試験が終わってから直ぐに外に出された。三次試験官と共に今までの試験官と会長もいた。いつの間に塔に入ったのだろう。どことなく名前も知らない三次試験官は疲れているように見えた。
三次試験官が言うには、次とその次で終わりらしい。よしよし。順調だな。そして、四次試験の説明もあった。「狩る者と狩られる者」だ。それぞれのナンバープレートを奪い合う。自分が3点、ターゲットは3点、他は1点だ。合計6点集めなければならない。タワー攻略順にクジを引き、それぞれ獲物を確認する。私の獲物は362番…。拳法少年っぽい奴だな。
ここから見える小島に船に乗って2時間移動するらしい。道中はそれぞれが自分のプレートを隠し始めた。まぁ私は大体覚えてるから困りはしない。
むしろ…ここで2回目が来るな。ここが正念場だ。気合いを入れて行こう。
それぞれが順番にスタートする。私は最後の方だ。今回はゴン達には一切干渉しない。彼等の成長を妨げたくは無いからな。
私も目的を達成したらそのまま隠れてやり過ごそう。
さて…。森の中に入っては来たが…。いきなり来るとはな。
「なぁ、ヒソカさんや。もう少し待てなかったか?」
「待てるわけないジャン♦︎ さぁ、とことん闘ろう❤︎」
「…仕方ないなぁ。じゃあ、
「この時を待ち焦がれたよ…♣︎ じゃ、始めよう♠︎」
そう言うと、周囲から様々な石や枝、カードが私に向かって飛んできた。ゴムの反動を使ってるな。まぁ分かってて〝ここ〟に来たわけだが。ヒソカもトランプを複数枚飛ばして来る。ま、ここは乗ってやろう。
全て弾いている隙に、ヒソカはジャンプして木々の中に身を隠す。…成る程。私が苦手な絡め手できたか。確かに苦手だが、よく分かったな。あの時の数瞬の攻防で導き出したとしたら大したものだ。圧倒的な実力に加えて、天才的な戦闘勘が彼を支えているものだろう。その間にも彼は気配を消しながら樹上をゴムで高速で飛び回り、こちらの隙を狙って散発的にカードを飛ばして来る。…仕方ない。
《円》!
半径20メートルの範囲で広げる…いた! 右後方上10メートル! ヒソカは感心した顔をしながら、凄いスピードで
〝内浸透勁〟!!
「カハッ…♦︎」
彼は堪らずその場から離脱し痙攣するも、気合で耐えて距離をとった。…やるなぁ。普通は悶絶してのたうち回るぞ。
「………やるね♦︎ ここまでダメージをもらうなんて久しぶりだよ♣︎」
「右手を犠牲にした甲斐があったな…。さて、ヒソカ。私はダメージもあるし、
私はその場から瞬時に離脱した。流石のヒソカも追撃はしなかったようだ。助かった。
◇
「やぁ。珍しいねー。獲物を逃すなんて。それに、派手にやられたねー」
「…見てたのかい? まぁ見ての通りさ❤︎ 〝彼〟は素晴らしいよ! 今までで最高の相手だ♣︎」
「うーん…オレからすると相当な危険人物なんだけどなー。キルに近づいてるし」
「……あれはボクの獲物だ♠︎ 邪魔するなら容赦はしないよ♦︎」
「……ハイハイ。分かってるよ。じゃあ君の周りをウロチョロしてる奴ならいいかな?」
「あ、ホントだ♣︎ 〝彼〟も契約の一部だし、美味しそうだから駄目だよ❤︎」
「ワガママだなぁ…。でも、いいよ。短い付き合いだがヒソカの好みは把握した。それに今すぐキルをどうこうするわけじゃなさそうだからね」
「分かってくれたなら嬉しいよ♣︎ じゃあボクは身体を少し休めてから狩りに出るから、お互い頑張ろう♦︎」
「あ、やっぱ結構なダメージだったんだ。まぁ健闘を祈るよ」
そう言ってイルミは去って行った。ヒソカはその場で身体を休めながら、どのようにして〝彼〟を攻略するかを楽しく考え始めた…。
◇
あ、危なかった…。一瞬見つかったけど、直ぐにその場から離れて助かった。〝あれ〟も念かな? だとしたらますますチャンスがないなぁ…。今は身体を休めてるけど、全く隙が無い。
仕方ない。彼が獲物を狙うチャンスを伺ってプレートを取れる様に練習しよう。釣り竿で取れる様に頑張って練習しなきゃ。
◇
さて、右手を復元して…と。ワザと手袋は外しておいて良かった。あのまま続行されても面倒だ。双方痛み分けの形にもっていけたからな。とりあえず私の用事は終わったな。後はターゲットから奪うだけだ。しかし私をまだ監視してるな…。かなり出来る人だ。私に存在を掴ませないとは中々の《絶》だ。まぁいい。そろそろ開示し始めてもいいだろう。光子オーラ展開! さて、ターゲットはどこにいるかな? と、いた! ラッキー! では早速、
「やぁ! 悪いけどプレートはいただくよ」
「くっ! 見つかったか! 仕方ない、かかってこい!」
「では遠慮なく…」
私は高速で正面から近づき、顎にデコピンを喰らわせる。相手はなす術なく崩れ落ちた。悪いとは思うが、運が無かったと諦めて欲しい。何、殺されはしない分またチャンスはある。来年は無条件で会場に招待されるらしいからな。
〝ここ〟での用事は終わった。では、私はゆっくり休むとしよう。まずは監視を撒くか。私の《絶》は凄いぞ。なんせ暗黒大陸でも通用したからな。では……
◇
「……見失いましたな…」
折角くじ引きでメンチに勝ったのに残念です。…ブハラは追跡・監視向きじゃないから悔しがってたんですがね。
しかし、彼の闘いには目を見張るものがありました。何という体術とオーラ技術! もちろん44番も素晴らしいですが、まだまだ彼には余裕が見える。…本当に底が見えない。恐らく手を犠牲にしたのはワザとですな。その証拠に
体術も素晴らしいの一言。何処となく古いカキンの拳法に似ていますな…。最後の技も謎です。本当に興味深い。確かに我々でも勝てるかどうか怪しいですが…彼がどこまで隠しているかによりますね…。索敵する時のオーラを粒子状にするやり方などは最早理解が出来ないものですし…。
これで一旦彼は追えなくなりました。引き続き捜索しつつ、発見したら様子を見ましょう。
◇
…誰も見てないな。ヨシ。先程丁度いい湖を発見した。この湖の底で期限まで過ごそう。別に土中でも良いのだが、土の中は閉塞感が酷い。メンタルがやられる。よって水の中だ。私は昔から水中は好きだ。発見されるリスクもあるが、深くにいれば問題ないだろう。
服も頑丈だから脱ぐ必要は無し。時間が分かる防水のデジタル時計だけ出して置いて…入水!
おっ、中々深いな。これはありがたい。先程から私を狙って来る巨大魚共を切り刻み、底に到着する。さて、ここでのんびり期限までゆっくりしよう。瞑想すればあっという間だな。ここは景色もいいし退屈しない。では………
◇
あーもう! 何でくじ引きでサトツさんに負けちゃうかなぁ。参ったわ。折角会長とブハラを排除出来たのに、肝心なトコで運がないわね。
大体サトツさんもすぐに見失っちゃってるし…。でも、彼と44番の闘いとか見れたのよね…。羨ましい。
兎に角探さなきゃね。他の受験者にも見つからないようにしなきゃ。結構神経使うわ。必ず見つけ出すわよ! 美食ハンターの名にかけて!
◆
……見つかんない。一体どこに行ったのかな? 他の奴はキモい針野郎以外は見つかったのにね。プレートの発信機を問い合わせたとこによると、この湖を指してるけど…。かなり深いわね…。多分水深によるけど見えないか。息も持たないし…。まさかシーハンターよりも息が続くのかしら。それとも湖底に洞窟でもあるのかしら? どちらにせよ今の装備じゃお手上げね。残念だけど一旦戻るしかないか…。まぁ彼が水中活動も得意だって分かっただけでも成果かな。
◇
さて…そろそろ時間か…。名残り惜しいが行こう。出てよく時間を確認すると、本当に時間ギリギリだ。ヤバ…。ゆっくりし過ぎた。もう帰還受付が始まってるな。ちょっと飛ばして行くか!
よし、到着。間に合ったようだな。残る受験者は10名か。よしよし。ゴン達もいるな。良かった。ヒソカを見つけたらウィンクしてきた。…気持ち悪っ! 一応偽装の為に両手に手袋を付け直した。もう少しだから我慢我慢。
ゴンは何やら落ち込んでいるな。…何かあったかな? あまり気落ちして無いと良いが。
船も飛行船も近づいて来た。後は漸くメインディッシュだ。長かったがやっと終わる。目的達成まであと僅か。頑張らねばな。
◇
「10人中7人が
「たまにあるんですか? こんなことって」
「うむ。たいがい前ぶれがあってな。10年ぐらい
「へえ───」
「ところで最終試験は一体何をするのでしょう?」
「あ、そうそう。まだぼくらも聞いてないね」
「
「うむ、それだが…一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃ」
「「?」」
「そのための準備として、まず10人それぞれと話がしたいのォ」
「…ということは、〝彼〟とも話す、ということですね?」
「うむ。当然じゃな。…寧ろ、奴は〝これ〟こそが狙いだったのかもしれんな」
「どういうことです?」
「ワシと直談判する機会を待っていたかもしれん、ということじゃ。ワシがこうする、ということを読んでおったかもしれんな」
「まさか…」
「否、と言えんところが恐ろしいところじゃ…。鬼が出るか蛇が出るか、楽しみじゃのぅ」
四次試験は最初以外は概ね原作通り進行しました。ゴンが落ち込んでるのはその為です。
主人公のせいでワリを食ったのはハンゾーさん。おかげでキルアに飛ばされた三兄弟のプレートを残り時間探し回る羽目になりました。
追記
ガバが結構あったので、細かい点を修正しました。