雪と雨の奇妙な日常   作:アッシュクフォルダー

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第三十七話 救うための曲

公園にて。一歌、遥、えむ、奏、龍馬、雨が集まる。

 

「みんな、集まってくれて、ありがとう」

 

「もうできたんですね」

 

「うん。だけど、まだ納得いかなくて、

みんなの意見を聞かせて欲しいな」

 

「わかりました」

 

みんなで、曲を聴いた。

 

「こういう感じの曲だけど、どうかな?」

 

「とても、素敵な曲ですね!

特に曲の入りは、もの悲しいけれど、すごくキレイで、

胸に静かに澄んでいくって、感じました」

 

「あたし、おじいちゃんとお別れしたことを思い出して、

泣きそうになっちゃった」

 

「みんな。ありがとう。星乃さんと結城さんと雨くんはどうかな?」

 

「私も胸がギュッっとしていて、

でも、優しくて良いなって感じました。

何て言えばいいんだろう…

冷たい海の底にいたけど、水面で太陽の光がキラキラしていて、

それを見て、感じてた冷たさが和らいだ、みたいな…」

 

「そうだな。音楽には詳しくねぇが、悪い気持ちにはならねぇ。

むしろ、優しい曲だ」

 

「僕もそこまで詳しくないけど、悪いとは思わない。

それに…言葉では表せない何かを感じた」

 

「うん!あたし、一歌ちゃんと同じ気持ちだよ!」

 

「どうしよう…」

 

「どうしたんだ?」

 

「もし、星乃さんの感じた曲なら、何か足りない…」

 

「どうして…」

 

すると、遥が言いだす。

 

「確かに、悲しみを乗り越えるって、

冷たい海から出ないといけないよね」

 

「あ…」

 

「寄り添うだけじゃ、ダメか…あと一歩、何かが必要…」

 

「でも…乗り越えるって、どんな感じなんだろう…

わたしの場合、鳳さんみたいな、きっかけがあったって言うよりは、

だんだん、思い出せるようになったって、感じだから…

そこが影響して、あともう少し、足りないって感じているかもしれない…」

 

「乗り越えるための、あと一歩…」

 

と、一歌が感じる。

 

「奏さんの中に、具体的なきっかけが無いと、

曲作りのイメージが出来たとしても、

曲作りをやりにくいって、感じですね」

 

「そうだね…あの子に届く曲を作るためにも、

なるべく、わたしの経験を活かせるといいけど…」

 

奏が思い悩む。

 

「きっかけがわからない。でも、経験を活かす」

 

「やれやれ…何かしねぇとな…」

 

「でも、何をするべきか…」

 

と、遥と龍馬と雨が悩む。

 

すると、えむが…

 

「そ、それなら、無理に表現する必要は無いって、

あたしは思う!」

 

「え?」

 

「その代わりに、乗り越えた先を描いてみるとか!」

 

「わかった。ありがとう。乗り越えた、その先…うん。

悲しみを乗り越えるにはって、つい考えちゃったけど…

その先にある何かも、考えないとね…」

 

と、奏が思っていた。

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