アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

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帰還編
55、帰還


 

 

 ()()()、各国に滞在するシーハンターやUMAハンターの複数が()()を目撃した。

 曰く、「光る人間大の物体が」、「超上空」を「目で追えない程の高速で」、「ヨルビアン大陸の方向へ」向かった。と。

 目撃したハンターは即座に調査を開始した。しかし、結局は正体が掴めずに終わった。()()が、ヨルビアン大陸近辺で突如として姿を消したためだ。中には追跡を専門とする念能力持ちもいたが、不思議とそれも効果がなかった。

 後にそれぞれの情報を擦り合わせた所、全てが同じ特徴を示した。事の顛末はハンター協会に報告され、事態を重く見たハンター協会はただちに調査を動けるハンターの多くに依頼した。

 なぜなら、()()()()()()()()()()()()()()()()

 しかし、それでも調査は難航し、遂に打ち切られる事となった。ハンター協会会長は事態を重く見て、ヨルビアン大陸全域に警戒するよう呼びかけたが、それからは特に動きも無く、その後警戒し続ける事で終息を宣言した。同時に何かあった場合には即座に動ける様な態勢を整える様に指示して…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()

 

 

 

 

 

 私は確かにヨークシンに着いた筈だ。

 

 

 

 

 

 だが………()()()()()

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 まさか……いつの間にか私は異世界に来ていたのか?

 

 

 

 

 

 いや、そんな筈は無い。だって()()()()()。街並みや、道が。

 

 

 

 

 

 とにかく探そう。微かに覚えている道を頼りに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここが…私の家の筈だ…。()()()()()()……

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 思わず、フラフラとそのビル内に入る。中は清潔なフロントで、受付となっていた。

 

 

 

 

 まさか……

 

 

 

 

 私は本当に浦島太郎になってしまったのか……?

 そのまま受付に近づくと

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。株式会社『アンダーソン・ファミリア』へようこそ。本日はどういったご用件でしょうか?」

 

 

 

 

 !!?

 

 

 

 

 『()()()()()()()()()()()()』!? それはマイケルの能力名じゃないか!

 

 

「……すみません。こちらの会社の概要を教えて頂いてもいいですか?」

 

「は、はい。分かりました…。こちらは各国の輸入物品を取り扱う会社となっております。『アンダーソングループ』直下の会社で、輸入物品取り扱いの先駆者として、ヨークシンを中心に世界規模で活動を行なっています。詳しくはこちらの概要が書いてあるパンフレットをご覧ください」

 

 

 受付のお姉さんからパンフレットを貰った。後で読むとして…

 

 

「ありがとうございます。……最後につかぬ事をお聞きしますが、今日の日付けを教えてください。忘れちゃって…」

 

 

「今日は9月2日ですよ。あちらにデジタルで表示されてます」

 

 

 見ると、本当にデジタルで9月2日となっている。しかし、()()()()()()が気になった。

 

 

 

「あの、日付の前の数字は?」

 

 

 

 

「年号ですよ」

 

 

 

 

 私は目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 数字は()()()()()を示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからは私もあまり記憶が無い。気がついたら公園のベンチに腰掛けていた。

 

 

 

 

 ………あれだけ苦労をして、漸く帰って来れたのに、待っていたのは()()()()()()()()()()()という事実だった。もう家族は間違い無く生きてはいないだろう…。

 

 

 

 ……私が何をしたと言うんだ! こんなのって……こんなのって…! あんまりだ!! どうして()()()()()()()!!! いつも希望を持てたと思ったら絶望に突き落とされる…。これも私の罰なのか…?

 瞬時にありとあらゆる手を考えたが……()()()。私は時間を停止させる事は出来ても、()()()()()()は出来ない…。時間は不可逆だ。いくら私がこの星で極限に近い力を持っていたとしても、()()は「宇宙の創造神」のレベルだ。どれだけ強くなったとしても出来そうに無い…。

 

 

 

 私は……()()()()()()()()()()()()()()()…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どれぐらい「そう」していただろう。頭を抱えながらベンチに座っていたが、()()に話かけられた。

 

 

 

「あの〜。大丈夫ですか?」

 

 

 顔を上げて発言した者を見る。その人物は()()()姿()()()()()()。ゴシックロリータの様な服を着た少女だ。

 ……しかし、()()()()()()()()()()。強力な《纏》だ。最後に見たマイケルとほぼ同格か、より格上だ。また、重心の位置や呼吸、筋肉の動きから推察するに、相当鍛えている事が分かる。そうなると見た目の年齢や外見は当てにならないな。おそらく擬態だろう。

 

 

「…なんでもありませんよ。少し悩んでいただけです。ご心配なく」

 

 

「もしよろしければ、そのお悩みを聞かせて貰えませんか…?」

 

 

 両手を前で組み、キラキラした眼で続けてくる。…グイグイ来るな。何故だ? 私は今《纏》すら解除している。更に一般人レベルに見える様に大き過ぎるオーラは自然に()()()()()()。これならバレる事はまず無い筈だが。

 この()()は十中八九ハンターだろう。「今」、ハンター協会に見つかるのは得策とは言えない。

 

 

 とりあえずうまく躱すか…。

 

 

「いえ、本当に大丈夫ですよ。ご心配していただきありがとうございます。では、私はこれで」

 

 

 そう言って立ち去ろうとしたが、

 

 

「待ってください! 私はビスケット=クルーガー。()()()()()()()()()()()()。私なら貴方の悩み事も解決できるでしょう! もし気が変わったらこちらに連絡をください!」

 

 

 そう言って電話番号の様なものが記載されている名刺を渡して来た。…やたらキラキラしてるな。()()()()()()()か…。厄介な人物に目をつけられたものだ。正直ダブルハンターにはいい思い出がない。しかし、ビスケット=クルーガー…どこかで聞いたことがあるような…。まぁ後だ。

 

 

「わかりました。その時が有れば連絡しましょう。では」

 

「待ってください! 最後にお名前だけでも…!」

 

「カーム。カーム=アンダーソンですよ。()()()()

 

 

 

 そう言って私はその場から離れた。…まだ視線を感じる。疑われて無ければよいが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 凄い…! 凄い()()を見つけた! ()()()の調査依頼でここに嫌々来てみたけれど、本当に来てよかったわさ! ()()は間違いなく超一級品!! 上手く隠してたけど、あたしの目は誤魔化せない。動きを見ればわかる。()()()()()()()()()()()、それが無くても極限まで鍛え抜かれた肉体! どの様に鍛錬を積めば()()なるか分からない! 

 あの一瞬の油断無い視線の動き…。どれだけの修羅場を潜って来たのだろう。仮にあたしがあの場で全力で不意打ちを仕掛けたとしても、即対応される筈…。そのぐらいのポテンシャルを感じる。恐らく体術だけなら世界のトップクラスに匹敵する!! どのカテゴリーにも属さない、唯一無二の特徴を既に持っている。それは天からの贈り物。まさに幻と言われる「ブループラネット」!! 

 念能力という仕上げ(コーティング)によって、どれ程の光を放つか分からない、至高の輝きが誕生する! ほんの少し磨くだけであたしすら…いえ、ヘタしたら()()()()()()()()()程の力を持つ可能性がある…!

 あの若干違和感を覚えるオーラは、もしかしたらもう()()()()()()かもしれない…! だからこそ早く正しい方へ導きたい!

 あぁ…なんて素敵! 早く()()を見てみたい! これはチャンスだわ。繋ぎは取った。名前も聞いた。後は連絡を待つしか無いのが残念だけど、()()で活動していればチャンスはまだあるわね!

 うふふふふ……。楽しみだわ…。絶対に逃がさないわよ! 覚悟しなさい。カーム=アンダーソン()…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 厄介なのに目をつけられた以上、ここでうかうかしてる訳には行かないな…。正直まだショックから全然立ち直れてない。だが、今は出来る事をやろう。まずは家族の事を確認する。確認した上で私が前に進めるかどうか分からないが。

 

 

 だが、やるしかない。

 

 

 私には今「何も無い」。230年も経てば当然だ。唯一私を証明するのは、このハンターライセンスだ。だが、誰も信じないだろう。寧ろ信じた方が不味い。

 また()()()()行かされるかも知れない。絶対に行かないが。しかしそうでなくても非常に面倒な事になるだろう。私は安らぎが欲しかった。

 家族と過ごす、「人間」としての安らぎが…。

 家族との安らぎが得られなかった以上、せめて、せめて「人間」としては過ごしたい……。

 

 

 

 だから、まずは地盤を固めよう。

 

 

 

 私の実家はマフィアだった。しかもそこそこ大きな、だ。そして、マイケルがいた以上、潰される事はまずないだろう。「あの会社」がいい証拠だ。もしかしなくてもあれは大規模なフロント企業だろう。

 

 気が進まないが、その辺のチンピラを捕まえてそこから辿って行こう。そうしたらマイケルの子孫にきっと会えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 今の私には、()()()()が心の寄り処なのだから…





と言う訳で、約230年経っていました。
そして、その時代は……。

何と言うご都合主義…!
まだだ……まだ(絶望は)終わらんよ…!

ちなみに、その原因は

①「神」の〝呪い〟
②異世界転移後の時間のズレ
③若返りの泉の空間が通常とは異なる(罠が無いとは言ってない)

でした。

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