たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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とりあえず、のっけから宇宙戦艦とオッサンをチートっぽくしてみた。


第01話:” You get burning お熱いのはお好きかしら?”

 

 

 

時に西暦2191年4月1日

 

地球よりアンドロメダ星雲方向へ約2万光年……

 

 

()()()()()()()”テレザート”恒星系外縁部

 

 

 

「拿捕か……まあ、穏当な判断といえるか」

 

(少なくとも即時撃沈命令よりはマシだろうな)

 

 その日、地球連邦軍”テレザート星系守備隊”提督(実質的にテレザート方面駐留軍最高司令官)”沖田十三”中将は、”地球連邦国家最高安全保障会議(フェデレーション・セキュリティ・カウンシル)”より発令された「国籍不明の()()()()」への対処命令書に受令の電子署名をしながらそう独り言ちた。

 

「全艦隊に告ぐ! 第一種戦闘配置そのまま! 重力けん引(トラクター)ビーム、照射用意!」

 

 沖田の声に呼応するように守備艦隊旗艦、初代の古代技術実証艦ナデシコAから数えて五代目にあたる”ナデシコ”をネームシップとする宇宙戦艦ナデシコE型の15番艦、”タチバナ”の艦橋には緊張感に満ちた声が随所に上がった。

 

「全艦、トラクタービームの照射準備よし!」

 

「艦隊、”繭状重力歪曲場防御壁(ディストーション・フィールド)”に異常をきたした船、ありません! 全艦、最大強度を維持中!」

 

「艦隊、全武装に異常なし!」

 

可変戦闘機(ヴァルキリー)”隊、全機いつでも発艦可能!」

 

 所属不明のデータベースに存在しない、形状から観察するに武装していると思わしき艦隊を無人巡回(パトロール)艦隊より発見の報を受けたのは今から半日ほど前。

 そして、惑星テレザートの静止衛星軌道に設置された大型球状天体型艦隊拠点(一般的に言う宇宙要塞。デススターやイゼルローン要塞をイメージするとわかりやすい)である”第7ヨコスカ”を母港とする第15宇宙任務機動群(コスモ・タスクフォース)、その中でも即時出港可能だった第1~3艦隊に直ちにスクランブルがかかった。

 

 現在のテレザート星系、いや惑星テレザートは地球連邦にとり希少な高純度/高質量反物質が採掘できる最重要資源採掘地帯の一つであり、古代アケーリアス文明にも繋がる貴重な技術的文化遺産でもあり、そして現状確認される銀河最古の種族、いや存在が居城とする最大級の宗教学的聖地でもあった。

 

 現在の地球連邦は256星系を完全統治下におき、20以上の有人惑星(居住可能、ないし軽微なテラフォーミングで居住可能となる惑星はさらに存在する)を抱える総人口250億人超の複数星系国家と言っていい。

 そのような銀河でも有数の勢力を持つ国家が、常に正規艦隊を貼り付けて防衛するほどの価値がこの星にはあったのだ。

 

 

 

 既に打てる手は全て打った。

 地球連邦が保有するあらゆる宇宙通信手段、それこそ発光信号のような原始的なものまで加えたあらゆる通信手段、あらゆる言語で停船を二度にわたり呼びかけたが、ことごとく無視され、不審船団は未だ止まる気配を見せない。

 

(ならば、致し方なしか……)

 

「全艦、振り分けられた目標に対しトラクタービームの照射開始っ!!」

 

 沖田の号令一下、タチバナを含むナデシコE型3隻を中心に、総勢300隻の軍艦からけん引ビームが記憶にない深緑色の宇宙船群に放たれるが、

 

「不審船団、全てに高エネルギー反応!! 攻撃、来ますっ!!」

 

 

 

***********************

 

 

 

 その日、地球連邦軍中佐、アマリリス型大型巡航艦”バターカップ”艦長”島大吾(しま・だいご)”は、初の認知外異星人との戦闘を経験することになる。

 これまで地球人、いや地球を発祥とする人類が接触した地球外起源人類、所謂異星人との接触は比較的平和的、あるいは温厚に行われた。

 というのも本質的には「現在進行形で大気圏外まで版図を拡大している文明」がなかった事が大きいだろう。

 そう、地球人が異星人に接触するのは初めてではない。

 初めてではないのだが……

 

「宇宙船を持つ相手との初めての接触がこのような形になるのは、非常に残念だ……」

 

 今から約250年前、南太平洋に浮かぶどうということはない火山島、南アタリア島……その島の名物であった天を突くような巨大な奇岩山が火山の噴火による巨大地震で表面が崩落、その正体が遥か昔に地球に漂着した「巨大な宇宙船」であることに気付いた。

 

 そう、この時に人類は地球外にも知的生命体がいる確固たる証拠をつかんだのだ。

 だが、当時の人類は種として幼く、その異星人の船の所有権を間接的にあるいは直接的に奪い合うという事態となり、その船を独占しようと起因する三度の世界大戦を起こすことになる。

 人類同士の戦争だけでなく、それに付随する様々な理由で地球人は比喩でなく滅亡の瀬戸際を味わい、地球上の(今のところ)最後の世界大戦が勝利者のいないまま終結を迎えたとき、地球上の総人口は20億人を割り込んでいた。

 

 その後も続いた戦争に起因する異常気象、それに伴う疫病の蔓延や度重なる飢饉によりどの国家も国体を維持できず、やがて遠からず今の地球連邦の基礎となる人類総体へとシフトした。

 

 その後、火星や木星でも地球に漂着していた船と系統の異なる異星人の遺跡が発見され、人類が活力を取り戻し、太陽系外に足を延ばすようになった21世紀後半には、地球人より文明は劣るものの地球外起源人類との接触に成功していた。

 

 宇宙船の所有権をめぐり殺し合い、その内なる愚かさを証明してしまった人類は、人口学的な衰退を経て手に入れた繫栄を再び血で染めたものにしたくはなかった。

 

(だから、他文明との接触は慎重に慎重を重ねてきたというのに)

 

 だが、島は同時に今がどうにもならない状態だということも理解していた。

テレザートは、地球連邦250億の民にとり生命線の一つであり、断じて所属不明の集団に荒らされるわけにはいかなかったのだ。

 

「不審船団、発砲!!」

 

 オペレーターの緊張感に溢れた声がバターカップのブリッジに響く。

 だが、島はあえて内心の焦燥や無念を抑えた声で、

 

「あわてるな。届かんさ」

 

 確固たる確証があったわけではないが、かといって直ぐに艦の装甲が貫かれるとも思ってはいない。

 少なくとも島は、地球の技術を信用も信頼もしていた。

 

「敵弾、全弾逸れてゆきますっ!!」

 

 それはまるで、TVアニメ「機動戦艦ナデシコ」の第1話冒頭を彷彿させる光景だった。

 深緑色に塗装されたどこか魚類を彷彿させる所属不明艦が放った赤い粒子ビームのことごとくが、地球艦に届く手前で弾道を歪曲され、あらぬ方向へと飛び消えて言ったのだ。

 まあ、今回は地球艦隊が「逸らす側」だったわけだが。

 

 ブリッジに広がる安堵と歓喜の混じった声に島は小さく微笑みを浮かべ、制帽を機嫌よく直す。

 

「地球の重力障壁は量子ビームや収束光波には滅法強い。()()の質量兵器には注意せよ」

 

 その言い方は、まるで自分に言い聞かせているようでもある。

 もっとも、ディストーション・フィールドが抜かれたからと言って直ぐに沈むような軟な造りを地球艦はしていない。

 重力制御式の熱核反応炉、テレザートを主な産地とする反重水素などを用いた反物質炉(対消滅機関)、そしてインフレーション理論に基づき理論上は宇宙から無限のエネルギーを引き出せる真空相転移炉……これらの強烈な三位一体の機関(トリニティ・ドライブ)を標準動力とする地球連邦外宇宙型軍艦は、その膨大なエネルギーに準じた防御装備を保有しているのだ。

 エネルギー系兵器には強いが、質量兵器にはそれほどでもないディストーション・フィールドの特性をよく理解している島は、警戒の継続を言明すると同時に、自分が思ったよりも簡単に不審船団を”敵艦”と言ってしまえる事に軽く驚いていた。

 

「旗艦より入電! ヴァルキリー隊、全機発艦とのことです!」

 

 島は軽くうなずき、

 

「ヴァルキリー隊、全機発進! 位相ビーム(フェイズ)砲、光子魚雷、各種誘導弾、防空装備、最終安全装置解除! 砲雷撃戦よぉーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************

 

 

 

 西暦2191年4月1日、後に「テレザート沖会戦」と呼ばれることになる敵性異星人との最初の戦闘は、地球連邦艦隊のあまりに一方的な勝利によって幕を閉じた。

 確かに数の差はあった。

 不審船団、後に”大ガミラス帝星(ガミラス帝国)”として地球に知られる事になる国家の調査艦隊は総勢で100程度、その3倍の数で殴りかかったのだから当然の勝利かもしれない。

 撃沈43、大破などにより曳航不可能とみなされ爆沈処分並びに自沈21、拿捕成功30……対して地球連保艦隊の撃沈艦は0、それどころか中破判定の船すらいなかった。

 

 だが、それに浮かれている暇は地球連邦にはなかった。

 後に、沖田十三は語る。

 

「地球連邦の誰もが思いもしなかったのだ。それが足掛け8年にも及ぶ、長い星間戦争の幕開けだったとはな」

 

 

 

 

 

 

 地球連邦は、地球から苦難の果てに花開いたまだ若い宇宙文明は、長い長い銀河の騒乱に否応なく巻き込まれて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オマケ設定資料集


ナデシコE型(級)旗艦戦艦

ネームシップ就役:西暦2183年

全長 444m

デザイン ナデシコ系列の延長線上

機関 
・重力補助型熱核反応炉(ほぼマクロス式)
・重水素/反重水素型反物質炉(対消滅/対生成機関。スタートレック式に近い)
・真空相転移炉(ナデシコ式)
   
防御装備
繭状重力歪曲場防御壁(ディストーション・フィールド)
任意箇所発生単位相光波・磁場防御力場壁(ディフレクター・シールド)
多層蒸散剝離(ラミネート)耐ビームコーティング(外装表面)
・エネルギー転換装甲材(膨大なエネルギーを生かした可変強度素材)
非常時展開型艦内重力隔壁(ディストーション・ブロック)

攻撃兵装
・収束四連装指向性重力波投射器(グラビティ・ブラスト)×1(四基のグラビティ・ブラストを◇形に束ねた物。1門ごとに次々と発射する連射、四門を同軸同調射する斉射、斉射をディストーション・ブレードと併用して広域散布するように扇状に重力波を打ち出す広角射が選択可能)
・光子魚雷発射管×12(第一船体=ブリッジがある船体に装備。前方×8、後方×4)
・単装位相ビーム(フェイズ)砲×8(船体各所。ポールマウント砲口と不可視の力場砲身の併用で死角のない射界を持つ)
・汎用16セルVLS×4
・単装防空レーザー砲×16

非殺傷装備
・トラクタービーム
・重力ビーム送電装置
・各種ジャミングシステム
・クラッキングシステム
・各種超光速通信機材一式
・高出力投光器など

特殊演算装備
・オモイカネ型超高速多目的量子演算装置
・分離型船体システム

特殊航法装置
時空間歪曲型(フォールド)超光速航法装置(マクロス式。現状最も遠距離に短時間で到着できるが機関負荷が大きくフォールドアウト地点の設定がシビア。1ジャンプ200光年が標準だが、緊急出力での跳躍では500光年跳躍も可能だが機関メンテが必須)
・通常空間加速型超光速航法(ワープ)装置(スタートレック式。2191年現在はワワープ9.9=光速の3053倍相当がこの航法の最高速。加速距離が必要。通常空間を進むため航行中もある程度の自由が利き、船員や機関への負荷もフォールドに比べ小さい)
・戦術用量子跳躍(ボゾンジャンプ)装置(ナデシコ式。跳躍できる距離は短いが、緊急発動可能な瞬間移動なため戦術機動に使用できる)

搭載機(2191現在)
・大気圏内外兼用可変戦闘機(ヴァルキリー)”VF-11B サンダーボルト”×16機(最大)
・空間汎用輸送機 ”SC-87 コスモシーガル”×2~4機
・汎用人型空間作業機”MHU-89 エステバリス5”×4~6機
・90式空間機動甲冑×4~8機
・小型無人多目的ドローン(ナデシコのバッタなどの子孫)

特殊追加装備
E型用Yユニット(大規模戦闘用)


備考
 火星にあった古代高度文明の技術実証艦だったナデシコAから数えて五代目、超光速航法ができるいわゆる”ワープ・ナデシコ”としては三代目にあたるシリーズ。
 既に地球起源外人型知的生命体、要するに異星人と複数回接触……どころか、連邦内に取り込んでいた地球連邦は一応、このE型も「万が一、敵対的異星人の武装宇宙船に攻撃された場合に備えて」という名目で武装を備えていたが、それは国防上の建前に近。
 むしろ本来のコンセプトは艦隊を率いての長距離哨戒、航路のパトロール、宇宙船に衝突するあるいは有人惑星に膠着する可能性のある危険な巨大デブリや小惑星の排除、密輸船や星間海賊などの不法宇宙船の拿捕などが主な任務とされていた。
 いうならば、警備艦や巡視艦と表現した方がしっくりくる。
 実際、ガミラスと接触する前の主敵は連邦内の武装違法船で、撃沈するケースはどちらかと言えば少数であり、普通は停船命令を出し、従わない場合は強硬手段をとるという場合が多く、荒っぽい停船手段でも機関部を撃ち抜き航行不能にするというケースが多かった。
 軍艦の割には非殺傷兵器が豊富だったり、小型の人型装備の運用能力が高いのも臨検などに便利だからというのもある。
 単純に言えばヴァルキリーのファイターモードで追いつかれ、人型に変形されて甲板上に降りられブリッジに直接ガンポッドの銃口を突き付けられれば、どんな馬鹿でも停戦はするというものだ。
 そして、ハッチなどを作業用のオプションも豊富なエステバリスにこじ開けられ、内部に機動甲冑や虫型ロボットに乗り込まれられれば、船内で無駄な抵抗をしようとする者もそうはいないだろう。
 とまあ、こんな調子でグラビティ・ブラストや光子魚雷などという高威力兵器は、ワープ加速進路確保のための掃宙射撃、所謂”地均し”やデブリや小惑星の破壊に使われるケースが圧倒的に多かった。
 そう、ガミラスに接触するまでは、だ。
 
 対ガミラス戦が勃発すると、流石に火力不足が心配され開発は終了していたが、「高威力過ぎて現状使いどころがない」という理由で少数生産にとどまっていた火力増強/能力拡張用の”Yユニット”の量産が決定され、E型自体のアップデートも相まって、ナデシコE型とその姉妹たちは、終戦まで銀河で猛威をふるい続けたのだった。

 蛇足ではあるが、2191年当時は貴重だったYユニット(相転移砲型×1、多連装グラビティ・ブラスト型×2)はテレザート方面艦隊には配備されており、最初の戦闘には装着されていなかったが、以降は常時装着されガミラスには新型艦と誤認されていたらしい。
 
 
 


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