初音ミクのいるセカイ。大きな木の周りには、長閑な草原が広がっていた。
雨と龍馬も、やって来た。
「あっ!雨くん!龍馬くん!」
「やはりか」
「どうして、僕がここに…」
「来てくれたんだね」
「また会えたね。遥ちゃん」
「私もまた会えて嬉しいな。
そう言えば、私達のセカイにある木から、
ミクの歌が聴こえてきたんだけど…」
「遥ちゃん達もそうなんだね!あたしも同じだよ!」
「あれって、私たちがおノートの女の子に、
会った時に聴いた曲だよね…」
「ルーズリーフに書いてある曲とも一緒だと思う」
「やっぱり、そうなんですね。
でも、どうして、ミクがその曲を知っているの?」
「…前に、みんなが来てくれたことがあったでしょう?
あの後、わたしはみんなのとは違う、
誰かの想いの欠片を拾ったの」
「えっ?」
「誰かの想いの欠片…?」
「その欠片から時々、歌が聴こえてくるの。
それがわたしの歌っていた曲だよ」
「え?」
「あの曲は、あの子のオリジナルだと思うし、
それが聴こえてきたってことは…」
「多分、想いの欠片の持ち主は、
遥ちゃん達が出会った、女の子達じゃないかな?」
「あの子か…」
「そうですね…」
「すごいよね。こんな偶然があるなんて」
「偶然じゃないかもしれない」
「えっ?」
「このセカイで一歌ちゃん達に出会ったのも、
あの子とみんなが出会ったのも、きっと何かの思いで、
共鳴していると思う」
「どういうこと?」
「みんなって、想いの欠片が、どういうものかは、
知っているよね?」
「キラキラしていて、触るとその欠片の想いのセカイに、
行けたりするんだよね!」
「たまにセカイで見るけど…」
「そうですね」
「あぁ。俺もだ」
えむや奏の言う、想いの欠片を、
雨も龍馬も見たことがあるようだ。
「たしか、セカイを作っている私たちの想いに、
引き寄せられるんだっけ?」
「想いは似ている想いと共鳴するの。
みんなのセカイに誰かの想いの欠片がやって来るのも、
その共鳴が起きているからだよ」
「じゃあ、ミクが見つけた想いの欠片も…」
「このセカイの作っている想い、特に遥ちゃん達の想いに、
引き寄せられると思う。それと…みんな見て。これが想いの欠片だけど…」
と、ミクが見せる、想いの欠片。
一歌、遥、えむ、奏、龍馬、雨が、それを見た。
「光ってない。色がくすんでいる…」
「ここ見て!おっきなヒビが入っている!」
「本当だ…」
「本当の想いを否定されたり、受け入れられないと、
こうなってしまうみたい。わたしが見つけた時は、
素敵な歌が聴こえてきたけど…
急に聴こえなくなって、ヒビが入って来ちゃって…
元々、この想いの欠片は限界に近かったと思う。
それで、近い想いを持つ誰かに助けを求めていたと思う」
「…」
「…」
と、龍馬と雨は、どうして、あの子が泣いていたのか?
を、考えていた。
「だから、このセカイも、欠片の想いに応えて、
みんなの想いの欠片の持ち主と出会えるように、
導いていたかも…」
「え…!?」
「もしそうなら、その子との出会いは、偶然じゃない…?」
「そうなるな」
「でも、待って、セカイって、そんな凄いことが出来るの?」
「ううん。少なくとも、そんなセカイ見たこと無いよ。
だけど、このセカイは5つのセカイと繋がっていて、
想いの気持ちの持ち主以外の子達の想いも、
ひとつになっているみたいし。
そうやって、人と人が、セカイとセカイが繋がっている、
セカイかもしれないね」
「偶然か奇遇が運命か、それとも…」
「…」
龍馬の言葉に雨は、何かを感じざる得なかった。
「あっ!破片のヒビが大きくなっている!」
「いつの間に!?」
そして、周りが急に暗くなった。