アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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遅くなってお詫び投稿!
2連投の2話目です。久しぶりなのに連投しているので、こちらから見た方は前話からご覧ください!


94、弾丸のメッセージ

 

 

「ウボォーとノブナガが帰って来ない…か」

 

 

 アジトにて、クロロが呟く。約束の時間になっても彼らが帰って来なかったのだ。連絡すら取れない。囮として活動していた2人だった為、危険度の高い任務ではある。しかし、その2人をして両者帰って来ないという事は初めての事だ。

 

 

 

 

「ノブナガはともかく、ウボォーはああ見えて時間にうるさい奴だからな。連絡もねェって事はなんかあったか?」

 

「チッ。オレもそっちに行けば良かったぜ。だが、アイツらが梃子摺る、もしくはやられるなんぞ、相手は相当のタマだぜ?」

 

 

 フランクリンとフィンクスが意見を言う。それらを聞きながらクロロは考えこみ、やがて口を開く。

 

 

 

「……何らかの方法で分断されたな。恐らく敵は初めからアイツらがターゲットだったのだろう。そして、相性の悪い相手か複数人相手に襲われた、というところか。しかし解せないのは、オレ達がフリーになっていた事だ。マフィアなら普通はお宝を優先して守るはず。だが、簡単に盗ませた上に、脱出まで容易にできた。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……どういう事だ? 団長。つまり敵はマフィアじゃねェってのか!?」

 

「まだ確信は持てないが、その可能性は高い。オレ達に恨みを持つ者が関わっているのだろう。だが、マフィアと無関係というわけでもなさそうだ。また、別の可能性もある。コルトピ」

 

「なにー?」

 

「お宝を一つコピーしてくれ」

 

「オーケイ」

 

 

神の左悪魔の右手(ギャラリーフェイク)】!

 

 

 

 コルトピがお宝の一つである青雲文壺をコピーする。この能力は、生物以外を24時間の間コピーできるという恐るべき能力だ。だが、現れたのは…

 

 

 

「!! おい、何だコレは!? 土くれになっちまったぞ!!?」

 

「やはりか…。コルトピ、お前の能力は確か念能力はコピー出来なかったよな?」

 

「そうだね」

 

「つまり、コレは偽物だ。どうやったか知らんが、我々はまんまと一杯食わされたらしい」

 

「な…!? マフィアのボス連中は全員ぶっ殺した筈だろ!! それに奴等の戦闘要員の陰獣だって知らされてなかったぞ! オレ達をハメたのは一体誰だ? 裏切り者でもいるってのか!?」

 

「……まず、確認する必要がある。シャル、今日のニュースは出てるか?」

 

「今ハンターサイトで調べてる…あった! 何々…ヨークシンのベーチタクルホテルでマフィアの内部抗争か…。ロビーでマフィアの重鎮十老頭暗殺される…。下手人は強力な念能力者と推察される…。厳重に保管されていた地下オークション用の品物が同時に消えた事から地下オークションを狙っていた盗賊団の可能性も。死亡が確認されたのは重鎮10名のうち9名…。1名は別の場所にいて難を逃れる…」

 

「その1名の名前は出てるか?」

 

「地下オークション主催者、ジョン=アンダーソン、だってさ」

 

「それだ。ソイツがオレ達の〝敵〟だ」

 

「アンダーソンって…中心人物だった奴だろ!? コイツ、仲間のマフィアさえ裏切りやがったのか!?」

 

「別に珍しい事ではない。マフィアなどではよくある事だ。恐らく邪魔になったのだろう。そして、コイツは独自で我々の襲撃を予想していた。それを利用してある意味合法的に消したという事だろうが、そこが問題だ。何らかの方法で我々の情報が漏れている」

 

「それこそ、裏切り者か?」

 

 

 

 アジトが嫌な空気に包まれる。その雰囲気を破ったのもまたクロロだった。

 

 

 

「……いや、オレの考えは別だ。裏切り者の線もなくはないが、前にも言った通りソイツにメリットが無さすぎる。別の情報提供者がいて、ソイツとアンダーソンが連携してオレ達をここまで翻弄した、とオレは考える」

 

「そんな…能力者とは言えそこまでの事が可能なの?」

 

「事実、我々の行動が漏れている。余程強力な能力者だ。敵はアンダーソンと組んでいるソイツだろう。そして、本物のお宝は間違いなくアンダーソンが持っている」

 

「だがよぉ…ホントにそんな奴いるのか?」

 

「推察でしかないがな。ここまで完璧に翻弄されると後は内通者を疑わざるを得ない」

 

「見て! このサイトでアンダーソン関係調べてたら、下部の組のマフィアの娘で100%の的中率を持つ占い師がいるって情報があったよ!!」

 

「恐らくソイツだ。それに別の協力者が加わってアンダーソンに付いたと見ていいだろう」

 

「ならアンダーソン一派とソイツら潰してお宝奪って終了ね」

 

「そういう事だ。朝までに2人が戻ってこなければ、行動開始だ。旅団(クモ)をここまでコケにした報いは必ず受けて貰おう」

 

「…………」

 

 

 

 

(行ってはいけない…! 普段冷静な団長すら何故か安易な考えに向かってる! ここはもっと慎重に検討して、計画の中止か延期が妥当なはず…。でも、もうこうなったら止められない。どうしたら…どうしたら伝えられる…!?)

 

 

 

 パクノダは1人苦悩していた。余りにも不自然に誘導されている。まるでこうなるのが既定路線であるかのように。恐らく「リプル」がそう仕向けているのだろう。しかし、それを伝えようとも、身体は自分の意に反してしまう。

 このままでは間違いなく旅団は壊滅だ。そして…万が一伝える事が出来たとしても、自分の命は無いだろう。それは自分の身体の調子からいってほぼ間違いない。()()()()()()()()()()()()()。操作系などのオーラを全く感じないからだ。つまりコレは、自分を縛る忌々しいコレはウィルスか、病原菌の類いだろう。それ以外は考えられない。改めて敵の恐ろしさを実感してしまうが、どの道このままでは行く先は一緒だ。ならば、最悪自分を犠牲にしてでも助けなければならない。そうすれば、少なくとも自分以外の犠牲者が出なくなるはずだからだ。まずは、この身体の反応に抵抗する方法を探る。そして、死んででもこの情報を伝える。

 

 

 

 ──パクノダは、密かにそのような悲壮な決意を固めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで間違いねェのか?」

 

「あぁ。間違いない。そして、例の占い師もここにいる。念の為に滞在場所を襲撃しても居なかったからね。多分、関係者全員がここに集まってると思うよ」

 

 

 

 ここはヨークシンの中心地。株式会社「アンダーソンファミリア」本社ビル周辺に旅団員は集合していた。周辺の通りには、オフィス街にも関わらず、人通りが全く見られない。()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「待ち構えているな。あそこからビンビンに敵意を感じやがる」

 

「ヘッ。丁度いい。大暴れして皆殺しにしてやるぜ!」

 

「誰が多く殺せるか競争ね」

 

「そうだ。それでは各自、侵入して手当たり次第に殺せ。やり方は『ハデに殺れ』」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

 

 

 

 そうして、全員がビルに向かって歩き出そうとした時

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待って! 行ってはダメ!!」

 

 

 

 

 

 パクノダが全員を引き止める。全員が振り返って見れば、パクノダは銃を具現化して構えている。彼女は苦しそうな表情をしていて、更に顔中から血を流し始めている。

 

 

「おい…どうしたパク? 具合悪いのか?」

 

「やっと…やっと()()()()。でも、もう保たない」

 

 

 

 そうして、彼女は銃口を旅団に向ける。その行動に全員が警戒し、反撃の態勢をとる。

 

 

「パク…まさか……!」

 

「弾数は6発……団長、フェイタン、フィンクス、マチ、シャルナーク、フランクリン……ちょうど……結成時のメンバーね……今から、私の記憶を撃ち込む。信じて…受け止めてくれる?」

 

 

 

 最早息も絶え絶えのパクノダだが、執念で立っている。裏切り者を警戒していた旅団員はパクノダを信じきれない。それでも、最期のメッセージを伝えようとするパクノダ。体内は既にウィルスの暴走を受け、壊滅的なダメージを受けている。

 

 

「〜〜〜!! パク!! ヤメな!!! なんだか分からないけど、その様子じゃアンタも死ぬよ!!! 敵に操られてるんだろ!? 団長! どうすんの!?」

 

「………ガフッ!! …時間がない…。……大丈夫。私は私。行くよ」

 

 

 

 その鬼気迫る様子に全員が動けない。誰もがクロロを振り返り、見る。やがて、クロロは呟く。

 

 

 

「………オレは、信じる。全員、そうしろ」

 

 

 

 他ならぬ団長がそう断言した。よって、団員は信じるしかない。その瞬間、【記憶弾(メモリーボム)】がパクノダの手から発射される。次々と撃ち込まれる弾丸だが、殺傷能力は無い。そして…彼女の記憶が撃ち込まれた者達に共有される。

 一方、弾丸を放ったパクノダは、遂に力尽き、倒れる。その血まみれの顔には、微笑みを浮かべていた。強大な敵に一泡吹かせた満足感か、或いは仲間に危機を土壇場で知らせる事が出来た達成感か。それは最早本人にしか分からない。

 

 

 

 

 

 

 3本目の蜘蛛の脚は、ここで折れた。

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