アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

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なんか書き溜めが異様にたまってきて、放出したくなったので投稿します。

現実世界にもこんな奴がいたらしい。モデルはそれ。プチ厄災仕様でお送りします。世界は広いですね…。


26、ジェヴォーギンの獣

 

 

 

 今現在、私は港から約300キロの地点にいる。ここはジェヴォーギン地方。どっかで聞いたことがある地方だ。原作も明らかに現実世界のモデルがあった。そして、今私は困っている。ここから先に行けないのだ。

 

 

 

 

 話は大使館を出発してからにさかのぼる。あれからルートの確認をしたのち、すぐに出かけることにした。前回の失敗があったため、早めに現地入りしようと思ったのだ。で、3つぐらいの町を経由して首都に到着。この時点で推定到着時間を3日も上回ってる。ちょっと首都観光をしようと思い、ぷらぷら観光する。…ここはフランスだね。雰囲気が似てる。行ったことないけど。街並みとか、お城とかもつくりがそれに近い。

 しかし、もしそうなら現実世界の中世ウンコの街とかじゃ無くてよかった。下水整備されてる。何ならここもヨークシンぐらい発展してる。250年前だぜ?もう近代国家じゃないか!

 ただ、情緒はかなり残ってるから見てて非常に楽しい。石造りの雑多な街並みさえ綺麗なこと綺麗なこと。食も様々なバリエーションに溢れてる。ちょっと奮発して豪華なレストランに入る。変な目で見られたが、気にしない。絡んできそうな奴には念威圧だ!

 そして出てくるフランス料理。あぁ、これだよこれ!前世のとはちょっと違うけど、洗練された食文化がここにあった…!

 私、ここ好きになりそう。お食事を堪能して、宿に泊まる。さすがに浴場はないがシャワーが付いてた。前の所はなかったから…。まぁ、私は細胞操作で老廃物とかはあんまり出ないんだけどね。そんなの出すくらいなら有効活用しろ!でも、下のは出るよ?汚いから言わないけど。消化したら出る。当たり前だよなぁ?

 実際、その辺まで出なくなると人間をやめそうなので躊躇してるのが現状。私は人間のままで生き延びたいんだ!ただ、老廃物とか出なくなるのはありがたいけどね。あんまり汚れないし。

 

 

 さて、首都観光も済んだし、出発だ!次の地方まであと約150キロか。まぁのんびり行こう。ランニングしながら見える風景は、サヘルタとは違った風情があって飽きない。田園っていうのかな。ミレーっていう絵描きの『落穂拾い』っていう絵の光景まんまだ。大変のどか。たまに見える農家の家もグッド。

 

 

 そんなことをつらつら考えながら、1日走ったら、夜には着いた。確か地図で言うとここはジェヴォーギン地方らしい。そこのドーニュ村についた時、なにやら騒がしかった。まぁ私も1日走ってちょっと疲れてたので、ほっといて宿を探し、泊まった。ただ、宿の人も心ここにあらずって感じでそわそわしてるのが気になった。

 

 次の日、出発しようと荷物をまとめてたら、村の人々から止められた。何でも正体不明の「獣」が出て、襲われるらしい。

 

 

 …またか。

 

 

 私はこういうのとよっぽど縁があるらしい。で、詳しく聞いてみると、古くから巨大な「獣」の目撃情報はあったらしい。近隣一帯では、「ジェヴォーギンの獣」としていわば伝説にもなっていた。しかし、近年になって人を襲い出した。しかも年々被害が増えつつあるらしい。

 …主に被害者は女性や子供。もう合わせて1000人はやられてるとのこと。

 …1000人!?かなりの被害だぞ…。まさか…。

 

 更に、「獣」はかなり残忍で、獲物を嬲った後、内臓のみを喰らっていく。常に農作業とかで単独になるところを狙われるとの事。極たまに生き残った者から話を聞くと、姿は巨大。犬の様な外見。そして…不思議な力を使う。離れた所でも不思議な力によって殺される…。

 

 

 

 

 ……十中八九念使いじゃないですかー!ヤダーー!!

 

 

 

 しかも相当強い奴だ。しかし、1000人もやられてるなら見過ごせないか…。

 しょうがない。やるか。

 

 

 村人達に、私がその不思議な力を使えるから、そいつを倒してくるって言ったら驚かれ、さらに止められた。その不思議な力を持つ討伐に来たハンターですら2人ほどやられてるらしい。…マジで?

 

 相当じゃなくて超強い奴じゃん。

 

 《絶》で隠れて通り抜けようかなぁ…。ただ、ハンター試験あるしなぁ。ん?もしかして大使館の奴ら、知っててここに誘導した?ここには寄った方がいいってそれとなく言われたし。現役ハンターがやられる様な奴の所に受験生を行かせるなよ…。もしかして、こんな奴から逃れて生き延びるのも試験の一つか?

 しかし聞いてしまった以上、私もスルーするのは寝覚めが悪い。出会ってみて、無理だったら逃げよう。

 

 

 そうと決まれば村人の説得だ。以前の様に大岩を念でコナゴナにし、無理矢理納得させる。さて、そんなに目立つ奴なのに普段は見つからないって事は《絶》使ってるな。ますます厄介だ。とりあえず、村から離れて見晴らしのいい、戦いやすい畑に行く。収穫は済んでるので一面固い土だ。では《円》を使って張り込む事にしよう。

 

 

 さて、《円》の範囲には居ないね…。私の《円》の半径はそろそろ1・5キロほどになるんだけどなぁ…。まぁ気長に待つか。

 

 

 と思ったら、気配を察知。なるほど、コイツか。間違いない…。かなり大きいな!小型の象ほどあるぞ。見た目は犬に近いが…。お、《絶》を解いたぞ。コイツ、ワザと入って来たな…。しかし、凄まじいオーラ量だ。今感じてる量だけでもマイケル4人分ぐらいあるぞ…。4マイケルだ。あいつそろそろ数字で言うと顕在オーラ1500ぐらい行くからな。大体6000だ…。普通のハンターが厳しい訳だ。

 

 だが、それでも私の半分以下だ。多分行けるだろう。…なかなか慎重だな。こっちの力量を測ってるのか。私も節約の為に《円》はかなり薄くしてるからね。私のオーラの質も関係してるかも。…おっと、一気に近づいて来た。そろそろ姿が見えるか…見えた!

 

 よし、こっちも《円》を解く…ん?キョロキョロしてる?まさか《円》を知らない?しかし、さっきの《絶》はかなりの練度だった。…もしかして本能で使ってるタイプか。それにしては異常なオーラ量だけど。だが、それならどうとでもなるか。では、行くぞ!!《堅》!!!

 

 こちらを観察していた「獣」だったが、こちらを見て、一瞬硬直した。その隙を見逃すほど甘くは無い。一瞬で距離を詰め、念強化されたマンティコアの神経毒をオーラで飛ばしてぶち込む!

 流石にあの図体でも効いた様だ。ビクンと震えた後、その場に硬直した。すかさず伸ばしたオーラブレードで首を断ち切る!

 

 

 よし!

 

 

 さて、死亡確認するか…と慎重に近づいたところで違和感に気付く。…オーラが消えてない…?まさかまだ生きてる!?ヤバい、早く頭を潰そうと思った時、「獣」がビクビク動き出した。そして、長い尻尾で頭を巻き取ると、自分の胴体にくっつけた…。3秒程で接続が終わり、こちらを睨み付けてくる。

 

 

 少し下がって距離を取る。まさか、コイツは環境適応型か!しかも細胞操作までしてる!!こんな所で私の同類に会えるとは思わなかった…!しかも適応力、復元力は癪だが向こうが上だ。適応にかなりオーラを使ったらしいが、適応後、僅かに身体が大きくなってる。しかも潜在オーラも増してるな。馬鹿みたいなオーラの原因はそれか!

 

 まずいな…私の能力が向こうにあるとこんなに厄介になると思わなかった…!仕方ない。プランを少し変更する!

 奴に対して私の知ってる毒を延々とぶち込んで、止まった所を一気に決める!!一番強い神経毒は使ったが、それでも少しは止まるだろう。確実に脳と急所を潰して、消滅させる。これは私にも効くプランだ。仕留めきれなかったらよりパワーアップする虞がある。チャンスは一度。行くぞ!

 

 「獣」も先程ので怒り心頭だったのか、迷わず迎え打った。だが、オーラ技術はまだまだ私が上だ!体術も気をつけたら多分大丈夫だ!右、左、躱して…合間にオーラも飛ばしてくるが、ガードでやり過ごす。うわっ背中から触手が4本生えてきたぞ!そんな事も出来るのか!4本同時に襲って来る…先端は毒だな?しかし、今そんなのを喰らう訳にはいかない!それも躱す!

 そして噛みつきに入った所をアッパーでカチ上げる!…ちっ。獣の本能か防御は出来るらしい。しかし甘い!マイケルに使った《隠》の戦法を使って死角から同時に叩き込む!!今回は致死性の奴を10種類ぐらいブレンドしてブチ込んだ!

 流石にいくつか対応してない毒があったのか、奴の動きが硬直して止まる!数瞬で適応するだろうが、そんな余裕は与えない!

 《硬》で顕在オーラの全てを両手に集める。そのオーラ約12000!!パンチで砕いてもいいが、万が一の復元を恐れ、オーラ波で確実に消滅させる!!

 

 

 豪ッ!!!!

 

 

 凄まじいオーラの奔流が頭部目掛けて炸裂する!!見事頭は消滅!しかし、まだだ!!

 

 頭の消えた胴体に、今度は同等のオーラを手に集め、握り込んで心臓付近にぶち込む!

 

 

 ドゴン!!!

 

 

 まるでトラック同士の衝突の様な音を立てて、奴の身体が見事に四散した。

 

 

 …どうだ!?

 

 

 

 

 オーラは…消えた。復元する様子もない。10分程臨戦態勢で見つめていたが、今度こそ確実にくたばったらしい。私はホッと息をついて暫く座り込んだ。

 

 

 今回もしんどかったなぁ…。

 

 

 

 その後、良く死体を調べてみたら、右足の毛の内側に「433-k」と言う字を見つけた。…これって…もしかしてロットナンバーか?

 

 

 

 コイツ、人造生物だった?




「獣」
・暗黒大陸時代の人類が創造した人造生物パート2。こちらはただ単にペット。しかし、ただの生物では厄災どもにゴミのように殺されるため、あらゆる環境に適応できるように改造されている。ある意味カームの親戚みたいなもの。むしろ現時点のカームより適応力と細胞操作が巧い。中央大陸に移住してきたときに仲間はほぼ死んだが、コイツだけは生き残り、大事に育てられた結果。マンティコアルートで野性に帰る。ただ、コイツの場合は弱体化せずに、適応しまくり、むしろより強くなった。長く生き延びた結果馬鹿みたいなオーラ量(現在の人類最高レベル)になり、それまでは主人である人間を襲わなかったが、近年、野性に返って幾星霜がたち、刷り込みを忘れてしまった。知性のほとんど無い獣故に複雑なオーラ操作はできないし、ペット故に特殊能力も無い。また、生殖能力も無い。2人のハンターはオーラ差もあり、ゴリ押しで返り討ちとなった。


まだまだ戦闘に甘さの見えるカーム君。そろそろ厄災がどういうものか分かってきたかな?でも、はっきり言ってこんなもんじゃないんだよなぁ…。

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