クソを下水で煮込んだような性格の男になっちまったよ……   作:猫太郎

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緑谷に憑依とか、オリ主としてクラスメイトになるとかの話はある。
だが、かっちゃん憑依系の作品が殆どない。
俺はそんな歴史を変えるぞ、ジョジョーーーー!


第1話 この世界がバグってる件について

 僕のヒーローアカデミア(略称:ヒロアカ)という作品をご存知だろうか。人が個性という超常的な力をその身に宿すのが日常となった世界が舞台となる作品である。力を身に着ければ、人が力に溺れ、悪事に身を染めるのは火を見るより明らかであった。そんな悪事に手を出した者達は、ヴィラン()と呼ばれている。

 

 悪役たるヴィランが現れれば、人々を護る正義の味方が出てくるのは当然であった。闇ある所に光は差す。ヴィランを撃退し、人々を護る者達はいつしかヒーロー(救世主)と呼ばれるようになり、職業として固定した。

 

 ヒロアカは、そんなヒーローを目指す少年少女の視点で描かれる物語である。

 

 そんなヒロアカには、主人公の幼馴染として、爆豪勝己という男が登場する。その男は、控えめに言って、性格が悪い。「クソを下水で煮込んだような性格」というのは、爆豪の高校のクラスメイトが出会って、1ヶ月も経っていない時に下した評価である。それ程までに性格が腐っている。

 

 かく言う俺も、最初はそのキャラに対して良い思いを抱いていなかった。物語序盤にて、主人公に自殺教唆とも取れる言動を放つのである。しかも、口癖は「殺す」「死ね」等々。360度、何処からどう見てもヤバい奴というのは明白であった。ヒーローより、ヴィランの方が相応しいとは誰もが思った事だろう。

 

 物語が進むにつれて、成長も見て取れたりするのだが、一先ずそれは置いておこう。話がずれる。

 

 それで、ここからが本題。 俺は爆豪勝己になってしまった。

 

 輪廻転生。簡潔に言うと、生まれ変わってしまったのだ。終わりと始まりは、同一のものであると悟らせるソレであるが、誰にも証明する事が出来ず、人類では観測不可能な事象である。

 

 そんな摩訶不思議な生まれ変わりを、俺は経験した。

 

 しかも、よりにもよって、爆豪勝己にである。その中に俺が入ったからには、物語の舞台となる雄英高校に入るつもりは毛頭ない。

 

 何故かって? 誰が好き好んで、混沌とした学生時代を送りたいと思うのか。物語に描かれた爆豪勝己の軌跡を少しだけ教えよう。

 

 まず、授業中にヴィランに襲撃される。合宿中、ヴィランに拉致される。最強と謳われるヒーローにクラスメイト1人と共に挑む事になる。物語後半にて腹を貫かれる等々。爆豪の試練を上げればキリがない。俺はそんな学生生活を送りたくはない。

 

 普通の高校に入学して、前世の知識で成績無双をして、悠々自適な学生生活を送るのだッ! 

 

 

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 なんか主人公が女の子になっている件について。

 

 いや、いやいやちょっと待ってくれよ、マジで。

 

 俺が爆豪となってから、早数年。そろそろ幼稚園に入る時期になった時、隣に引っ越してきた家族がいた。表札を見てみると、緑谷と書いてあった。それは主人公である緑谷出久の苗字である。両親と一緒に挨拶に行くと、そこにいたのは物語開始前は美人であった主人公の母とその後ろに隠れる女の子であった。その女の子の名は緑谷出久というらしい。

 

 表面上は、何とか取り繕っていたが、内心は超バグっていた。

 

(え、女の子? おんにゃのこ? ワッツ・ハップン? 出久君じゃなくて、出久ちゃんになっちゃってるよ。いやいいや、嘘だろ。嘘だと言ってくれよ、マイハニー。実は男の子でしたとかいうパターンを期待してしまうんだが、そんな事はある訳ないよな。神は死んだとかいう幻聴が聞こえてくる。緑谷出久の性別が変わっているという事は、この世界は俺の知ってるヒロアカのものではない説が出てくるんだよ、やめてくれよ。もしかしたら、オールマイトがAFOに負けてました何ていう事も有り得ちゃうんだぞぉぉぉおおおお。どうなってんだよ、この世界ィィイイイ!?)

 

 過去最高に頭がバグっていたと思う。そして、悟った。この世界、やべぇわ、と。

 

 ははは、世界がバグってやがる。

 

 

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 世界バグり確定事件からそれなりの時間が経過した。その間、俺にも個性が発現した。

 

 その個性は”爆破”。汗腺からニトロのような物質を分泌させ、それを爆破させる個性である。超攻撃的な個性であるが、応用の幅は広いツヨツヨ個性である。原作では、爆破を直接相手に放ったり、爆破を推進力として、空中機動が可能であったりと、出来る幅は広い。

 

 原作の爆豪勝己という登場人物の強みは何だったのかというと、その天性の戦闘センスである。個性無しで50m走5秒台、ボール投げ約70m、化け物レベルの反射神経、地頭の良さ等々。上げればキリがないレベルで原作では天才として強調されていた。

 

 これだけ爆豪勝己のやべぇ所を上げていったが、それでも上には上がいる。

 

 先に言った通り、この人物は授業中にヴィランに襲撃、合宿中に拉致等々。爆豪勝己というよりも、爆豪勝己が所属するヒーロー科1年A組という団体が厄介事にこれでもかという程に巻き込まれる。しかも、原作後半では日本中に凶悪ヴィランが解き放たれ、「世紀末かよ」みたいなレベルの治安の悪さになる。

 

 ここまで言えば、分かってくれるだろう。

 

 誰が雄英になんて行くものかッ! まぁ、今後の治安の悪さとかヴィランの活性化もあるから、死なないようにガチで鍛えるけど。2回も死を経験したくないんだよ、俺は。

 

 

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 それは幼稚園での出来事。

 

 子供という生き物は純粋で残酷だ。その無邪気さ故に、悪意のない悪意を振るう事があるからだ。そして、現在進行形で目の前でそのどうしようもない悪意を振るおうとしている子供がいる。それを止める役割であろう先生は、今はこの場にはいない。

 

「デクって個性ないんだって」

「そういうの無個性って言うらしいよ」

「無個性じゃヒーローになれないって、お母さんが言ってたよ」

 

 無個性。それは個性を宿していない者の事を指す言葉だ。尻餅をついた出久を囲み、悪意の言葉を出久に放つ。個性を持たぬ緑谷に見せびらからすかのように、翼を出したり、体の一部を触手のように伸ばしたりしながら。しかも、それを言っているのが「自分はヒーローになるんだ」とか言っていた子供がやっているのだから、何とも言えない気持ちになる。そして、ここで言った言葉なんて数年後には忘れているのだろう。子供の言葉にガチになっている俺は、果たしてダメな大人なのだろうか。

 

 言葉という凶器を浴びるというのは、精神的にも未熟な普通の子供なら泣いても可笑しくない。けど、緑谷は涙目になっているが、決して涙を流す事は無かった。ヒーローガチ勢の出久の事だから「ヒーローは泣かない」とか思っているのだろう。

 

「爆豪も何か言ってやれよ!」

 

 きっと、俺も自分達の言葉に同調してくれるとでも思っているのだろう。自分は悪い事を何もしてないと思っているであろう瞳から「言ってやれ!」みたいな意思がびしびしと伝わってくる。

 

 ならば、言ってやろう。

 

「だせぇ。ヒーローになるとか言ってる奴らが大人数で一方的に虐めるとかダサすぎて、もはや嗤っちまうぜぇ! そんなクソガキがヒーローになんかなれねぇからやめとけ、時間の無駄だから。そもそも、てめぇらみたいな没個性なんか俺の個性と比べたら無個性と同じなんだよォ!」

 

 そうそう、言い忘れてたが、俺の口は物凄く悪い。前世でもそれなりにプライベートの口は悪かったが、転生後はさらに酷くなった。原作でも爆豪勝己という男の口は酷かったが、それが影響しているのだろうか。体に精神が引っ張られるとかいうあれである。なんなら、行動も悪い。今も、親指を下に向けて「死ね!」と行動が表してる。

 

 ……さっき自分で「言葉という凶器」とか「悪意の無い悪意」とかカッコつけてた俺が一番酷い事を言ってるような気がしなくもない。しかも、俺の精神年齢はこの子供達よりもずっと上。あれ、俺の方がヤバくね? 

 

 出久に色々と言っていた子供達は、俺のやべぇ言葉を聞いて涙を流して、ガチ泣きしてしまった。事後で申し訳ないけど、本当にごめんなさい、子供達。つい、少しカッとなって言ってしまったが、子供に泣かれると、俺のメンタルにダメージが来るんだよぉ……

 

「…………え、えぇっと、大丈夫か……?」

 

 物凄く気まずいが、後ろにいた出久の方に振り向く。出久は俺の言葉が予想外過ぎたのか、呆気に取られており、反応が無い。つい先程まで涙目だったにも関わらず、俺の言葉に驚いたのか、涙はすっかり引っ込んでいる様子であった。砂場で尻餅をついていたせいで服が少しだけ砂埃で汚れているが、怪我とかはしていないし、大丈夫だと思うが。

 

「まぁ、その、なんだ。無個性でも目指してもいいんじゃね?」

 

 

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「「………………」」

 

 我、母君の目に殺されそうなり。

 

 どういう事なのかというと、簡単な話だ。出久を揶揄っていた子供達が自分達の事を棚に上げて「爆豪に暴言を吐かれた!」と親に告発。親から幼稚園へ。そして、幼稚園から俺の母親に報告があった。

 

 その報告を受けて、母さん、俺を睨む。それが今の状況である。

 

「……はぁ、何があったのかを教えてくれないと何も言えないんだけど。あんた、口悪いけど、何もないのに誰かに悪口を吐くような奴じゃないでしょ?」

 

「……」

 

 どうやら、母さんは何か事情があったと思ってくれているらしい。その信頼が嬉しいが、俺は何も言わない。言えない。別に本当の事を言うのがなんかダサくね? とかいう少年のような思考でない。単に、子供達の身を案じているだけである。

 

 良くも悪くも、今の俺の母さんはヤンキー肌である。要は直情型であるという事だ。そして、母さんは良い子である出久を気に入っている。そんな母さんに「子供達が悪口を言っていたから」とかいう原因を言ってみろ。

 

 間違いなく、本当に間違いなく、この町は血で染まる。「どんな教育してんだ、あんたらぁ!」と家にカチ込む未来しか見えない。

 

 精神年齢がアレである俺は、悪意ある言葉を言っていたとはいえ、子供達を泣かせてしまった事で幾らかの申し訳なさを抱いているのもある。

 

 そういう事で黙っていると、「ピンポーン!」と家にチャイムの音が響いた。母さんは俺にここにいるように言って、扉の方へと向かった。それにしても、誰が来たのだろうか。あるとしたら、苦情を入れに来た他の家族だろうか。

 

 なんて思っていると、母さんが帰ってきた。何故か、母さんの顔が少しだけ柔らかくなっているような気がしなくもない。

 

「勝己、ちょっと来い」

 

 はて、本当に誰が来たのだろうか。母さんの後を付いていくと、そこにいたのは出久と引子さんであった。クレーマー親なら分かるんだが、何故に緑谷家がここに来るのだろうか。

 

「あ、勝己君こんにちは」

 

 引子さんに挨拶をされたので、とりあえず挨拶を返す。引子さんの後ろにいたのは、出久であった。引子さんは何を言いに来たのだろうか。まさか、引子さんも俺にクレームを言いに来たのか。何故、出久をもっと早く助けてくれなかったのかとか。いやいや、流石に引子さんはそんな事でクレームを入れるような人ではないと思うし。本当に分からん。

 

「ほら、出久。言うんでしょ?」

 

 引子さんに促されて、後ろにいた出久が俺の前に来た。どうやら、言いたい事があるのは出久であるらしい。

 

「えっと、その、さ、さっきはありがとぅ……」

「勝己君、本当にありがとう」

 

 2人の言葉を聞いた俺は、一瞬だけ頭の中が真っ白になった。何を言われるのか、頭の中で幾つものパターンを羅列していたが、そこには「感謝」なんていうものが無かったからだ。全く予想だにしていなかった言葉を告げられた俺は、アホ面を晒していたと思う。

 

 母さんの「正気に戻すパンチ」が脳天に堕ちて、ようやく俺の頭は再起動を果たした。

 

 頭は再起動したが、なんて返すのが正解なのかは分からない。まぁ、無難な言葉でいいだろう。感動させられるような言葉を言える程、俺のボキャブラリーは多くない。

 

「礼なんていらねぇ。困ってる人を助けるのがヒーローだろ?」

 

 誰かにお礼を言われるのは全く慣れてなくて、目を逸らしながらカッコつけた事を言ってしまった。ここで相手の目を見ながら、当たり前のように言うのがカッコいいヒーローなんだろうなとか思いつつ。

 

「光己さん。実は……」

 

 俺ダセぇとか思ってると、引子さんが母さんに何があったのかを言った。言ってしまった。あの子供達が心配で言わなかったのに、何て事をしてくれたんだ、引子さん!? 母親同士の会話を俺が妨害しても、俺が母さんに無力化させられるだけだろう。俺に出来るのは、母さんが殺意の波動とかに目覚めて瞬獄殺を発動しない事を祈るだけだ。

 

 何があったのかを聞いた母さんの第一声。

 

「全く、あんたは……」

 

 これである。子供に暴言を吐いた俺にキレているのだろうか。正直、怖すぎて母さんの顔を見る事が出来ない。何か起きる前に、奥義DOGEZA(土下座)でも披露しておいた方がいいだろうか。

 

 それから、引子さんと母さんが少し話をした後に2人は帰って行った。帰り際、出久が手を振っていたので振り返しておいた。

 

 扉も閉まり、ここにいるのは母さんと俺だけになった。さて、俺の奥義を披露する時が来たようだ。なんていう下らない事を思っていると、母さんが俺の頭を雑に撫でた。

 

「よくやった」

 

 ………………まぁ、あざす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただまぁ、人様に暴言吐いた罰として晩飯抜きだから」

 

 ……神は死んだ。

轟焦凍を焦凍ちゃんにするか、焦凍くんにするか。どうしましょう?

  • 焦凍ちゃん見てみたい!
  • 焦凍くんのままでいい
  • ぶっちゃけ、どってでもいいよ
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