その日は暑い日だった。
こんな晴れた空の日には、あの事を思い出す。
それは、姉さんと再会した日だ。
あの日、決別して自分の道を歩むことになった、
僕はもう戻らないつもりだった。
自分で決めた道を折るのは、
どうかと思いつつも、ただ森にいたある日、
僕は懐かしい匂いを感知した。
あれは、絶対に姉さんだ。
あんな別れ方をしたのに。
なんで、その思いに駆けられて、
思わず、そこに行くと、気を失っていた。
抱え上げた時、姉さんは僅かながら、目を開けていて、
僕の服を掴んだと思えば、また気を失っていた。
姉さんの瞳に涙が滲んでいた。
姉さんを家まで送って、
そこで、姉さんは意識を取り戻して、目を覚ました。
姉さんは、
生き方を押し付けていた事、泣いて謝った。
それは、僕も同じなのに、思わず僕も泣いた。
その後、姉さんの高校進学と同時に、
上京が決まり、無理に勉強はさせなかった。
僕もまた、森に行こうとは、誘わなかった。
まだ完全に、家にいる訳では無いけど、
一週間の大半は家にいるような生活だった。
(それでも、僕は外に出ては、数時間は街を散歩している)
雨は公園を散歩していた。
空を見上げた。澄んだ空色だった。
流れていく雲を、じっと見つめていた。
心地よい風が、気持ちいい。
あの日、姉さんと仲直りして、
また姉弟の仲が取り戻せて、良かったと僕は感じた。
目を開いて、視線がそこに向ける。
そこには、二つ結びの女の子が、立っていた。
見た感じ、7歳位の女の子だった。
「…どうかしたの?」
無意識の内に、言ってしまった。
人間関係は、全く築かれないが、
最近は、鳳さんや他の女の子達と、関わる機会も、
増えつつあったけど…
都会って、そんなところなのか?
いや、そもそも、山や森、それに村にいた時には、
友達はいなかったので、何とも言えないが…
不思議そうに、こちらを見ていた。
それでも、僕は目を逸らす。
「なみは、なみだよ?
しょうがくにねんせいの7さいだよ~?」
彼女は首を傾げた。
僕にとっては、子どもは苦手である。
鳳さんはもっと苦手だけど!
「おにいちゃんの、おなまえは?」
「え、あ、雨」
おにいちゃん。
そう、呼ばれるのは、意外だった。
いや、彼女からしたら、僕はお兄さんだけど…
僕が姉さんって呼ぶ側だったから、
戸惑いながら、そう答えた。
反応が無いから、逸らしていた視線を、
そこに向けた。
なみは嬉しそうに、笑っていた。
「ねぇねぇ、なみとあそぼう!」
「えっ?」
唐突過ぎた。
どんな反応をしたらいいのか、分からずじまいだったのだ。
こうして、僕は、なみちゃんの、相手をすることになった。