たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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今日は理由あってお休み。なのでこの時間に投稿。

まださわり程度ですが、とある新キャラが出てきます。
ある意味、真田さんの相方を務めるのに最適な人ではないかと。

後はテレサのやらかしとかw







第29話:”ジレリアン・ラプソディ 方舟は星を巡らず真っ直ぐ来たようですよ?”

 

 

 

 さて、視点をもはや首都とは呼ばれなくなっている東京(未だに連邦屈指の大都市だが)から再び海軍から宇宙軍と主流が移り変わっても、相変わらずの軍港の街である呉へと戻そう。

 

長寿と繫栄を

 

 地球ではあまり聞きなれない発音で入室してきた耳の長いことが特徴の青年に、この部屋の主である地球連邦軍技術中佐、真田志郎は

 

「長寿と繫栄を」

 

 と同じように返す。それなりの付き合いになってきた技術少佐に真田は同じく第二第三指および第四第五指をそれぞれつけた状態で、双方の間隔を空ける手の形で返す。

 とある世界線では”ヴァルカン・サリュート”と呼ばれる挨拶の仕草だが、生憎と今の地球連邦にヴァルカン人を名乗る種族との付き合いはない。

 なので当然、彼はヴァルカン人ではない。

 だが、「耳が長く、精神感応を使う」というよく似た種族の人型知的生命体の血を引いていた。

 

「中佐殿の”ジレル式挨拶(ジレル・サリュート)”も様になってきたようですね?」

 

「君の指南のおかげさ。”スポックス少佐”」

 

 彼の名は”スポックス・バーナム・グレイソン”。真田と同じ技術将校で、階級は少佐。

 血族的には、()()()()と地球人のハーフ」だ。

 彼の故郷である惑星”ニモイ”では苗字やミドルネームを付ける習慣はないが、連邦軍に入隊するときに必要だった為に、地球起源系の母の苗字と、敬愛する義姉のファミリーネームを貰った。

 以前、「魔法の代わりに精神感応が使える宇宙エルフ」のような表現があった事を覚えている方はいらっしゃるだろうか?

 それがまさに”ジレル人”のことである。

 

 何故、ジレル人が故郷より遠く離れた天の川銀河の辺境、地球連邦にいるのだろうか?

 それは一世紀ちょっと前から地球連邦史に度々登場する大小問わぬ”テレサのやらかし”、その中でも現時点で確認されてる最大級の”やらかし”こそが直接の原因だった。

 

 一言で言ってしまえば……「テレサが呼び寄せた」のである。

 

 

 

***

 

 

 

 話は槙原康介が転生する前、半世紀ほど前に遡る。

 その日、突如、テレサは等身大どころか木星より大きな自分の裸体を地球近海に投影したのだ。無修正だった。

 そして、この金髪ロリ型全裸系精神生命体は、人類史上最大であろう露出プレイ(無論、物理的な大きさという意味)を敢行しながら、こうのたもうたのだ。

 

敬愛すべき地球連邦市民の皆さん、もうすぐ我々の友愛の場所とするこの星々の海へ、新たな友人となるべき者達が大きな()()()()()訪れます

 

 えっ? 喋り方が違うだろうって? 「コースケと出会うまではにゃんこかぶってた♪」とは本人の弁。

 おそらくこの頃はリメイク版原作テレサに近いイメージで、連邦上層部や連邦首脳部をだまくらかしていたのだろう。

 いや、もしかしたら槙原代議士以外の者の前では、未だにこの偽テレサ・モードで通してるのかもしれないが。

 

 そしてしかる後に、精神感応式イメージ動画配信を行ったのだ。

 内容は無論、「ジレル人の歩んだ迫害と弾圧、悲劇と哀しみの歴史(テレサによるディレクターズカット版)」だ。

 

 ジレル人という種族は、周辺の人類とは異なる容姿……長い耳と刺青のような体に浮かび上がる紋様、何よりも持ち前の精神感応(テレパス)系能力故に異物として忌避され、恐れられ、故に迫害されてきた歴史を持つ。

 

 実はジレル人が異質だったのにはちゃんとした理由がある。

 遥か遥か昔、下手をすれば古代アケーリアス文明に手が届きそうな昔、彼ら彼女らはこことは違う星々の海の彼方から巨大な恒星間移民船”シャンブロウ”に乗り、その地へやってきたのだという。

 つまり、もともと土着の民ではなかったのだ。

 気が遠くなる放浪の旅路で、本当の故郷が既に分からなくなっていたため自分達の先祖が乗ってきたシャンブロウを自分達のルーツ、聖地と定め新天地で生きていこうとしたのだ。

 

 だが、周辺の星の人々は、最後までジレルの民を異物とみなした。

 だから、ジレル人に対する嫌悪が頂点に達したとき、本気で排除しようとしたのだ。

 公式に彼らの母星は滅んだとされるが……それは周辺の人類から一斉攻撃された事が原因だった。

 

 しかし、苛烈な攻撃でジレル人の星を焼き払い、そこに住まうジレル人を全滅させたと思った。

 だが、彼らにも計算違いはあった。

 ジレル人は生き残っていたのだ。

 シャンブロウはジレル人にとっての聖地ではあるが、見方によっては古代アケーリアス文明に繋がるロストテクノロジーの塊だ。

 それが知られること自体を恐れ、聖地にすると同時にその存在を秘匿、隠遁した。

 そして、第二の故郷が宣戦布告なき攻撃で住民事焼き払われたその日はジレル人にとり先祖を偲ぶ大切な祝日であり、聖地巡礼に出かけていたジレル人達が大勢居たのだ。

 

 だが、彼ら彼女らは報復よりも隠棲を選んだ。

 シャンブロウの巡礼者は1000万人にも満たず、復讐を遂行するには少なすぎた。

 だからこそ、滅んだと認知されたまま静かに朽ちていくことを選んだのだ。

 

 

 

 だが、ある日を境に転機が訪れる。

 彼ら彼女らが行ったことのない宇宙(ソラ)の彼方から、呼び声が聞こえたのだ。

 そう虐げられ傷ついた彼女たちに、

 

選べ。汝らが望むのは灰燼への回帰か、それとも救済か?

 

 と……

 

 

 

***

 

 

 

 とまあ、宇宙神話っぽいスケールで良い話的にまとめようとしたが、無論、テレサがそんな聖人君主な訳はない。

 彼女の本質は、もっと俗物的で利己的だ。

 そもそも彼女が本気でジレル人を救う気があるなら、とっくの昔にやっていただろう。

 テレサは、ジレル人がその地に辿り着いた時から”見ていた”のに、迫害され弾圧され星が焼かれる様を同じく”見ていた”だけだったのだから。

 

 実を言えば、テレサはジレル人自体には何の感慨も同情も哀れみもない。

 弱肉強食がデフォ設定の宇宙では、嫌になるほどありふれた話だったからだ。

 

 では、なぜこのタイミングで救済なんてらしくもない事を言い出したのか?

 決まっている。

 『カビ臭い遺失技術で作られた船ごと地球連邦に売りつけるのに、()()()()()()()()にまで間引かれた』からだ。

 

 更に言えば、彼女に見えていたいくつかの”因果事象平面の向こう側の景色”が、「ジレル人が地球連邦に属した方が、()()()()()()()()()()()()()()()()」になることを示していた。

 

 また、時節も良かった。

 半世紀前といえば、既に地球は獣人系異星人や巨人族を祖とするマイクローンと、手探りの友好関係構築の時代を超え、地球連邦というフォーマットでよろしくやるのに慣れだした時代だ。

 

 だから、テレサは最初に地球連邦市民を()きつけた。

 市民に政府を動かす動機と大義名分を与えた。

 テレサは彼女なりに民主主義というものを理解していた。

 だが、そこで終わらないのがテレサだ。

 

 ここから先は少なくとも表の歴史には残らない類の話ではあるが……

 彼女は当時の地球連邦上層部に、「ジレル人を受け入れた場合の地球連邦が近い未来に享受できるだろう利益」を極秘裏に淡々と聞かせ、そして結果として上層部は折れた。

 

 だが、地球連邦上層部とてテレサの言葉を鵜吞みにした訳ではない。

 限られた人々だけが閲覧できる、やたらとセキュリティの固い紙媒体の書類にこんな一文が書いてある。

 

……の事案について、10年後、30年後、50年後の経過観察が必要だろう。10年後は我々のうちの誰かができる。だが、30年後にはテレサの言葉を聞いた我々全員が政界から身を引いてるだろうし、50年後は全員が墓の下にいることだろう。だからこそ、我々が見れないだろう未来で連邦の舵取りをしてるだろう諸君らに引継ぎをお願いしたい。そして心せよ。テレサは紛れもなく優秀で有能で強力な()()()()()()()だ。だが同時に、地球連邦にとり、未来永劫欠かすことのできない有益な存在でもある

 

 

 

 表の歴史に記されている内容は、そう多くはない。

 かくて封印を解き、シャンブロウを本来の用途である恒星間移民船に戻したジレル人は再び星々の海へと出航し、先祖の苦難を思えばそう遠くない旅路の果てにテレサの示す約束の地へと辿り着いた。

 

 ジレル人は「命の危機に怯えることのない平穏な日常」を望んだ。

 地球連邦政府は国民として認め、入植可能惑星を含む星系一つを丸々ジレルの民に与えるかわり、国民の三大義務である「教育の義務、勤労の義務、納税の義務」の速やかなる遂行と、加えて「連邦法の順守と失われた古代文明と技術の研究と解明」の仕事を要求した。

 互いに異論はなかった。

 

 

 

 そしてそれより半世紀……

 憎たらしい事に”テレサの預言”はざっと見て、語った物に関しては「八割がた的中」。完璧じゃないところが、そして「なんとなく当たってしまっている」ため全否定できない微妙なラインであるところが、本当に憎たらしい。

 

 だが、結果としてスポックスという得難き人材がヤマトに乗り込むことになったのは、素直に僥倖と言えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後に。

 ジレル人を迫害し、星を焼いた民がガミラスによって全て殲滅されるか隷属させられることも

 その中に惑星”レプタポーダ”が含まれることも

 運命の日……レプタポータにいた為に難を逃れたジレル人を先祖にもつ哀れな少女二人が、ガミラスに救われ上に昇ることも

 

 テレサには全て見えていた。

 

 『くすくすくす♪ ()の因果は()()ね。くるくるくるくる。コースケ、そう思わない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとマジレス。

実はこのシリーズにスタトレ要素を入れると決めた時から、

この世界線のMrスポック=ジレル人と地球人のハーフ

という設定を考えてました。
別に「俺の発想力SUGeeeee!」って話じゃないですよ?
実は2199本放送当時から、「ジレル人の元ネタってヴァルカン人じゃね?」って話はファンの間で言われてたんですよ。
曰く、

・耳長で精神感応系能力使い
・迫害の歴史

前者はヴァルカン人の分かりやすい特徴で、後者は原作スポック氏の過去エピソードです。
そんなのを覚えていたので、設定に生かしたいと思った結果がこのエピソードです。

あと、あんまりヤマト二次で掘り下げられる事が少ないジレル人にスポットライトを当てたかったという個人的な欲求もありますが。


あと、この世界線のテレサはこんなんですw




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