あれから2週間経った。みっちりバイトと修行をこなしてかなり地力が上がったように見える。重力修行に慣れだした為、5倍まで重力を引き上げたが、それでもコンスタントに100メートル以上は進む彼等はやはり凄いと思う。バイト代は歩合制なので、進めば進む程色が付く。彼等は早々に私に最初の借金を返済し終わり、今は貯金に励んでいる様だ。最早ルーキーとは言えない身体能力だと思う。ただ、思考の瞬発力や戦闘における思考力を身につける修行などはまだ全然やってない。その辺は基礎力がついてからでも遅くない。まずは徹底的に地力を上げて選択肢を増やす段階だと考えている。同様に《発》もだ。彼等には系統別修行を一通り行うまでは開発は禁止している。構想するのはOKだが。ある程度自分の資質を把握してから開発した方が、より強力な能力を作れるからと説明した。私は実際そう思っているし。
後、週一のデザート争奪戦も開催されている。この時ばかりは重力を解放している。たまには通常の重力も慣れなければな。フラッグ争奪戦もフラッグの数が徐々に減り、2つになった所で熾烈なバトルが繰り広げられる様になった。皆もう往復1時間半以内で行けるから、入り口で張るだけでなく、フラッグ付近でも張る様になった。…これ、全員《発》覚えたら面白い事になるんだろうなぁ。狩人の出陣も1時間になり、より熾烈な争いが繰り広げられた。ちなみに常勝はカルト。彼女は時間内にきっちり運んでくる。修行で疲労してるはずなのに、その底力はどこから出て来るのだろうか…。念能力の先達は格が違うな。後はダンゴだ。ビスケも狩人として参加したがっていたので、いずれ参加してもらおう。より熾烈な争いになる事必至だ。頑張ってほしい。
修行の副産物として、ゴンは独自の力で《硬》を開発して岩盤にパンチをお見舞いしたり、キルアは攻防力移動のコツを早々と掴んで様々な場面で活用したりしていた。更に、レオリオは何と勉強時に頭(正確には脳)に《凝》をして勉強していた。なるほど。考えたな。本人曰く、「捗り方のレベルがちげーぜ!」だそうだ。クラピカは安定してレベルアップを重ねている。彼は時折私やビスケが行う《隠》を見破るのが1番早い。思考の瞬発力が高いタイプだな。カルトは経験者だから言う事は無いが、仲間が念について行き詰まった時にそれとなくヒントを与えてくれた。最初から答えを出さない辺り、こちらの意図を察してくれていてありがたい。こうして、お互いがお互いにいい影響を与え合って、よりよい力を身に付けつつある。非常に良い事だな。半年後が楽しみだ。
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そして、あまり修行ばかりだと息が詰まるので、ヨークシンシティに繰り出して1日フリーの時間を作った。これからは週1でやる様に設定する。帰りはそれぞれで朝までに帰って来ればよい。私もこの日ばかりは家でゆっくりしようかと思っていたらビスケとカルトに捕まった。うん…。まぁしょうがないので付き合う事になった。
まずはショッピング。カルトの服を購入する。これは私が提案した。着物以外も見たいからな。ビスケもノリノリで付き合ってくれた。どうせ同行するなら楽しまねば。そういうわけで、ヨークシンのウチの系列のデパートに入る。
そして…30分後、見事に着せ替え人形と化すカルトの姿が!
いや〜。素晴らしい。本人は黒が好みの様だが、特にハイネックの長袖ミニスカートワンピースに黒タイツ姿が何故か私に刺さりまくる。これは〝買い〟だな。他にもセーラ服風のベストやベレー帽の組み合わせも素晴らしい。そして黒タイツは絶対だ。これは譲れない。カルトは恥ずかしそうにしていたが、私とビスケがノリノリだったので付き合ってくれた様だ。当然、気に入ったのは全て私が購入した。プレゼントだな。カルトも嬉しそうにしていたので良かった。早速着物から先程の服にチェンジしてくれた。
…私的には思い残すところは無いが、休日はまだまだこれからだ。次はビスケに付き合う。
ビスケはアクセサリーショップに入る。宝石ハンター故に見る目は厳しい。ショップの店員も緊張している。30分じっくり見て、最終的にダイヤのネックレスかルビーのネックレスを私に見せて、どちらがいいか尋ねてきた。…いや、私本当にこういうセンスないんだが…。だが、ビスケは逃してくれなそうなので、ルビーを選ぶ。赤は彼女のイメージカラーだし、確か情熱とか永遠の美とかの意味があったような…。とりあえず、君には赤が似合うと言ったら喜んでいた。良かった。これも私がプレゼントした。まぁ、私的に別に痛い出費ではなし。これで喜んでくれるなら儲けものだ。ビスケは感動しながら「今度は指輪を…」とか言ってたが、スルーした。
カルトが私に物欲しそうな目で訴えていたが、今度来た時にまた買ってあげよう、と約束した。ダメだな。どうも甘くなってしまう。ビスケも察知して、「アンタはいっぱいプレゼント貰ったでしょ!」とインターセプトしたが、カルトも負けじと「値段的にはそっちのが上だよ」と争いの気配を見せたので、やんわりと嗜めて次の場所に向かった。
昼食は、ウチのリベロのおすすめのレストランに入る。ここは小洒落た店で、イタリア料理の様な雰囲気の料理を出してくれる。屋外のテーブルに着き、3人で美味しく頂く。彼はこういうのにやたら詳しい。出掛ける時も、デートコース大全〜ヨークシン編〜なるものを持たせてくれたので非常に助かった。帰ったらチップを弾もう。
楽しく会話しながら食事を終え、これからどうしようかと考えていたら、ビスケが映画を観たいと言ったので、映画館に入る。なんでもビスケのオススメの映画のようだ。私は前世でも映画館で見た事が無く、転生してからも白黒のトーキーだった為にとんと行った事が無かったから実は初めてだ。暗黒大陸から帰って来てもそんな余裕無かったしな。だから楽しみだ。
内容は恋愛もので、巨大旅客船の沈没をテーマにしたものらしい。…どっかで聞いたことがあるな。まぁ観てみよう。
内容は素晴らしかった。3時間にも及んだが、それを感じさせないストーリーの良さがあった。前世でも似た様な映画があったが、また違った良さがあった。時代設定は200年前で割と親近感が持てるのも良かった。ビスケなどは隣で号泣していたし、カルトも初めての映画だったのか、終始圧倒されていた。
終わってから早速コーヒーショップに入り、先程の映画の評論会を行う。ビスケは何よりあの恋愛模様が気に入った様で、しきりに熱弁していた。特に舳先に2人で手を取り合うシーンと、悲恋に終わるシーンが最高だったと語っていた。私としては船の再現度や船が沈没する中での群像劇などが良かったと伝えた。カルトはあんな事態になったらどうやって生き延びるかずっと想像していた様だ。流石暗殺者。目の付け所が違うね。三者三様の意見が出て、非常に盛り上がった。行って良かったな。これからもちょくちょく観に行きたいなぁ。
時間を考えて、早めの夕食をとる。これまたウチの系列のホテル最上階のレストランでの食事だ。ウチの系列は融通が利くから便利なんだよな。買い物も寮に直接送ってもらったし。次元収納に入れてもいいが、あまりホイホイ見せる物でも無いからなぁ。
我々は傍から見れば、マフィアファッションの怪しい男にゴスロリ少女とどう見ても小五ロリである。犯罪の匂いがプンプンするだろう。よくこれまで通報されなかったよな。だが、全員逸般人であるため、例え追っかけられても全員瞬時に撒けるぐらいの実力はある。あるが、休日にあまり大事にはしたくない。
よって、出来れば顔の利く所が良い。つまりウチの系列になるわけだ。ここは見晴らしのいい場所で、ピアノのジャズ生演奏を聞きながらクカンユ料理を頂く。非常に良い雰囲気でゆったり食事が出来た。食後はビスケがアルコールを頼んで飲んでたので私も付き合った。カルトも欲しがったけど、子供は飲んじゃダメです。ノンアルコールで我慢して。
1日楽しく過ごして、私もリフレッシュした。帰りはホテルからタクシーで帰ってきた。時刻は午後9時。ちょっと遅くなってしまったな。カルトには申し訳ない事をした。次があればもっと早く帰れる様にしよう。
…楽しめたなら良かったのだが、どうなんだろう。今回はちょっと子供には向かない遊びだったと反省した。もっと年齢に合わせた遊びに誘うように心がけよう。大人びた雰囲気だが10歳だからな。ゴン、キルア、クラピカは先に帰って来ていた。
ゴン、キルア組は、ヨークシンを彷徨ってゲーセンに入ったり、ダーツしたりして休日を満喫していたらしい。そこまでは良かったが、何を思ったのか、ウチの系列のカジノに入って、賭けを始めて(主にキルアが)素寒貧になったとの事。
おかげでヨークシンからここまで走って帰って来たらしい。ゴンは付き添いで走ってあげた様だ。キルアが珍しくゴンに怒られてた。いや、珍しくもないか。とりあえずキルアにはギャンブルの才能が無いのが良く分かった。ま、いい人生経験になっただろう。
クラピカは1日中ヨークシンで情報収集していたとのこと。真面目だな、本当に。結果、やっぱりウチが最大の支配層だという事を再確認した様だ。裏斡旋所まで覗いたらしいから徹底してるな。ウチは能力者は自分達で育成出来るから、斡旋所を利用するのは下っ端の組織だ。ウチに就職するならば、身元の確かさと絶対の忠誠、そして能力の高さが求められる。通常は下っ端組織からスタートして頭角を現した後に、アンダーソンの目にとまったら就職できる。
ウチはいわばチンピラやゴロツキ達の憧れの就職先だ。クラピカはこの下っ端をキャンセルできるコネを手に入れたわけだが、どうするかな? 私が今紹介してもいいが、彼は多分力をつけるまでは納得しないだろう。だが、見えない様に手は貸していこう。緋の眼を確保しておくとか、所持者を調べておくとかな。とりあえず私は、彼から話を振られるまで待っておこうと思う。
午前2時ぐらいにレオリオが帰ってきた。どうも綺麗所で豪遊してきたらしい。お前はバブル期のサラリーマンか。行動がオッサンなんだよ。んで、コイツも素寒貧だ。江戸っ子か。宵越しの金は持たないってか。んで、酔い覚ましに走って帰って来たと…。まぁ自力で帰ってきたならいいけどね。遊びもほどほどに、シャワーぐらい浴びてから寝ろよ、と伝えて私も部屋に戻った。
明日は午前5時起きだが、レオリオ…朝起きてこれるかな?
なんだかんだでそれぞれ休日を満喫した模様。
突然ですが、ビスケの人物評
ゴン…ダイヤモンド
キルア…サファイア
クラピカ…ルビー
レオリオ…エメラルド
カルト…黒翡翠
…と予想。