アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

29 / 158
ついに明かされる謎の人物達!そしてハンター試験の行方は…


29、ハンター試験について

 

 

 目を覚ました時、何処か判らないが病室のようだった。この私が病室を間違うはずがない。何せ前世ではほとんど病室に居たからな。病室マスターだ。…嫌なマスターだ。

 …近くにナースがいるな。ちょっと声をかけてみよう。

 

 

 私の呼びかけに気付いたナースが、慌てて外に飛び出し、誰かを呼びに行った。いや、色々質問があったんだが…。

 

 

 しばらくすると、医者を含めて3人の男が入ってきた。…後の2人、誰?

 

 

 すると、まず医者から話し出した。

 

 

「驚異的な回復力ですな…。人間離れしてると言っていい。もう完全に傷が無くなっておる。詳しく見てみなければ分からんが、それ次第ではもう退院ですな」

 

「運ばれてる時から傷が塞がり始めたようですからね…。だからこそのあの結果というところでしょうか」

 

 

 もう1人のメガネで黒スーツの男が話し出す…いや、だから誰よ?

 

 

「おっと、これは失礼。私はハンター協会の者です。名をネーブル=ファジーと申します」

 

 なるほど、ハンターか。道理でオーラの流れが淀みないわけだ。これは…マイケルと同じぐらいか?

 

「私も自己紹介しよう…同じくハンター協会所属、マティーニ=ドライと言う。アンダーソン君、はじめまして」

 

 ロマンスグレーのオールバックを決め、品の良い茶色のスーツを着たナイスガイである。こちらも中々の使い手だ。明確にマイケルより強いだろう。思わずはじめましてと返したが、何故ハンター協会の人が?

 それに、何故私の事を知っている?

 そう思っていたら、医師を退室させ、マティーニさんが話し始めた。

 

「質問したい事は山ほどあるだろうが、まずは1番気になってるだろう事から伝えよう。君があの『神々の山』で遭遇した『ヴリトラ』だが…無事に生命活動の停止を確認した。今、奴はハンター協会で解剖中だが…様々な致死性の毒や病原菌の温床になっているらしくてな…調査が難航している。流石伝説の悪神といったところだ」

 

 あ、ごめんなさい。それ私です。

 

「そして、ハンター協会としては討伐達成難易度A『ヴリトラ』の単独討伐を認定した…。君の事だ。併せて、討伐達成難易度C、仮称『クラーケン』及び、同じく難易度C、仮称『獣』の単独討伐も認定する事にした」

 

 

 あぁ、あいつらか…しかし、何故?私はハンターですらないんだけど?

 

 

「本来であれば、君は受験生として試験を受けて貰う所だが、数々の功績をもって、ハンター協会は、超法規的措置をとり、君をハンターと認定する!更に、この度の功績をもって、シングルハンターに認定する。これは決定事項だ」

 

「…!いやいやいや、流石に試験会場にすら行っていないのに、ハンター認定はどうかと思いますよ!」

 

「では、逆に聞くが、例えばハンター。そうだな、我々2人がかりでもいい。奴に勝てると思うかね?ネーブル君、君もだ。忌憚のない意見を述べてくれたまえ」

 

「わかりましたよ…ふっ」

 

 

 そう言うと、2人は《練》を行った。…なるほど、上方修正だ。顕在オーラが「獣」ぐらいはある…!今まではワザと抑えていたな?…だが…。

 

「……正直に言いましょう。『クラーケン』と『獣』は何とかなるでしょうが…あの『ヴリトラ』は難しいかと…」

 

「…ハッキリ言ってくれて大変ありがたい。我々もそう思っていた所だ」

 

「参りましたね…これでも割と自信はあったのですが」

 

 と、ネーブルさんも《練》をやめ、ボヤく。確かに能力次第では多少はいいかも知れないが、しかし、それでも厳しいと言わざるを得ない。

 

「いえ、お二人はかなりの実力が有ると思います。だけど、奴の特殊能力を突破して、ダメージを与えるとなると…私は相性が良かった」

 

「謙遜しなくていい。そして君は我々2人でも厳しい相手を単独で討伐した。これは事実だ。つけ加えて言えば、我々はこれでもトリプルハンターだ」

 

「そんな貴方に態々ハンター試験を受けさせるなんてナンセンスと言わざるを得ません。時間と人件費の無駄遣いですよ…。簡単に言えばそう言う事です」

 

「……後は、ハンター協会からの詫びだな。正直に言えば、『クラーケン』の時の報告を受けて、君の調査を始めた。恐らく気付いているだろうが、『獣』と接触しやすくなる様に手配したのも我々だ。試験の一環としてな。それで終わりのはずだった…。だが、『ヴリトラ』だけは想定外だった」

 

「協会の恥を晒すようで申し訳ないですが、連絡ミスでした」

 

「それゆえ、ここで正式に謝罪させて貰う…。本当にすまなかった…!」

 

 そう言うと、ネーブルさんとマティーニさんは頭を同時に下げた。…多分この人達は協会ではとても上位の人だと思うのだが、躊躇なく頭を下げたぞ…。

 

 

「頭を上げてください。私は生きています。謝罪は受け入れますが、もうこれ以上はいいですよ。ハンター資格を得る事が出来ただけで充分お釣りが来ます。…それに、最後に複数のハンターが来てくれました。手配してくれたのはあなた方でしょう?本当に助かりました」

 

 2人は頭を上げ

 

「そう言って貰えると大変ありがたい。私たちも最悪殺される覚悟で来たからな…。それに我々としては優秀な人材は放ってはおけない。……君は教導役に就く気は無いかね?」

 

「ありがたい話ですが、お断りします。私は世界を見てまわりたいですし、ハンターになったばかりで弟子の育成などとても出来ません」

 

「そう言うと思ったよ。だが、ならばせめてこれだけはお願いしたい。10年以内にハンター協会はある大プロジェクトを控えている。『ヴリトラ』を倒せるほどの実力を持つ君には、そちらに是非参加して欲しいのだ。勿論これは強制ではなく、お願いだ。いかがかな?」

 

「内容にもよりますが…良いですよ。ただ、私は今回自分の力のなさを実感したので、世界中を回りながら好きにさせてもらうつもりです…。それを大目に見てもらえるならば、ですが」

 

「君で実力が無いのなら我々の立場がないが…よかろう。この私マティーニ=ドライの権限をもって、そのように約束しよう。ただし、君もハンターだ。ハンター十ヶ条は知っているかね?」

 

「いえ…でもハンターの決まり事ですよね?」

 

「あとでそこのネーブル君に聞くと言いが、其乃一として『ハンターたる者、何かを狩らねばならない』という項目がある…。これはハンターの基本だ。是非それを忘れずにいてくれたまえ」

 

「わかりました。私もハンターの端くれとして、つとめは果たしますよ…。どうも私は怪物と縁があるようなので、怪物(モンスター)ハンターにでもなりましょうか」

 

「そうだな…どちらにせよ、今回の功績は正直かなり大きいものだ。報奨金だけでも山のようにある…。怪物ハンターと名乗っても誰も文句は言わないだろう」

 

「ありがとうございます。私も必死でしたが何とかなってよかったです…ただ、試験の会場の道へ案内してもらう予定だったのですが、大丈夫でしょうか?」

 

「あぁ、デリーさんでしたら、あなたに会いたがっていましたが、我々の方で話を付けておきました。伝言を預かっています…『合格おめでとう!エイハブに聞いてワシも会ってみたかったが、この国の長年の宿願を晴らしてくれて本当によかった!よきハンター人生を』…とのことでした」

 

「よかった…これで思い残すことはないですね」

 

「これからどうするのかね?」

 

「観光でもしながら、のんびり帰りますよ。途中でジャポンにも寄ってみたいですが」

 

「ジャポンか……あそこは今鎖国中で行けないぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………な、何だってーーー!!!!!




という事で、ハンター試験、受けてもいないのに合格!
ついでにいきなりシングルハンター!
…まぁこんな奴に試験する意味ないですよね…?

さて、いよいよ暗黒大陸が見えて来ましたね…!楽しみだなぁ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。