アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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超展開注意です…。ですが、これも書きたかった…!


47、異世界の「神」

 

 

 

 

 私は歩く。この広大な大地を。

 

 

 

 もう1年は経ったか。まだまだあの木には辿りつけそうに無い。あれから様々な奴等と闘った。小型の奴から超大形の奴まで選り取りみどりだ。ここまでで幾つかかなりキツいのがあった。まずキツかったのはキメラアントのコミュニティを発見した時だ。

 

 

 

 

 

 

 旅を始めて数週間経った頃、木々が生え茂る森の中で、昔漫画で見た様な巨大な蟻塚が()()建っていた。…あの漫画では一つだったから、より成熟した奴等だという事だ。彼等は()()()()サイズ的にはそれ程でも無いため、小型の奴か、偶に生存競争の末に死んだ大型を喰らっている様だった。その為、兵隊蟻1匹1匹が強烈な能力持ちだった。ただ、以前吸収した能力持ちも多かった為、そこまで苦戦はしなかった。オリジナルを若干強くした感じだ。

 ただ、中心に棲む直属護衛軍及び王はやはり別格だった。この付近には知性を持つ生物は居ないが、奴等は割と高度な知性を持っていた。王は人間型では無く、蟻そのものを立たせた様な姿で私に念話を送って来た。

 

 

(ほう。我が兵共を超えてここまで来たか。中々の強者よ。貴様は美味そうだ)

 

 

 およそこんなイメージが送られてきた。…未来の奴とは随分違う。アレは環境の違いと、人間が大量に混ざったからこそだろう。だが、未来で多大な被害を及ぼすと分かっている以上、滅ぼさねばならない。およその分析は完了した。後は殲滅する。

 

 王の質問に答えず、一瞬で距離を詰め、直属護衛軍の3匹迄の頭を捥ぐ。ちなみにこのコミュニティはかなり大きく、直属護衛軍だけでも10匹いた。

 

 返す刀で残りの内の4匹を念弾で消滅させ、残りの3匹はブレードで叩き斬った。不意打ちもいいとこだが、()()()()()()()()

 王は面白そうに眺めていたが、やがて戦闘の構えを取った。…やはり他の奴とは別格だ。オーラ量も私に匹敵する。

 

 

 そこから王との激闘が始まった。私もありとあらゆる毒を打ち込んだり、〝浸透勁〟を打ち込んだりしたが、中々奴は倒れない。むしろより適応してきて強くなる始末だ。奴も同じように様々な毒や能力を返してきて、こちらも同じ様に適応したが。その内こちらの武術も模倣してきて、こちらも頭を捥がれたり、腹に穴を開けられたり、腕を喰われたりした。やはり学習能力も相当高い。壮絶な削り合い再びだ。

 しかし、最後に立っていたのは私だった。私は復元出来るが、向こうは出来ない。その差が出た。

 

(面白い闘争だった……もっと堪能したかったが、これまでか…。その方、名は何と言う。我の話は届いておろう)

 

(……カーム=アンダーソンだ。王よ。私もよき闘争だった。さらばだ)

 

 最後に話しかけ、特大の念弾で消滅させた。

 

 …知性のある奴とはなるべく闘いたく無い。しかしそうも言ってられないので、慣れるしか無い。しかし殺意と恐怖以外の感情をここで向けられたのは初めてかもしれない。

 

 

 恐怖で思い出したが、恐怖とは重要な感情だ。扱いを間違えなければこれ程重要な物はない。当然、大きすぎる恐怖は死に繋がるし、無さすぎるのも死に繋がる。だが、上手く制御出来ると、危機管理センサーが敏感になり、油断は無くなり、あらゆる想定が瞬時に浮かぶ。

 これを上手く操れるのは知的生命体の特権だ。私も恐怖は忘れない様にしたい。

 

 

 

 もう一つキツかったのは、超特大ワームに喰われた事だ。ある時、身体中に顔の付いた奇妙な怪物複数と戦っていた時の事だ。奴はその顔から様々なブレスを吐いて来た。炎、毒、水レーザー、氷結ブレス、など多種多様だ。氷結ブレスを不覚にも喰らってしまい、一瞬足が止まってしまったが、次に噛みつき攻撃をして来たので齧られながら〝浸透勁〟をして倒した。

 他の奴等と対峙しながら、いい機会だから今後の為に氷結にも対応しようとしていたら、凄まじい地震が起きた。何が!?と思い、氷結を熱で解除してその場からかなりの距離を飛びのいたが、遅かった。地下から凄まじく巨大なワームが飛び出してきたからだ。巨大さのレベルが違う。口だけでもキロ単位はありそうな奴だ。()()()()()()()()()()()()()()

 

 口の中はまるで別世界だ。様々な巨大生物が()()()()()飲み込まれていた。当たり前だが、酸素は無く、凄まじい強さの溶解液の雨が私を溶かそうとする。大地すら溶かすならば当然か。

 内臓まで溶かしながら、ようやく適応したが、次に待っていたのは出られないと言う事だった。奴の外皮はとんでも無く厚くて固く、更に寄生虫の様な大量のデカい蟲との強制戦闘となった。

 苦労して外に出たら、そこは土中だった。当たり前か。しかもかなり深い。あのサイズだと当然だが、仕方ない。私は植物の細胞も含む故、土中への適応は簡単だった。しかし掘っても掘っても出られない。また、土中には厄介な事にモグラの様な奴や鮫の様な奴、トカゲの様な奴までいた。そいつらと闘いながら、ようやく地上に出られたのは10日程経ってからだった。

 

 おかげで服はとうとう全滅。貴重な香草も全て溶けてしまった。ただ、念の為に体内奥深くにガラスケースごと埋め込んでおいたので何枚かは無事だったが。もちろん、ハンターライセンスもそこにしまっておいて何とか無事だった。これは私を証明するものだ。大事にとっておかなくちゃなぁ。

 

 

 しかし流石に全裸はキツい。仕方なく、仕留めた獲物の皮を加工して身にまとった。いわゆる原始人スタイルだが、無いよりマシだろう。私は少しでも人間でいたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()では自然も脅威だ。

 

 

 現在、どれぐらいの高さか分からない、大きさも分からない崖を登っていると、遠くの方でジェット機の様なものが見えた。一瞬人か、と思ったが、よく見るとどうやら竜の様な生物らしい。翼の代わりにジェット推進で移動している…ここは本当になんでもありだな。しかし、オーラジェットと言う考えは悪くない。今のオーラ量では最後まで保たないと思うが、候補の一つとして考えておこう。

 

 そう言った事を考えていたのが良くなかったのだろう。崖の途中で鈍く光る紫色をした石に、私は何の気無しに触れてしまった。その瞬間、あっと言う間に何らかの引き込む力が発生し、私はその石の中に引き摺り込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは…

 

 

 

 ()()()

 

 

 

 身体を起こし、周囲を確認する。周囲には()()()()()()()()が立ち並ぶ。一瞬私はヨークシンに帰って来れたか!と思ったが、すぐそんな考えは否定された。…()()()()()()()()。そして、よく見ると私のいたヨークシンよりも遥かに時代が進んでいる。寧ろ、前世にいた時代に近い。

 そして、何よりも……()()()()()()()()()。気配が物語っている。前のブリオンの都市と似たような感じだ。

 

 

 街は普段通りに佇むが、所々悪臭が漂う。街の至る所に散らばるなんとも言えない色をした液体の所為だ。街の様子から見て、滅びて間も無いらしい。街の至る所に奇妙なシンボルマークが見えた。円の中に五芒星が書いてあるものだ…。これは何だろう?

 

 街のあちこちを慎重に探索し、生き残りを探す。望みは薄くとも、私は誰かと話したかった。ある時、人影を見つけたかと思って隠れながら近づいたら、それは2本の角を生やしたのっぺら坊の様な巨大なマネキンだった。いや、()()()()()()()()()()だった。そいつは私を襲ってきたので念弾で返り討ちにした。()()を破壊?した時、例のなんとも言えない液体を撒き散らして消えていった。

 

 

 どうやらコイツがこの街の滅びた原因の一つかも知れない。

 

 

 益々嫌な予感がする。恐らく私は何らかの意図を持って()()に放り込まれた。ただでさえ地獄の様な場所を彷徨っていたのに、更に地獄の様な場所に来てしまった。冗談じゃない。急ぎ脱出しなければ…。

 

 

 探索を続け、例のシンボルがデカデカと表示されたビルに入る。どうもこのマークが気になる。だからこそ、1番目立つここに入ったわけだ。途中で洋服を展示している店があった為、そちらから服を拝借してからだ。今までの原始人スタイルでは場違い感が半端なかったし。ファッションも現代と変わらずで助かった。

 どうやらこのビルは宗教施設らしい。何か無いかと入ってくまなく探索した所、ビルの中間辺りで研究施設らしきものを見つけた。

 そこには、様々な機械類と様々な書類、そして、奥には奇妙な涙型をした培養槽みたいなものがあった。先ずは近くにある書類を取り出して読んでみた。

 

 

 くがつはちにち、けんきゅういんなばれのほうこくしょ。わたしらは「かみ」のじょうかをいただくためにさまざまなじっけんをくりかえした。たいしょうはなかなかしたがわないふしんじんしゃだ。かのじょはしぶとく、せいきしたいがなんども「きょういく」したが、ていこうしたのでかみのなみだにつけるしょぶんをおこなった………

 

 やはり読めない。しかし手書きの()()は、何やら鬼気迫る様な筆跡で書かれている…。一体何が起きたのだろうか。

 

 更に奥を探索してみる…例の培養槽だ。()()は一体何だろう…?と思っていたら、濁ってはいるが、中に何か居る…。

 

 

 !!

 

 

 人だ!!

 

 

 

 生存者が!?

 

 

 

 

 慎重に観察してみるが、どうやら妙齢の女性の様だ…。何故この液体に漬けられているのかさっぱり分からないが、生きていて欲しいものだ…。

  

 あれからずっと装置を眺めたり、マニュアルを探したりしたがサッパリ分からない。…しかし、諦める事は出来なかった。何とか人と会話したかった。

 ようやく、排水?ボタンのようなものを探し当て、恐る恐る押してみた…。

 

 

 …頼む!

 

 

 しばらくして、ゴボゴボと例の液体が抜けて行く様に減って来た。やった!私は急ぎ、()()()()後数枚しかない香草を取り出し、万が一の時に備えた。…本当に取って置いて良かった…!

 全ての液体が排出されると、女性は激しく咽せ込んだ。

 

 

 ()()()()()

 

 

 直ぐに手当をすると、漸く落ち着いた様で、こちらを覗きこみ、喋り出した。

 

ここは!?あなたはだれ!?どうして…!

 

 …やはり言葉が通じない…。しかし、本当に生きていて良かった…!私は彼女に上着を被せ、念話で話しかけた。念話はイメージを含むから翻訳は容易な筈だ。

 

(落ち着いてください…!びっくりしたかもしれませんが、助けに来ました)

 

(!? 頭の中に……貴方は……でも、助かったわ…。ありがとう)

 

(私はカーム=アンダーソン。()()とは違う世界から連れてこられました。なので、街が何故この様な状況なのか全くわかりません…。何があったか教えてもらえませんか?)

 

(……そう……貴方も災難な人ね…。()()()()()()に来てしまうなんて…。ここは第三神都市バフォーよ。不思議な力を持つ人。そして、ここは滅びる世界。私もアレに漬けられるまでしか知らないけど、おそらく、ね)

 

(…何故そんな事に?)

 

(…『神』よ)

 

(…『神』?)

 

(もう80年前ぐらいになるわね…。この世界に『神』が()()()()()()()()。『神』は私たちに様々な科学技術を提供し、私たちは一気に進歩したわ。それから暫くは世界規模で繁栄を極めた…。でも、それは()()()()のよ…)

 

(…続けて)

 

(ある時を境に、世界中に〝穢れ〟が発生し始めた。〝穢れ〟は触れた人を襲う様になって、しかも毒の汚物を撒き散らす…。それに触れた人も同じ様に溶けていったわ…。対抗手段も見つからない…。どんどん人の生活圏は脅かされていった。その頃、宗教国家に変わってしまっていた政府は、教皇を中心に聖化部隊を結成して浄化にあたった。…でも、成果は上がらず、どんどん状況は悪くなるばかり。そして『神』は何の意味も無い言葉を吐くばかり…。終いには聖化部隊も人々に乱暴狼藉を働く様になって…)

 

(…それは、人間同士で殺し合いが始まった、と言う事ですか?)

 

(えぇ…。信仰心の薄い者を逮捕して、〝浄化〟するんですって。私もその1人。ただ、あの〝化け物〟から逃げてただけなのにね…。〝聖戦〟とも言っていたわ。奴等は見境いなく人々を虐げては、暴行を繰り返していった…。私も抵抗したけど捕まって…)

 

(……言い辛い事を言わせてしまって申し訳ありません。しかし、何故あの装置に?)

 

(アレが、例の〝浄化〟装置なんですって。奴等は『神の涙』と呼んでいたわ。もう長い事漬けられてたみたいね…。この様子だと、本格的に私達は滅びたみたい。()()()()()()()()()()()()()()よ。…そもそも私が捕まる前から既に危うかったから…)

 

(…結局、〝穢れ〟や〝浄化〟とは何ですか?)

 

(分かるもんですか! こんな事になったのも全部全部『神』のせいよ! アイツが来てからこの世界はおかしくなった!!絶対に…絶対に許せない…!)

 

(落ち着いてください! 貴女はまだ生きているじゃないか!)

 

(こんな滅びた世界に1人残されて、一体どうしろって言うのよ!…もう、おしまいよ。何も、かも)

 

 そう言い終わると、彼女の身体が痙攣し始めた。くそっ!!()()か!!!

 しかし、私には秘策がある…!ようやく発見した生き残りの()()をむざむざ死なせてたまるか!

 

(これを食べてください!これは万能薬です!!)

 

 激しく痙攣する彼女に応答は無い。なので無理矢理詰め込んだ。瞬時に症状は治まったのでホッとした。…万能薬は伊達じゃないな。

 

(…気分はどうですか?)

 

(…最悪の気分だわ。…お願い。()を殺して。貴方なら出来るでしょう?)

 

(…何とも言えないですが、私の目的の為にも努力しましょう)

 

(よかった…()()()()()()()()()()()()()()

 

(何を言ってるんです!?)

 

(私には分かる…あれだけ長く漬けられてたもの…もう手遅れよ)

 

(馬鹿な! 貴女に与えたのは正真正銘万能薬だ!)

 

()()は病気じゃない…〝呪い〟よ。あの糞ったれの『神』のね…。お願い、必ずやあの神気取りの糞野郎をブチ殺して! 出来るだけ無惨に…!!)

 

(待ってくれ! 本当に大丈夫な筈なんだ!)

 

(最期に貴方の様な人に会えて良かったわ…別の世界から来た人…この世界の最後の希望…奴は『神都』に居る…!頼んだわよ……ッ)

 

 

 そう言うと、彼女の身体は再び痙攣し出した!

 

 

 そんな…!もうやめてくれ…!頼む!唯一話が出来た人なんだ…!

 

 

 私は直ぐに香草を追加で彼女に与えた。もう残り後2枚しか残って無いが、構うもんか…!

 しかし、無情にも痙攣はより激しくなり、彼女はそのまま()()()()

 

 中から出てきたのは…()()()()()()()()()()()()()()だった。あれは、()()()()()()()()…! そして、彼女はどんどん巨大化していく…!

 

 

 

 

 

 

 

 ()()…助けられなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は…私は絶望に再び浸りながらも、()()()()()()()を破壊した




私が大好き異世界転移!いろんな属性を詰め込めるメインヒロインの懐の深さは流石だなって。
実はクロスオーバーです。申し訳ない。細部はちょいちょい変更していますが。
収容しなきゃ…!


追記
元ネタのちゃんとした表記を忘れてました。申し訳ありません。かなり改変していますが、以下にライセンスとネタ元のリンクを表示します。


SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja


SCP-093 - Red Sea object(紅海の円盤)
by A Fat Ghost

http://www.scp-wiki.net/scp-093
http://ja.scp-wiki.net/scp-093
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