公園にて。一歌、遥、えむ、奏、龍馬、雨が集まる。
「みんな、集まってくれて、ありがとう」
「もうできたんですね」
「うん。だけど、まだ納得いかなくて、
みんなの意見を聞かせて欲しいな」
「わかりました」
みんなで、曲を聴いた。
「こういう感じの曲だけど、どうかな?」
「とても、素敵な曲ですね!
特に曲の入りは、もの悲しいけれど、すごくキレイで、
胸に静かに澄んでいくって、感じました」
「あたし、おじいちゃんとお別れしたことを思い出して、
泣きそうになっちゃった」
「みんな。ありがとう。星乃さんと結城さんと雨くんはどうかな?」
「私も胸がギュッっとしていて、
でも、優しくて良いなって感じました。
何て言えばいいんだろう…
冷たい海の底にいたけど、水面で太陽の光がキラキラしていて、
それを見て、感じてた冷たさが和らいだ、みたいな…」
「そうだな。音楽には詳しくねぇが、悪い気持ちにはならねぇ。
むしろ、優しい曲だ」
「僕もそこまで詳しくないけど、悪いとは思わない。
それに…言葉では表せない何かを感じた」
「うん!あたし、一歌ちゃんと同じ気持ちだよ!」
「どうしよう…」
「どうしたんだ?」
「もし、星乃さんの感じた曲なら、何か足りない…」
「どうして…」
すると、遥が言いだす。
「確かに、悲しみを乗り越えるって、
冷たい海から出ないといけないよね」
「あ…」
「寄り添うだけじゃ、ダメか…あと一歩、何かが必要…」
「でも…乗り越えるって、どんな感じなんだろう…
わたしの場合、鳳さんみたいな、きっかけがあったって言うよりは、
だんだん、思い出せるようになったって、感じだから…
そこが影響して、あともう少し、足りないって感じているかもしれない…」
「乗り越えるための、あと一歩…」
と、一歌が感じる。
「奏さんの中に、具体的なきっかけが無いと、
曲作りのイメージが出来たとしても、
曲作りをやりにくいって、感じですね」
「そうだね…あの子に届く曲を作るためにも、
なるべく、わたしの経験を活かせるといいけど…」
奏が思い悩む。
「きっかけがわからない。でも、経験を活かす」
「やれやれ…何かしねぇとな…」
「でも、何をするべきか…」
と、遥と龍馬と雨が悩む。
すると、えむが…
「そ、それなら、無理に表現する必要は無いって、
あたしは思う!」
「え?」
「その代わりに、乗り越えた先を描いてみるとか!」
「わかった。ありがとう。乗り越えた、その先…うん。
悲しみを乗り越えるにはって、つい考えちゃったけど…
その先にある何かも、考えないとね…」
と、奏が思っていた。