明けましておめでとうございます。
相変わらず不定期で申し訳ありません。今年は出来るだけ週1、2のペースでは投稿しようとは思っています。
今年もよろしくお願いします!
シャルナークは悩んでいた。無限に続くかと思われるようなオフィスの回廊。まるで現代風にアレンジされた
「はぁ、まいったなー。こりゃ本格的にヤバいね。なんとか敵のハナをあかせないかなー」
廊下の壁側に張りつきながら独りごちる。少しでもオーラと体力を温存しながら前に進んでいく。
「これじゃ進んでるかどうか分かんないしなー。とにかく待ち構えてる刺客とやらを返り討ちにするしかないか」
◆
しばらく進むと、開けたオフィスが再び現れた。またか、と思ったが、それまでとは違う部分があった。
待ち構えている人物がいたのだ。
「ようやく中ボス、と。じゃ、早速やろうか」
シャルナークは問答無用で駆け出し、ツンツン頭の子供に針を刺そうと飛び出す。待っていた人物は2名。そのうちの弱そうな方から狙う。多対一の鉄則である。
「「!!」」
いきなり来るのは向こうもある程度は想定していたようだが、それでも反応が遅れる。目立たない様にパンチの隙間に隠したシャルナークのアンテナをギリギリで受け流し、続けての攻撃に対して大きく距離を取る事でやり過ごす。もう1人はそれを見てオーラを片手から放出して攻撃を仕掛けるが、難なく躱す。特殊な念能力を持っている様子もない。
この攻防で既に3つの事が判明した。試しに3つを相手に言って動揺を誘ってみる。
「ふぅん。そこそこはやるんだね。でも完全に実戦不足ってトコかな。オレ達が実戦の経験値がわりってやつか」
「「………」」
「んで、オレの能力を知ってる、と。アイツに聞いたとかかな。過保護だなぁ」
「「……!」」
「そして、もう1人。君はサポート系だね。少なくとも攻撃系の能力は持ってない」
「「!!」」
「どう? 当たりだろ? ま、そこで驚いてる辺りが初心者だね。ラッキーだったなぁ。君等を半殺しにして盾にしたら有利になるかな。ま、過保護っぷりから見ると、殺して首だけとかにしたらアイツも血相変えてオレの所に来るかな?」
「……クラピカの為にも、お前を倒す!」
「んー? そのクラピカって奴は知らないけど、オレ達の被害者かな? だとしたらご愁傷様だね。ま、世の中そういう事もあるって思って諦めて。そんな事より君達の心配したら?」
「…行くよ、レオリオ」
相手からオーラが噴き出す。中々の量だ。自分達には及ばないものの、近いものはある。シャルナークは密かに警戒レベルを上げる。
「そうだな、ゴン。予定通り行くぞ」
2人は前後に別れてポジションを取る。やはりもう1人はサポート系だった。何のサポートかは分からないが、こちらとしては1人操れたらそれでかなり有利になる。そして黒髪の少年は強化系だとアタリをつける。その証拠に、オーラの一部が肉体に吸い込まれ、身体全体が若干盛り上がる。オーラを使って筋力強化はよくあるタイプだ。子供が使っているのは珍しいが。だが、問題は無い。むしろ相性がいい。
前方の少年(ゴンと言うらしい)から、掛け声と共に凄まじいオーラの集中が起きる。発生源は拳の様だ。ウボォーのとは違い、タメが必要である事から、フィンクスに近い技だと判断する。アレを見せ技にしながら迫ってくると厄介だが…
と、思っていたら後衛から投擲物が飛んでくる。アレはメスか? しかも結構なオーラで《周》をしている。仕方なく躱すが、その隙に少年が迫る。パンチの体勢に入った所でそのガラ空きの腹部に蹴りを入れる。ウボォーギンとの模擬戦(という名の喧嘩)が生きた。そのぐらいで怯む様なヤワな修羅場を経験しているわけではない。
「グハッ!」
オーラの集中が仇になったようだ。だが、通常の相手と比較しても手ごたえがおかしい。ゴムタイヤを蹴った様な感覚を覚える。しかし体勢は崩れた。すかさず踏み込んでアンテナを差し込もうとした瞬間、彼は信じられない事にその状態から無理矢理身体を捻って
「ジャン、ケン、パー!!」
掛け声と共に念弾を繰り出す!
瞬間的に攻撃を引っ込めて《凝》でガードするも、凄まじい衝撃が襲う。威力は体感でフランクリンの通常の念弾より上で、キャノンよりは下だ。
オーラをガードに回して、服がボロボロになりながらようやく攻撃を防ぐも、敵は待ってくれない。再び接近してきて同時にタメを始める。
「あいこで…」
…これだから強化系の相手は嫌なんだ。多少の不利や負傷をものともせずにゴリ押ししてくる。と、刹那の瞬間そう思いながらも瞬時に足払いして躱す。
「グー!!」
同時に発射された空振った拳を見て内心冷や汗をかく。明らかに威力が桁違いだ。先程のが同じ威力だったら耐えられないだろう。流石強化系、そして、今度こそアンテナを刺そうとした時、その手を掴まれる。
「オレを忘れんなよ! 行け! ゴン、3発目だ! そして喰らえ!」
もう1人は気配を消して接近していた。だが甘い。忘れちゃいないさ。
トスッ
小さなアンテナが手首に刺さる。もう1人のレオリオ君は驚愕の表情でこちらを見るが、もう手遅れだ。
【
瞬時に片手で携帯を取り出して操作し、タメの完了したゴン君の前に盾として差し出す。
「くっ!」
それを見た彼は3発目をキャンセルして飛び退くが、それは悪手だ。
「ゴン! オレを気にするな! 構わず諸共やれ!!」
効果アリ。現にゴン君はどうするか迷っているのが見てとれる。その為にケータイでワザと喋らせてる。この場合は気にせず本体を叩きに来るか、
「さーて、ゴン君? 形勢逆転だね! この『
そう言って、同時にレオリオ君を操作する。この「
…いいね! かなり質のいい「
弟子と言ってたからコイツらを嗾けるのも悪くない。だが、完全に殺してしまって精神ダメージを与えるのもアリだ。悩ましい。
「ん〜どうするかなー」
だが、奴と闘う際には最低でも一つは外したい。奴の幻惑が操作系タイプであれば、自分が唯一対抗できる可能性がある。
「んじゃ、とりあえずレオリオ君に死んでもらうか」
その瞬間、周りの風景が切り替わる。気がつくと、広い部屋の中央に自分達はいた。奥の壁には先程並べられたお宝が山の様に陳列されている。そして…その奥の中央の上等な椅子に奴は座っていた。よし! 最上階に辿り着いたようだ。思った通り過保護な奴だった。奴は座ったまま話しかけてくる。
「おめでとう! 君が第一号だ。そして……やっぱり2人じゃ無理だったか」
「『鵺』、君の弟子は大した事無かったよ」
煽ってみる。だが、効果は薄いようだ。そして、仕掛けようにも隙が見当たらない。
「うん。まだ初心者だしね。この後反省会だな」
「君の弟子はもう生かすも殺すもオレ次第さ。説教は無理じゃないかな?」
「あ、それね。もう外した。返すよ」
「!」
いつの間にか近くにいた2人が離れて、アンテナが2本、自分の足下に返されていた。そして2人は何が起こったか分からずキョロキョロしている。…まいった。何をされたか全く分からない。どんな念能力だ? やはり幻惑か? 既にかけられてるならアウトだが…それに、こちらが三対一になってしまった。
「余裕だね。でも、その慢心が仇になるよ?」
「偶には弟子に力を見せないといけないからな。ま、私を倒せば君らの勝ちだ。私が最大戦力だからね。存分に掛かってきなよ。ゴン、レオリオ、離れとけ」
よし! 奴はタイマンで自分とやる気らしい。師範の闘いを見させる気だな。ラッキーだ。勝機がほんの少し見えてきた。奴の慢心に感謝だ。
「カーム! お願い! もう一度、もう一度だけやらせて!」
「オレからも頼む! あのままじゃ終われねぇ!」
2人が必死に再戦をアピールする。いやいや、マジでやめろよ。もう君らは本来なら死んでるから。
「ダメだ。本来なら君達はあそこで死んでる。約束したはずだ。黙って下がれ」
本名はカームと言うらしい。ゴン達の必死の懇願も無下に蹴られる。そして、カームから凄まじいオーラが放たれる。こちらもビビるぐらいだ。何だあのオーラ? …ヤバいな。自動モードでも勝てるか? 2人は悔しそうな顔で引き下がっていった。
だが、丁度いい。あの2人を再び相手するのは手間だ。だから、これが最大のチャンスだ。奴を殺せばこの状況はかなり改善されるだろう。自分の命を引き換えにしても、団長達を生かす! これが最善手だ。シャルナークは会話中にさりげなく拾ったアンテナを手の中に収め、更なる会話を試みる。
「第一号って事は他に上がって来たメンバーはいないんだね?」
「そうなる。ただ…もうすぐもう1人来るな。待つか?」
それを聞いて、ますます勝機が見えてきたと一瞬思う。しかし、引っ掛けかもしれない。油断はしない。先に仕掛けるか。万が一来たメンバーが参加してくれるんなら尚良し。
「生憎、敵の言葉は信じない事にしててね。先にやらせてもらうよ」
アンテナを自分自身に刺す。自動操作、ON
ゴゴゴゴゴ
凄まじいオーラがシャルナークから溢れてくる。これは奥の手。だが、これができたという事は、操作系ルールから考えると自分はまだ操られていないという事。後は、自動操作に託す。そして、スクナクトモ、モウヒトリガクルマデモチコタエテヤル…タノンダゾ……
シャルナークに敗北する2人。流石に旅団はそんなに甘くはありませんでした。というか相性がかなり悪い組み合わせでもありました。それも分かった上でぶつけるカームさんマジ畜生。