中々執筆時間が取れず、かなり遅くなってしまいました…。
上司が急逝したり、納期が迫ったりでここしばらくは2、3日に一回ぐらいの更新になりそうです…。
ですが、ちょこちょこでも書いていますのでご安心ください!
私はヒソカをほっといてホテルへと戻る。戻ってきたら丁度協会の人が後片付けをしてる所だった。ビーンズさんに会い、会長の居場所を聞くと、私を待っていたらしい。彼は昨日行われた最終試験場の中心に、座禅を組んで待っていた。
「…来たか。まぁ座るがよい」
私は彼に正対して座った。
「その様子じゃと〝約束〟は終わったらしいの。…殺したか?」
「いえ…彼は生きてますよ。しばらく動けないでしょうがね」
「そうじゃろうな。お主には出来んじゃろうと思っとったわ」
「……それは挑発ですか?」
「…それ程の力がありながら、
「目でわかるって…根拠とは言えませんね」
「お主は〝何か〟に怯えておる。ワシもいろんな人物を見てきたからな。お主の場合はそれが目に微かに現れておる、という事じゃ。ま、確かに根拠は薄いがな。だが、間違っておらんじゃろ。何に怯えとるか当ててやろうか?」
「……そういう話をしに来たんじゃない。早く済ませましょう」
「そうじゃな。ではワシに付いてまいれ」
そう言うと、彼は立ち上がりスタスタと歩き出した。…全く。やり辛いジイサンだ。師匠と似た様な雰囲気を感じるな。だが、本当に一体何が分かると言うのだろうか。私はそんなにわかりやすいだろうか。
会長に付いて行くと、エレベーターに乗って飛行船の発着所に着いた。今度は「これ」で移動か。
「今回はワシらの貸し切りじゃ。遠慮せずに乗るとえぇ」
「そりゃまた奮発しましたね。協会の私物化では?」
「お主もパリストンみたいな事を言うのぅ…。なに、今回は協会の仕事として予算も下りとるから心配せんでえぇ」
「なるほどね…そういえば、立ち会い人はどうしますか?」
「あぁ、ワシの他に1人おる。そやつは後から来る」
「そうですか…では楽しみにしておきましょう」
我々2人は飛行船に乗り込んだ。3時間程の旅らしい。その間、会長は席を外し、何やら電話をしたり、操縦室に行ったりしていた。立ち会い人との調整とか仕事の事だろう。操縦室は場所の調整かな? ヒマになったので私はひたすら目を閉じて瞑想していた。
◆
飛行船がゆっくりと着陸態勢に入る。私は目を開けた。ネテロ会長も近くに座って精神統一をしていたが、やがて目を開けた。
「着いたようじゃな。では降りようかの」
着いて行くと、どこかの山中の盆地らしい。雄大な自然の風景が広がる。辺り一面うっすらと雪が降り積もり、幻想的な光景を映し出していた。何処となく昔写真で見たカナダの風景に似ている。遠くに森が見え、小川が近くに流れている。この場所は元は草原だろうか。確かにかなり広いが、一面の雪が足場を悪くしている。決闘には向かないんじゃないだろうか?
「〝ここ〟に来るのは久しぶりじゃな。何も変わっておらん」
「…馴染みの場所ですか?」
「あぁ。昔修行した場所でな…。ワシも初心を思い返そうと思うてな」
「! なるほど…。かなり気合が入っているようですね。安心しました。…で、立ち会い人は?」
「
そんな馬鹿な。近くには誰も居ないぞ? この場所には精々小動物ぐらいしか居ない。隠した《円》で確認しても人間は私と会長と、後は操縦………まさか。
「気づいたようじゃな。ほら、出てきたぞ」
飛行船から1人の人物が降りてくる。どこぞの民族衣装の様な長袖の服にマフラーとブーツ。頭まですっぽりターバンで巻いている。所々無精髭が目立つが、
「よう。オメーが〝最強の男〟か。オレは『ジン=フリークス』。ダブルハンターだ。今回はそのジジイとの決闘を見届けに来た」
マジか!! 何でこの人が〝今〟来る!? 流石に操縦士は意識から外していた。
「……ゴン君が探してましたよ?」
「あー…知ってる。むしろオレが探させてるからな。だが、こんなチャンスは滅多にねぇからワザワザ来てやったぜ」
「…育児放棄では?」
「これがオレの育児方針だ。…まぁそりゃ言い訳か。オレのわがままだしな。だが、アイツもハンター試験受かったみたいじゃねぇか。流石オレの息子だ」
「あんたって人は…! …でも私が言えた事じゃないか。それにしてもやっぱり似てますね」
「まぁ…一応親だしな」
「それも当然ですが…
「! 会ったのか…!! 〝作者〟に!!!」
「えぇ。少しだけですがね。自分が楽しい事に全力投球でしたよ。貴方も似たような雰囲気がある」
「〝作者〟は何処にいた!?」
「ご自分で探したらどうです? …
「言いやがる…。上等だぜ! やっぱり〝作者〟は生きてやがったな。…ジジイ! ありがとよ! こりゃ予想以上に当たりだぜ!」
「……言っていなかったんですか?」
「ひょ? ワシは全力で立ち合いするからと見届け人を頼んだだけじゃが? まだお主は『確定』しとらんからのぉ」
いつの間にか会長は試験の時の服を脱いでピッタリのTシャツとスパッツに着替えていた。…あれは「心Tシャツ」! 本気の時の衣装か!!
「全く…あんたって人は本当にタチが悪い。まぁいいでしょう。そろそろ始めますか」
「いいじゃろう…始めるぞい。いきなり潰れるなよ。『真の帰還者』」
「では、遠慮なく…」
今回は私のお披露目だ。よって遠慮はしない。会長も抑えて闘われる事は望まないだろう。全身の細胞に呼びかける……
《練》…!
ズゴゴゴゴゴゴ……
「こ…これは…ジジイ! ヤベェぞ!!」
「クックックッ……腕が鳴りおる…! 手を出すなよ! ジン!!」
「さて…やりますか。
「…舐めんじゃねぇぞ。若造が!!」
「百式観音」 壱乃掌!!!
ドゴオッ!!!
凄まじい衝撃が不可避の速度で飛んでくる。…通常ならこれでアウトだな。だが…
「………! コレを
「…一つ言っておきましょう。貴方はやはり〝向こう〟に行かなかったのは英断だった。
「…アホが、ワシがそれで諦めるとでも思うたか?」
そう言い終わるや否や、百式観音の攻撃が更に2つ、3つと飛んでくる。しかし、全てを肉体とオーラで受け止める。如何に速くとも、私のオーラ圏内に入れば受け止める事は出来る。しかし、受け止めるだけじゃだめだな。こちらからも行くか。
激しい攻撃を全て「受け流し」ながら徐々に接近する。本人が武道家だけあって、意識の隙間を縫うのが上手い。そして、最適の型で攻撃してくる。よって、〝人間〟のスピードでは限界がある。近づいたと思っても突き放して来る。
はは…〝この状態〟の私を受け止めきれるとはな。流石人類最強。流石ネテロ会長。私もギアを上げる!
◇
はは…。参ったな。ありゃバケモンだ。なんつーオーラ量! そしてあの「百式観音」を受け流せる技量! 身体能力も一流を遥かに凌駕している!
…〝これ〟が、暗黒大陸のレベルか! オレでも厳しい…ってか無理だ。なんせ、奴はあの猛攻の中でもまだ余裕が見えるからな…。
おい! 何だあのオーラの刃は! 観音の腕が斬られたぞ! バカみたいな鋭さ! 変化系か!? いや、今度は念弾! すげー威力! そして…ありゃ何だ…背後にオーラで塊を作ってる…人型だ…腕の様な物が…。
まさか、「百式観音」の模倣か!? コイツ…「どこまで」出来るんだ!?
◇
折角だから様々な事を試してみた。オーラブレードで観音の腕を1本カウンターで斬り落としたが、会長は一旦解除してまた復活させた! 何という精神力! 普通は無理だぞ。そして、オーラブレードは避けられる様になった。念弾も試したが同じだった。何せ0.1秒以下の攻撃だ。当てるのは難しい。あの巨人を思い出すな。だが今回は〝余裕がある〟闘いを楽しめる。最後に一つ、私も試してみよう。
一旦離れて、背後にオーラの塊を具現化する…私のイメージする「最強の男」を…。〝それ〟に百式観音を模倣して多腕にする…出来た。
私の背後に、
さぁ…行くぞ。ここからは少し厄介だと思うぞ。
◇
小僧め…。いや、年齢は上かも知れんな。だが、あんなに〝揺れてる〟奴はやっぱり小僧だ。しかしその「強さ」は本物だ。
そして、今。ワシの「百式観音」を模したモノが出来上がった。…何という事か! ワシのと比べればまだまだ精度が甘く、完全には具現化しきっとらんが、それでも見様見真似だとしたら凄まじい制御力! 奴のは観音じゃなくて、奴に似た格好をした男じゃがな…。
試しに参之掌を打ち込んでみる。ワシ程の速さは無いが、受け止めよった…! どうやら受け止めるので限界の様じゃが、それでも大したもんじゃ。なるほど、「型」を見切り始めたな。そうなると質量が厄介じゃ。ゴリ押しも出来ん。まだまだ何発かは撃ち込めるが、ほんの少し揺らぐだけじゃ。それに徐々に対応してきとる。
このワシが遊ばれておる。これではまるで〝稽古〟じゃな。舐めやがって…。遥か昔、師範に手合わせしてもらってるかの様な感覚に陥りそうになる。久しく無かったな…。こんな感覚は…。
いつからだ……
敵の攻撃を待つようになったのは
一体、いつからだ
敗けた相手が頭を下げながら差し出してくる両の手に、間を置かず応えられる様になったのは?
そんなんじゃねェだろ!!
オレが求めた武の極みは
敗色濃い難敵にこそ、全霊を以って臨む事!!
感謝するぜ お前と出会えた これまでの全てに!!!
「百式観音」 九十九乃掌!!!
◇
流石だ…。
流石は人類最強。
私の
大きな不利を物ともしない、その精神力! これこそ真の武人!! 私も「型」は見切り始めたが、それでも防ぐので精一杯だ。近づけもしない。
そして、今。私の防御を破り凄まじい連撃が飛んでくる! 流石にコレは私も対応出来ない。徐々に被弾が増えて来る。そして、私は攻撃を受け続ける父さんに申し訳無くて連撃の後に解除した…済まない。父さん。そしてありがとう。次に使う時は絶対に勝つ時にするよ。約束する。
◇
「やりますね…流石は〝人類最強〟」
…九十九乃掌も防ぎきるか…。しかもまだ余裕がありやがる。並大抵じゃねぇ。やっぱりコイツは今までで〝最強〟だ。
「…まるでテメェが人類じゃねェかの様な言い振りだな」
「…これで最後です。会長。私は貴方を
「!! …へっ。まだ〝上〟があるのか。おもしれェ。見せてみろよ。オレも最終奥義で相手してやらぁ」
そう告げると、奴はその有り余るオーラを全て溶かし始めた。…コレだ。コレだけは未だに原理がわからねぇ。しかし、《隠》とも違う…。だが、《隠》以上の意味があるのか?
オーラはまだ〝そこにある〟。…言うなれば自然と一体化して……まさか!
奴からオーラが全て消えてしまったかの様に見えた…しかし、それが
そして…今。奴の周りに凄まじい〝金色のオーラ〟が収束する!
今までとはレベルが違う! これは…まさか〝聖光気〟!!!
理論上不可能と思っていた…。大昔の与太話だと…。
だが、
何という事だ…。余りに凄まじい圧が襲って来る…! 周りの雪は既に蒸発し、大気が揺れている。
まさにコレは〝神の領域〟!! その証拠に奴は宙に自然に浮いている。
奴はその神の如きオーラを更に圧縮し、身体に密着させる。奴の服が白金色に変化する。
感謝する…。このオイボレにこんな〝奇跡〟を見せてくれた事を。
そして…口惜しい。〝コレ〟を体得出来たのが
…感謝を込めて、ワシも最高の技をぶつけよう。効かなかった時はそれまでじゃ。さぁ…最後の攻防だ。ワシも今までで最高の速度を実現する!!
行くぞ!!
「百式観音」 零乃掌!!!
限界を超えた速度で祈り、背後から奴を包み込む! どんなに大きなオーラがあろうが避けられまい!! 喰らえ!
──時よ、止まれ──
な!? 居ない!! 馬鹿な!? 転移か?
──浸透勁──
「ぐはぁッッ…!!!」
◇
私は、たった今倒れ伏したネテロ会長の側に行く。
「くっ、貴様……」
…私は彼を「癒す」。これぐらいは簡単な〝奇跡〟だ。
「ネテロ会長…私の勝ちです」
「これは…! 貴様、情けをかけおって…!! …いや…
「……どう取ろうが勝手ですが、これで認めてもらえますね?」
「…………いいじゃろう……。久しぶりじゃな…。これだけの完敗は。…お主、ワシに勝ったんじゃからもっと喜ばんかい。……それとも、自分が〝怪物〟だとでも思っとるのか?」
「!! …そんな事は無い! 私は〝人間〟だ!」
「普通はそんなことで必死に否定はせん。それこそがお主が〝揺らいでる〟証拠じゃ」
「………」
「……よいか。敗けたワシが言うのもムカつくが、お主はどう足掻こうが〝人間〟じゃ。〝怪物〟はそんなに揺らぎはせん…。お主に何が有ったかは今ので大体想像は出来た。だからこそ〝人間〟に拘るんじゃろう…。たしかにお主には〝力〟がある。恐らく不老不死にでもなっとるじゃろ。
「貴方に! この苦しみの何がわかる!!」
「ワシにはわからんな。んなこた知らん。じゃがいつまでもくだらねぇ事でウジウジすんなって事よ」
「くだらねぇ事って…そんな簡単な話じゃない!」
「くだらねぇわい。…ま、そんなくだらねぇ事に悩むのが〝人間〟よ。ワシも悩み事は尽きんからな。例えお主が暴走したとしても、お主がお主である限りは〝人間〟じゃ。〝人間〟の幅は広いからの。お主みたいなのがおっても構わんじゃろ。もしそんな事があってもそん時はワシらが止めるがな」
「………」
「おいおい、ジジイ。勝手に巻き込むんじゃねぇ。オレはそんなのは
観戦していたジンが会話に入ってきた。
「ワシなんぞ老い先短いからのー。ワシが死んだらお主ら頼むぞ!」
「ぜってーヤだね。自分で責任持ってやれや…。とりあえず終わったんなら帰るぞ。オメーには聞きたい事が山ほどあるからな」
「あ、ジン。それじゃが、コイツはワシが認めた時点で不干渉じゃからな。お主は一切手を出せんぞ」
「はぁ? 何言ってんだジジイ……って、マジか!?」
「大マジじゃ」
ひょっひょっひょっ、と笑う会長とじゃれあうジンとの話を聞きながら、私は随分と救われた気持ちになった。
…私は〝人間〟でいていいらしい。
今、私はとても晴れやかな気分だ。
ありがとう、ネテロ会長
少しだけ、前向きになれた
感謝しよう
貴方と出会えた これまでの全てに