たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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読む人あんまりいないかもしれないけど、書き終えたので深夜アップ。
ノイマンさんの嘆きとか。

後は……現状確認?





第21話:”2202に繋がるちょっとした伏線(ただし2202を書くとは言ってない) そして……”

 

 

 

『イサムさん、なりふりは構っていられないんです』

 

「ヤン、何か焦ってないか?」

 

 通信画面越しのらしくない友人の表情にイサムが問うと、

 

『イサムさん、”ギャラクシー・アライアンス”の新型機開発計画は知ってますか?』

 

「ああ、まあ、それなりに。確か”YF-21”って開発コードの()()()だろ? だが、用途が用途だけにそんなに生産できるって機体じゃあ……」

 

 前にも出てきた話題だが、腐れ縁の旧友こと”ガルド・ゴア・ボーマン”が現在テストパイロットとして招聘されているのがそのYF-21だった。 だが……

 

『そっちじゃないです』

 

「ん? じゃあ、一緒にテストされてるって噂の新型無人機(ゴースト)のことか?」

 

『そっちでもないです。それに試作無人要撃ユニット”ゴーストX9”は、別にギャラクシー・アライアンスだけの製品ってわけではありません。スーパーノヴァ・アライアンスもがっつり嚙んでます』

 

 となるとイサムにも心当たりはない。首を捻っていると、

 

『今回のヤマトへのVF-17Sの搬入、”新しい技術を先行導入した高性能機の最新版”アピールってだけでは済まないんです。いや、むしろYF-21開発すら本命でもなく、技術実証目的のサブプランなのかもしれない』

 

「ヤン、お前何を言って……」

 

『イサムさん、ギャラクシー・アライアンスは今、極秘裏に”ある機体”を自社開発してるんです。詳細までは分かりませんが……現在、YF-21でテスト中の、あるいはVF-17Sに前倒し採用された次世代機技術を盛り込んだ()()()()()()()()()などの最新技術を搭載する、VF-17の()()()()をです』

 

「はっ? それは初耳だが……だが、そんなもん今更作ってどうなんだ? 要するにVF-17の”近代化改修(レトロフィット)モデル”ってこったろ?」

 

『わかってない、わかってないですよ……そんな生半可な物、ギャラクシー・アライアンスが作るはずないじゃないですか。VF-11はどうやって信頼と信用と実績を作ったんですか?』

 

 今度は大きくかぶりを振るのはヤンの方だった。

 

「あん?」

 

『VF-17シリーズはガミラスの宇宙戦闘機を数々の戦場で圧倒し、信頼も信用も実績も十分にある。今回の”超長距離航海”で更なる実績をあげるでしょう……既に下地はできてます。分かりますか? VF-17Sは”開発中の再設計機”のテストベッドも兼ねてるんです。言い方を変えれば、S型に採用された技術は実績とテスト結果を土産にして帰ってくるんです。それらを使った新型機が怖くないわけないじゃないですか……!』

 

「ちょ、ノイマンさん……?」

 

『わかりませんか? ギャラクシー・アライアンスは本気でVF-11のシェアを奪い取りにきてるんですよ。おそらく新型再設計機は性能的には圧倒的なそれではなくVF17を明確に超え、汎用性やそれに付随する要素はVF-11並みになるでしょう。そして調達コストは間違いなく僕のVF-19より安価を狙う。僕なら絶対にそうする』

 

 いよいよ話がわからなくなってきたイサムに、

 

『完全な新規設計でなく既存機の再設計を行う最大のメリットはそこなんですよ。背系に必要な膨大なコストと時間を著しく圧縮できるんです。その圧縮分は販売価格に反映できる……つまりトータルで安く作れ、安く売れるんです。VF-11の成功を研究しつくした、コストパフォーマンス最強の機体のできあがりでしょうね』

 

 

 

 奇しくもヤン・ノイマンの予想は、かれにとりあまり嬉しくない形で的中する事になるのだが……それはまだ未来の話。

 この物語がその時代まで語られるかも分からない時間の先にある話だ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 その後、いくつかの会話を交わしてヤンとの通信は切れた。

 唯一イサムを喜ばせたのは、彼の”YF-19/2号機(カワイ子ちゃん)”も実践を見越したアップデートなりなんなりを受けれるということだった。ついでに言えば、現在のガールフレンドで事実上、2号機専属整備員(現在、兼任で整備指導員)となっている”ルーシー・マクミラン”も同行できることも吉報だろう。

 ゴキゴキと凝った肩をほぐした後、進と玲に振り返ると、

 

「すまんな、二人共。つまらん話に巻き込んで」

 

 と非常に珍しい事に素直な謝罪の言葉を述べた。きっと件の親友なら「偽者」を疑う珍事だ。

 

「い、いえ教官。そんなことは……」

 

「は、はい。私も進さんと一緒ならば異論は」

 

「そっかそっか。本当はもっと自由に宇宙(ソラ)を飛ばしてやりたかったんだがなぁ」

 

 イサムは少年のような笑みで、

 

「いっちょ行ってみるか? 未踏の銀河、さらにその先へ」

 

 すると進と玲は綺麗にそろえた敬礼で、

 

「「サー! イエッサー!!」」

 

「だからお前らは固いっつーの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時に西暦2199年4月1日

 

 その日、地球連邦全領域に衝撃のニュースが走った。

 大ガミラス帝星(ガミラス帝国)との開戦から8年が経過し、誰しも変わらぬ9年目が始まると思っていた矢先……10年以上の長期戦を覚悟していた連邦市民にこの上ない吉報が舞い込んだのだ。

 

 なんと、ガミラスの唯一の友好国とされるイスカンダルという星から王族の使者が来訪し、「ガミラスが停戦を望んでいて、イスカンダルがそれを責任もって仲介する」と申し出たというのだ。

 

 地球連邦市民の9割以上はガミラスとの戦争に反対はしていなかった。なぜなら連邦軍が行っているのは完全な「自衛の為の防衛戦争」だからだ。

 その証拠に地球はどれほど勝とうがガミラスが領土権を主張する星を奪わなかった。ただの一つの星も奪われず、ただの一つの星も奪っていない。地球連邦政府が主張する「領土的野心を持たず、降りかかる火の粉を振り払うだけの戦争」という市民受けの良い、耳触りの良いプロパガンダが虚偽ではなく事実だということを改めて認識したのだ。

 実は地球連邦は現在の領宙すらもテレザート方面にずきゅんと伸びたせいで持て余し気味で、人口学的にこれ以上の領土は管理不可能。領土的野心を持たないのではなく「持てない」という事情など大して知らなかった。

 

 だから、同じく9割以上の連邦市民は停戦を歓迎したのだ。

 自衛戦争自体には反対しないが、母国が8年間も戦争状態にあるというのは精神衛生上、大変よろしくなかったからだ。

 例えば、何か生活に必要な物資が配給制になったわけではない。それどころか自然上昇以外の物価の高騰も確認されなかった。

 むしろ、戦争特需の好景気でさえあった。

 

 戦死者/行方不明者は多い年でも1万人を超えず、ここ2年は年間1000人を割り込んでいた。その為、門戸を広げた軍へ志願者だけで兵力の補充は軍の規模拡大分を含めても余りあり、政治家は末端に至るまで誰も徴兵を考えなかった。

 

 市民生活において特に目立った公共サービスの質的あるいは量的な低下もなく、感じられるのは消費税が”戦争税”の名目で5%上乗せされた事と、出るたびに投資家や投機家の奪い合いになる戦時国債(国防債)発行のニュースくらいだった。

 

 だが、そうは言っても戦時下の国家には付き物のどこか重苦しい空気がなかった訳ではない。

 例えば、それは上記の9割以上の人々に含まれない人々が起こす騒動。

 報復を叫ぶ戦死者遺族や、声高に逆侵攻を主張する過激派……平時には見られない一部の連邦市民の行動を目にするたび、今が戦時下である事を自覚してしまう。

 

 だからといって彼らに過剰に同情することも、あるいは必要以上に関心を持つことも、政治家や9割以上の市民はしない。

 だからこそ、彼ら彼女らは「そういうのもいるな」という認識しか持たれない”一割以下の市民(マイノリティー)”でしかなかった。

 民主主義において、少数の意見は尊重されることはあっても、国家の総意となることはない。多数決こそが唯一の正義であり、逆にそこに正義はない。だからこそ多数派工作は必要不可欠なのだ。

 

 中には暴発した少数派市民が”許容されるべき一線”を越えてしまうケースもある。

 だが、そこは逆に民主主義国家の苛烈な側面が顔を出す。

 「絶対多数の最大幸福」を武器で覆そうとした少数派の更に少数は、ことごとく”()()”された。

 弾圧でも粛清でもましてや逮捕でもなく、その真相が公表される事も報道される事もなく、ただ消えるのだった。

 何のことはない。古今東西、主義主張を問わずあらゆる国家が持っていた”暗部”が、また地球連邦にも受け継がれているというだけだ。

 いつの世にも、「生きているより生きていない方が都合の良い人間」というのは存在する。

 

 彼ら彼女らに絶望的なのは、「軍部最大のタカ派」と目される芹沢一派でさえ、停戦自体には全く反対していない。ただ、「安易な停戦は戦後の国家間パワーバランスに不利に働く」と慎重論を言ってるだけだ。

 むしろ、後年の資料から戦争継続派をもっとも毛嫌いしていたのは、芹沢虎徹本人だったとされる。

 

 口には出さなくとも誰もが終わりの見えない戦争にうんざりしていた……

 

 それが良くも悪くも今の地球連邦であり、そんな空気の中「ヤマト計画」は準備期間を終え、本格的に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず、一区切りということで。
次回からは出航までのよもやま話的な感じかな?

ちょっとペースが遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。


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