たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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一話丸々地球連邦の宇宙船の話です。
趣味に走りまくってます。
なので読む人にとっては、すんげーつまらない話かもしれません。
でも、「ヤマトがなぜあの形になったのか?」という意味を、別の側面から書いて見たかったんです。
あとばらまいた伏線の部分回収とかw







第23話:”ぼくらのうちゅうせんのはなし”

 

 

 

”SSX-Y001 ヤマト”

 

 SSは特殊艦を示す”Special Ship”の略。Xは航空機のXナンバーと同じく「量産を前提としてない試作」を意味し、Yはヤマトを表し001は壱号である事を示している。

 日本語風に訳すなら、”試作特殊壱号艦 ヤマト”とでもなるだろうか?

 

 だが、ヤマトという名より連邦市民を歓喜させたのは、”その姿”だった。

 

 

 

 実はガミラスと会戦する前の地球連邦の船は大きく三つの源流があるとされていた。

 

 一つ目は”マクロス型(メガロード型)”

 南アタリア島に存在していた人類が最初に発見した異星人の船を原型とする、「連邦最大の宇宙艦船」シリーズ。

 だが、実は”マクロス型”というのは表記的には正しくはない。南アタリア島に奇岩山として眠っていた”マクロス”と名付けられた、おそらくはホモサピエンスより遥かに大きな人類が運航していたと推測されるこの船は、後の調査で周囲の地層から推定12000年前に落着したと思われた。

 そして、それだけ古い船であればこそ第四次世界大戦(統合戦争)以降に行われた本格的な解析と修復は困難を極めた。

 武装はすべて使用不可であり、人類に大きな恩恵をもたらすはずだった”空間歪曲超光速航行装置”、後に”フォールド航法装置”と呼ばれるそれも、当時の人類ではお手上げだった。

 いや、むしろメインリアクターと重力制御装置と慣性制御装置が可動できたことが奇跡的なのかもしれない。

 そしてゼントラーディ艦隊の接近もなく、仮に接近したとしても状態的にブービートラップは発動不可だったであろうマクロスは、まず「地球人類史上、速度や反動推進に頼らず初めて地球の引力を離脱した船」としてその名を残した。

 そして、マクロスの大きな歴史的偉業は、実は火星到着と以後の開発が頂点とする意見がある。

 そう、巨人用の宇宙船だったせいか、マクロスには無駄に広い空間がいくつもあった。原作と異なり別に避難民が乗り込んでいるわけではないのでその有効利用法を考えていた出来たばかりの地球連邦政府は、その巨大なペイロードに目を付け、これまでとは人員も規模も違う本格的な火星調査……火星開拓や火星への移民の下準備を行う為に投入したのだ。

 そしてその調査で発見されたのが、後述する”古代火星遺跡”だったのだ。

 途中を端折って申し訳ないが、マクロスを運用するうちにそのテクノロジーを把握し、おそらく系統が近い……同じ”インフレーション理論”を根幹とする古代火星遺跡の先史文明テクノロジーの解析が進み、ついにフォールド航法装置の復元までこぎ着けた……のだが、やはり巨人用の船を地球人が使うのは呼応率が悪すぎ、フォールド航法装置の生産の目途がたった時代には、マクロスは記念艦として保存する(モスポールではなく、あくまで人類の足跡を示すモニュメントとして処理)事が決まった。

 そして、マクロスの構造を引き継いで設計され、純地球製宇宙船として生まれたのが、(当時としては)超長距離航行可能な多目的艦”メガロード”だった。

 もし、”メガロード”型の建造がなければ、地球は未だにテレサに出会えてなかったのかもしれない。

 

 二つ目は既に作中にも登場した”ナデシコ型

 今でこそ旗艦型戦艦のネームシップとして戦場を駆け巡っているが、その始まりである最初のナデシコ、”ナデシコA”は実は古代火星遺跡から発掘された、当時の地球の技術水準を大幅に凌駕した「先史文明(?)のテクノロジー」を船の形にまとめた”実験/技術実証艦”だったのだ。

 実はナデシコ・シリーズ、意外なことにA~Cまでは実験艦であり、同型艦も同級艦も存在しなかったのだ。

 軍艦としてちゃんとそれなりの数を建造されるようになったのはD型からで、それほど昔の話ではない(現行はE型)

 そして、数々の実験や技術実証を行い”宇宙(そら)飛ぶ実験室”と揶揄されたナデシコAの最大の功績と言えば、やはり量子跳躍(ボゾンジャンプ)実験を兼ねた木星への航海で、その衛星ガニメデ/エウロパ/カリウスに火星遺跡と全く同じ系列の”先史文明の自動工業プラント”を偶然から発見したことだろう。

 休眠状態に置かれていたそれらは、保存状態もよくそれ自体が巨大なデータベースとしての機能もあったため、それまで謎、あるいはブラックボックスとされていた火星遺跡のテクノロジーの解析が大幅に進み、それが前述のマクロスのフォールド航法装置復元にも繋がったのだ。

 余談ではあるが、この木星プラントで製造された多目的昆虫型ロボットは、宇宙開発の大きな原動力になったらしい。

 

 

 

 そして最後が、”エンタープライズ型

 意外にもこのシリーズの船こそが実は一番新しいタイプ。その開発経緯は、今から100年ちょっとほど前、「テレサの呼び声」に応えた地球が当時唯一光速を超えられる船だったメガロード型の1隻をテレザートに送り出し、それが無事に辿り着いた時に始まった。

 最新のメガロード型でもフォールド航法で飛べるのは今の1/4程度の1ジャンプ50光年ほど。無論、制限は一日1回だ。

 それでもコールドスリープによるローテーションで酸素や食料の消費を抑え、一年以上の時間をかけてやってきた地球人を待っていたのは全裸がデフォのロリ系金髪美少女と、文字通り無尽蔵の反物質だった。

 庇護と引き換えに安定的反物質供給源を得た地球は驚くべき、あるいは”神がかった”速さで反物質炉を実用化し、矢継ぎ早に空間歪曲法ではなく”通常空間を加速して光速を超える”スタートレック式のワープ技術を完成させた。

 そして地球人類最初の通常空間超光速航行船”NX-01 エンタープライズ”が建造されたのだった。

 そして、この”エンタープライズを原型とする宇宙船”が、地球連邦を「宇宙開拓の黄金期」に導いたのだ。

 どういうことか?

 テレサと接触後、地球は周辺宙域の本格的な調査をすることを決定した。その時、「どのような船を建造して向かわせるか?」という事が問題となった。その調査範囲は、遠くても半径500光年以内とされたので、巨大過ぎるメガロード型ではなく、ナデシコ型をベーシックとする事は決まったのだが……「ナデシコ型のディストーション・ブレードが剣を突き出してるようで攻撃的に見えないか?」という意見が出たのだ。

 探査船は「接触するかもしれない異星人に威圧感や敵愾心を与えないデザイン」という事が重要視されていたので、割と深刻に受け止められた。別にどこぞの自衛隊に文句をつけることが存在意義の自称市民団体じゃあるまいし「自衛用装備を持つな」という話ではない。「持つのは構わないが、見た目で相手を不必要に刺激するな」という話だ。

 どうもこの時代の地球連邦は「機械文明以前の異星人との接触」まで想定していた()()があるのだが……それはともかく、ナデシコ型になぜディストーション・ブレードが搭載されているのかといえば、小惑星破砕などを目的とした主装備”グラビティ・ブラスト”、指向性位相重力波を収束をするためだった。難しい理屈は置いておくとして、ナデシコのグラビティ・ブラストは「対象を重力で押しつぶし、圧壊させる」装備であった。

 だが、「通常空間ワープを搭載する探査船」で一番必要とされたのは「光速を超えるまでの加速路の確保」であり、それにグラビティ・ブラストを使う予定だったが……だが、よくよく考えてみれば何も衝突したらダメージが入りそうなデブリなどを圧壊させる必要はなく、むしろ「重力波で安全領域まで押し流せればいいのでは?」という結論に達したのだった。対象を押し潰すほどの圧縮を駆けないのであれば、別にディストーション・ブレードは特に必要としない。

 また、小惑星などを破砕する必要があるのなら、同じくテレザート星からの潤沢で安定的な反物質で実用可能となった”光子魚雷”があり、射程こそ短く速度こそ遅い物の威力は高く精密誘導も可能なことから「敵艦と戦うのではなく障害物を排除するだけならこれで十分」とされた。

 何とも奇妙な縁だが、原作では「エンタープライズのリスペクトでナデシコのデザインは生まれた」のだが、この世界線では逆に「ナデシコから前脚を削った結果、探査船の基礎デザインが出来上がった」のだった。

 

 緊急事態には切り離され脱出船にもなる円盤状の第一船体、先端の開口部に収束型ではなく放出型のグラビティ・ブラストを搭載し、内部にはフォールド式トランス・ワープシステムと熱核反応炉に反物質炉、通常空間ワープ装置というメイン動力炉と二種類のワープシステムを備えた円筒状の第二船体、第二船体から左右に伸びるエンジンポッドには真空相転移機関やインパルス・ドライブが内蔵される。

 詳しい人なら分かると思うが、厳密にはオリジナルの歴代エンタープライズとはレイアウトが少々異なる。

 例えば、本来ならワープナセルがある位置に真空相転移機関があるし、通常空間ワープシステムは一式が第二船体に一体化されている。

 これが原作とのテクノロジーの差異というものなのだろう。

 

 

 

 だが、重要なのはこれらの姉妹が「軍艦には見えない美しい船」だということだろう。

 厳密に言えばこのタイプの探査船で”エンタープライズ・タイプ”と呼んでいいのは始まりの船であり実験艦ゆえに初期のナデシコ同様に同型艦が存在しない”NX-01”だけだ。

 実際、上記の装備とレイアウトをもった実用量産型探査船の最初のシリーズは約90年と少し前に登場した”コンスティテューション級”であり、続いて建造された現在でも主力探査船の一角を占める”エクセルシオール級”、同族の最新シリーズである”アンバサダー級”に至るまで、”エンタープライズというネームシップ”は()()()()()

 しかし、地球人は今でのこのカタチの船をエンタープライズ型と呼び続ける。

 

 それは何も”旧アメリカの幸運艦にあやかった”からではない。

 ”Enterprise”とは一般的には”企業”という意味になるが、実はもう一つ意味がある。それは”冒険”

 

 そう、このシルエットを持つ船は、その名の通り地球から飛び立ち広域探査という名目で宇宙を冒険し、多くの富と何より他の惑星を起源とする多くの友人を地球にもたらした。

 そう、”今こそが地球の黄金期”と呼べるほどに!

 

 

 

 そして何より誇るべきは……エンタープライズ型は()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 他の惑星の住人ともめたことはある。自衛の為に武器を使ったこともあるだろう。

 だが、ただの一度も接触した異星人と戦争に至ってない事もまた紛れもない事実だった。

 

 だから地球連邦市民は期待してしまうのだろう。

 エンタープライズの系譜に繋がる、この美しい船(ヤマト)ならば、きっと銀河をまたにかけた大冒険の果てに、ガミラスとの和平という最大の財宝を持ち帰って来てくれるだろうと。

 

 言葉には出さなくとも、それがきっと地球連邦市民の祈りに似た願いなのだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやー、難産でした。
平日だから執筆時間が取れなくてw

そして何故か文字数だけだったら過去最大。

次回はいつになるかわかりませんが、いよいよ乗船が始まりそうです。

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