クソを下水で煮込んだような性格の男になっちまったよ……   作:猫太郎

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アンケート結果が1:2で焦凍ちゃん派の方が多かったので焦凍くんは焦凍ちゃんになりました。焦凍ちゃんと爆豪が絡むのは雄英体育祭とかになりますけど。


第5話 体力テスト

「既に言ったが、君達には個性把握テストを受けてもらう。中学生の時にやった体力テストの個性有り版だと思えばいい」

 

 グラウンドに集められて最初に言われたのがこれである。

 

「入学式はやらないんですか!? ガイダンスは!?」

 

 クラスメイトの1人が困惑したように質問するが、先生は「ヒーローになるならそんな無駄な行事に出る暇はない」と一刀両断する。

 

「雄英は自由な校風が売りの学校だ。そして、それは先生側もまた同じ。一応言っておくが、校長先生にはA組が行事を欠席する許可を頂いている」

 

 学校側に文句を言ってやろうという変な輩が現れないようにする為か、このテストが校長公認である事を先んじて言う。

 

「首席の爆豪。中学の時のソフトボール投げの記録は?」

 

「……90m前半。細けぇ数字は忘れた」

 

 俺がそう言うと、先生から1球のボールを手渡される。持った感じ、特にこれといった特別な仕掛けがあるように見えない。この何の変哲もないただのボールで何をしろというのかという疑問を抱いて、先生の方に目を向ける。

 

「個性使って、全力で投げてみろ」

 

 成程。要するに、デモンストレーション的なものという事か。どうやって、より遠くに飛ばすか。投げた球を爆風に乗せて、飛ばしてみるのが良いかもしれない。ボールをより遠くに飛ばすなんていう内容の訓練はやった事がない為、これが正解か分からないが、やってみるしかないだろう。

 

 自分でもどれぐらい飛ぶか分からないから、少しワクワクしている。爆発で怪我をしないように少しだけ距離を取るようにクラスメイトに言っておく。

 

 クラスメイトも離れた事だし、始めていいのかと先生の方に目を向けると、特に無反応だったので勝手に始めろという事だろう。

 

 狭い円から出ないように助走を付けて、しっかりと地面を踏みしめる。腰の捻りと手首のスナップ等の様々な力をしっかりとボールに伝えて、投擲する。欠かさず、最大火力の爆発をぶっ放す。

 

「ぶっ飛びやがれぇ!!」

 

 大爆発によって発生した爆風がボールを加速させる。目でも捉えきれない程にまで吹っ飛んだが、果たしてどこまで飛んだのかが少し不安だ。俺の個性は汗を火薬のようにして爆発を発生させる。

 

 つまり、体が温まった方が汗が分泌されて、爆発の火力が増す。全く動いていない状態での汗の分泌量などたかが知れている。それでどこまでいけるかが、全く分からない。 これで200mとかだったら、多分泣く。

 

 少しして先生が手に持っていた機械から電子音が鳴る。その機械には855.2mという数字が表示されていた。

 

 原作の爆豪は何mだったか忘れたが、恐らくそれよりは飛んでいる事だろう。血反吐を吐くぐらい頑張ってきて、原作の爆豪以下とかだったら絶対に泣く。

 

「まず、自分の限界を知る事。それがヒーローとしての素地形成に役立つ合理的手段だ」

 

 なんか先生がカッコいい事を言っているような気がしなくもない。とりあえず「合理的」と付けとけばいいやろとか思ってそうな気がしなくもないが、気にしてはいけない。

 

 俺の記録を見たクラスメイト達が興奮したように盛り上がる。「個性使ってとか楽しそう」とか色々と言っている。確かにこの世界には個性という特殊能力があるにも関わらず、日常生活で使う事は殆ど無い。資格もなく使うと犯罪になるからだ。

 

 体力テストに限らず、日常生活で「こんな時に個性が使えたら良いのに」と思う事はある。自分の力を使う事を許されない抑圧された社会で生きてきた彼らは、力を振るえる事に無邪気に喜んでいる。そして、それがこの先生にはお気に召さなかったらしい。

 

「楽しそうとは随分と余裕そうだな。ならば、成績最下位は見込みゼロとして除籍処分としよう。理不尽だと思うだろうが、ヒーローは理不尽を超える職業だ。これしきの理不尽を乗り越えられないのなら、ヒーロー以外の道を探す事をお勧めする。転校の手続きは俺がしてやるから心配しなくてもいい」

 

「ようこそ、雄英高校ヒーロー科へ。雄英は君達を歓迎し、常に試練を与え続ける。Plus Ultra(さらに向こうへ)の精神でこれぐらい乗り越えて見せろ」

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 そして始まった体力テストであるが、ぶっちゃけ特筆するような事は無い。原作では、主人公が何とか先生の御眼鏡にかなった結果、除籍は免れたという話だった。だが、出久の場合は既に”OFA”をある程度は使い熟せているようでそれなりの結果を出していた。

 

 増強系の個性の中でもトップクラスの出力を誇る”OFA”は体力テストに最適な個性であると言えよう。それでも4位だった事から、完璧に使い熟せているとは言えないし、それだけ雄英高校ヒーロー科の実力が高いという訳である。

 

 偉そうに語っている俺であるが、その結果は2位。1位は言うまでもなく、個性が”創造”の黒髪ポニテである。万力使ったり、大砲を使ったりと体力テストって何だっけと思わされる結果であった。

 

 僅差で1位に負けてしまい、トップを取れなかったのは、誠に遺憾だが納得するしかない。次こそは1位を取ってやる。絶対にだ。負けたままとか性に合わない。それでも、紅白女に勝てたのは少し嬉しかったとだけ言っておく。

 

 ……紅白女って誰だよとか思うかもしれないが、轟焦凍である。轟焦凍くんではなく、と轟焦凍ちゃんであった事は気にしないようにしよう。出久も紅白女も何故か、原作とは性別が逆転している。明らかに俺の知っている世界とは逸脱しているが、気にしないようにしよう。変わっているかもしれない未来の事を考えると胃が痛くなる。

 

 そして、最下位は変態紫チビ。ただそれでも、個性を使用して反復横跳びはトップの成績を出していたので除籍は免れた様子。

 

 恐らく、反復横跳びで何の成果も出せなかったら、除籍になっていたであろう可能性は高い。

 

 透明女はギリギリの19位であったが、最下位になったとしても除籍にはならなかったと思う。だって、体力テストに”透明化”は活用する事が出来ないからだ。だとしても、透明になるというのは間違いなく強個性である為、除籍は免れただろう。

 

 除籍の条件は「応用できる個性にも関わらず、頭を回さずに不甲斐ない結果を出した」とかだと思う。

 

 流石に体力テストに活用出来ない個性で除籍とか理不尽でしか無いし、合理的とも言えない。逆に不甲斐ない結果というのは、最下位以外でも有り得る気がする。

 

 俺より上の1位様は「除籍なんてないない」とか言っていたが、除籍の話はマジである。相澤先生が去年受け持ったクラスは全員除籍なんていう洒落にならない結果に終わっている。

 

 下手すれば、この1年A組が今日で解散していた可能性も無くは無いのだ。出久には気合を入れさせる為にこの話を事前にしておいたが、他のクラスメイトには初日から脅すような事は言わなかった。

 

 結果として、全員が除籍が免れたのだし、IFの話をしても無意味だろうし。

 

 ちなみに俺の体力テストの結果は以下の通り。

 

 50m走は3.4秒。握力は87kg。立ち幅跳びは爆発し続けて∞。反復横跳びは81回。ソフトボール投げは体が温まった後にやったおかげで記録が伸びて885.2m。

 

 ”創造”はこれの更に上を行くのだから驚きだ。次こそは、絶対に勝ってやるけど! 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 初日の学校が終わり、出久と一緒に校門を出ると……

 

「おーい、爆豪!」

 

 後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。振り向くと、やはりあいつだった。それ以外にも丸顔や眼鏡委員長がいた。

 

 そういえば、朝の時に俺が赤髪と話している時に出久がこの2人と話していたのが視界の端で見えていた。もしかしたら、実技試験の時に既に面識があったのかもしれない。

 

 とりあえず、今はそれは置いておいて……

 

「んだよ、赤島逃児郎」

 

 正式名称は切島鋭児郎。又の名を 赤島逃児郎(命名は俺)。赤髪と逃げ腰という特徴からその名を与えた。原型を少しだけ残しつつも、特徴を表した完璧な名前と言えるだろう。こいつのヒーロー名はこれでいいのではなかろうか。

 

「またそれかよ!? だから俺は切島鋭児郎だって言ってんだろ!」

 

「じゃあ、赤髪で」

 

「どうなれば、「じゃあ、赤髪で」なんてなるんだよ!? 結局名前になってねぇじゃねぇか!」

 

 なんていうか、こいつはからかうと反応が面白い。それでいて、嫌悪感を出すなんていう反応をしてくれないのだから、本当に良い奴なんだろうなと思う。

 

 俺がもしも、赤髪の立場だったら間違いなくキレている。そして、爆発させている。

 

「はぁ…… 爆豪は置いておいて、お前は緑谷だよな? 俺は切島鋭児郎! よろしくな!」

 

 俺の反応を見て、赤髪は名前を言わせる事を諦めたようで出久に話を振った。精神年齢は俺の方が上だというのに、これではまるで俺が面倒な子供になってしまった感がある。

 

「え、えっと、私は緑谷出久。よろしくね……?」

 

 陽キャ100%の赤髪のキャラに圧倒されならがも、何とか言葉を返した出久。出久には初対面の相手にハキハキと喋れるような胆力は無い。

 

 有事の際はヘドロヴィランの時みたいに行動力の塊なのだが、日常でその行動力が発揮された所を俺は見た事が無い。

 

「にしても、お前すげぇな! 麗日から聞いたんだけど、お前って爆豪と同じ中学校で友達なんだろ! よく爆豪みたいな奴と一緒にいられるよな、俺、尊敬するわ!」

 

「そいつはどういう意味だぁ、ごらぁ!」

 

 今までの会話でどこに出久に尊敬する要素があるというのか。阿呆な事を言い出した赤髪にはアイアンクローをお見舞いして、その後ろにいる2人に目を向ける。痛みに悲鳴を上げた赤髪がうるせぇが、いない者として扱う事にしよう。徐々に握る力を強めていくが。

 

「てめぇらは……」

 

 話した事も自己紹介もした事がないのに、顔と名前が一致しているのもおかしいだろうから、自己紹介を促させる。

 

「ボ、俺は聡明中学出身の飯田(いいだ)天哉(てんや)だ。 朝から気になっていたんだが、学校指定のネクタイはどうしたんだい!? それに上のボタンも付けてないじゃないか! 雄英高校生たる者、規律を重んじるべきだと僕は思うぞ!」

 

「……堅苦しい。ネクタイとか邪魔くせぇから捨てた。あと一人称は固定しろや。俺とかボクとか変わってんぞ、鬱陶しいぞ、眼鏡委員長」

 

 飯田天哉。通称は眼鏡委員長。眼鏡を付けていて、委員長っぽいから名付けた。「真面目」とか「堅苦しい」とか「四角四面」とか「質実剛健」とか「融通が利かない」とかそんな言葉が似合いそうなキャラである。

 

 正直な所、俺は真面目過ぎず、不真面目過ぎずぐらいが人生は生きやすいと思っている。

 

 要するに、あんまり噛み合いそうなタイプではない。規律を重んじるのは良い事なので嫌いという訳でもないが、好きになれそうにもない。

 

 ちなみに、この最中も赤髪へのアイアンクローは実施中である。87kgの握力には敵わなかったようで、先程まで叫んでいた赤髪は完全に沈黙している。手足もぶらんとしており、もう騒ぐ事は無さそうなので手を離す。

 

 地面に1つの泡を吹く屍(仮)が転がったが、今は無視で良いだろう。委員長が介抱しているし。赤髪はその個性柄、常人よりも頑丈だろう、多分。

 

 丸顔は泡を吹く赤髪をちらちらと見ながらも、口を開く。

 

「え、えっと、麗日お茶子です! 飯田天哉君に、緑谷出久ちゃんに、切島鋭児郎君に、爆豪勝己君、だよね……?」

 

 ちらっとこっちを見てくる。先程の赤髪と俺の問答を見ていたからか、その目からは若干の戸惑いが見て取れる。いきなりクラスメイトにアイアンクローをかました俺に普通に接しろという方が無理があるだろう。

 

 今更になって、赤髪相手に少しはっちゃけ過ぎた気がしてきた。ここから3年間も同じクラスでなる予定なのだから、第一印象は特に大事だ。つまり、最初からやっちまった可能性が大いにある。というか、確実にやった。

 

 だが、流石に女子に暴力を振るう趣味は無いから安心して欲しい。そこら辺は我が家には絶対的な女王様が存在しているから、色々と恐怖を教えられている。もしも、女子に危害を加えたとか知られたら、確実に大神の雷が落ちる。

 

 そもそも、俺自身にそんな趣味は無い。必要とあれば本気で戦う事はあるかもしれないが、何もない時にそんな事はしない。

 

 若干、俺に怯えている様子の丸顔になんて声を掛けるべきなのかと頭を回すが、特に何も思い付かなかった。

 

「ちっ、別に何もしねーよ。とっとと(かえ)んぞ。俺は早く家に帰りてぇんだよ」

 

 それだけ言って、俺は家に向かって歩き出した。赤髪も漸く復活したようで俺に文句を言ってくるが、全てを華麗にスルー。

 

「かっちゃん、さては切島君の事を気に入ったでしょ?」

 

 阿呆な事を言ってきた出久も華麗にスルーしておく。

 

「そういえばよ、爆豪と緑谷って付き合ってn──」

 

 道中でまた阿呆な事を聞いてきた切島は、鳩尾をぶん殴ってまた泡を吹かせておいた。1度目の泡吹きは俺にも少しだけ非があったかもしれないが、今回に関しては10:0で切島が悪いと思うので俺の行動は正しい筈だ。




次回は戦闘訓練です。

轟焦凍を焦凍ちゃんにするか、焦凍くんにするか。どうしましょう?

  • 焦凍ちゃん見てみたい!
  • 焦凍くんのままでいい
  • ぶっちゃけ、どってでもいいよ
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