アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

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ジャポンが封じられた主人公!
これから一体どうするのか…?


30、合格を胸に

 あの後、ネーブルさんにハンターについての講習を受けて、ハンターライセンスを貰った。ちなみにマティーニさんは他の仕事があると言う事で先にそちらに向かった。…偉い人は忙しそうだ。まさか、会長とか副会長とかじゃないよね?ってネーブルさんに聞いたら曖昧に誤魔化された。それって答え言ってるようなものじゃん!

 なんてこった…。トップ層に頭を下げさせてしまった…。…でも直後にあの「ヴリトラ」戦を思い出して、やっぱり妥当か、と思いなおした。アレじゃ普通死ぬからね?この人達については後で調べてみよう。

 ハンターライセンスは失くしたら再発行不可との事なので、文字通り肌身離さず持っておこう。ネックレスにしとくといいか。

 しかし、参った…。ジャポンは今鎖国中か…。現実世界でも鎖国をしてたけど、こちらでもそうだったとは思わなかった。本当はあそこで色々体術などを学びたかったが…。

 こうなると、いよいよ困ったな。今回で痛感したが、体術は必要だ。私は肉体の性能だけは高いのに、運転が下手くそだ。あの「ヴリトラ」にも、《硬》で何とかしたけど、もっと他にやりようがあった気がしてならない。あの水レーザーも、あそこまで喰らってしまうのもどうなんだろう。一歩間違えば死んでたからな。せめて拳法が習えるようないい所ないかな。ネーブルさんに聞いてみよう。

 

「体術ですか?まぁ我々は我流が多いですね。能力によっては体術も変わるので。ただ、今はカキンの拳法が流行してますね」

 

 

 …それだ!!!何で思いつかなかった!中国拳法だよ!あそこは大きいし、達人の1人や2人居るだろう。次の目的地が決まったな。

 

 

「目的地が決まりました。一度実家に帰り、その後はカキンに行こうと思います」

 

「なるほど、カキンですか…。その拳法を習いに行くという事ですね?」

 

「えぇ。私の課題も見えましたので」

 

「…いいですね。あそこは歴史も古い。あなたの求めている者も見つかるでしょう。また、V5加盟国ではないですが、ハンター協会支部もあります。何かあった時は是非頼ってください」

 

「わかりました。本当にお世話になりました。ありがとうございます。私もハンターの務めを忘れずに精進していきます」

 

「どういたしまして。こちらこそ今回の討伐は大変助かりました。もし余裕が出たらスワルダニシティにあるハンター協会本部にも顔を出してくださいね」

 

「もちろんです。まぁ年に一度は実家に帰りますから」

 

「カキンとサヘルタは直行便が出ていますから、今回の移動程苦労はしないでしょう…。私は基本的に協会本部に詰めてますから、何かあったら連絡ください」

 

 そう言って、ネーブルさんは名刺を差し出した。連絡先の住所が載ってる。…まだ電話番号はない時代か。

 

「申し訳ない。恥ずかしながら私は名刺を持ってなくて…私に何か連絡のある時は実家の方に手紙をください」

 

 私はネーブルさんにアンダーソンの実家の住所を紙に書いて伝えた。私も名刺を作った方が良いかなぁ。

 

「では、これにて私も失礼させていただきます。カームさん、ハンター試験合格、おめでとうございます」

 

 ありがとうございます、と返したらネーブルさんはニッコリと笑って出て行った。スマートな方だな。ああいった落ち着いた雰囲気を持てるようになりたいな。私も前世と合わせてもう30後半なのにちっとも成長してないな…。基本行き当たりばったりだし。まぁ、世界中を見てまわったら、少し落ち着いた生活を出来るように心がけよう。

 

 医師からの診察で退院してよしとのお墨付きをもらったので、これから一度帰ることにする。今度は時間の制限もない。のんびり旅行しながら帰るとしよう。ハンターライセンスも貰ったことだし、手続きで苦労はしないだろう。

 褒賞金があると言うことなので、ハンター協会支部に立ち寄ったが、これまた莫大な金額をもらったので、銀行に直接振り込んでもらった。具体的に言うと11桁だ!一気にお金のことが心配いらなくなった。それだけ奴らが強かったということだろう。

 ちなみにマティーニさんのことについて尋ねると、なんと副会長らしい。…やっぱりね。ネーブルさんはその直属の部下のようだ。強いコネが出来たようで安心だが、同時に紐付きにもなったような気分だ。まぁ、ある程度は自由にさせてもらう権利を勝ち取ったので安心だが。10年以内に来るプロジェクトとやらがなぁ…。どんな任務なんだろう?ネーブルさんに聞いてみたが、現時点ではまだ極秘とのことだったので、気にはなるが仕方が無い。時期が来たら私には早めに教えてくれるとのことだったので、それまで待つとするか。何があるか分からないから、それまではやはり鍛えつつ世界を回るようにしていこう。まずはカキンで武者修行だな。

 

 

 

 

 

 

 それから私は基本来た道をのんびりと歩いて帰った。途中に観光地があれば立ち寄り、また、各地のレストランやご当地グルメを堪能した。勿論お土産も忘れない。この頃は徒歩の他に馬車や鉄道も普及し始めていたので、そちらも利用した。こう言った旅は本当に好きだ。カキンでの修行が一段落して、例のプロジェクトとやらが終わったら、旅を続けるようにしよう。ただ、血の掟があるので必ず1年に一度は実家に顔を出すが。どうも私はフーテンの寅さんみたいだな。あの映画もなかなか好きだった。人の人情が描かれているからね。あと、寅さんの旅も憧れたなぁ。まだまだやりたいことは山のようにある。いつになったら私は落ち着くのだろうか。この調子じゃぁまだまだ当分先になるな…。

 

 船旅は恐ろしいほどにスルーで通った。それほどシングルのハンターライセンスの権限は強いと言うことだろう。行きに乗ってみたいと思っていた豪華な客室も堪能できた。

 さて、ミンボを抜け、クカンユに入ってもやることは変わらない。観光地巡りとご当地グルメ、そしてお土産だ。あまりの量になったので、一旦手紙を添えてサヘルタに送ることにした。世話になったジェヴォーギンの村の人たちにも合格したと伝えたら喜ばれた。また、ミンボで買ったお土産も村の人々に渡した(これだけは送らないでいた)。

 そのままいるとまた宴会になりそうだったので、また近くを来たときは寄ると伝えて次の目的地に向かった。村の人々からは例のチーズをまた沢山貰った。ありがたいなぁ。これもお土産にしたいが消費期限的なものがあるため、また私1人でいただくことにする。作り方は聞いたので、再現して家族に振る舞おう。アンダーソンパスタに掛けて食べるとそれはそれは美味そうだ。

 

 クカンユからサヘルタにかけても特筆することはなかった。行きは何だったんだと思ったが、まぁハンター試験の一貫として諦めるしかないか。結局クカンユの土産も大量になり、港から送ることになった。例の港町ではこれまた2、3日満喫して港の風情を楽しんだ。食事はクカンユの方が美味しいが、それはそれ、これはこれ、である。

 さて残りのサヘルタの道も鉄道を使う。砂漠地帯を抜け、荒涼とした荒野や雄大な自然の風景を楽しみながら鉄道の旅を続ける。この鉄道も豪華な仕様になっていて、レストランやシャワーまで付いていた。ハンターライセンスのパワーをここでも知ることとなる。豪華な客室に案内され、非常に贅沢な旅を満喫できた。

 

 ヨークシンに付く頃には、実に半年ほどの月日が流れていた。なんとものんきな旅になったが、行きのことを思うとこれぐらい良いだろう。さて、みんな元気かな?

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

 

「おかえりなさい。カーム」

 

 

 

 

 あぁ、やっぱり家はいいなぁ。




A:中国拳法にしとく。


でした。ちなみに関係ない話ですが、作者は「酔拳」とかの修行シーンが大好きです。

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