アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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最近遅くなって申し訳ありません!
デスマーチが終わらんのです…。


ゾルディック編
71、家庭訪問


 

 

 次の日、私は会長とジンさんにひとまずの別れを告げ、次の目的地に向かう事にした。

 

 

 

「世話になりましたね。楽しかったですよ。会長、ジンさん」

 

「昨晩は楽しかったな。またやろうぜ」

 

「お主は…次はゾルディックんとこに行くんじゃったな。奴等も災難じゃのぅ」

 

「いや…私も流石に反省しました。穏便に話してきますよ」

 

「ま、奴等にとっても良い刺激じゃろ。それにお主が指導するなら否とは言うまい。ワシからも連絡入れとくかの」

 

「何から何までありがとうございます…。ジンさんはこれからどうします? 私はとりあえずゾルディックでの用件が終わればヨークシンに戻りますが」

 

「そうだな…。準備を整える時間がいるな。ある程度準備が整ったら連絡するぜ」

 

「分かりました。連絡待ってますよ。では、お世話になりました!」

 

「あぁ、またの」

 

「連絡待ってろよ!」

 

 

 そう言って2人とは別れた。昨晩ラストオーダー過ぎて店が閉まってからも私の部屋でも飲み直し、結局朝方まで飲んでたはずなのに元気なものだ。常人とはバイタリティが違うな。…あの2人と出会えて良かった。私にとっては何者にも代えがたい。いい刺激になったな。

 

 

 さて…行くか。目的地はパドキア共和国。空港まで走り、そこから飛行船の旅だ。電脳ネットで予約を取り、キャンセル待ちがちょうどあったのでそれに便乗する。搭乗時間は3日程度か。自分で行った方が早いが、目立つ事は避けたいからのんびり行こう。これでも昔の移動よりは早くなっているしな…

 

 

 飛行船の中で、新しいハンターライセンスを眺める。これ一枚で予約も入国も電脳ページ利用も自由自在だ。便利なものだ。昔からこのライセンスの効力は異常だな。だが、普通の新人ハンターは〝これ〟を紛失しない様にする事に神経を使いそうだ。その点私はラクでいい。次元収納様々だな。

 ちなみにここはファーストクラスの特別席なので、気兼ねなく眺める事が出来る。もちろん私の貯金だ。マイケルからジョンまでがとっといてくれたヤツだが、8割は慰問費及びアンダーソン家の世話代として渡した。それでも億万長者に近いから私も稼いでいた方だと思う。

 向こうに着いてからはどうしようか。キルアを預からせて貰うために行くが、ここは一つ穏便に行きたいものだ。上手く交渉出来るといいな。あまり〝怪物〟的な交渉にならない様にせねばな。向こうがどう思っているか次第だが。

 ま、考えても仕方ないな。飛行船ではのんびりと過ごすか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パドキア共和国に着いた。昔は一度も来た事はなかったな。何処となくイタリアの様な雰囲気がある。目的地はデントラ地区にあるククルーマウンテンか。観光名所にもなっているとは驚きだ。本当に暗殺一家とは思えないが、自信の表れだろうな。

 電車などを使いながらデントラ地区を目指す。観光旅行でもしている気分だ。電車の中や街中で道を尋ねながら向かう。話しかけたら警戒されたが、教えてくれた。…今の私はマフィアスタイルだからな。仕方がない。カタギには見えないとは思うしな。

 

 

 麓の街迄漸く辿り着いた。ここからは日に一本の山景巡りの観光バスまで出ているらしい。現在時刻は昼。あと1時間程でバスが来る。近くの土産屋で時間を潰すか…。

 

 

 

 

 ちょうど1時間経った。観光土産なども買えたから良かった。ゾルディック饅頭とか毒入ってそうだが、一応味見して大丈夫だったのでアンダーソンへのお土産にしよう。

 そうこうしている内にバスの時間が近づいてきた。遅れない様に早めに乗り込むか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガイドの解説を聞きながら山をバスで登る。標高3772Mの死火山に屋敷を構えているらしい。前世の記憶的にも確かそうだったな。それにしても広大な敷地だ。アンダーソンも中々の富裕層だが、ゾルディックも比肩するぐらいはあるだろう。

 家族全員が暗殺者の一家…。私にも想像がつかないが、家族の形はそれぞれという事だろうな。

 途中でバスは止まり、ガイドと共に観光客も降ろされる。目の前には巨大な門が見える。ガイドはここからがゾルディックの敷地内だと教えてくれた。これが黄泉の門、別名〝試しの門〟か。なるほど。観光バスはそのまま観光客を呼び集めて次に行こうとしたが、私はここで降りると告げた。ガイドには憐れな者を見る目で見られて引き止められたが、私は固辞してバスを見送った。

 さて…使用人さんはいるかな?

 

 

 

「すみませーん! どなたかいますかー?」

 

 

 守衛室にノックする。すると中から人の良さそうなオジさんが出てきた。

 

 

 

「はいはい、何でしょう? って、もしかして、貴方がゴン君達の言ってた?」

 

「えぇ。カーム、と申します。…彼等は中に?」

 

「そうですな…。申し遅れました。私はゼブロと申します。彼らは現在、〝試しの門〟を開けられる様に特訓中ですが」

 

「成る程…。じゃあ私も入っても? あぁ、私は()()()入りますが一応声は掛けとこうと思いまして」

 

「あぁ! 少々お待ちを!! 貴方が来たら連絡する様に言われてまして…」

 

「そうですか…。ではちょっと待ちますね」

 

「ありがたい。少しで終わりますので、そちらに掛けてお待ちください」

 

 

 

 そう言って守衛室の椅子を進められた。…やっぱり警戒されてるか。こればっかりは仕方ないな。ちょっとやりすぎたしな…。

 ゼブロさんは電話をかけ、連絡をとっている。

 

 

 

 やがて、電話が終わり、私に声を掛けてきた。

 

 

 

「確認が取れました。入っていいとの事です」

 

「わかりました。わざわざありがとうございます。では」

 

「こちらこそ、ありがとうございます。声を掛けてくれて助かりました」

 

 

 

 

 私は〝試しの門〟の前に立つ。確か1の扉が片方2トン、だっけ。で、倍々になって増えていく、と。全部で7つあるから合計256トンね。まぁ余裕だな。では入るか。

 

 

 ギィオオオオン…

 

 重い音を発しながら扉が()()()()()()()。まぁ〝向こう〟ではサイズ違いの奴には事欠かないし、これぐらい出来ないと踏み潰されて終いだ。後方で

 

 

「…驚きましたな…! 全てが開くのは久しぶりに見ました。当主級の方々ぐらいしか開かない筈ですがね…」

 

 

 と、ゼブロさんが言っていた。私は扉を開けながら振り返り、

 

 

「世話になりましたね。またお会いしましょう」

 

 

 とだけ告げて扉をくぐり抜けた。開けて進めば扉が後方で閉まる音がした。さて…。彼らと合流出来れば良いが、多分そうはならんだろうなぁ。とりあえず進むか…。

 そう思って、一歩足を踏み出そうとした時、近づいて来る気配を感じる。《円》で探知。1人か。祖父…だな。

 

 

「よう来たな。カーム=アンダーソン殿。ワシはゼノ=ゾルディックじゃ。お主を迎えにあがったぞ。着いて来るが良い」

 

「これはこれは…わざわざお出迎えありがとうございます。私もツレがいるので、こちらから伺ったのに…」

 

「お前さんみたいな奴をその辺でウロウロさせられる訳無いじゃろ。使用人共が全滅するわい…。ま、()()()()悪いようにはせん。信じるも信じぬもお主次第じゃがな」

 

「…分かりました。お言葉に従いましょう。付いて行きますのでご案内よろしくお願いします」

 

「物分かりが良くて助かるわい。では付いてまいれ」

 

 

 

 そう告げると、ゼノさんは凄まじいスピードで走り出した。試されてるのかな? まぁ付いていこう。

 しばらく走ると豪華な建物に案内された。

 

 

「流石じゃな。振り切るつもりで走ったが」

 

「いえいえ、まぁ…多少は鍛えてますから」

 

「…随分と謙虚な奴じゃな。イルミから聞いとったのとはえらい違いじゃ」

 

「…あの時は感情が昂ってしまったもので…。イルミさんには思う所はありますが、ゾルディックを害そうとするつもりは全く有りませんよ」

 

「ほう…。まぁそれならそれでよい。ではこちらに座るがよい」

 

 

 

 ソファーを勧められたので、大人しく座る。現在そこそこ広い応接間の様な場所だ。この屋敷は本邸とは別だな。別邸あたりかな? 当たり前か。いきなり本邸には案内しないだろう。ゼノさんは向かいに座る。使用人が持ってきたお茶をいただきながら話をする。

 

 

「で、単刀直入に聞くが、ウチに何の用じゃ?」

 

「ストレートに来ますね…。私は先に来てるツレの付き添いみたいなもんです。キルア君も含めてハンター試験で仲良くなりましてね…。キルア君は特にゴン君と仲良かったので、ゴン君達は彼を連れ戻しに来ていますが、私の場合は〝念〟の修行を約束したからですね。彼の意思を聞こうと思って伺いました」

 

「ふむ…」

 

「もちろん、ゾルディックにも彼の教育方針があるようなので、無理に、とは言えません。ただ、彼は自由を求めていたようなので確認を、と思いましてね」

 

「そうじゃの…。ネテロのジジイからも連絡があったわい。俄には信じ難いが…こうして見ると分かるな。凄まじい使い手じゃ。しかし、ワシらもハイそうですか、ではどうぞ、とは言えん。…分かるな?」

 

「まぁ当然ですよね。ではどうしたらそれが確認できますか?」

 

「ちょっとしたお遊びをしようかの。お主を少し()()()()貰おう。よいか?」

 

 

 まぁそう来るよな…。なるべく穏便に行きたかったが仕方ない。

 

 

「もちろん、いいですよ。()()()()()()()

 

 

 

 

 

 そう言った瞬間、ソファーの背後から抜き手が()()()()()。私は無様にそれに貫かれた様に見えるが…それは残像だ。私は既に空中に飛び上がっている。瞬間、オーラの龍が飛んできて私を咥えようとするが、甘いな。龍の横っ面をぶん殴って逸らすが、龍は怯まずに私に向き直り向かって来る。…こんな豪華な屋敷でいいのかな? まぁそちらが望むならば大丈夫か。天井を蹴り、抜き手の襲撃者へ向かう。途中で銃弾の様な強いオーラや紙吹雪が複数飛んで来たが、全て躱す。そのまま向かうと姿を現した襲撃者が強いオーラの籠った手刀で迎えるが、私はそれも全て躱し、逆に〝浸透勁〟を撃ち込む様に構える。しかし、その危険性を察知したか、襲撃者は一旦距離を取る。背後には龍が迫っているが、百式を模した父さんを出して握り潰した。

 

 

 

「〝御当主〟の方まで来ていただけるとは光栄ですね。いや、4人、来てるかな? ただ、イルミさんが見えませんがどうしました?」

 

 

「…ご名答。オレがシルバ=ゾルディックだ。イルミは仕事でしばらく不在だ」

 

「全く…。恐ろしい奴じゃ。我々の攻撃をものともせんとは。しかも()()()()()()()()()の」

 

「ちょっとしたお遊びでしょう? で、続けますか?」

 

「いや…いいだろう。ここ迄にしよう」

 

「ありがたいですね。では、座っても?」

 

「どうぞ」

 

 

 

 私は穴の空いたソファーに座り直す。向こうもシルバさん、ゼノさん。そして機械のバイザーをした奥さんと着物を着た娘?さんが出てきて向かい側に座った。

 

 

 

「まさかの歓迎でしたね。で、お眼鏡にはかないましたか?」

 

「うむ。オレ達の攻撃をこうも躱しきるとはな。流石は『アンダーソン』だ」

 

「……ご存知で?」

 

「仕事で受ける事もあるからな。だが、昔からあそことは一定の縁がある。なるべく受けたくない仕事の一つだ」

 

「なるほど。それで、キルア君についてはどうですか?」

 

「…その話はしばらく待ってもらえるか? 我々も家族内で話し合う時間が欲しい。本人の意思も確認せねばならんし、まだまだ奴も反省中だ。何せ、母親と兄を刺して出て行ったからな」

 

 

「分かりました。そこはご家族の問題ですしね。待ちますよ。どこで待てば良いですか?」

 

「本邸に案内しよう。客として迎える」

 

「ではありがたく」

 

 

 

 

 そうして、私は彼等に連れ添われて本邸へ向かった。とりあえずはまだ穏便に済んで良かった。話が通じないかと心配したが、これなら問題ないかな?

 後は、彼らとの〝取り引き〟次第か。折角来たからには〝もう一つ〟約束が出来るといいな。

 

 

 

 私は奥さんと娘?さんに睨まれ、居心地の悪い思いをしながらも彼らと一緒に付いていった。

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