たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
短めだけど味付けは濃い目のつもり。
この時点で出てはいけないキャラが出ます。
いわゆるフライング登場。
サブタイの意味は……お察しください。
桜の花から新緑へと変わる木々の彩が、季節が移り替わりを伝える頃……
その日、古代進と山本
無論、指をしっかり絡める恋人つなぎで。
極秘裏にされていた時代は、人がいても閑散というより静謐であり、どこか厳格だったこの巨大ドックも、今は乗り込み予定の人間が続々と到着し、活気にあふれ賑やいだ空気に入れ替わっていた。
この例えは我ながらどうかと思うが、縁日の空気に近い気もする。
無論、屋台や出店が基地祭のように立ち並んでるわけではないが、どこか集まる人々の中に腹の底から滲むような高揚感が感じられる。
そんな中、
「どけどけーい! 空間騎兵隊だ! 当たると痛ぇぞ!」
威勢の良い野太い掛け声の割には、ゆるりゆるりと慎重な運転で搬入車両がヤマトへ向かっていく。
その剝き出しの荷台に積まれた人型を横目で見ながら、
「”
そんな進の呟きがたまたま聞こえたのか、搬入を指揮していた巨漢がツカツカとやってくる。
「おいおい兄ちゃん、”コイツ”をそんなけったいなモンと同じにされちゃ困るぜ?」
とその”曹長”の階級章をつけた男はODカラーに塗られた明らかに軍用のそれを親指で指した。
角度の問題かはたまた身長差ゆえか、幸か不幸か進の階級章は見えていないらしい。
「ということは、工兵に配備される新型パワーローダーではないってことか」
「あたぼーよ! コイツは”試製99式空間機動甲冑”ってんだ! 確かに重機の真似事もできるが、純粋な戦闘用だぜ?」
「ああっ! 艦内とかの閉所戦闘とかに使う!」
ポンと手を叩くことで進は得心を示す。
実はガミラスと戦争が始まる前は、地球連邦宇宙軍の仕事で、海賊船や密輸船を含む不審宇宙船を取り締まる任務は大きな比重を占めていた。
そして、停船した、あるいはエンジンルームを撃ち抜くなどで停船させた船にいの一番に乗り込み、抵抗するならそれを鎮圧する「命知らずの特攻野郎アタック・チーム」こそが、空間騎兵隊だった。要するに宇宙時代のネイビーシールズのようなものだ。
ガミラスとの会戦後はガミラス艦の拿捕やその他の任務も加わった為、大規模な組織改編があり、空間騎兵隊は今は新設された”地球連邦宇宙海兵隊”の麾下組織となっている。
「空間騎兵隊の新型かぁ。そりゃ頼もしい」
進は伊達に二十歳そこそこで大尉を賜っていない。艦隊同士の派手な撃ち合いや超高速展開の航空戦には確かに出番はないかもしれないが、抵抗激しいかもしれない敵艦に真っ先に乗り込み、あるいは味方の救助に拠点の設営など、様々な分野で八面六臂の「縁の下の力持ち」を演じる海兵隊や騎兵隊を軽んじることはない。
正面から敵と殴り合うだけが軍隊じゃないと、進は嫌というほど諭されたのだ。
実際、空間騎兵隊の大金星の中には、ガミラスが拠点にしようと運んでいた”浮遊大陸”の強奪なんてにわかには信じられないものもあるのだ。
「へへっ。兄ちゃん、まだ若そうなのにわかってるじゃねぇか!」
バンバンと景気よく進の背中を叩く巨漢に、「私の進さんに気安く触らないで」的な視線を向ける玲。
だが、その時……
「このおバカ―ーーーーッ!!」
”げしっ!!”
「おごっ!?」
常人では目視できないスピードの飛び蹴りで、巨大な肉体は弧を描いて綺麗にすっ飛んだ!!
***
「”永倉”ァッ! てめぇ、いきなり何てことしやがるっ!? お前の軍靴、
しかし、巨漢に馬
「隊長! 何てことしやがるはこっちのセリフだよっ!! あんた、上官になんて口の利き方と態度してんのさっ!?」
一瞬、啞然とする進だったが、彼の目を引いたのは頭から生える
(えっ? ”エクリプス人”……?)
エクリプス人
惑星”カンバーランド”を発祥の地とする、地球起源種が遭遇したアルミラージ人と同じ三種の獣人系の一つ。
スタミナとパワーに優れスピードもホモサピエンスよりも優れている(ただし、瞬発力や加速度、瞬間最大速度はアルミラージ人の方が上らしい)。
外観上の特徴は、地球産の馬を思わせる耳と尻尾……間違っても”
お兄さんとの約束だ。
ちなみに男にも耳と尻尾はあるし、ついでに言えば異世界からの魂や名前は引き継いでない。
だから、地球連邦と接触した時代の鹿毛が美しい女王の名が”ルドルフ”だったとしても、シンボリが付かない以上は本人ではない。偶然だ。
しかもその女王は駄洒落が特に好きというわけでもなかったらしいので、全くの別バだろう。
確かに走ることが三度の飯より好きな(飯の方が好きな例外もいるが)彼女たちは、地球連邦のエンターテイメントの一翼を担っているが、このポニーテールの彼女のように軍や警察で身を立てる者も多い。
要するにやや血の気が多くて割と鉄火場好き。ただし、牝馬に限る。牡馬は基本的に気性穏やかで故に数が少ない……と言われている。もしかしたら
本来の意味の”Eclipse”は、古代ギリシャ語で「姿を消す」などの意味を持つ”εκλειπσισ (ékleipsis)”由来で、日食や月食なんか天体現象の「蝕」の事を言う。彼女たちの故郷の星は地球に比べても頻繫に日食や月食が観測できるスポットで、天文学者や天文マニアの垂涎の的となっている。
エクリプス人の伝承によれば、「地上から姿を消し天へと駆け上がった偉大な始祖が、太陽や月を噛み千切ってるから欠けるのだ」とされている。
その偉大な始祖の名が”エクリプス”。もうここまでくると地球に残る名詞と偶然の一致と呼ぶのが苦しくなってくる。
「へっ? 上官?」
「あんたの目は節穴かっ! 軍人なのに階級章の一つも見分けられないのかいっ!?」
ちなみにエクリプス人は、とても目が良い事で知られている。
「なぬっ……?」
言われた通り進の階級章をまじまじと見ると、
「うげっ!? 大尉殿ぉっ!!?」
エクリプス人の女性をうまだっちさせたまま、その巨漢は勢い良く立ち上がり直立不動の敬礼をするのだった。
今回からいよいよ登場ならぬヤマト搭乗篇。あるいは”呉日常編”w
わちゃわちゃキャラが好き勝手に動く予定です。
そして、しょっぱなは……せっかく登場したのにまだ名前が出ない某隊長と試製空間甲冑に属性を追加装備した永倉姐さん。
このシリーズだと地球は負けてないので、二人の出会いはこんなんでも良いのかなと。