雪と雨の奇妙な日常   作:アッシュクフォルダー

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第三十三話 救いの手を差し伸べる

翌日

 

雨と龍馬は、えむと会話をしていた。

 

「ごめんね。急に呼び出して」

 

「気にするな。あれだけのことがあったからな」

 

「はい…」

 

「雨くん。龍馬くん。ここがあたしとおじいちゃんの特等席だよ!」

 

「おじいちゃん子だな」

 

「はい」

 

えむは、こう思った。

 

(おじいちゃんと、ここで沢山、ショーを観ていたな…

ショーが終わった後も、どこでもショーの話をしていたな…

今でも思い出すと、胸の奥がポカポカしてくるな…

あの子も家族との思い出があったんだよね…

でも、あの子はポカポカしていない。

冷たくて苦しい想いをしているって感じる…)

 

「やっぱり、ちょっとでも、元気になれる話が良いのかな…」

 

「無理にとは言わねぇし、

それに、人はすぐに立ち直れたり出来る訳ねぇ。

俺もそこまで強い奴とは言えれなかった」

 

「龍馬くん…」

 

「僕もそこまで強い人じゃない…言葉をもらって、

すぐに元気になれる程の人じゃない」

 

「雨くん…」

 

「だが、えむ。お前は純粋で真っ直ぐだ。

その輝きが、みんなを照らしてくれそうだな」

 

「…」

 

「俺はテニスをして、そして、夢も希望を捨てた。

愛する人も捨てた。友も捨てた。だが、今はどうだ?」

 

「そんなことない!龍馬くんには、咲希ちゃんや穂波ちゃんがいる!

あたし、知っているよ!咲希ちゃんや穂波ちゃんが、

龍馬くんの話をしている時、すっごく楽しそうだった!」

 

「フッ、そうか。それなら、別に構わねぇし、良いと思うぜ?

それに、雨。お前、人の事が言えねぇが、

何か背負っているのか?」

 

「…僕にはわからない」

 

「そうか」

 

「雨くんだって、あたしがいる!

それに、咲希ちゃんがいる!奏さんがいる!

穂波ちゃんだっているよ!」

 

「そう…ですね…」

 

えむは、龍馬と雨に対して、えむのやりたいことを、言いだした。

 

「悪くねぇな。むしろ、良いと思うぜ?」

 

「ぼ、僕もです…」

 

えむが、泣き始める。

 

「龍馬くんと雨くんが、聞いてくれて…理解してくれて、良かった…」

 

「今思えば、俺も憎まれながら生きてきた。

何の当てもなく。ただ、えむや咲希、穂波が、

俺の事を話している時が幸せだって言って、

何も出来ねぇ俺がいるな。情けねぇ限りだ。

だが、えむを見ていたら、その純粋さに救わたと感じたぜ」

 

「僕は、えむさんと初めて出会ってから、

何かが変わったって思った。

それも、偶然過ぎる出会い。環境が違うのに、

出会うはずが無いのに…何で出会ったかって、

不思議に思う位ですよ」

 

「あの時の雨くん。すっごく落ち込んでいたから」

 

「そうですか…」

 

「だから、雨くんにも、龍馬くんにも、前を向いて欲しい」

 

「…」

 

「…」

 

「あたしは、龍馬くんと雨くんが大好きだよ!」

 

雨と龍馬は、えむの純粋さに救われつつあった。

 

 

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