たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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いつまでも地球にいると、オッサンたちの呪縛から逃れられそうもないので、視点を大気圏離脱させました。

一日3話アップを目指したけど無理でしたw
深夜だけど、連休だから良いよね?




第11話:”駄目総統製造機とか言わないであげてください”

 

 

 

 地球で沖田十三と藤堂平九郎が飲み明かし、沖田が酔いつぶれれるのを今か今かと藤堂早紀が落ち着かない様子で廊下をうろうろしながら待ち構えている頃……

 

 

 

地球より16万8千光年彼方、大マゼラン星雲

サレザー恒星系第4惑星、イスカンダル

 

 

 

『スターシャ、地球は今回の外交交渉に乗ってくれるだろうか?』

 

 のっけからそれかよとイスカンダルの女王、あるいは古代のテクノロジーの優先継承権や代表権を持つ第一市民(プリンケプス)であるスターシャ・イスカンダルは思わなくもなかったが、

 

(最初から好きで……望んで国主になったわけではないものね。私と同じで)

 

 それは自分と同じだとスターシャは考えている。自分がイスカンダルの女王なんて明らかに面倒な役職についたのも、老い先短い先代からの直接指名。理由は、

 

(「他に適任がいないから」だもの……)

 

 当時150年も生きてないような小娘に押し付ける事でもないだろうと今でも思うが、だれも反対しなかった以上は仕方がない。

 誰も面倒ごとなど引き受けたくないし、何なら自分だってそうだ。

 かと言って、別にイスカンダル人は銀河に住む知的生命体の標準値から考えて、決して怠惰ではない。むしろ勤勉であり、星全体は確かに温暖な気候もあり緩い印象があり、いっそリゾート開発でもすれば儲かりそうな吞気な雰囲気はあるが、国家……いや、社会の運営としては特にこれといった近々の問題もなく、民は協力的で上手くいってると言って差支えはない。

 まあ、21世紀の日本人的主観から見れば、少々「在校生100万人の女子校」っぽいラノベというかエロゲっぽい空気感がなくはないが、少なくともそれを指摘できるガミラス人(りんじん)は居なかった。

 

(だからなのよね、きっと……この子を放っておけないのは)

 

アベルト、もっと自信を持ちなさい。貴方は誰よりも王の器を持つガミラス人(ガミラン)です。このスターシャが保証しますよ?」

 

 ……スターシャ・イスカンダル。身近な人間……特に心許したには結構、過保護(甘やかし)であるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

********************************

 

 

 

 

 

 

 

 女王スターシャと現”大ガミラス帝星・永世総統”アベルト・デスラーとの付き合いは実は長い。

 彼女が即位したばかり……母星の寿命が付きかけてる事を知ったアベルト・デスラーの叔父、エーリク・ヴァム・デスラーが極秘裏に「母星を救う機材」の開発相談を持ち掛けてきた時代まで遡る。

 

 もう30年近く前の話だろうか?

 その日、進捗状況確認のためお忍びでイスカンダルを訪ねたエーリクは「母星の秘密を知ってしまった親族であり、最も幼く秘密を知ってしまった者」として同行したアベルトをスターシャに紹介したのだ。

 それは同じ(とが)(せき)を背負うことになった同胞……親族ではなく同じ秘密を共有する同胞に対する通過儀礼だった。

 そして、

 

 『まあ、可愛らしい坊や♪ お名前は?』

 

 『僕はアベルト、アベルト・デスラー』

 

 これが後にデスラー総統と呼ばれることになる男の、真の宿業の始まりだった。

 

 

 

   「初めて会ったものが、この世で最高のものだった」

   

 これは確か、FSS(旧版)に登場するアイシャ・コーダンテの言葉だっただろうか?

 それは決して最高の存在に出会えた歓喜だけの言葉ではなかった。

 喜びも確かにあるだろう。だが、それ以上の悲哀が……望んで手を伸ばしても届かぬ想いを抱いてしまった故の、哀しみがあった。

 そして、届かぬ想いを胸に秘めた者の人生は、それを諦められない以上は多かれ少なかれ狂いだす……

 

 そんな実例は神話の時代から現代の漫画やラノベに至るまで、枚挙に暇がない。

 神に恋した少女の結末はどうだったか? 少年に恋した女神の末路は?

 例えるなら、これはそういう話だ。

 

 

 

***

 

 

 

 例えそれが罪だとわかっていても、少年は顔を上げて前に進むしかなかった……

 

 

 

 きっかけは、きっと敬愛していた兄マティウスの死だろう。

 誤解のないように言っておくが、アベルトはブラコンが疑われるほど兄が大好きだったのだ。無論、BL的な意味ではなく、純粋に純白の敬愛……そして、そうであるが故の悲劇。

 アベルトは、兄と比べられるのに特に忌避はなかった。

 「兄は光で、弟は影」、それさえも幼くとも優れた頭脳で「ごもっとも」と理解していた。

 少なくとも幼き日のアベルト・デスラーは、漠然と自分は兄を補佐してガミラスを盛り立てると思っていた。自分は脇役で良いと……

 

 だが、兄は死んだ。

 

 しかし、ただ凶弾に倒れて死んだのではない。

 瀕死になりながらも、スターシャが用意したコスモリバース・システムの(コア)となるべく、母星の秘密を知る僅かな人に看取られながら死にかけの魂を捧げて星をわずかな時間かもしれないが蘇生させた。

 

 それでも、その光景を見た者以外、それに気づく者はいなかった。

 それほどまでに母星は蝕まれていたのだ。

 

 そう、兄と自分を生んだ自分の母、アデルシアすら兄が命をかけて遺した最後の偉業に気づくことはなかった。

 その時、まだ青年と呼ぶには若すぎたアベルトの胸に去来したものはなんだろうか?

 

 『兄の棺桶に縋りつき、心を壊した母を私は虫を見るような目で見ていたと思う。そこに兄の魂なんてないのに……ただ、空虚な抜け殻だけが残っているだけだというのに。もしかしたら、私はその母の姿が滑稽に見えていたのかもしれない』

 

 アベルト・デスラーは後にそう回想する。

 だが、確かにその時、一粒の涙が少年の瞳から零れ落ちたのだ。

 

”ふわり”

 

 そして、降りしきる葬儀の雨の冷たさから、彼を守るように包む温もり……

 

 『義姉(ねえ)様……?』

 

 

 

 涙雨が帝都バレラスを濡らしたその日、青の少年の運命は静かに、だが確実に狂い始めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラ崩壊著しいスターシャに唐突に始まる過去編という暴虐w

ガミラスサイドもだけど、イスカンダル目線ってあんまり読んだことないから試しに書いてみました。

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