たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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記念すべき第30話なのにまたしてもヤロー二人しか出てこない件について。
まあ、でも珍しい組み合わせなうえ話題はとある女の子が中心なので、少しは色気あるかも。
割と色々湿度とか遠回しの微エロとかがあるので閲覧注意かなと。

あっ、BL的なそれではないです。
一応、複線回収もあったりなかったり。










第30話:”異種族☆飲みにケーション”

 

 

 

 イスカンダル姉妹、スポックス氏とジレル人の歴史と地球の関わり(+全裸ロリ精神生命体の暗躍)など軽いんだか重いんだかよくわからない話が続いたので、少し軽めの話題でもしようと思う。

 例えば、

 

「たまにはこうして男同士、二人で飲むのも悪くないだろ? 進君」

 

「誘って貰って光栄ですよ。明さん」

 

 ここは呉市内にあるオサレなショットバー”アンカーズ・ハウス”。”錨の家”とは西暦2199年の今でも軍港の街、地上の海と宇宙の海の違いはあれど、船乗りたちが集まるこの街らしいネーミングだった。

 

 バーカウンターに並んで座るのは、偵察隊の若きエースで髪に埋もれるようなロップイヤーが愛らしいアルミラージ系地球人の山本明、そして新型機実験隊の誇る秀才、古代進であった。

 古代といえば、いつもつるむのは山本は山本でも妹の方でねーの?と思うかもしれない。

 確かに山本玲は、進といつも一緒、ご飯も一緒、お風呂も一緒、おトイレはご主人様の前でというライフスタイルを堪能してる(何か妙なのが混じってたような気もするが……)が、本当に比喩でなく一秒も離れずという訳ではない。

 例えば今、玲はミルクチョコレート色の肌を白濁に染めて余韻に浸りながら安らかに寝息を立ててる頃ではないだろうか?

 別の種族なら「こいつらうまぴょいしたんだ!」と言われるシチュエーションの事後というところだろう。

 

 蛇足ながら玲は特別にヤマトでも進の部屋で暮らす許可を得ている。また、進に割り当てられた部屋は、兄の古代守と妻の薫に割り当てられた物と同じ夫婦用のそれだ。

 階級とか権力とかは、持ってて嬉しいコレクションではないという実例ではある。

 

 ん? 男なら甲斐性見せて起きるまでそばにいてやれって?

 いやいや、自分が動けない(あるいは動きたくない)時に進の行動を縛るのは、むしろ玲が望まない。

 逆に大好きな兄の誘いなら、是非受けて欲しい言うだろう。

 

「今日はおごるよ。正直、君にはいつも感謝してるんだ」

 

「感謝? 俺、明さんに感謝されるようなこと何かしましたっけ?」

 

 本日は階級がものを言う軍務中ではなくプライベート。なので、進も仲の良い年上と接する雰囲気だ。

 

「勿論。だって玲を”飼って”くれてるだろ?」

 

”ぶほっ!”

 

 いきなりのカウンターパンチに思わず飲んでたジントニックを噴き出す進であった。

 

「あ、明さん、あの、その」

 

 しどろもどろになる進に明は苦笑しながら、

 

「気にすることはないよ。玲が望んだことだろう? おそらく『私を飼ってください』とか『ご主人様になってください』とかってねだられたんじゃないのかい?」

 

「うっ……」

 

 どうやら図星だったようだ。

 特に深い意味はないが……彼の部屋には、野戦用簡易トイレなどに使われる生分解特化型ナノマシンを敷き詰めた砂箱があるらしい。

 特に深い意味はないが……その砂箱には手書きで”れい”と書かれてるらしい。

 繰り返すが深い意味はない。ちなみに古代進は犬も猫も飼ってはいない。

 

「君も甘いというか、付き合いが良いというか……まあ、玲が地球起源種(アーシアン)のように恋人だなんて”ぬるい関係”で満足するとは、到底思えないからね」

 

「”ぬるい”……ですか?」

 

「ああ」

 

 明は頷き、

 

「僕たちウサギ型人類(ラビティアン)は、アーシアンとは異なるメンタリティや倫理観、種族特性があるのは知ってるよね?」

 

 少し明の発言をフォローしておくと、アルミラージ人が特に「母星以外で生活する事を選んだ同族」を”ラビティアン”、エクリプス人が同じ条件の同族をウマ型人類(ホーシアン)と他称あるいは自称するのはよくあることなのだという。

 明確にそういう記載がある訳ではないが、どうも本来の種族名であるアルミラージ人やエクリプス人という名称は、特に母星外生まれの若い世代にとり『母星で伝統的な生活を営む保守的な同族』というニュアンスがあるらしい。

 とはいえ、別に種族名で呼ばれることに忌避感があるわけではない。要するに使い分けてるという事だろう。

 

 断っておくが、彼ら彼女らの母星が全く近代化してないという意味ではない。

 獣人系の母星に限らず、地球連邦の人類居住惑星はずどーんと軌道エレベーターが立ち、その宇宙側の先端にはバラストを兼ねた宇宙港があり、オービタルリング状に多重化設置された、万が一の落下した際は大気圏内の空力加熱で燃え尽きる素材が用いられた太陽光発電衛星で24時間体制で常に100%以上の安定的電力供給が受けられるインフラがある。

 衛星は通信中継器やら宇宙灯台も兼ねるので、21世紀でいうところのGPSもスマホも惑星上のどこでも使えるしどこでもつながる。

 そもそも基本的な生活インフラや情報インフラが整わない所には、連邦憲章的な側面から見ても居住許可がおりないのだ。

 お陰でアルミラージ人の母星である”アル=ティニン”やエクリプス人の母星である”カンバーランド”、あるいは巨人族の末裔が住む惑星”カールチューン”、半世紀前にジレル人の新たな故郷となった惑星”ニモイ”でも、例えばちょっとした町であればコンビニはどこでも見かけられるレベルになっている。

 

「それはまあ、一応は」

 

「僕たちにとり”恋人”っていうのは、”恋愛感情()()()結びついた間柄”の名前で、逆に言えば情が無くなればすぐにでも破綻する脆い関係ってイメージなんだ」

 

「ええっ……」

 

 確かに進は、地球起源以外の人種の女の子を好んではいる。

 おそらくだが、幼い頃からあった宇宙への憧れ、子供の頃に読んだエンタープライズ型と呼ばれた宇宙探査船シリーズが成し遂げた多くの異星人との間に芽生えた絆に心躍らされた日々……

 そんな積み重ねが女の子の好みにも反映されたのだろう。もしかしたら進にとって”最も身近な宇宙”は女の子なのかもしれない。

 まあ、男が女に神秘を感じるのは、古今東西なにも不思議なことではないが、進の場合はそれが大気圏も成層圏も飛び越えて光速を超えたということだろう。

 

 だが、だからといってその実情の深いところまで聞く機会というのは、中々ありそうで無いのだ。

 

「それとね進君。僕たちの種族、どちらかと言えば少数派に分類される”タレ耳持ち(ロップイヤー)”には、オスはそれほどでもないけどメスには顕著な特徴があると言われてるんだ」

 

「?」

 

「研究者曰く”通常のウサ耳持ち(ラビットイヤー)に比べて寂しがり屋で依存心が強い”そうだ。どうも遺伝的な物らしくてね。今のアルミラージ人自体、実は元々今の種族としてあったわけではなく、いくつかの原種と言えるウサギ型人類の混血の結果出来上がったみたいなんだ。多分、その一つのロップイヤーが特徴だった種続がそういう気質だったのかもしれないな」

 

 明はショットグラスに注いだウイスキーで乾いた喉を湿らせ、

 

「進君……アーシアンの君にとり、玲の愛は重くないかい?」

 

 明は進と付き合う前の玲が照明を落とした部屋の片隅で、『進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい進さんに飼われたい……(以下略)』と目のハイライトに仕事放棄させながら延々とブツブツ呟く姿を目撃してしまっていた。

 

 だが、進はきょとんとした顔で、

 

「重いってどういうことです?」

 

 その表情を見た途端、明はハハッっと楽しげに笑う。

 

「君は僕が思ってたよりずっと大物みたいだね? いや、こうやってゆっくり話ができる機会があって実によかった」

 

 そしていくらか砕けた口調で、

 

「感謝してるのは本当なんだぜ? なんせ君が現れなければ、玲はそのうち軽く兄妹の垣根を超えそうな気配があったからね。無論、僕には妹とそういう関係になるのは御免だけどね」

 

「えっ!?」

 

 明は愉快そうに、

 

「アーシアンの言葉でいう、いわゆる”ブラコン”だったんだよ。君にベタ惚れする前の玲はさ。そして残念なことに、ラビティアン的にさほど珍しい話って訳じゃない。生物学的にはアウトかもしれないけど、生憎と倫理観的には『まあ、そういうこともあるよね』と流されてしまう程度はあるってことさ」

 

「……何気に凄い話ですね……」

 

「そうかい? まっ、星が変われば価値観なり倫理観なりも変わるってことかな。そういえば、ラビティアン……いや、アルミラージ人が一夫多妻を基本としてるって話を聞いたことは?」

 

「あるにはありますよ」

 

「なら話は早い。僕の見立てだけど、玲はアルミラージ人の御多分に漏れず、独占欲ってものは希薄だと思う。むしろ、この先は……君が”飼い主”としていてくれると安心するなら、玲は”群れ”を大きくしたがるかもしれないよ?」

 

「???」

 

 明は今度はいたずらっぽく笑い、

 

「言ったろ? 寂しがり屋だって。僕たちの種族特性から考えても、群れて過ごす仲間を増やしたがるのは別に可笑しな話じゃないのさ」

 

「えーと……それを聞いて俺はどういうリアクションをとればいいんでしょうか?」

 

「笑えばいいと思うよ?」

 

 

 

 こうして男二人の夜は更けてゆく。

 それは2199年の呉の街ではありふれた風景。

 そしてこの先、とある青年の身に訪れるだろう騒がしい日常を予見した一コマであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




古代進→実は立派な変人枠w

・地球外起源の女の子が大好き
・女の子の興味や趣味が大気圏の向こう側にある
・基本受け身だが、逆に女の子の要求は無茶でなければ大抵は受け入れる。
・重い愛は無茶の範疇には入っていない
・依存してデレデレのグズグズになる女の子は可愛いと思ってる
・色々適応力は高い

今回の話に備えて、小説情報変えたり、保険に必死タグのアンチ・ヘイトをアクティブにしたり、タグにヤンデレを追加したりしましたw

あっ、勿論古代さんアンチとか山本玲ちゃんアンチとかじゃないですよ?
むしろ、原作で丸腰になってメルダを口説きにかかる古代進は、大変好ましいと思ってます。

実は玲のブラコン設定はオリジナルという訳ではなく、2199の漫画版にそんな感じの描写が出てきます。


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