朝八時、雪に叩き起こされた雨。
それには、こんな理由があった。
「雨。私の代わりに、フェスを観に行って欲しいの。
本当は行きたかったけど、バイトが入っちゃって…」
雨にはやる事が無かったので…
「わかったよ…行けばいいでしょ」
雪は雨に対して、(ドリーム・チュン・フェスティバル)
のチラシを渡す。
雨自身は、そういうのには疎いが、
どこかで聞いたことのある面々ばかりの為、
せっかくなので、観客として観に行く事になった。
場所は東京郊外にある、とある場所。
そこで行われる様だ。
雪は雨に対して交通費と食費込みとして、五千円札を渡し、
彰人と冬弥のいる場所まで伝えるのだった。
「11時までにバス乗り場に着いたらいいから!
楽しんでいってね!あっ、何があったか、私にも言ってね!
午前11時。バス停乗り場にて。
雨がその場に辿り着くと、冬弥と彰人がこちらに向かった。
「よぉ。観に行くのか?」
「あっ、はい…姉さんの代わりに…」
「そっか。オメェも大変だな…」
「雪さんが急にバイトが入ったと言って、
代わりに来てくれたんだな」
「そういう事です」
「そう言えば、彰人は雨と出会ってなかったっけ?」
「そう言えば、そうだったな…姉貴の知り合いって、
言っていたけど、マジかよ…」
「雨です」
「東雲彰人だ。姉貴が世話になっている」
彰人、冬弥、雨や他の乗客を乗せて、バスが出発した。
バスに揺られること、50分か1時間ほど…
雨の周りには、自分より少し年上の人たちばかり。
自分と同い年の人は、なかなかいない。
(この人たち…どこかで見覚えがあるような…!)
辿り着いたのは、海浜公園の近く。海まで見えていた。
(海って初めて見たな…)
と、雨はボソッと呟いた。
すると、彰人が声を掛けた。
「オメェ、何ボーッとしているんだ?」
「海を見るのは初めてで…実物で見るのも初めてで…」
「まぁ、そういう奴もいるか…
おい、こっちに行くぞ?」
「あ、はい」
雨は初めて、白石杏と小豆沢こはねに出会った。
「彰人や冬弥が言っていた、少年くんって、君の事だよね?
私は白石杏!よろしくね!」
「初めまして、小豆沢こはねです」
「あ、雨です…」
「出演する面々は知っていたが、こうして見ていると、
馴染みの人たちばかりだな…」
「そうですね…何かどこかで見覚えのある人たちが多いですね…」
すると…
「みんな~!」
と、花里みのりが手を振っていた。
小豆沢こはねが反応した。
「あ、みのりちゃん達だ!」
「フェスティバルの会場に着いたので、ご挨拶に来ました!
出演者として!なんちゃって!
えへへ!これから、よろしくね!皆さん!」
「私はみのりに引っ張られただけだけどね…」
「みんなで盛り上げて、良いステージにしようね」
(そもそも、僕は関係ないのに…)
雨は観客として、見に来ただけである。
だが、雨は何だかんだで、巻き込まれつつあった。
雨は咲希と穂波と会話をしていた。
「それにしても、雨くんがここに来るのも、何か意外!」
「僕は姉さんに頼まれて、来ているだけですけどね…
様子を観に行って欲しいって…」
「そうだったんだね…あっ、フェスの会場まで、
案内するから、みんなについて来てね」
「わかりました」
会場にて。雨は関わってなかったが、リハーサルはスムーズに進んだようだった。
冬弥が雨に対して、フェスティバルのことを話した。
「地域活性化のイベントとして、この企画があった様だ。
音楽を通じて、地域を盛り上げるのが目的の様だ」
「そうだったんだ…」
この後は、自由時間。
観光巡りスタンプラリーがあるが、雨には関係ないと思い、
さっさと、帰ろうと思っていたが、
結局、巻き込まれて、(スタンプラリー)に参加する事になった。
スタンプを集めながら、観光スポットを周る内容だ。
チーム決めはくじ引きで決まる為、雨も結局、引いた。
くじ引きに描かれてある、
海の生き物と同じ生き物の人と一緒に
スタンプラリーをする様だ。
「僕はエイですね…」
エイの人は、
日野森志歩、桃井愛莉、東雲彰人、雨の4人だった。
「よぉ、オメェもエイか?」
「エイチームは、この面々みたいだわ」
「まぁ…よろしく」
「よろしくお願いします…」
こうして、雨は、彰人、志歩、愛莉と一緒に、
スタンプラリーをしつつ、観光スポットを巡るのだった。