たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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男二人の勘違いを妻女が切るという感じ。
あと多分、悪くない意味で原作ではありえない状況があったり。

書き忘れていたけど、ヤマトが飛ぶまでだらだらと日常パート、あるいはリクルートパート(?)が続きます。

なんせ、航路難易度が原作比較で滅茶苦茶低いんですよねー。
なので切羽詰まってない地球の風景を書いてゆこうかと。




第14話:”アカメガネが切る”

 

 

 

「入って構わんよ」

 

 一応、最重要機密区画なのでドアというドアには体内ナノマシンとも情報連携する生体認証システムが入っており、それが開いたということは外部の人間ではないだろう。

 手元の端末には、誰が来たのかも表示されてるが。

 そして、開いたドアから入ってきたのは、

 

「”守くん”、やっぱりここに居たのね? 探しちゃったじゃない」

 

 アンダーリムの眼鏡型端末(ただし、フレーム色は黒ではなく。同志メガネスキーにとってココ重要)とショートカットの清潔な印象がよく似合う知的な女性だった。

 

「おう、”(かおる)”。どったの?」

 

 軽く手を挙げて挨拶する古代守に、

 

「どうしもこーしたもなーい! お弁当、忘れていったでしょ?」

 

「あー、ごめん」

 

 そのやり取りを見ていた真田は、どこか感慨深げに

 

「あの研究しか興味がなかった()()()が甲斐甲斐しく手作り弁当とは……変われば変わるものだな。だろ? 古代」

 

「俺としては嬉しい変化なんだけどね」

 

 すると守に弁当を押し付けながら”メッ!”してた彼女は真田にクルリと振り向き、

 

真田先輩、お言葉ですが私ももう()()なんですけど?」

 

 そう見せつけるように突き出した彼女の左手の薬指には、小粒のダイヤモンドが埋め込まれた木目金がそこはかとなく和テイストの結婚指輪(マリッジリング)が輝いていたのだった。無論、守の左手薬指にも。

 

「そりゃ失敬」

 

 旧姓:新見。現()()(かおる)

 新婚気分は未だ抜けず、現在進行形で幸せいっぱいだった。

 

 

 

***

 

 

 

「夫婦別姓が一般化してるのに、わざわざ姓を変えるとはね。面倒なだけだろうに」

 

 総人口が20億人以下まで減った200年前の第四次世界大戦(統合戦争)と、その後の自業自得ともいえる戦争の余波による異常気象を原因とする飢饉や疫病の蔓延でさらに数を減らした地球人類に既に個別で国家を維持する余力はなく、それが今の地球連邦に直接的に繋がる。

 というわけで、一般的にいう法律は行政区分(基本的に星系、あるいは惑星単位)ごとに地方自治法の差異はあるが、概ね旧地球にあった国々のごった煮から、その土地の文化風習に見合った物をチョイスしてとしている。

 大雑把に連邦憲章(憲法準拠。理念的なもの、概念的なもの)、連邦法(地球連邦加盟団体全てに通じる法)、行政区分ごとの地方自治法(県条例でなく米国の州法に近い)という段階がある。

 連邦法では婚姻やそれに伴う姓名の変更に関する記載はない(婚姻制度その物が地球単独時代でさえ国ごとに差異があり過ぎたために、各文化圏に判断を丸投げする形になっている)が、実は地球連邦内でも”首都星系”と言われる太陽系は、色々多様過ぎて婚姻に関する法規定が連邦の中でも屈指の緩さを誇っていた。

 

 何しろ連邦中から、それも地球起源種外の人類まで集まるのが今の太陽系だ。人種どころか同じ人型知的生命体でもケモ耳や尻尾生やした獣人系やら魔法の代わりに精神感応使う宇宙エルフやら、挙句は肉体を持たないのまで居るのだ。

 治安維持とか社会公共性があるものならともかく、プライベートな部分を多分に含む結婚をガチガチで縛るのは土台無理な話なのだろう。

 

「先輩、知らないんですか? ここ半世紀の太陽系行政区は、結婚後に姓を変える女性のほうが圧倒的に多数派なんですよ?」

 

 太陽系自治法で明記されているのは「婚姻成立と同時に姓を変える権利を有する」とあるだけで、別に変えても変えなくても良いはずだが……

 

「そうなのか?」

 

「いや、俺に聞くなよ」

 

 薫ははぁ~っと溜息をついて、

 

「二人共、女同士のマウントの取り合いを甘く見すぎよ」

 

 婚姻制度の法整備が緩いというのは、結婚できる年齢/性別だけでなく数もそこに含まれる。要するに重婚どころか多重婚も当人同士の合意があれば全然合法なのだ。

 実はこれ、地球連邦が抱える切実な男女人口比率問題が隠れている。

 現在の連邦全体の男女人口比率は、4:6とされているが厳密には”4弱:6強”なのだ。

 どうしてこうなったのかと言えば、これといった決定的原因は無いが、強いて言うなら地球発祥人類以外の人種を多く取り込んだせいかもしれない。

 特に獣人系は現在確認されている三種族とも男女比率がかなり女性側が高い。まあ獣人系の血族だけでなく純然たる地球発祥人類種も同じ傾向なのだから、根拠としては薄いのかもしれない。

 話はそれたが、

 

「一人目が夫婦別姓で、二人目が同姓とした場合、周囲はどっちを正妻と見ると思います?」

 

 だが、真田にも言い分はある。

 

「いや、多重婚が成立した場合、誰が正妻というのはなく各種権利は平等に有してだな」

 

「法律の話をしてるんじゃなくて、女はそういうのを気にするって話をしているんです」

 

 だが、抵抗むなしく薫はぴしゃりと断ち切った。

 

「第一夫人とか第二夫人という言い方はともかくとして、正妻や内妻、正室に側室なんて言葉がなんで現代にまで残ってると思ってるんですか?」

 

「いや、正直すまんかった」

 

 ようやく白旗を掲げる真田に、フンスと鼻息荒い薫であった。

 

 

 

***

 

 

 

「ところで薫、弁当届けに来てくれたのはありがたいけど、要件はそれだけ?」

 

「あっ、そうそう、忘れるところだったわ!」

 

 ポンと手を打つ薫と、それを見ながら「撤退支援、感謝」と親友に視線を送る真田だった。

 

「守くん、沖田さんがヤマト艦長就任への内示が出たって話、知ってる?」

 

「えっ? もう出たの?」

 

 出るだろうと予想はしていたが、正式に内示が出たのは初耳だった。

 

「うん。ついさっきの話で人事部から通達出てたわよ?」

 

「後で確認しとくよ。よく芹沢さんがこんなすぐに納得したな。ゴネなかったのかな?」

 

 副長官の芹沢が「有名になりすぎ、政治的な存在になりつつある」沖田十三を毛嫌いしてるのは、軍部内でも公然の秘密だった。

 

「芹沢さんが推してた土方さんや谷さんが、こぞって沖田さんを推したらしいからね。どうにもならなかったみたいだわ」

 

「あー、なんかすんげーその時の光景が目に浮かぶようだ」

 

「そういえば、新見……ではなく古代、君?」

 

 旧姓を再び呼んでジロリと睨まれた真田は慌てて言い直す。

 

「薫で良いですよ? 真田先輩」

 

「名前呼びとは、なんというか……こそばゆいな」

 

「照れる柄かよ? お前」

 

「黙れ古代。では、薫君、我々もちょうど今、その沖田さんの話題をしていたんだよ」

 

「沖田さんがえっらい若い奥さんと再婚するって。しかも藤堂さんの一人娘」

 

「あー、あれかぁ」

 

 薫は少しレンズの奥で遠い目をして、

 

早紀ちゃん、ついに思い余ってヤッちゃったみたいね? まあ、いつかヤるんじゃないかと思ってたけど」

 

「「へっ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




旧姓:新見さんのメガネは”けいおん!”の真鍋和ちゃんのそれを参照に。
昔、真鍋和モデルのメガネ、本当に公式コラボかなんかで売られてたんですよねー。(というか主要キャラの全員のモデルがあった)
今考えてみればすごいな。

指輪は”木目金 結婚指輪”で検索かけるとそれっぽいのがいっぱい出てきます。

単純に指輪でドヤッってる新見さんが書きたかっただけだったりw

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