何が嬉しいのか、
なみは、はしゃいだ様子を見せていた。
「えへへっ、なみちゃんと、
あめおにちゃん!えへへっ!」
オオカミの世界しか知らないから、
どんな反応をしたらいいのか、
わからなかった。
しばらく、困った表情で観察していたら、
なみは、こちらを見ていた。
「あめおにーちゃんにだけ、おしえてあげる!
なみね、ほいくしさんになりたいのっ!」
不意の暴露に、さらに困惑し、
どう反応したらいいのか、正直、困っていた。
悩みに悩んでいると、なみは困った表情をしていた。
返答に悩んだ末に、雨はこう答えた。
「そっか」
と返答した。そのことで、満足だったらしい。
なみは幼稚園に通っていた時に先生が、
どんな先生だったかと聞くと、
色々と話してくれた。
幼稚園に通っていなかった、雨にとっては、新鮮な話で、
彼女の言葉を聞き続けた。
沢山話して、満足だったのか、
なみは息をついた。
「なりたいものがあるのは、とっても、いいことだと思う」
少し考えて、淡々とした声で、そう告げた。
雨はなみに言ってあげられることは無い。
彼女よりは倍は生きているが、
雨の歩んだ道は、人間の常識とは違うような世界で、
生きてきたからだ。
生きるだけでも、精一杯だった。
けれど、なみには十分だったようで、大きく頷いた。
なみは何か思いついたようで、
肩にかけていた、ポシェットを漁って、
何かを探そうとしていた。
しばらくすると、何かを見つけ出した。
引っ張り出したのは、二枚のチョコチップクッキーだった。
雨に一枚差し出すのだった。
目を輝かせたなみは、雨と一緒に食べたいようなことを言った。
「あめおにーちゃんとたべたい!」
雨が受け取って満足したのか、
「いただきまーす!」と、言って食べた。
雨も食べようとしたら、
なみに「いただきますは?」
と、言われて、慌てて、「いただきます」
と、言って、雨は一枚のクッキーを食べた。
なんだか、面白くて、笑ってしまいそうだった。
「ははっ…」
「あめおにーちゃん?」
片手の甲を口持ちに添えて、肩を震わせながら笑っている、
なみは、そんな僕を見て、不思議そうにしていた。
きょとんとして、首を傾げながら、
なみは疑問に思っていた。
クッキーを食べた後、雨は彼女と別れた。
どうやら、お母さんがやって来るらしいが…?
「あっ、おかあさん!」
「?」
「じゃあね!あめおにーちゃん!ばいばい!
また、あそぼうね!」
「う、うん…」
なんて、不確かな約束をして、
雨は、そのまま、姉さんがいる、アパートへと、帰るのだった。