アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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72、本邸にて

 

 

 本邸に着いた。これまた大きな屋敷だ。応接室に案内され、座らされる。…今度こそ大丈夫だろうな? 着いてすぐ、シルバさんが奥さんと娘?さんに告げる。

 

 

「キキョウ、カルト。ご苦労だった。2人は下がっていろ」

 

「あなた…そんな! キルアの一大事なのに!!」

 

「だからこそ…だ。黙って下がってろ。カルトもだ」

 

「…ッ!! ……わかりました」

 

 

 そうして2人は恨めしげにしながらも退出した。

 

 

「……よいので?」

 

「構わん。落ち着いて話ができんからな」

 

「そうですか。ですが、私の目的は伝えましたが…」

 

「幾つかこちらも聞きたい事がある。雑談だと思ってくれ」

 

「はぁ…ならば良いですが」

 

「……お前の目から見て、キルアはどう映る?」

 

「…控え目に言って天才、ですね。恐ろしい程の才能だ。順調に成長したら〝世界最強の一角〟も夢ではないでしょうね」

 

「…つまり()()()()()、か?」

 

「…それは何とも言えませんね。私は〝特殊〟なので。念能力者というものは大体そうでしょう…。ですが、少なくとも彼は〝超一流〟にすぐになれますよ」

 

「ほう…まるでお主が特別の様な言い方をしよるな。余程の自信がおありかの?」

 

「まぁ、多少はありますが…今はキルア君の才能が特別、という事を言いたいのです。偶々ハンター試験で仲良くなって、彼に念について教える約束をした以上、私も中途半端な事はしたくなくてですね…。また、ゴン君と楽しそうに振る舞ってる彼を見て、私も気になったものだからこうしてきた訳です。彼次第ですが、私は是非彼を教えてみたい、というのもあります。お節介なのは十分承知ですがね」

 

 

「そうだな…。キルアの才能は我々も認めている所だ。だが、正直に言えばお前の〝力〟を我々はまだ測りかねている」

 

「……なるほど」

 

「ワシらにとってもキルは大事な後継者、というのは分かっておるようじゃがな…それこそこちらも〝中途半端な達人〟には教えて欲しくないわけじゃ」

 

「それもそうですね。当然だと思います。まぁいきなり言われてもそうなりますよね……しかし、アレですか? 私の〝力〟が見たいと?」

 

「よかったら見せてくれないか?」

 

「……私も諸事情によりあまり気軽に全力は出せないのです。一度騒ぎになった事がありましてね」

 

「〝ここ〟はゾルディックの敷地内だ。周辺に人は居ない。また、誰か監視する者も居ない。万が一騒ぎになるようなら我々が始末をつける」

 

「……そうまでして見たいですか?」

 

「正直ワシらは興味がある。7の扉までを平気で開き、我々の攻撃を当たり前の様に捌くお主の実力はな」

 

「……仕方ない、か。わかりました。じゃあ一番害の無いやり方でいきましょう。とりあえず全力の《練》だけ見せます。なので座ったままで結構です。私も座ったままやります。では、行きますよ」

 

「ふむ。強制したようで申し訳ないが、楽しみじゃな」

 

「オレもだ。ハンター協会会長を破る程の〝力〟。見せてもらおう」

 

 

 私はスイッチを切り替えて、今まで弱めの《纏》に偽装していたのを()()()()

 

 

「ほう…。かなりの《練》じゃな。言うだけはある。じゃが…〝この程度〟か?」

 

「いえ…これは《纏》です」

 

「…は?」

 

 

 

 そこから、細胞を全力駆動させ始める。最近全力で行ける機会がちょくちょくあってありがたい。偶にやらないとストレスがたまるしな。

 

 

 

 ゴゴゴゴゴ…

 

 

 

 

「!!?」

 

「!!!」

 

 

 

 オーラが周囲に溢れ出すと同時に2人は瞬時にソファーから飛び退き、後ろに下がって距離を取った上で臨戦態勢をとる。

 しかし、まだまだ。次第にオーラが屋敷を覆う程になる。

 

 

 

 

 バンッ!!

 

 

 

 

 

「あなた!?」

 

「何が!」

 

 

 部屋の扉が開き、先程退出した筈の2人も戻って来る。

 

 

「……何じゃ。この物騒な気配は」

 

 

 

 知らない爺さんまで来た。

 

 

 

 

「……一旦やめますか?」

 

 

 

「…ッ! あぁ…。そうしてくれ」

 

 

 

 

 私は一旦オーラを全て消す。全員が安堵したかの様な表情を見せた。

 

 

 

 

「ネテロのジジイ……よく〝これ〟と闘おうと思ったの…」

 

「あぁ…。これは厳しいな…。皆すまない。ひとまずは大丈夫だから戻っていい」

 

「……永い事生きたが、これ程の者は見た事が無いのぅ…。儂には刺激が強すぎるわ。ま、大丈夫そうなら儂ゃ戻るぞ」

 

 

 そう言って初めて見る爺さんは戻っていった。こんな人いたっけか…。記憶が曖昧だ。しかし超高齢に見えるが、ここでは1・2番の実力者だな。わからないものだ。

 先に来た2人も戸惑っているようだったが、シルバさんに促されて戻っていった。

 

 

 

「さて…如何でしたか?」

 

「……認めざるをえんの。正直、ネテロのジジイから『完敗した』と連絡を受けた時は何の冗談かと思ったが…実際見たら納得じゃわい」

 

「これ程とはな。はっきり言うとお前は相手にしたくないな」

 

「まぁ、いくら私が主張しても結局は彼次第ですからね…。なので、〝取り引き〟をしようと思いまして」

 

「〝取り引き〟?」

 

「えぇ。もし私が彼を見させて貰えるならば、彼が成長した後、〝これ〟を与えます」

 

 

 

 そう言って、私は「黄金の木の実」を取り出した。

 

 

 

「これは特殊なアイテムで、一度だけ食べた者の肉体性能とオーラを限界の1・5倍程に引き上げます。無論、ノーリスクで」

 

「!!」

 

「なんと! …そんな物が有るのか?」

 

「詳しくは言えませんが、()()()()()()()()()()()()()()()()の一つです。限界まで鍛えたら〝これ〟を使ってもいい。ほぼ無敵の存在になれますよ。私も〝これ〟を使ってもいいぐらいには彼を買ってますしね」

 

「むぅ……。シルバ、どうする?」

 

「…まず、〝それ〟が本物では無いと疑うのが普通だ。効能も眉唾物だ。簡単に信用はできん」

 

「〝取り引き〟でウソをつく程寝ぼけちゃいないつもりですがね…。しかし、おっしゃる事もごもっとも。ただ、これは超貴重な産物ですので検証を、という訳にもいかなくてですね。でしたら、あなた方にも一つだけあげましょう。その代わり私からも一つ条件があります」

 

「……条件とは?」

 

「条件と言うよりは依頼ですね。『アンダーソン家の暗殺の依頼は受けない』という事です。また、どうしてもそうも行かない場合もあるでしょうから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。報酬は〝コレ〟です。…如何ですか?」

 

「…なるほどな。そう来たか。〝報酬〟と言うならば信じざるを得ん。だが、本当にその効果が?」

 

「そこは信用してください、としか。ただ、私は最初に申し上げたように、あなた方を害する意図は全く無い。また、私が仮に本気で害そうとするなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。先程もまだ〝本気〟ではないですからね」

 

「…こりゃ参ったのぅ。硬軟使い分けてくるとはな」

 

「……よかろう。キルア次第だが許可しよう。ただ、我々からも条件がある…。奴には今、我々からの『行動抑制』が掛かっている。これはひとえにキルを〝死なせない〟為のものだ。お前は〝それ〟には触れないで欲しい」

 

「あぁ…あの頭に埋まってる〝針〟ですね…しかし、本人が気付いた場合は?」

 

「その時も触れるな。…本人が解除できたらその限りではないがな」

 

「…わかりました。では私も〝それ〟には触れない様にします」

 

「これは条件というより〝お願い〟というものだ。ただ、我々の思いも酌んで欲しいものでな」

 

「私もご家族の思いは優先させて頂きますよ。大事な御子息を預かるわけですからね。ただ、()()()()()『思考誘導』を感知した場合はその限りではありませんがね…その為にはキルア君とはゴン君達と一緒に一目は会わせて貰いましょう。これで〝取り引き〟成立ですか?」

 

「あぁ。いいだろう…。ついでにカルトもどうだ?」

 

「カルトって…あの娘?さんですか? バスガイドによると男として紹介されてましたが…」

 

「ゾルディックの風習でな。後継者候補は例外無く男として扱われる。性別に関係なくな。カルトは女だ。将来有望だぞ? なんなら嫁入りも検討してもいい」

 

「……それもまた、キルア君次第、ですかね。私は嫁入り云々はともかく嫌われている様な雰囲気を感じますしね」

 

「それもそうだな。では〝取り引き〟成立だ。これからも『良い関係』でいられる事を望もう」

 

「ありがとうございます。私もそう望みますよ。あ、それと、その果実は()()()()()()()()()()()()()()()()()。つまり対象は1人のみです。よくお考えになってご使用ください」

 

「……なるほどな。そうするとしよう。これからお前はどうする?」

 

「私はツレのゴン君達の所に合流しますよ。少なくともあの門を開けないようでは話にならないので少し鍛えてきます。彼等が門を開けたら一緒にまたこちらに伺いますよ」

 

「わかった。ではその時迄にはキルにも聞いておこう」

 

「あ、最後にもう1つ。〝ここ〟には()()()()居ますね? その方からは〝懐かしい〟気配を感じます。無いとは思いますが、私に対してその〝力〟は()()()()()。試すのは結構ですが、その場合は()()()()の覚悟をお持ちの上でお願いしますね」

 

「……肝に銘じておこう」

 

「では…」

 

 

 

 私は一礼して立ち上がり、その場を退去する。使用人達に見送られながら本邸を出て、再び玄関まで向かう。…中々いい感じにまとまったか。反省点も多いが、目的は達成したし及第点だろう。さてさて、あとは向こうがどう出るかだな。まずはゴン達だ。先程も言ったが、あの扉すら開けられないようでは話にならないのでビシバシ鍛えよう。

 私はこれからの展望を楽しみにしているようだ。これもまた人生を楽しむ、という奴だろう。彼らには私の技を余す所なく伝えよう。どんな成長を遂げるか楽しみだ。あぁ、〝希望〟とは、やはりいいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「……()()()()()()()()。…ハッタリだと思うか?」

 

「いや……恐らくウソはついていないな。アレは本気の目だ。しかも、本当にできるだろう。つまり我々には奴に対して()()()()()()()

 

「敵対的だったらと思えばゾッとするの。キルアも厄介なモンに目を付けられたもんじゃわい」

 

「親父の言う通りだが…これはチャンスだな。何故奴があれ程の〝力〟がありながらあそこまで慎重なのかはわからんが、奴を味方に引き込めるなら安いものだ…。聞いていただろう。キキョウ、カルト!」

 

 

 

 バン!!

 

 

 

「あなた! あんなに安請け合いをして…! キルアだけじゃなくてカルトちゃんまで…!」

 

「オレの考えは今言った通りだ。我々は奴を味方に引き込む。出来ればゾルディックの系譜に組み込めれば最上だ。だが、奴に念を教わるだけでも価値はある。最上の〝留学〟だと思え。少なくともキルアは行かせる」

 

「そんな…もしキルアが戻って来なかったらどうするの!?」

 

「戻って来るさ…。奴はオレの子だからな」

 

「………」

 

「…僕はどうすれば?」

 

「奴はキルアを所望だ。思考誘導はバレるだろう。イルミも不在だしな。よってキルア次第、とも言えるが、できるだけ付いていけ。そして、できるなら〝籠絡〟しろ」

 

「できるかな…あんな〝バケモノ〟に」

 

「無理に、とは言わん。だが、上手くやればお前にもメリットのある話だ。…まだまだ猶予はある。奴等が近くまで来たらキルアを解放してオレが話をする。その後でお前も話をしろ。どう交渉するかは考えておけ」

 

「まぁ話はまとまったの。あとは…〝これ〟じゃな」

 

 

 

 テーブルに鎮座する、「黄金の木の実」。豪華な応接間のテーブルに負けない…どころか圧倒的な存在感を放っている。

 

 

 

「奴はあぁ言ったが…()()()()()()()()()()()()()とも限らないか。あるとしたら操作系、だな。中身も毒を含め何があるか分からん。触れずに成分分析にまわすか」

 

「ほっとくとミルキに食われかねんからの。ま、それはそれでよいが、〝本物〟だった場合にちと勿体ないの」

 

「万全の調査の後にオレが試す。奴も〝報酬〟として設定しているからにはウソはつかんだろうがな。()()()()万が一の時は親父、頼んだぞ」

 

「それが良かろう。任された」

 

「この出会いが吉と出るか、凶と出るか…楽しみだな」




遅くなり申した…!

ゾルディック家との〝人間的な〟交渉(本人談)。
尚、リターンとパワーでゴリ押しな模様。

次回はいよいよ合流です。

追記
暗黒大陸産のアイテムという所をぼかしました。
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