たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

20 / 98
記念すべき第20話だというのに(爽やかさが)ないです。
ヤマト出航の舞台裏というか……ぶっちゃけ、お金とか政治の話です。
おまけに文章量が無駄に多いです。過去最大の文字数。

ガミラスと戦争してるけど、相手はガミラスとは限らないよね?的な話っぽくなってしまいました。




第20話:”可変戦闘機戦争 盤外戦というのはどこでも起こりうるという実例”

 

 

 

「はぁ? 古代と山本連れて、16万8千光年彼方まで行って来いだぁ? おまけに往復2年の船旅ってお前……」

 

『無茶なのは分かっていますよ。僕だって無茶だと思ってます。でもね、必要なことでもあるとも思ってるんですよ』

 

 イサムが怪訝な顔をする。

 少なくとも彼の知るヤン・ノイマンは、こういう道理を蹴飛ばす系の無茶を好く人間ではなかった筈だ。

 

『イサムさん、今、ニュータバル基地に集結し編成されてるのは、V()F()-()1()7()S()()()で編成された戦闘航空団”で、ヤマトの主力航空戦力として動員される……これで間違ってないですか?』

 

「ああ。俺もそう聞いてるが……」

 

VF-17(ナイトメア)シリーズは、戦争の後半からガミラス相手に猛威を振るい、現行のD型だって十分な実績があるのに、わざわざ”()()()()()()()()()()()()()()()”を前倒し投入して完成させた性能向上型の特別仕様機、S型を急ピッチで製造して納入した意図はなんだと思います? それも採算度外視までして』

 

「ヲイヲイ。なんだか、妙な話になってきてねーか?」

 

『我らが”スーパーノヴァ・アライアンス”は、これを”ギャラクシー・アライアンス”可変戦闘機(ヴァルキリー)市場のシェア拡大を狙った戦略的行動と見てますよ』

 

 

 

 少し補足を。

 可変戦闘機開発は、非常に莫大な開発コストがかかる機体で、政府や軍からの支援があるとはいえ、いくら巨大でも単独企業で全て賄うのはハイリスクでありく、また要求とされる技術的裾野も広いため、そっちの方面でも無理がある。

 結果として”異業種複数企業連合体”、いわゆる”アライアンス”事が一般的となった。

 そして現在、可変戦闘機を0から開発できる資金力と技術力を持つアライアンスは、地球連邦広しといえど二つしかない。

 一つが新星インダストリー社を中核とする”スーパーノヴァ・アライアンス”、もう一つがゼネラル・ギャラクシー社を中核とする”ギャラクシー・アライアンス”だ。

 現行で使用されてる主だった機体は、

 

スーパーノヴァ・アライアンス→VF-11シリーズ、VF-19シリーズ(初期少数生産段階)

ギャラクシー・アライアンス →VF/VA-14シリーズ、VF-17シリーズ

 

 現行最強と名高いVF-17シリーズ(新しすぎるVF-19Aはまだ戦力化してるとは言えない)は「VF-11を凌ぐ運動性とVF-14の火力を兼ね備え、高度なステルス性をも併せ持つ」という極めて野心的な設計がされ、それが成功した傑作機ではあるのだが……実は生産数ではVF-11に大きく水をあけられていた。

 はっきり言えば、現在新田原基地にロールアウトしたそばから納品されてるS型から原型試作機YF-17、更に生産が終了しているVF/VA-14の総生産を足してもなお、VF-11の生産数には太刀打ちできないのだ。

 無論、ガミラスとの衝突前から初期生産型のA型から最初の本格生産型B型に生産が切り替わっていたという先駆者として優位さがあり、そして性能アップとコストダウンを成し遂げた最大の生産型であるC型は、比喩でもなんでもなくガミラス戦役の最初期から中期、もっともガミラスの攻勢が激しい頃の戦線を守り切った……つまりそれほどまでに生産された機体だった。

 例えば、現在のVF-11シリーズの総生産数は、軍用機の単一機種最多生産数のレコードホルダーだった”Il-2(総生産数36,183機)”を超え、全ジャンルの航空機生産数として最多の”セスナ172”シリーズに迫る総生産数40000機+という数字だ。

 

 確かにVF-11は、VF17に比べれば凡庸な可変戦闘機だろう。

 だが、コストを含めた生産性の高さ、コックピットブロックごと脱出ポッドになる生存性の高さ、可能な限りシンプルな構造を採用したことによる劣悪な環境にも耐えられる堅牢さと整備性の高さをはじめとする信頼性、あちこちメンテナンスフリー・パーツを採用したことによる平均故障間隔の長さと再出撃までの時間の短さ、アーマード・パーツを頂点とする様々なオプション・パーツを使用できる汎用性/冗長性/発展性/拡張性/柔軟性の高さ……その実績を持って兵士たちの信頼に応えた”無事是名馬”を地で行く稀代の名機がVF-11シリーズだった。

 肝心の戦闘力だが……VF-17シリーズは初期のA型でさえ”ガミラス戦闘機を()()できた”。だが、VF-11は現在でも”ガミラス戦闘機相手に()()に戦える”。見方によっては”必要にして十分な性能”と言えるのだ。

 

 確かにガミラス艦隊と日々丁々発止を繰り広げられる最前線で求められるのはVF-17だろう。命はってるパイロットとしては、少しでも生存率の高い=勝ちやすい機体が欲しい。

 だが、それ以外の……例えば、ガミラス艦が滅多にあるいは全く来ない、むしろ宇宙海賊のような”ならず者”相手の方がエンカウント率が高かそうな二線級以下の宙域ではどうか?

 その結果が、VF-17はVF-11のシェアを全て奪うには至っていないという現状だ。

 

 更に同じギャラクシー・アライアンスの製品でVF-11より設計が新しい筈のVF-14は、ガミラス開戦以後初めて新規開発された機体であり、故に時代背景的に対艦性能を重視されて火力や防御力は高いが、逆に機動力や運動性はVF-11に及ばばい。

 また特化しすぎた尖った設計のため、「とりあえず、考えつく作戦には全て投入できる」と称されたVF-11と比較した場合、やはり汎用性や柔軟性は低いということになり、また特化設計ゆえに将来的な発展性や拡張性は低かった。

 そのためVF-17の生産開始/初期作戦能力獲得と同時に生産中止となり、その総生産数はVF-17よりも更に少ない。また、現在では持ち味の対艦攻撃機としての性質を強化した”VA-14”への改修が進んでいる。

 つまり、花形の可変戦闘機ではなく”可変攻撃機”への鞍替えを要求されたのだ。

 

 しかもギャラクシー・アライアンスとしては腹立たしいことに、スーパーノヴァ・アライアンスはVF-11の新規生産ではなく近代化改修、具体的には程度の良いB型/C型をベースに、VF-17と同じように外装式真空相転移機関型スーパーパックを使用できるようにした”E型”へのアップデート・キットを提案し、軍部はそれを了承している。

 VF-11の素性の良さがあったからこそできる荒業だった。

 

 

 

『そこで、ギャラクシー・アライアンスは”効果的なプロモーション”を考えたんです。次世代機に採用予定の技術を先行導入した特別仕様のVF-17Sをヤマトに搭乗させ、16万8千光年彼方に展開する……()()()()()()()()()()()()()()()として可変戦闘機開発史名を残すんです』

 

「ん? それがどうかしたのか?」

 

『わかりませんか? 信頼性や現場での使い勝手を売りにしてるスーパーノヴァ・アライアンスの機体に対し、ギャラクシー・アライアンスの売りは革新性と先進性……そして、銀河を超える船の護衛役に選ばれたのは信頼性に勝るVF-11ではなく、性能に勝るVF-17……これがどう後に影響するか?』

 

「それって……」

 

 ヤンは頷き、

 

『国民の目には、VF-11は”過去の名機”に映るでしょうね。実戦配備されている数は未だVF-11が多いなんてことは国民には関係ないし、興味もない。そして、地球連邦は仮にも民主主義国家だ。国民の意思や意向は無視できません』

 

 

 

***

 

 

 

「かねカネ金マネー、か……全てはお仕事ですってか?」

 

『世界は重力で回り、社会は金で回る……僕たちが生まれる前からそうだし、人類が滅ぶか金が滅ぶかしない限り、きっとそれは変わらない』

 

 イサムはゲロを吐いた後の便器の中を覗き込むような顔になり、

 

「それでようやく初期作戦能力を獲得したばかりのVF-19Aを実戦投入するって? プロモーションとやらの為に」

 

『誰も好き好んで時代遅れの誹りを受けたくないでしょう?』

 

 イサムは深い深い溜息をついた。正直、一杯ひっかけたい気分だ。それもできるだけ度数が高い酒をだ。

 

「事情は大体わかったが、俺はともかくどうして古代と山本なんだ? 他にも候補が……ぶっちゃけ腕が立つ奴はいんだろ?」

 

 進も玲もイサムの発言に思うところがないわけでは無いが、事実なので余計な言葉は発しない。

 これが自分達が「自発的に発言すべきでない話題」であることは、二人も理解していた。

 

『コダイ大尉の場合は簡単なんですよ。その若さで大尉、将来を嘱望されているエリートで素行にもこれといった問題のない優等生。しかもヤマトの副長に就任予定のコダイ中佐の推薦まで出てる。軍に対する心証も抜群で外聞も良い。しかも軍人らしさが失われない程度に”程よく”見た目が整っている。知ってます? 必要以上に整ってる見た目だと逆に噓っぽく、いかにも「戦闘機に実際は乗れない役者が演じてます」っぽくなるのでこれも好印象。まさに理想的ですよ』

 

「えっ? 兄さん?」

 

 唐突に出た身内の名にきょとんとする進だったが、それを気にするイサムやヤンではない。

 因みに玲は古代守とは面識がある。なんせ進の恋人なので、守と旧姓:新見の薫との結婚式に招待され、参列していたのだ。そして、アルミラージ人の身体能力を生かしブーケ・トス争奪戦に参加していたりする。

 だが、執念の差なのか藤堂早紀に惜敗してしまったが……

 

「んで、山本は?」

 

『ヤマモト少尉の場合、さすがはアルミラージ人と思わせるだけのスペックはもちろんですが、その”()()()()()()()()()()ということが重要”なんですよ。この場合』

 

「はぁ? そいつは一体……」 

 

『今回、新田原基地で編成されている特務大隊は、様々な星の出身者で構成されていますが、その大部分が”地球起源人類”なんですよ』

 

「ちょっと待て。ミリア教官やヤマモトの兄だっているんだぞ?」

 

 まるで「兄さんを忘れないで」と言いたげにコクコクと頷く玲。

 

『まずファリーナ・ジーナス中佐は教官というだけで地球から旅立つ予定はありません。ヤマモト中尉は”司令部付偵察小隊”に所属するので厳密には大隊の命令系統ではないんですよ。まあ、配備されているのは複座型(VF-17T)ベースのレドームを載せた改造機らしいですが』

 

 イメージ的にはRVF-171のVF-17版だと思ってほしい。

 要するに山本明の所属する偵察隊は、金龍少佐の指揮下ではなく沖田艦長を中心とするヤマト首脳部直轄の部隊という扱いになる。

 

「まさか……左派(リベラル)へのアピールか?」

 

『ヤマトに一番傾注してるのはどういう勢力か考えてくださいよ。単純な非戦派じゃない。ガミラスとの停戦が成し遂げられたなら、早急に和平条約まで段階を引き上げ、国交正常化まで繋げたいと思っている勢力ですよ? 大きなくくりで言うなら”()()()()()()”です。そこへのアピールは無視できない効果があると思いませんか?』

 

 ふとイサムは、自分が汚泥に膝までまみれながら腐臭あふれる下水道を見ている感覚を覚えた。

 今日も新田原の空を飛んだはずだが、どこまでも続く蒼穹が妙に懐かしく感じた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「イスカンダルへゆく」という事象は一つだけど、とらえ方は人それぞれだよね?的な物を書いてみたくなり……こんなんになりました。

書いてる本人は楽しかったけど、面白いかどうかは自信なし。
地球連邦はどんな見方をしても「戦争に負けてない状態」なので、企業間でシェア争いをする余裕があるかなーと。

今の地球連邦は、国力のすべてを傾けているというより、余力で戦争やってる感覚でしょうし。
まあ、ガミラスの領地を奪い取ることなんて誰も考えておらず、停戦できればしめたもの、和平が結べれば万々歳って感じかな?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。