誰もいないセカイにて。
ミクの前に、三冊の絵本。
赤ずきん、白雪姫、シンデレラの絵本があった。
実はいつもは、この絵本は、絵名か瑞希が、
ミクの為に読み聞かせをしている。
しかし今回は…
「どうして、僕が…」
何故か、雨が読むことになっていた。
「読んで」
「そんなこと言われましても…」
「お願い」
と、ミクが雨に、絵本の読み聞かせを、おねだりしていた。
「僕からもお願い…」
と、レンも言いだすのだった。
「はいはい。わかりましたよ…」
と、少し面倒な感情を表に出しつつ、
雨は、赤ずきんの絵本を手に取り、
それをミクとレンに読み聞かせた。
三冊立て続けて読んだこともあってか、
雨は少し疲れていた。
「雨?」
「少し疲れました…」
「あっ、雨くんっ!そ、その…休む?」
「少しだけ、休むよ…」
と、雨はこの場で少し休憩を取る事になった。
「大丈夫?」
「あまり、読み聞かせは慣れてないから」
「無理を言っちゃって、ごめんなさい…」
「ううん、僕は大丈夫だから」
雨は四冊も連続で読んだためか、かなり疲れていた。
「雨くん。何か食べないかしら?」
と、ルカが急にお菓子を差し出すが…
「甘いのは得意じゃない」
「そう。じゃあ、何が良いかしら?」
「…」
「雨くんは、どんな食べ物は好き?」
「そこまで、食に関心は無いから…」
「そっか」
と、ルカが珍しく困っていた。
別の日。誰もいないセカイにて。
瑞希がこんなことを言いだす。
「雨くんって、奏と並ぶと同い年に見える」
「あっ、それわかるかも?」
と、絵名も同意する。
「えっ?そうなの?」
と、奏が反応する。
「そう言えば、雨くんって、12歳だったよね?
奏は絵名とまふゆと同い年なのに、
雨くんと並ぶ時、やっぱり、幼く見えるんだよねー
奏って」
「小柄だし、よくそう言われるよ…」
「雨くんと奏。なかなか、良いコンビだねー
ボクがキューピットになってあげたい位!」
「瑞希。ひょっとして、雨くんと奏をくっつけさせようとするの?」
「ご名答」
「でも、二人共、そういう雰囲気じゃないし」
「だからだよ~雨くんが小さな王子様なら、
奏は小さなプリンセスだよ」
「うわっ、妄想全開…」
「王子様?プリンセス?」
と、奏とミクが首を傾げる。
(うわっ、顔や反応とか、ピュア過ぎて、可愛すぎる…)
と、瑞希は思った。
しかし、雨はやたらめったら、無関心である。
ルカが少しちょっかいを出してくる。
「雨くんは奏のこと、好きかしら?」
「えっ?いきなり…」
「ルカ。雨が困っている」
と、ミクが制止するが…
「雨くんは、奏のことを大切に想っているかしら?
それと、雨くんが奏と一緒にいる時、
何だか楽しそうだったわ」
雨が少し照れだす。
「フフッ、図星だったわ」
「あーミクや奏がプリンセスのドレスを着たら、
どんだけ似合うとやら…
雨くんは、このままでも、イケてるって、思っちゃうし…!」
と、瑞希は絵本を見ながら、妄想全開だった。
「そう言えば、雨くんと奏って、一緒にどこか行ったことある?」
「無いけど?」
「じゃあ、行ってみたら?」
絵名が奏と雨に対して、デートの提案をした。
「外に出掛けたらどう?」
「う、うん…」
「雨くんも、奏のこと、エスコートしてあげてね?」
「…」
雨と奏は、困り果てていた。