アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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冬休みブースト!


97、別人

 

 

 長い廊下をただひたすらに歩く。彼にとって、ここは楽園だ。愛しの彼が作った迷宮(ダンジョン)は、全てが念能力者の範疇を超えている。彼としては完全に物見遊山の気分であった。

 

 

「はぁ…癒されるなぁ❤︎ そこかしこからビンビンに感じる死闘の気配! やっぱり彼に譲ったのは失敗だったかな?」

 

 

 

 ピエロの装いをしたヒソカである。彼はスキップでもしそうなぐらいの軽やかな足取りで進む。彼の歩いた後にポタポタと雫が垂れている。

 

 

 

「誰も彼も、ムダな足掻きだねぇ♦︎ そもそも勝てるワケないじゃん♣︎ ま、彼らの断末魔もそれはそれでグッドかな? 直接見たいから、もっとチョッカイ出しちゃおっかな〜♠︎」

 

 

 

 

 

 

 

「これ以上のチョッカイは遠慮してくれるかな?」

 

 

 廊下の陰から白スーツの男が、現れた。カームだ。彼は少し険しい顔をしてヒソカを見ている。

 

 

「お? キミか♦︎ 嬉しいなぁ❤︎ でも1番上で待ってるんじゃなかったっけ?」

 

「喜べ。特例だ。ま、君ら相手にそんな約束など守る義務があるか?」

 

「ふふっ、だんだんキミも俗世に染まってきたねぇ♣︎ ま、逢いに来てくれたのは素直に嬉しいよ❤︎ このまま退屈な道を延々と歩かされるかとウンザリしてたからね♠︎」

 

「ふむ…君がその右手にずっと持ってるのは、確か旅団の1人じゃなかったか?」

 

「ん? あぁ、()()ね♣︎ 驚いた顔が面白すぎてずっと持ってちゃったよ♦︎ 見てこの顔! 長い髪が邪魔だけど、それがまた面白いねェ!!」

 

「前々から思っていたが、君とは感性が全く合わないな。コルトピ君も哀れな。やはり本格的にチョッカイを出される前に潰すのが正解のようだ。大体()()()()()()()、私も気兼ねなくルール破りできるしな」

 

「…………❤︎」

 

「どうやったかは分からんが、アジトの時から違和感があった。オーラの質、身体の動き、筋肉のつき方、体温…全てが以前の君と微妙に異なる。別人と言われた方が納得できるぐらいにな。極め付けは…()()()()()()()()()()()

 

 

 指摘されたヒソカは顔を歪めながらニヤける。

 

 

「あちゃー、まいったね♠︎ 自分のじゃないからたまーに忘れちゃうんだよ♣︎ 良く気づいたね?」

 

「そして本体はこの近辺に既に居ないな。少なくとも半径20キロ圏内には」

 

「言ったろ? ()()()()()()()だって♣︎ ボクはこう見えても忙しいんだよね♦︎」

 

「一体何を企んでるか分からんが、お前は危険だ。この騒動が終われば本格的に潰しに行くから楽しみにしとけ」

 

「わお! キミがそれ言っちゃう? キミも大概危険人物だと思うよ? ま、ボクも準備中にキミに見つかるほどマヌケじゃないからね♣︎ その時が来たら正式に招待状出すから楽しみにしてなって♠︎ で、ここにいるボクはどうする? ワザワザ来たって事は雑談しに来たんじゃないだろ?」

 

「ご明察。泳がせようと思ったが、そろそろ邪魔だ。本体じゃないのは残念だが素直に潰されろ」

 

 

 ブワッ!!

 

 

「う〜ん。いい殺気♦︎ 殺す事については吹っ切れたみたいだね❤︎ じゃあ、多少は抵抗してみようかな?」

 

「その必要は無いぞ。()()()()()()

 

 

 ザンッ!!!

 

 

 ヒソカの背後からいつの間にかオーラの刃が現れ、首を刈り取る。奇しくも彼に殺されたコルトピと同じ状態となってしまった。

 

 

「お? …いや〜やっぱり反則だねー♣︎ 碌に抵抗出来ずに死んじゃったよ☠️ でもね」

 

「この状態でも闘える、か? それぐらいはやってくるだろうな。なので、そちらも潰しておいた」

 

 

 これまたいつの間にか胴体から手足がなくなっていた。

 

 

「プッ、アハハハハ!! やっぱり強い! 信じられないぐらいに!! キミは最高だね❤︎ それでこそ、ボクもやり甲斐があるよ♣︎」

 

「一般人が見たら気絶するような構図だな。私も人に言えたことじゃないが。気色悪いからそろそろサヨナラだ」

 

 

 カームは指をヒソカ(?)の頭部に向けて、細い念のビームを発射する。ビームは正確に額を撃ち抜き、凶々しいオーラが集まっていた部分を打ち砕いた。頭だけ動いていた彼もようやく沈黙した。

 カームは頭部に張り付いていた布を剥がし、中身を確認する。長髪でタレ目のイケメンな優男だ。

 哀れにもヒソカに半殺しにされて利用された者らしい。この顔はどこかで見た事があるが、どこだったかな…と考えながら遺体を収容する。ヒソカの秘密を探る為と、被害者の彼を丁重に葬る為だ。もう1人のコルトピも忘れない。

 いよいよヒソカは危険だと再認識した。ヒソカ捜索の優先度をカームの中で1段階引き上げつつ、警戒を怠らないようにせねばならない。そう考えながら彼は上の階へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? ここかな? お嬢ちゃん迷子?」

 

「いんや、合ってるわよ」

 

「貴方が私の相手なの?」

 

「まぁそうなるわね」

 

「じゃ、遠慮なく」

 

「えらく思い切りのいい娘ね。そーゆーのキライじゃないわ」

 

 

 

 広い廊下で遭遇したのは、旅団のシズクとビスケである。ビスケは子供状態だ。

 

 

 シズクはデメちゃんを具現化させると、無言で打ち掛かってきた。ビスケは躱して反撃に移るが、デメちゃんでガードされる。体術はお互い互角のようだ。しばらく打ち合い、お互いに裂傷を幾つか作った後、シズクが話しかける。

 

 

「ん〜。女の子で子供なのに結構やるなぁ。でも私の勝ちかな」

 

「ふぅん。分かった様な口をきくじゃない。小娘。大方その掃除機で物質を吸い込む能力と見たわ。でもそれだと無敵になっちゃうから何らかの制限は有るわね。違う?」

 

「まぁそうだね。分かった所で防げないから。デメちゃん! アイツの身体から血を吸い込め!」

 

「ギョギョー!」

 

 

 結構な勢いでビスケの身体から血が抜かれ始める。

 

 

「なるほどね。まぁそうだろうと思ったわ」

 

 

 ギチギチギチィ!

 

 

 ビスケの身体が変化し始める。身体が巨大化し、更にそこから絞られて行く。同時に血の流出も止まる。そのうち、妙齢の女性が現れた。

 

 

 

「サービスよ。最終形態まで一気に見せるわね。コレになると不思議とある程度の怪我も治っちゃうのよね」

 

 

 

「! 変身した? そういう能力ですか。でも、結構な血は抜いたはず。もう一度抜けば私の勝ち」

 

「残念ながらね、()()()()になったらアンタはノーチャンスよ」

 

「やってみないと分からない。デメちゃん、行くよ」

 

 

 そうやってシズクが構えた瞬間

 

 

 

 

 ズドォッ!!

 

 

 

 

 ビスケの拳がシズクの腹部にめり込んでいた。余りの衝撃に呻き声も上げられずに気絶してしまうシズク。

 

 

「あっぶな。危うく貫通させちゃうトコだったわ。一流の使い手で良かったわね。全くコレになると更に加減が難しくなるわ。ま、顔にしなかっただけ有情よね。さ、戻って輸血してもらお」

 

 

 

 ビスケはシズクを担ぐと、廊下の奥へと消えていった。

 

 

 

 

 

 残る脚は6本。




短めなのは師匠ズが強すぎるせい(言い訳)


さて、早いもので年の瀬になりました。
ここまで拙作をお読みいただきありがとうございます。
誤字報告をしてくださる方々、感想を書いてくださる方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。
来年も不定期ではありますが、更新を続けていこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。

皆様、よいお年を!
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