大分長くなっちゃいました…。
「おはよう! みんなよく眠れたかな?」
朝の5時。それぞれの部屋に声をかけて起こす。みんな眠そうだ。昨日夜遅くまで遊びまくってたからなぁ。こっちも調子に乗って花火とか出しちゃったのがいけなかった。だが後悔はしてない。楽しかったし。
「早速だが、朝食前に軽く運動しよう。各自ストレッチしてくれ。あぁそれと、カルト。君は折角の着物がボロボロになるのも忍びないから、良かったらこっちに着替えてくれ」
そうして私は彼女に黒いジャージと運動靴を差し出した。白いラインの入っている普通のジャージだ。子供サイズがあってよかった。
「あ、ありがとう…」
カルトはおずおずと受け取ると、部屋に一旦戻っていった。その間、野郎共は黙々とストレッチする。…みんな柔らかいな。レオリオが若干固いが。だが許容範囲だろう。そのうち、恥ずかしそうにカルトが戻ってきた。
うん…。何だろう。服が変わるとこうも印象が違うのか。見た目的には日本の部活の女子にしか見えない。これはこれでアリだ。
「すごいね! カルト可愛いよ!」
「あ、ありがとう…」
ナチュラルにゴンさんが褒める。誰よりも早く切り込んだな! 流石に褒められて悪い気はしないらしい。しかし、ゴンさんは私より女の子の扱いが上手いな? これからこういうイケメン行動とったら心の中でゴンさんと呼ぼう。
「兄さん、どう?」
「あ? いーんじゃね?」
「………」
それに引き換えキルアの適当な返事! まぁ兄妹だからしょうがないのか。だが、身内でもそこは褒めとけよ。ちょっぴりスネちゃってるじゃんか。
「カルト、着物もいいが、別の服だとまた印象が変わるな。ジャージで申し訳ないが、それはそれでいいじゃないか。また機会があったら他の服も見てみたいな」
と、フォローを入れといた。笑ってお礼を言ってくれたので良かった。レオリオは「…5年後でも良さそうだな…」とか呟いていたが、その発言はセクハラだからな?
準備が整い、いよいよ修行開始、だ。
まずは〝現場〟を見に行くか。
「用意はできたね。では初めに軽くマラソンだ。どんな時でもスタミナは重要だ。目的地は〝バイト先〟。これから稼ぐ場所を見に行くにも丁度いい。では出発しよう。皆かなりの走力があるから飛ばすぞ。遅れたら置いていくからな」
さて、出発だ。私が先頭になって山道を走り抜ける。スピードは一般人の全力疾走より早めだ。ハンター試験よりは難易度が高いが、それぞれ苦も無く付いてくる。流石だ。キルア、カルトのゾルディック組はともかく、ゴンなんかは得意分野だからかなり余裕があるな。クラピカ、レオリオも3倍重力修行が効いたのか、まだまだいけそうだ。よし。それならペースを徐々にアップしていこう。どこまで付いて来れるかな?
◆
うーん。中々いい感じで付いてくるな。ただのマラソンじゃなくて山の自然を利用したパルクールみたいな動きをしつつ、更にスピードを上げてるのに、まだまだ余裕があるな。素晴らしい事だ。どこまで上げて大丈夫かな? 目的地まで約25キロの道のり。往復で3時間以内で行ければ今のところ合格だが、この様子だと近い時間でいけるな。どこまで行けるか見極めつつ、スピードアップしていこう。
◆
「さて、着いたぞ。ここが〝バイト先〟だ」
周囲は岩山の岩石地帯。ここが高速道路予定地だ。既に何人かが現場入りして周辺の道路を整備し始めている。
「ゼーッ、ゼーッ、おい! どこが、『軽く』だよ! ハーフマラソンより走ってるじゃねーか!」
「いや、まぁちょっとスピード上げたけど、慣れたら楽だよ。それより、君たちがメインで修行する場所だ。とりあえず監督に挨拶に行くぞ」
「カーム。まさかと思うが、バイトとは…」
「うむ。その通り。工事現場だ。インフラのな。バイトも出来て筋トレも出来る最高の修行場さ。今回は特別に我々が山のトンネル担当になっているから、これを掘り抜いてもらう。まぁまだやらないがね。さぁ、行くぞ」
「マジか…」
「おはよう。監督」
「おはようございます、カームさん。お久しぶりです」
「監督も朝早くからお疲れ様。今回は無理言って申し訳ない」
「とんでもない! トンネル掘りはウチの伝統ですからね。慣れたモンですよ。そして…その子達が?」
「うん。今回の対象者だ。ほら、みんな。こちらが今回のバイトの監督だ」
「「「「「よろしくお願いします」」」」」
「あぁ。カームさんが連れてきたんだ。期待してるよ。しかし、カームさん。今回のトンネルは長いですけど大丈夫ですか?」
「問題無いよ。複数人いるし、彼らは才能溢れる若者だからね」
「それは期待出来ますな。いつから始めます?」
「大体1週間後ぐらいかな。彼らならそれぐらいで来れるだろう」
「承りました。ホントに優秀ですな。ではそれぐらい迄には周辺の設備はある程度仕上げときますよ。予算はたっぷりありますからね、バイト代は期待しといてください」
「うん。よろしく頼む。ではまた。あと、『コレ』を分かりやすい所に置いといてくれ」
私はゴン達に見えない様に、監督にこっそり〝あるモノ〟を渡す。
「あぁ。『アレ』をやるんですね? フフフ。カームさんも楽しんでますね」
「やっぱりわかる? いやぁ、夕方が楽しみだなぁ…」
「よし。では帰るぞ」
「? すぐ始めねーの?」
「ここは念の修行場でもあるからな。君達は基礎能力が不足してるからまだ始めない。まずは念を修めてからバイトは本格的に始める。今回は顔見せだな。とりあえずこれから帰り道だが、私は自重せずに走るから君達はそれぞれで帰ってきたまえ。目標1時間半な。あまり遅いと朝食を食べ損ねるぞ。…ゴン、キルア、カルトあたりは付いて来れるなら付いて来い。行くぞ」
「ヤベ! それは勘弁だぜ! って速えぇ! ちょっと待てよ!」
「ゴン、急ぐぞ! アイツについて行くからな」
「うん。山道なら得意だから急ごう」
「置いてかれるのは癪だからボクも頑張るよ」
「…レオリオ、我々も出来るだけ付いていこう。追いつけないかもしれないが意地は見せよう」
「マジか…。しゃあねぇ、頑張るか…」
◇
クソっ! 速い! 余裕だと思ってたが大間違いだった! もう人間の出せるスピードをとっくに超えてるぞ。アイツ、どんだけの身体能力なんだ!?
不味いな。マジでオレですら置いてかれそうだ。…これが超一流の身体能力か。流石のゴンとカルトもキツそうだ。
「ゴン! オレ達の力を見せるぞ! ゼッテー食らいつく! カルト、行けるか!?」
「まだまだ行けるよ!」
「うん、頑張る…!」
よし、ちょっと本気出す。見てろよ…!
よっしゃ、並んだ…! このまま追い越して…ゲッ、笑ってやがる。…何? 「まあまあだな」だと…? ふ、ふざけやがって! 全力で追いこしてやる!
ヤバ、更にスピードが上がった! クソっ…。だ、ダメだ…追いつけない。だが、せめて食らいついてやる…
◇
うん。これは凄い。置いてくつもりだったがまだ付いてくる。やるね。根性も申し分ない。既にスピードは車並みに出してるんだがな。嬉しい誤算だ。
鍛えたらどこまで伸びるだろう。凄まじいポテンシャルだ。より楽しみになってきた。鍛えるぞー。
◆
「いやー凄いなぁ。まさかギリギリでも最後まで付いて来れるとは思わなかった。素晴らしい身体能力だ。これは期待できるな」
「ハアッ、ハアッ…バ、バケモノめ…。息切れも無くて汗一つかいてないのか…」
「「…………」」
キルアは喋れるだけ大したもんだ。他2人は完全にダウンしている。
「君らも鍛えればこれぐらいはできるようになるさ。〝念〟を完全に覚えたらもっと凄いぞ。とりあえず、残りの2人を待つ間、息を整えつつストレッチをやるといい。レオリオとクラピカも、そうは遅れていないからそこまで待つ時間は無いぞ。大したものだな」
その後、クラピカとレオリオも若干オーバーしただけで戻ってきた。朝食に間に合った様だな。素晴らしい。とりあえず、全員シャワーを一旦浴びて着替えてもらってから食堂に集合した。時間は午前9時。今日の朝食はトースト、サラダ、目玉焼き、ベーコン、コーンスープだ。サヘルタ版、ご機嫌な朝食だ。
彼らはヘトヘトだったが、空腹には勝てなかったらしい。トーストとスープを無限お代わりしていた。サラダも食え、サラダも。
さて、朝食が済んだらいよいよ念修行だ。建物から一旦出て、広めの草っ原に輪になって座る。クラピカとレオリオは疲れからか自然体ができていて、非常に良い瞑想になっている。ゴン、キルア、カルトの3人組は《点》を行うように伝えたが、ゴンとキルアは若干不満そうだった。実際に早く扱ってみたいのだろう。しかし、そこで私から念戦闘におけるメンタルの重要性を説き、納得してくれた。緊急時にすらオーラを正しく制御できる精神力は、実際生死を分ける。私が言うんだから間違いない。そうじゃなきゃクラーケンの時点で死んでたしな。
また、こちらとしても全員揃って教えた方が効率がいい。と、いうわけで、昼まで全員瞑想タイムだ。しばらくすると、クラピカが昼前後にオーラを見出し、その後《纏》ができた。聞くところによると、就寝前などに時間を取ってやってたらしい。勤勉だなぁ。
レオリオは更にぐぬぬとなっていたが、彼も近日中にできそうな気配がある。私なんざ1年かかったというのに贅沢な奴だ。それを伝えたら驚くと同時に安心して続きを行っていた。現金な奴。
それに、レオリオが苦戦しているのには心当たりがある。彼の才能は他の者と比較してもそうは変わらないほどのものだが、彼らと違う点は
私はオーラを見出す時に、皆に私なりのイメージを伝えていたが、細胞一つ一つをイメージする事は難しい。それこそ、膨大な専門知識とイメージ力が必要だ。よって後にある程度は噛み砕いて教えた。具体的には精孔からオーラが発生しているという一般的な奴だ。マイケルにもそうしたからな。だが彼は律儀に最初のものをイメージしているのだろう。医者志望故に細胞のイメージもある程度出来るだろうからな。よって、仮に発現した時はより力強い《纏》が出来るだろう…
昼食の時間だ。昼は魚定食と味噌汁だ。この近辺の川でとれた魚を捌いて甘露煮にしてある。我が家は食には敏感で、世界各国は言うに及ばず、ジャポンやカキン辺りからも料理法を集めている。我が家の関係者に美食ハンターもいるほどだ。私はジャポン食がわりと好きで好んで食べていたが、食堂のおばちゃんもその辺の情報を知っていて出してくれたらしい。食べてみるとかなり美味い! おばちゃんに目線を合わせてサムズアップしたら、向こうもサムズアップで返してくれた。
ゴン、クラピカ、レオリオは箸に苦戦していたが、キルアとカルトは使ったことがあるのか、普通に食べていた。特にカルトの食事マナーは綺麗だ。着物もそうだが、女子の嗜みかな?
とりあえず皆満足したみたいなのでよかった。
昼からはまた楽しいマラソンだ。今回は昼食後だし、コースを変えてフルマラソン(40キロちょい)だ。目標2時間半で少し緩め。レオリオ辺りは「また走るのか…」と言ってたが、今日はまだ緩い方だぞ?
実際、全員苦もなく付いてきた所を見ると、身体能力はやはり全員かなり高めだ。これでも元の世界では世界レベルに近いんだがな。だが、嬉しい誤算だ。
午後3時。オヤツタイムの後、更に瞑想修行に入る。若い子には辛いかもしれないが、逆に今が一番大事な時だ。それに念修行も近いうち入るから我慢して欲しい。だが、朝のマラソンのおかげか、彼らも今のところ大人しく従ってくれているからよかった。可能であればレオリオ式の《纏》にしたい所だが、こればっかりはな…。私の場合は細胞操作の面もあるから、レオリオですら私の様にはいかないだろうし。まぁ鍛えていけばそれぞれ誤差になっていくだろう。だが、妥協はしたくない。レオリオが発現したら、それを見て少し修行内容を変更してもいいかもしれないな。
午後5時。最後のマラソンだ。辺りは暗くなってきている。少し趣向を変える。道のりは朝の通りだ。実は工事現場に預けたのは
我々とはこの寮の3人の使用人だ。全員念能力者だが、もちろん手加減する。オーラ探知は使わない。特殊な念能力は使わない、だ。更に彼らのレベルのギリギリ上の力で奪いに行くと伝えた。我々の始動は2時間後。それまでに着けばOKだ。
よって彼らの勝利条件は
1、2時間以内にフラッグを持ってゴール
2、2時間超えても我々の襲撃を躱してゴール
である。ちなみに3時間を超えると夕食自体が消滅すると伝えたら俄然ヤル気になったらしい。また、今回は私は監視役だ。《隠》で《円》が出来るからサボりはすぐわかる。ヤル気無しの場合は同じく夕食が消滅するとも伝えた。まぁこの面子でサボる事は無いだろうがな。さて…誰かパフェまでいけるかな? 更にヤル気が出る様にサンプルまで見せた。フルーツをふんだんに使った超豪華パフェだ。店で食べたら1000ジェニーは下らないだろう。私も食べたい。
実はコレは食堂のおばちゃん作で、彼女は本邸のシェフの1人だ。念能力者でこそないが、本業はパティシエとの事。気合いが入っている。いい人材を寄越してくれたものだ。
皆が静かに闘志を燃やしはじめた。カルトなんかは一見興味無さそうなフリをしてるが、目がマジだ。獲物を狙う目になっている。アレはガチで来るな。フフフ…。そう簡単にありつけると思うなよ。
5分間の準備運動の後、一斉にスタートした。さぁ。君達の本気を見せてもらおう。さて、気付くかな? 実はこの中で
◇
「往復で2時間…。ギリギリだな。だが、不可能じゃない! ゼッテー『アレ』は頂くぜ!」
「負けられないね! カルトは大丈夫?」
「ゴン…。兄さん…。悪いけど、これは僕にとっては譲れないものだ。だから
そう言って、カルトはオーラを足に集めてダッシュを始めた!
「ゲッ! カルト! お前…! これまで手を抜いてやがったな!?」
「今まで手は抜いてない。ただ、
そう言うとカルトは凄まじいスピードで去っていった。
「クソっ! オレ達もアレできねーか!?」
「今やろうとしてるけど…難しい! ちょっとしか動かない! 今の状況じゃ無理だ!」
「おのれ…カルト! だが、カームの奴が対策してないなんてありえねー! どっかに罠があるはずだ。だからこそのあの余裕だ。恐らく2時間じゃどう足掻いても着かない…! オレ達は襲撃を躱してゴールする方を目指すぞ!」
「レオリオ、大丈夫か?」
「あぁ。今の所はな。とりあえずパフェは厳しそうだが、3時間以内には着くように頑張るぜ!」
「それを聞いて安心したよ。私もパフェはどうだっていいが、少しでもアピールできるようにフラッグは持って帰ろうと思う。お互い健闘しよう」
そう言ってクラピカは更にスピードを上げてレオリオを抜かして消えていった。
「………あいつ、パフェ食べたいんだな…」
◆
一足先に工事現場に着いたカルトは、これみよがしに置いてある4本のフラッグを見つけた。現場は作業が終了したらしく誰もいない。
罠がないか慎重に探りつつ、フラッグを手に取る。
ズシッ
「お、重い…!」
暗くて見えなかったが、フラッグには神字がびっしり書いてあり、どう見ても念が込められている。恐らく100キロ以上はあるだろう。
実はこのフラッグ、オーラ量によって重さが変化する。また、所有すると強制的に《纏》が解除されるという一品だ。
「くっ…。これじゃ厳しい…間に合うかな…。仕方ない。肉体の力で全力で行くしかない」
遅れる事15分。ゴン達も到着した。その間、何故かカルトとはすれ違わなかった。
「ぐっ…結構重い…! それに《纏》ができない…!」
「こういう事か…。よく考えてやがる…! カルトでもギリギリのはずだ。オレ達は襲撃を躱す方向で行くようにしよう。あと、レオリオとクラピカにすれ違わないようにしないとな」
「えっ? 普通に行かないの?」
「バカ! アイツらが奪って来た時の為の警戒だ。あと1本しかないし、仮にオレ達がフラッグを奪われたらまた取りに戻らなきゃならねーだろ! それがなくても揉めたら時間ロスだ。カルトにすれ違わなかったのもそういう理由だ」
「なるほどね。じゃあ上手く隠れながら急ごうか」
「コレか…。ぐっ。なるほど。重い…。そういう事か。誰ともすれ違わなかった理由も分かった。…コレはエゲツないな。だが合理的だ。さて…。とりあえず戻るとしよう。2時間の前に出来るだけゴールに接近しなければ」
◇
もうすぐ2時間が経つ。やはり無理かと思っていたら、残り1分の時点でカルトが根性で到着した。息も絶え絶えだ。まさか正攻法で間に合うとはな…。まだ彼女を侮っていたらしい。パフェ1号はカルトで堂々の決定だな。
とりあえず「パフェ…」とうわ言を発する倒れた彼女を女性スタッフが運んでいった。
そして2時間。いよいよ狩りの時間だ。他のメンツは間に合わなかったから襲撃を躱す方向で来たようだ。楽しみだなぁ。使用人はみんな熟練だから万が一の事故もないだろう。ゴン達はどうするかな?
◇
「……キルア、2時間経った。襲撃が始まるよ」
「シッ! 静かに。ゴン。お前なら気配も断てるだろ? ヒソカに張り付いてたんだからな。オレ達なら隠れていけば多分見つかんねーぜ」
「体感で後5キロちょっとかな。ここからは狙いを分ける為に別れた方がいいね」
「あぁ。2人して3人に囲まれたらアウトだからな。幸運を祈るぜ、ゴン」
◇
2時間か…。不味いな。襲撃開始時間だ。しかし、これだと
◇
ゴンとキルアはほぼ同時に寮の側まで接近していた。残り約1キロ。当然近づけば近づく程リスクは上がる。彼らはそれも分かっているようで、かなり慎重だ。しかし驚いたな…。教えてもいないのに《絶》がほぼできている。かなり精度が高い。これは襲撃する側も見つけづらいな。だが、残念。フラッグには発信器が付いているのだ。
そろそろ接敵するな…。ん? フラッグを置いた? そして離れた…? そうか! 逆襲撃する気だな? なるほど。こちらが発信器を付けてる事もお見通しか。やるね。だが、そう甘くはないぞ? お手並み拝見だな。
クラピカの方は若干抑えながらも普通に向かって来ている。ラストで張ってる事を読んだか。まぁそこまではいいが、襲撃はどう躱すかな?
そしてレオリオ。彼はどうするだろう。楽しみだな。
◆
10分して、ダッシュでキルアが戻って来た。手にはフラッグを持っている。パフェ2号決定! すぐ後ろから追っ手が付いてきていたが間に合ったな。逆襲撃が成功した。流石暗殺者、という所だな。
その後すぐ、ゴンが到着した。彼も持っていた。彼はフラッグを囮に罠祭りで対応していた。まぁ足止めにしかならなかったが、使用人がトラップに引っ掛かった瞬間に、フラッグを見えない様に結んだ蔦で持ち去って逃げ切った。彼がパフェ3号だな。
さて…。あと一つ。果たしてどちらか食べられるかな? 襲撃する使用人は残り1人のままにしておいてやろう。是非とも頑張って欲しい。
残り時間5分。ギリギリで2人が姿を現した。2人ともフラッグを持った使用人を追いかけている。残り500メートル。レオリオがナイフを投げると同時にクラピカが紐で繋がってる2振りの刀を投げた! 同時に来たからナイフは躱しても刀は無理だったらしい。使用人の足に紐が見事に絡まった。群がる2人。だが、使用人はフラッグを力いっぱいゴール方面に投げた! 残り100メートル! 2人は同時に走り、追いかける! だが、使用人も少し後から紐を解いて走り出す!
フラッグを取ろうとした瞬間、レオリオがクラピカの足を引っ掛ける。普段の彼なら引っ掛からないだろうが、流石に疲れが出たらしい。彼が倒れている間にフラッグを拾い、ダッシュするレオリオ。
「ハッハ〜! パフェは頂くぜー!」
倒れたクラピカが起き上がる。ゲッ。アイツ、緋の眼になってない?
「レ オ リ オ〜〜!!」
クラピカのオーラ量が爆発的に増える! なんだありゃ! そんなに増えるもんなのか!? そして前の2人を凄まじいスピードで追いかける!
後方の使用人すら追い抜いてレオリオに迫る!残り20メートル、凄い、追いつきそうだ!
残り10メートル! 使用人を抜き去って追いついた! 残り5メートルで完全に捕らえた! そのまま揉み合いながら……ゴール!!
最後にフラッグを手にしていたのは……
◇
「うんま〜〜!! サイコーのデザートだぜ!」
「疲れたから尚更美味しいね」
「私も大人気なかったな。すまなかった。レオリオ」
「とか言いながら美味そうにパクついてんじゃねーぞ! …まぁオレもチャンスを活かしきれなかったからしゃーねぇけどな。狙って悪かったな。クラピカ」
「気にするな。私が君でもそうする」
「…………(パクパク)」
お楽しみのデザートタイムを堪能する。結局判定はクラピカだった。レオリオも健闘したが、緋の眼の力が勝負を分けた。あの時、クラピカが逆襲撃を仕掛けた所を更にレオリオが襲撃して、結局三つ巴になった結果、フラッグを使用人側に奪われて、一時的に共闘していた。だが、フラッグは一つ。何処かで奪い合わなければならない。そう考えるとレオリオのタイミングは絶妙だったな。クラピカの底力が上回ったが、パフェはレオリオでもおかしくはなかった。
レオリオも健闘したな。自分の有利を最大限に活かして作戦を立てたのだろう。今回は惜しかったが、次回も頑張ってほしい。
…1人黙々と味わって食べてる子がいるが、全力で堪能中なので声をかけないでおこう。やっぱり女子だなぁ。
食事が終わり、午後9時。ここからはフリータイムだ。鍛えるもよし、休むもよし、勉強するもよし。今日含め3日間は同じ様な修行をしていくと伝えた。もちろん、協力してくれた使用人にはお礼とともにパフェを食べてもらった。彼らも楽しんでいたようでよかった。
私も自分の修行に入ろう。最後の目的の為に調整が必要な部分があるのだ。うかうかしていられない。楽しみながらも全力で取り組んでいくとしよう。