たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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古代雪フラグはへし折れました(イキナリ!?

確かにヤマトはヤマトなんだけど……




第02話:”宇宙戦艦ヤマトという時代……で間違いじゃないだけど何か違う話”

 

 

 

 地球連邦がガミラス帝国と戦端を開いてから、はや8年……

 

「のどかだなぁ……」

 

そう呟きながら、春の柔らかな日差しに誘われ、せっかくの休日を恋人とのんびり過ごすことに決めた、基地の片隅の草地で寝転ぶまだ少年の面影残る青年は、そっと自分に身を預ける少女の生糸のような純白の髪を撫でた。

 

「そうね、(すすむ)さん」

 

 太陽系第3惑星地球は、今も青い海を湛え、海に負けないくらい青い空には雲雀(ひばり)が歌っていた。

 

 

 今から約200年前に地球人同士の殺し合いによる核兵器と、その時地球全域に溜まりに溜まった「怒りのカドゥン」とやらで目覚めたらしい”鳥っぽい良く分からない巨大物体”に人類もろともフルボッコにされたというのに、よくぞここまで豊かな自然が地球に戻ったものである。

 

 さて、地球という惑星(ほし)の生命力に感嘆しながら、カメラを少しパーンしてみよう。

 ここはかつて日本と呼ばれていた弧状列島の一角、地名で言うなら”新田原”と呼ばれる場所に建設された由緒正しい地球連邦の航空基地だ。

 ここの土地柄を考えればずいぶんと由緒正しい航空基地と言える。

 何せ歴史は飛行機がまだプロペラで飛んでいた時代、250年以上前の太平洋戦争までさかのぼれる。

 

 もっとも我々の知ってる歴史とは20世紀の時点で微妙に異なる選択が繰り返されてきた結果、ここは特攻隊の基地になることはなく、サイパン陥落と同時に当時の日本帝国は条件付降伏を受け入れて終戦。

 元々、真珠湾に攻撃するわけでもなく()()()()()()()()()南洋委任統治領」と日本本土の防備に徹していた日本も、であればこそその状況を受け入れざるえなかったのだろう。

 

 つまり、当時の日本がどれほど粘ろうがアメリカ人が南アタリア島の異星人の船を諦めるはずもなく、サイパンを陥落させた後に「南洋庁を廃止し、南洋委任統治領を米国に譲らないのであれば全土を”()()()()”で灰にする」と脅されれば、もはや手はなかった。

 

 実際、当時は日露戦争の失敗で大陸の権益を完全に失い、日清戦争で得た台湾と第一次世界大戦の戦勝国となったことで得た南洋委任統治領で、なんとか国体を維持していたのだ。ようやく開発と食糧増産の目途が立ってきた台湾を含む南方との通商路が切られることは、遠からず国内に餓死者が万単位で出ることを示していた。

 

 

 

 ところでなんでこんな仮想戦記的な話をしているのかと言えば……

 無論、趣味以外にも理由はある。

 

 さて、史実でサイパンが陥落したのは、西暦1944年7月9日……この世界線でも同日にサイパン島は陥落し、南太平洋との連絡を断たれた日本が、史実よりも米国が降伏条件に無茶をいわなかった(というよりアメリカの最大の関心事は日本委任統治領内にある南アタリア島の異星人の船の入手と独占であり、それ以外は付随条件といってもよかった)せいもあり同年8月15日に「条件付降伏」を受諾した。

 

 そう、太平洋戦争は()()()()()()()()()()()のだ。

 

 さて、この時代の戦史に詳しい方なら察しが付いたかもしれない。

 戦艦大和は”いつ、どこで”沈んだ?

 大和は”どうして、その時、そこで”沈んだ?

 

 大和が沈んだ日付は史実では1945年4月7日、場所は坊ノ岬沖、理由は”天一号作戦”……沖縄に上陸作戦を敢行する米軍を攻撃するため。

 そしてこの世界線では()()()()()()()()()出来事なのだ。

 

 大和どころか姉妹艦の武蔵が沈んだ「レイテ沖海戦(あるいはシブヤン海海戦:1944年10月24日)」すら勃発しなかった。

 大和も武蔵も静かに港で終戦を迎え、「古すぎる」という理由で他の日本戦艦が次々と解体される中、帝国軍改め日本国国防海軍の象徴として残されることとなった。

 戦後世界で絶対の覇権と宇宙開発の独占を目論んでいた米国は、帝国政府と帝国軍の解散は要求したが、降伏の同日のうちに普通選挙による民主議会の発足と国防軍の再建を命じたのだ。

 要するに米国の世界戦略の片棒を担がせる気満々だった。

 

 そして大和と武蔵は、史実のアイオワ級戦艦と同じく国防費を圧迫しながらモスボール保存され、時折対地砲撃に引っ張り出されることもありながら、1999年を迎えたのだった。

 大和は呉で核攻撃を受け、武蔵は存外に長かった生涯に幕を閉じた……

 

 

 

 故に西暦2199年に影も形も残っているわけはない。

 海も干上がってないし地球も赤茶けてない。

 仮にそんな姿だったとしても、坊ノ岬沖に戦艦大和が沈んでいるわけはない。

 では、この世界の宇宙戦艦ヤマトとは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***********************************

 

 

 

 

 

 (こうなるわけだ……)

 

 俺は今、地球連邦軍直管呉地下造船所に来ている。

 地球連邦の政治畑でそれなりの要職についてる俺は、こうしてようやく国防秘の中枢たる施設へと足を運べる事ができるようになったわけだが……

 

(苦労したもんなぁ……)

 

 金と地位と権威や権力はそれなりにあるが、まだ直接的に軍に関われる(あるいはシビリアンコントロール的な意味で監督できる)ポジションにいなかった俺は、申請しても中々軍機施設の視察許可はおりなっかった。

 だが、懲りずにあの手この手を使ってなんとか今日のこの日を迎えられたのだ。

 

(だが……)

 

 だがしかし、一言だけ言わせて欲しい!

 

「ヤマトはヤマトでも、どっからどう見ても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()じゃんっ!!」

 

 

 

 ああ……嗚呼……

 俺の波動砲はどこへ行った……

 

(宇宙戦艦ヤマトが建造されるっていうから、楽しみにしていたのに……楽しみにしてたのにぃぃぃぃっ!)

 

 きっと神様は俺のこと嫌いなんだっ!!

 いや、会ったことないけどさ……

 

 コスモゼロやコスモファルコンが、何故かヴァルキリーなのは許すよ!

 マクロス・シリーズは嫌いじゃないしさ……

 

「でも、こんなのってナイダルォッ!!」

 

 雄々しき48サンチ三連装陽電子ショックカノンはどこに消えたのさ……

 

(今に見てろよぉぉぉぉっ!)

 

 ヤマトは間に合わなかったが、

 

(絶対ェ国防委員会に入って、アンドロメダを建造してやるからぬあぁぁぁーーーーーーっ!!)

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

真田、あそこで珍妙な崩れ落ち方して悶絶してるの、もしかして”槙原代議士”じゃないか? ほら、タカ派若手のホープとかって言われてる」

 

 そう問いかける軍服姿の青年に、妙に雰囲気のある学者肌っぽい青年は得心したような顔になり、

 

「ああっ、そうだな。確か視察の予定が入っていたような? ところで古代、なんで代議士は目を見開いて天に向かい拳を突き上げてるんだ?」

 

「いや、俺に聞かれても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オマケ設定

槙原(まきはら)代議士
おそらく転生者。一応、タカ派議員からは若手のホープとみなされてるらしい。
政治家必須の3バン(ジバン、カンバン、カバン)やカリスマや人気もそれなりにある、そこそこの注目株議員(古代兄はともかく政治に興味なさそうな真田さんが知ってるぐらいだし)

この小説に「転生、オリ主」タグが必要になった諸悪の根源。
前世はヤマトフリークっぽいけど、実はリメイク版から入った人。

現状においてモブ議員A以上の存在ではない。
本人はアンドロメダに関わりたがってるが、藤堂さんや芹沢さんに気に入られるかどうかが勝負の分かれ目?

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