二次試験は、確か…料理じゃなかったか。そう考えていたら建物の扉が開いた。中から出て来たのは大男と刺激的な服装の女だった。メンチとブハラか。実際聞くと凄まじい腹の音だな。そしてやはり料理か。ブタの丸焼き…ね。これなら仲間全員大丈夫だろう。
私も巨大な鼻のデカいブタを瞬殺し、丸焼きにした。
他の面々もやはり大丈夫だった。そして…合格者
「二次試験後半 アタシのメニューは スシよ!!」
…ほ〜ら、おいでなすった。実際かなり難しい課題だな。私も流石にスシを美味しく握れる自信はない。…まぁ、暗黒大陸産の魚?は捌き方によってはかなり美味で、多分合格を貰えるだろうが、出所を聞かれたら面倒だ。よってここは周りに合わせてテキトーに作るに限る。
その内、魚という事がバレ、ハゲ忍者のハンゾーのせいで形もバレた。そろそろ作るか…。
作ってみたところ、「惜しい!」との事。やっぱり理不尽だ…。
そして、無事(?)合格者0で試験は幕を閉じた。キレたレスラーが絡みに行ったが、ブハラにぶっ飛ばされた。流石にオーラは纏ってないが、いいパワーだ。
そんな事よりヒソカさん、ちょっと抑えて抑えて! 殺気とかオーラとか駄々漏れだから!
すると、巨大な飛行船が姿を表し、かなりのオーラを持つ者が飛び降りて来た。器用にオーラを分配し、見事に着地する。熟練の技だな。
現ハンター協会会長、アイザック=ネテロその人である。
流石に雰囲気があるな。…あんな
彼は飛び降りた後、メンチと話し、再試験が行われる運びとなった。途中で私の方をチラ見してきたが、知らないフリをした。
再試験は山へ移動してのクモワシの卵取りである。まぁ余裕だ。他の面々もいい感じだ。茹で卵は中々美味しかった。暗黒大陸の物程では無いが。寄生虫や細菌を無視すれば、天上の美味と言える物も数多くあったからな。
多分私にしか出来ない事だろう。いや、ドンさんなら上手く調理して食べそうか。そういえば、彼らは今何をしているだろうか。あの3人(?)組の珍道中も中々面白そうではあるな。そう思うだけで私は絶対に行かないが。
二次試験も無事終了し、合格者は
◇
試験官は、揃って食事をしながら今期の受験者について話し合っていた。何人残るかの話題になり、ルーキーがいいという話に移り、44番(ヒソカ)の危険性の話題になった。
そんな最中、会話に口を出す者がいた。
「
「「「会長!!!」」」
「何、今回の受験者の話をしとるのが聞こえてのぉ。で、どうじゃ?」
「あの黒ずくめのマフィアみたいな奴ですか? 中々ルーキーにしてはいいとは思いますけど…。パッと見そんな目立たないというか…」
「そうですな…。筋はいいと思います。恐らく武術の達人でしょう。しかしオーラは他の受験者と大して変わりないように見えましたが」
「…確かに…メンチが全員落とした時も、彼だけは平然としてましたけど。まるで凪の様に落ち着いてましたね──。でも、会長が注目するほどです?」
「フォッフォッフォッ。お主らもまだまだ甘いのぅ…。今回の試験で
「「「!!!」」」
「会長! どういう事ですか!? あたし達より上って…」
「文字通りの意味じゃ。
「まさか…
「うむ…その可能性はある。ワシは少ししか見とらんが、あの身体の動きは別次元じゃ。抑えてこそおるが、
「!! そういえば、一次試験開始直前に爆発的なオーラが遠目に見えましたな…。44番かと思ってましたが、今思えば彼は
「そんな奴がいるなんて…。参ったな──。オレは全然気付かなかった」
「ワシも〝406番〟は警戒しておる。彼が何を目的にこの試験を受けたか…。鬼が出るか蛇が出るか、じゃな」
「ふーん…。ねぇ会長。あたし、気になるから担当は終わったけど近くで見ていい?」
「あ、オレも気になる」
「私もですな。是非顛末をじっくり見てみたい。…本当に〝彼〟が会長の言う通りなのか…。もしそうだったら私も本当に修行が足りませんな」
「何、気にするな…。ワシも
「…
「それは
「…今年はいろんな意味で本当に豊作ですな。何が起こるか分からない点も含めて」
「そうじゃのぅ。ワシも気合いを入れねばならんな」
「会長……」
「そういう訳で、ワシはルーキー共をからかってくるわい。…406番には様子見するがな」
「…程々に。他のルーキーはまだまだひよっこですからな」
「ワシを誰じゃと思っておる。無茶な事はせんよ」
「よく言うわ!」
「まぁまぁ、メンチ…」
「フォッフォッフォッ…。じゃあまたの」
そう言って会長は部屋を出て行った。残された3人は、この試験が荒れる事が容易に想像出来てしまい、次の日以降の試験の行く末に暗い思いを馳せる事となった…。
◇
ゴン達は飛行船内の探検へと出かけ、クラピカ、レオリオ達はトンパの嫌がらせにもめげずに身体を休めている。ヒソカとギタラクルは何処かで休んでいるようだが、私も探らず放置している。〝今〟仕掛けてくる事は無いだろう。
では少し瞑想でもして時間を潰そう…。
…………
………
……誰か来たな。
これは…ネテロ会長か。何の用だ? …
「見事な瞑想じゃの〜。そして、もうワシに気付いたか」
「……これはネテロ会長。私如きに何の用です?」
「何、今年のルーキーが豊作じゃからからかいに来ただけじゃよ」
「それはそれは…ありがたい評価ですね」
「そう謙遜するでない。ここまで残るのも並大抵ではないからの。…しかし、お主には
「いやいや…私もやっとの事でクリアしてますよ…。反省点も多いです。なので、ここで瞑想しているわけです」
「そうか…。その割には中々筋金入りに見えるがの。そうやっていると
「いえ…昔からやってるから慣れてるだけですよ。まだまだ眼を閉じて心を落ち着けるだけで精一杯です。
「……まぁよい。ワシもお主には期待しておるぞ。
「……〝今〟は406番、ですよ」
「おぉ、そうか。うっかりしとった! スマンスマン。では、また次に進める事を期待しとるぞ、
「ありがとうございます…。そうなる様に努力しますよ」
「ではな…また会おう」
そう言って会長は去って行った。ふむ…探りを入れに来たな。まぁあんな名前で応募すれば当たり前か。疑いが強まった…と言う所だな。まぁいい。
◆
気づいたら結構な時間が過ぎていた。私も頭の中でシミュレーションを繰り返し、今後の予定をたてていた所だ。時刻は朝の9時半。いよいよ到着だ。
予定時刻より遅かったのは、会長が原作通りゴンとキルアと遊んでいたからだろう。
さて、ハンター試験も後半戦だ。気合いを入れていこう。