼ねてジンとゴンを招聘。そして、東の地でナニカの墓参りを済ませ、()()()()()()とも出逢い、交流を重ね、ケンカし、彼に対抗する魔神と仲良くなるなど、波瀾万丈の暗黒大陸生活を送っていたキルアも招待した。

 

 ちなみに、ネテロは天上山という、その名の通り天まで到達する山を発見し、山ごもり中にて断られた。何でもそこに座する守護神である十二神将との交流と切磋琢磨で忙しいとのこと。彼も理想の修行場所を見つけてウキウキしながら山へ登っていったから、しばらくはそこの住人になりそうだ。

 

 また、メルエムは、100年に一度のセンチュリースープを飲みに行くと、とりつく島も無く断られた。彼はあの後放浪していたらしいが、国造りではなく美食にハマり、暗黒大陸中のグルメを堪能しているらしい。国造りはどうしたと思わないでも無いが、それもまた彼の自由だ。尚、その道中で、ドン=フリークスと遭遇し、しばらく行動を共にしたという。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 カーム達が、その地下施設内を攻略する中、一足先に中心部まで辿り着いたゴンとキルアが、超巨大な顔と手の怪物と遭遇した。キルアによって天王鬼ギャバと名付けられたその怪物は、キルアとゴンの2人の猛攻によって沈黙。しかし、その中身の脳が再び彼らを襲い、それも撃破したら更に機械と融合して襲いかかってきた。流石にしぶとすぎてげんなりし始めたキルアが、最大出力の雷をぶっ放し、あえなく撃沈し、エイリアン達は沈黙した。

 

 

 

 

「さて、この扉の奥が『モイライの遺産』とやらですが。どーします?」

 

「古代文字によると、永遠の生命と進化する身体を与えるらしいな」

 

「ふ~ん。じゃあパスですね。ジンさん達は?」

 

「いらね。第一、コレ罠だぜ?」

 

「でしょうね。大方、旧神に乗っ取られるとかそーいうのでしょう」

 

「オメーも分かってきたようだな。ま、あんなあからさまなエイリアンども見りゃ分かるか。適合してみるか?」

 

「いや、コレは廃棄で。ていうか、この奥からエイリアンが作られてる気配するし、大方目が眩んだ奴等の成れの果てって所でしょうね。流石の私もこんなキモいのと適合したくないです。アムラエル、やるから手を貸して」

 

「喜んで。流石にコレは捨て置けません」

 

 

 

 そして、その施設は、その遺産と建造物、その周囲の岩盤と浮遊大陸の一部ごと消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

 遠い目で、()()()()崩落してくる浮遊大陸を眺める一行。カームは一部を消し飛ばしたつもりだったが、何故かその浮遊大陸全てが崩壊し、崩れ去って地表へと降り注いでいた。遠い目から復活したビスケがぼやく。

 

 

 

「あ~あ~。折角いいとこ見つけたと思ったのにな~」

 

「まぁまぁ。まさかあの大陸自体が『モイライの遺産』由来だとは思わなかったからね。一部だけに留めたのに、丸ごと崩壊するとは思わなかったし」

 

「ま、しょうがないか。次行ってみよう!」

 

「ビスケも立ち直りが早いね」

 

「だって、このぐらいでくよくよするぐらいならサッサと次行った方が建設的よ! とりあえず、もっと奥の方を探索すべきね」

 

「今のところ、別荘候補どころか本宅すら見つかってないけどね」

 

 

 そう。放浪歴も8年にもなるが、彼らの理想とする地は見つけられていない。今回のように、一見良さそうに見えても、その実やべー罠があったり、ロケーションに難があったりと、なかなかいい具合のところが無いのだ。

 

 

「結局、アレトゥーサのとかの泉の女神の領域が、今のところ最高の候補なんだけれどね…」

 

「だから、アレは却下だって結論でたでしょ! 泥棒猫の気配がぷんぷんするわ!」

 

 

 たまにいいところが見つかったとしても、そのような理由で却下されることも多い。そりゃ見つからない。一度天界に行ってみたが、そこも却下されている。その代わりに、彼らはそれを見つける過程で様々な冒険を経てきた。例えば、極大の結晶が交錯する結晶領域。光る鉱物によって、満点の星空が広がるかのような広大な地下空間。果てが見えない程の超巨大な建造物の迷宮。自身が縮んで、微生物になってしまったかのような錯覚を覚えるほどの超巨大な植生のジャングル等々。どれもこれも一筋縄ではいかない冒険だったが、それでも彼らは楽しく攻略に勤しんでいた。

 

 

「さて…とりあえず今日の所はここまでにして、ダフネの所に行くか」

 

「う~ん……確かにここから一番近い泉の領域はあそこか……」

 

「別荘としてはいいんだけどね……」

 

「何故彼女らは揃いも揃ってカームを誘惑するんだ……」

 

 

 そう言う意味ではアレトゥーサが一番マシとも言える。しかし、その分彼女が一番危ないとも言えるため、結局はどこもそうなのだ。彼女らにとっては人間の英雄は大好物であり、滅多に人が訪れないためである。

 

 

「どーでもいいだろ、そんなの。とりあえず戻ろーぜ。帰ったら、オレはアイツにそろそろプレゼント用意しねーといけねーからな」

 

「……オレは、まっとうな恋愛してるキルアが羨ましいよ…」

 

「な!? そんなんじゃねーって!! オレはただ、苦しんでるアイツに喜んで貰おうとなぁ」

 

「ダウト。答えを自分で言ってるじゃん」

 

 

 キルアとゴンの青年組が心温まる会話をしている。それを見ながら、ジンとカームはしみじみと子供たちの成長を喜ぶ。

 

 

「ガキどもの成長ははえーなー。もう色情(イロ)を知る歳か」

 

「そうですね。キルアも遂に気になる人(?)ができたようで何よりです……ん?」

 

「どうした?」

 

 

 その時、カームが微かに自分に向けられた祈りに反応した。

 

 

「これは……レオリオ? あの銀のメスを使ったか。懐かしい。元気にしてる……いや、これが届くって事はピンチって事か」

 

「ほう。今のアイツをピンチに陥らせるか。あそこでは珍しい。そうそう無い筈なんだがな」

 

「ふむふむ……予定変更だな。みんな~! レオリオピンチなんだけど、ついでに久しぶりに里帰りでもするか~?」

 

 

 

 その台詞に一番初めに同意したのは、最近ストレスがたまっているゴンだった。そしてキルア。どうやらアルカの様子を見にいきたいらしい。嫁ズは言わずもがなであり、聞かなくても分かる。

 

 

 

「ジンさんは?」

 

「ん~~~パスだな。お前らがいりゃ十分すぎるだろ。それに、オレは今更あそこに行ってもつまんねーし。先にダフネんとこ寄って、ソーマ空けとくぜ」

 

「全部飲まないでくださいよ? それじゃ、行ってきます。しばらく行ってくるので、別荘では好きに過ごしといてください」

 

「言われなくてもそーするぜ。久しぶりの楽園、楽しんでこいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──という訳で、転移する途中で龍神に捕まってしっかり〝お話し〟してたら遅くなったんだ。すまないね」

 

「気にすんな。オレは助かった側だからよ。──てか、相変わらず、お前らの話は訳わかんなすぎて頭がおかしくなりそうだ。まぁ楽しそうで何よりだぜ」

 

 

 

 レオリオの会長室でくつろぐ暗黒大陸組。正直、このメンツで世界を余裕で滅ぼせるポテンシャルがある。その会合に何故か招待された学生4人とミルキも、会長室でそれぞれの相手に積もる話に花を咲かせていた。尚、ゴンだけはミトさんに会いにくじら島へ行ったのでここにはいない。

 

 

 

「な~アルカ。い~加減離れろって」

 

「イ・ヤ。8年も会えなかったんだよ!? その分を堪能させて!」

 

「お前……キャラ変わってるぞ」

 

「いや、お前が言うなよミルキ」

 

 

 ゾルディック組は、心温まる家族の会話を楽しんでいた。久しぶりに会った兄妹、そして兄弟。大きく成長した彼の力は、最早メビウス湖内の人類には計り知ることができないし、その肉体もゾルディックの血とは()()かけ離れている。しかし、彼らはそれでも血を分けた家族である。

 

 

「それよか、向こうじゃできなかったから久しぶりにゲームしてーんだけど、今どうなってる?」

 

「……お前が向こうに行ってからかなり進化したな。ジョイステも8まで出た。根本は変わらないけどな」

 

「8!? マジかよ! 今ここにある!?」

 

「オレはない。実家だ。アルカは持ってるか?」

 

「うん! お兄ちゃん達、一緒にやろ?」

 

「よし! やるか!!」

 

「オレは遠慮しと」

 

「ミルキお兄様も!」

 

「カルトはどうする?」

 

「僕はパス。ゲーム苦手」

 

「カルトちゃんも後でお話ししようね!」

 

 

 そうして彼らは仲良く会長室を後にする。ミルキは若干嫌そうだったが、アルカに引っ張られて消えていった。アルカの様子は、今までとは違い、年齢相応の少女に見えた。

 それを見ながら、慈愛の眼差しを送るレオリオ。それに気づいたカームと、他の面々は目配せをする。特に、モラウやノヴ、そしてカイトと。

 

 

「あ~それと、レオリオ。話は変わるが、君はそろそろ結婚しないのか?」

 

「ん? あぁ……オレはまぁ、忙しくてそれどころじゃ無くてなぁ」

 

「結婚はいいぞ。何せ、生きる目的ができるからな」

 

「一人で寂しく夜を迎えてると、そのうち絶望的な気分に襲われるわよ。そうならないうちに何とかした方がいいわさ。これ、人生の先輩からの教訓ね」

 

 

 その会話にクラピカも入ってきて、レオリオを説得する。また、ビスケも結婚の良さを熱弁し始めた。流石のレオリオも、かなり実感のこもったリアルな意見に頭から否定することはできず、そのうち、結婚について真剣に考えてみるかという意識が生まれ始めた。

 

 

「ただなぁ…相手がいねーのよ。この立場になるとな」

 

「う~ん、まぁ君からすればそうだろうけどね。よく見ると、案外近くにあるものさ」

 

「例えばあのアルカちゃんとかどう? いいコじゃない」

 

「え”っ……いや、流石にそりゃ犯罪だろ……」

 

「そうでもない。レオリオの立場なら誰も文句は言わない。現に、僕が結婚したのは11歳だから。ついでにアルカは僕の姉」

 

 

 その唐突に入ってきた、あまりにも強い意見にレオリオも絶句する。ついでに諦め悪く何かとカルトにアプローチしていたズシも、その台詞に絶句し、沈黙した。彼はもうダメかも知れない。

 

 

「ネテロ会長の台詞だけどさ、気にしなくていいんじゃないか? 手に入れたいモノは手に入れる。それがハンターだし。年齢、立場、それがどうした。前に進むこと、それが人間としては大事な事だと思うよ。あ、これ私の師匠から貰った大事な言葉ね」

 

 

 じわじわと包囲網を狭められ、カームからトドメの言葉を言われると、流石の〝童帝〟であるレオリオも白旗をあげた。

 

 

「あ~~もう! わーったよ!! ……そうだな。今回の詫びに、今度遊びにでも誘ってみるか」

 

 

 その発言を聞き、モラウとノヴとカイトが即座に反応して、女性のエスコ-トの仕方やおすすめの店、デートコースの選定やマナーなどをレオリオに叩き込み始める。表面上はニヤニヤとレオリオをからかいながらレクチャーしているように見えるが、鬼気迫る雰囲気が隠しきれていない。実質楽園世界の王であるレオリオにとして、よっぽど王妃問題は側近からしたら大変なんだろうなぁ、とカームは思わずにはいられなかった。

 

 

 

 その会話の流れが終わり、おずおずと話しかけてくる2人の女の子。

 

 

「あの……カームおじさん?」

 

「お嬢様、流石に失礼では」

 

「あ! ごめんなさい…カーム、様」

 

「いやいや! 様とかいらないから! 昔みたいにカームおじさんでいいよ!」

 

 

 昔から元気印だったソフィア。そして、常に冷静だったメリル。8年経っても変わらないな、とカームはほっこりする。

 

「しかし……」

 

「いいの。そっちの方が私も話しやすいから。それより、皆は元気かい?」

 

「えぇ、とても元気ですわ! 元気すぎて困っちゃいます……いえ、そういうことでは無く。ちょっと相談があるのですが…」

 

「? 何だい」

 

 

 ソフィアとメリルがなにやら相談したそうなことがあるようだ。おそらくは強さの秘訣だろうかとか、修行を付けてくれとかだと予想していたカームは、次の瞬間、その予想を盛大に裏切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私に、ゴンさんを紹介してくれませんか!?」

 

「私はキルアさんをお願いします」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~……一応聞きたいんだけど、どうして?」

 

 

 

 あまりにあっけにとられてフリーズしていたカームが、復活して呆然としそうになる顔を何とか自然に維持しながらも尋ねると、2人ともおずおずしながら恥ずかしそうに答える。

 

「実は……昔から憧れてはいたんです。同年代であんな〝力〟を持つ人がいるなんてって…でも、久しぶりに成長した彼を見て、あのたくましさと力強さに直感でビビッときちゃって……会えないと思ってたけど、コレはチャンスだって…」

 

「昔からお嬢様とあの映像を見て彼氏にするならどっちって話をずっとしてたんです。お嬢様がゴンさん。わたしがキルアさんと……所詮は妄想でしかなかったし、キルアさんはアルカ会長の思い人だからと思って諦めてたところだったんです。でも、あの様子を見てると、男女の感じではなくて純粋に兄妹愛かなって。だから私もチャンスがあるかもと思い…」

 

 

 うん、そうだね。そりゃ同年代のあれだけ強い子見れば惹かれるよね。若いっていいよね。そう現実逃避しそうになるカーム。しかし、これまで黙って見ていた守護天使が騒ぎ出す。

 

 

「使徒様! ラヴですよLOVE! 恋の予感がビンビンにします! 天使としてはなんとしても成就させたいですっ!!」

 

 

 カームの近くで、彼女らに聞こえないよう念話で騒ぎ立てるアムラエル。尚、表面上の彼女は慈愛の表情を浮かべてカームの背後に浮かんでいるように見えている。しかし、その顔からにやけて興奮している様子が隠しきれていない。カームは念話で「わかった、わかったから!」となだめ、再び彼女らに意を決して向かい合う。

 

 

「あ~……あのね? キミ達の望み通り、紹介することはやぶさかでは無いんだ。でもね、彼らはずっとこっちにはいられなくてね? それに、あっちに行くにしても君らがやられたような奴がわんさかいるんだよ?」

 

 

 ぶーぶーと抗議する天使を黙らせながらも、カームは正論を言う。一体この天使はどっちの味方だ……この場合は愛の味方か、と思いながら。

 

 

「分かってます! ならば! 私が強くなればいいんです! 彼に釣り合うようになるまで!!」

 

「私も、お嬢様と同じく」

 

 

 その不退転の様子に、そう言えば昔ちらっと会った時から頑固な子達だったなぁと思いながら、カームは遂に根負けする。

 

「そっか~……うん。わかったよ。じゃあ彼らに聞いてみるね。でも、そこから先は自分たちでお願いね?」

 

「「ありがとうございますっ!!」」

 

 

 

 威勢のいい返事が返ってきた。それを見ながら、カームはまぁいいかと考えを改めた。ゴンはイヴリスの理不尽愛に振り回されたり、スライムとかとお見合いさせられたりしてストレスたまってたし、キルアもあんまりそういうの奥手そうだったし、丁度いいかもしれない。むしろ、そっちが上手くいけばいいんじゃないか? とさえ思った。

 何があっても何とかなるだろう。それに、そっちの方が()()()()()。そこまで考えて、いよいよジンさん達の思考がうつってきたな、とカームは苦笑する。「よーし、【力天使】の権限で祝福を与えましょう! 必ずや成就しますように!」と、張り切りまくっている天使もいるが、まぁそれもそれで面白い。だとすれば、自分ができることは、背中を押しながら見守ることだ。欲しいモノがあったら、自分で勝ち取る。それこそがハンターの神髄だから。もし、必要があれば手助けもしよう。しかし、それをつかみ取れるかは彼女達次第だ。どんな未来が待っているか定かでは無いが、前を向き生きていく意志があれば、挫折しようとも最後には必ず何とかなる。

 なぜならば、自分がそうだったから。そして、今も楽しみながら前を向いて生きているから。人はいつでも可能性に満ちたりている。その意志によっては何だってなれるし、どんな風にもなれる。だから──

 

 

 

 

 祝福しようじゃないか。この世で前を向いて生きる人達全てに。

 

 乾杯しようじゃないか。人というものどもに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、彼はどうしたんだ?」

 

「ほっといてあげて。ショックなことがあったみたいだから」

 

 

 

 

 ズシは、その喧噪の中、一人塩の柱のように立ち尽くしていた。そして、聞こえるか聞こえないかの声でブツブツと呟いていて、周りからはそっとしておこうという結論になった。

 

 

 

 

 

 

「あの様子だと完全に脈なさそうッス………くっ、興ふ…いや、酷い話ッス……元はと言えばオレが先に好きだったのに……いや、待てよ……ならば、カルトさんはダメでも、あの円満な感じならお子さんも近いうちにできるはず……そして、カルトさんに娘さんができればカルトさんの遺伝子が入っているからそれはもう実質カルトさんでは? それに、娘さんの側ならカルトさんも近くにいるはず……それって最高では? ……ならば、これまでどおりがんばるしか無いッス!!!」

 

 

 

 

 ……彼は本当にもうダメかもしれない。









モイライの遺産
・浮遊大陸に存在する、旧神の遺産。遺産を狙う不届き者はガーディアン共に徹底的に襲われ、仮に遺産を手にしても彼らの仲間入りして、旧神の憑代になるというエゲツない罠。名前でお分かりかもしれないが、某ファミコンの名作の熱い魂を持つ漢が主人公のゲームより。特にスピリッツの方はコントローラーカッスカスになるまでやった。


 キルア君に関しては次話(最終話)で解説。次話はエピローグ的な感じになります。
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