たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
趣味に走りまくってます。
今回と次回くらいは割とマクロス色強め。
そして……色気が撃墜されました。
「おいっ! ちょっと待てヤン! なんでそんな話になったっ!?」
『イスカンダルは人口が少ない。ならば人手を必要としない
ヤマト出航まで半月と迫ったある日……
一般回線より遥かに傍受や盗聴がされにくい軍用秘匿回線で急ぎの通話をかけてきた友人、ヤン・ノイマンの無茶苦茶な言葉に思わずイサム・ダイソンは声を荒げた。
「お前……まだ毛の生えそろってないようなガキ二人を連れてVF-19Aのプロモーションかと思ったら、今度はいけ好かない”X9”の売り込みかよっ!?」
パイロット、特に最新鋭機に乗る可変戦闘機パイロットにはありがちな話だが、ご多分に漏れずイサムも無人機は好いてはいないようだ。
まあ、これはある意味、本能的なものなので仕方ないといえば仕方ないのだが。
『正確には”ゴーストX9
”ゴーストX9”
それは現在、装備試験場として軍が丸々所有するニューホワイトサンズ星系の惑星”ニューエドワーズ”で古い友人が乗っているだろうYF-21共々、未だ実験中の無人機であるはずだ。
少し解説しよう。
そもそもこの世界線の”ゴーストX9”とは、『特定の機体を指す言葉
ゴーストX9とは『第9世代無人機の開発計画』であり、同時に『第9世代無人機のコンセプト』その物だ。
実はこの無人機の先祖と言える半自立型空戦ドローン、1stゴーストとも呼べる「ゴーストのペットネームを持つ最初の無人機」である”QF-2200D”は、早くも200年前の第四次世界大戦(統合戦争)で登場している。
また、2021年現在アフガニスタンなどに試験投入されているとされる「自分で標的を識別し攻撃する」完全自立型攻撃ドローンももてはやされた時代がある。
だが、何れも第四次世界後には開発は下火になってしまった。
それも時代の欲求というべきか?
”無人兵器を投入して戦死者を減らさねばならない(少なくともそういう大義名分が必要な)戦争”という状況が、ガミラスと開戦するまで無くなってしまったからだ。
細かい話をすればきりがないが……かつての戦闘用ドローンは惑星、大気圏の中での使用がメインで、速度も距離もスケールも違う宇宙では旧来の技術では使い物にならなかったし、あえて膨大な資本投入を行い宇宙戦闘用のドローンを開発する必然も、宇宙で宿命的敵対種が見つからない時代では高いとは言えなかった。
さらに拍車をかけたのが、第三次世界大戦の頃から宇宙探査機や木星の衛星で発見されたプラントで製造できた昆虫型作業ロボットの台頭だ。無人機を戦闘用に使うという発想や必然性は次第に薄れ、無人機の技術はより生産性の高い分野や業務へと流れていった。
では一方、
これは前提が全く違うのだ。
そもそもが開発目的が、マクロスの艦内の様子から逆算された「遭遇するかもしれない巨人型異星人」への対抗策であり、この世界においてはそれがより顕著なのだ。
何が顕著かと言えば、マクロスファンではお馴染みの話なのだが、初代の主役機であるVF-1とその前日譚にあたる後年に制作された「マクロス ゼロ」の主役機VF-0と比較するとVF-1の方がだいぶ小さい。
原作では確か「技術革新と熱核反応タービンの実用化でダウンサイジングに成功した」と解釈された筈だが、この世界線ではVF-0→VF-1の間でダウンサイジングはせず、むしろ技術革新は小型化ではなく高性能化や高出力化に技術進歩のリソースを振られた。
要するに体長10mに達する巨人より大きな機械仕掛けの人造巨人で力押ししようという発想だったのだろう。
残念なことに当時の地球人はマクロスから発掘されなかったので知る由もないが、クァドラン・ローやヌージャデル・ガーなどのパワードスーツを着た巨人族の方が大きそうではあるが(地球連邦が巨人族のパワードスーツの存在を知ったのは惑星”カールチューン”の本格的発掘調査が行われた以降の話。VF-17はそれらと対抗するために重戦闘機になったと言われている)。
逆に大きく余裕がある設計だったからこそVF-1は半世紀以上、「最初の成功した可変戦闘機にして大量生産された最初の可変戦闘機」という金字塔を打ち立てられたという側面もある。
面白いのはVF-0のライバル機であったSV-51も、熱核反応タービンを搭載した発展型が作られ、数は少ないが初期の連邦軍に特殊機として採用されている。
また開発企業やスタッフは第四次世界大戦後に今のギャラクシー・アライアンスの母体となる企業体に吸収されているのだから歴史は皮肉に満ちている。
また、イノベーションやらパラダイムシフトやらでのダウンサイジングは、むしろVF-1→VF11に至る流れで起きている。
というのも、近隣で惑星”カールチューン”以外で巨人族の痕跡は発見されず、巨人への対抗策よりも現実的で扱いやすいサイズを連邦軍に要求されたからだと言われている。
話がだいぶ逸れてしまったが、無人兵器の開発に戻そう。
ガミラスとの会戦直後より、戦闘用無人機の開発は始まったが……その開発は難航した。
さっきも言ったが、スピードとレンジが惑星内での戦いと違いすぎたのだ。
だが、貴重なパイロットや船乗りの損耗を防ぐには致し方ないと開発は続行され、当時の最新鋭機VF-11に随行する自立型の対艦戦闘用ドローンが取りあえずは完成した。
初期の”QF-2200D”を第1世代とするなら第7世代にあたるそれは、「反応弾を搭載できるようにしたQF-9iEの高性能版」という感じの機体であり、開発呼称は”ゴーストX7”、ペットネームは”ファントム”とされた。
旧時代の傑作機にあやかったネーミングだったが、ドローンのファントムは同じペットネームを持つ初代ファントム”FH-1”以上に短命に終わってしまう。
なぜなら「損耗率が高すぎた」からだ。
戦争初期のガミラスの攻勢が最も激しかった最初の3年間の最後の頃に”ファントム”は投入されたのだが……最初の戦場で未帰還率は50%を越えた。
同じ戦場で同時期に投入されたばかりのVF-11Cが損傷機のみで全機帰還したというのにだ。
剰え、後に分かった事だが、行動不能にされて回収、地球の技術を探るために持ち逃げされたファントムもあったようだ。それが結果としてガミラス航宙機の地味な高性能化に一役買ったのだから、これもまた皮肉だ。
誤解のないように言っておくが、ファントムはVF-11Cに比べ、決して低性能という訳ではない。
ただ、ガミラスが「
***
タネが分かれば簡単だった。これは戦争中盤以降に複数のガミラス人捕虜の証言で明らかになったことであるが……
宇宙において無人艦/無人機動兵器を防衛手段として志向するのはありふれた話なのだという。
宇宙文明になるということはそれだけ発展した文明ということで、命の価値が高まるのは必然のことであった。
それは同時に武力行使が必要となった場合も同じで、次第に国民が……人間が戦場で死ぬことを許容できなくなってくる。
ならば、国防兵力を全て無人化するのは自然なことであり、特に大きな戦乱から遠ざかった国ほどそれが顕著だったのだ。
その隙を突いたのがガミラスだった。
ガミラスは自分達も損耗の大きな地上戦での損害を抑えるためにガミロイドという歩兵型ドローンを用いている。
また原作2202の話になるが……実はコスモゼロをブラックバードに改修する際用いられたのが、月面防衛用に使っていたガミラスの迎撃ドローンのユニットだという。
地球はわざわざそれを購入した。つまりその時点では無人機の技術に関してガミラスは地球を優越していたのだ。
それだけ高度なドローン・テクノロジーを持つのならばその欠点も弱点も導き出すのは難しい話ではなかった。
基本的に役割がそれぞれ違うだけで、「プログラムの膨大な多重処理でその状況に応じた最適解を出す」という基本は、ガミロイドも無人戦闘艦も同じだからだ。
そして、ガミラスが戦い征服した国や星の中には、戦闘用ドローンの開発を再開したばかりの地球連邦のそれよりも優れた無人機を装備していた例があったそうなのだ。
ガミラスに言わせれば、
『ようやく地球も無人機を出してきたか。これで今回は勝負になるな』
ということになる。
要するにガミラス艦には会戦当初から対対艦無人兵器用の迎撃プログラムやら先程の月面戦闘ドローンの前身となった装備やらが標準装備されていたのだが……人が乗り込み人型に化けるヴァルキリー相手では勝手が違うせいか十分に効果的とは言えなかったそれらが、ようやく有効活用できる機会に恵まれたという訳だ。
地球も鹵獲したガミラス艦を解析し防空システムの存在は認知していたが、自分達が宇宙戦闘用ドローンを使わぬせいか、無人機特化型とは気づかなかったらしい。
その結果として、ファントムだけを切り抜けば地球連邦は稀に見る大敗を決したというのだ。
別にファントムは主力兵器ではなく試験投入されただけなので、その会戦でも何時ものようにガミラスにおめおめと逃げられた(つまり撤退に追い込んだ)だけで戦闘の趨勢自体には影響なかったが、その後の無人兵器の対艦戦への投入は見送られることとなった。
さて、世の中には「一枚のコインの裏表」という表現があるが、実は防御力で圧倒しても機動力で大きく劣り、火力で優勢な地球連邦軍がガミラス相手に、常に優位に戦えた理由も実はここにも起因する。
結論を先に言えば、ガミラスは『戦場で人間と相対するのは、さほど
さっきも書いたようにガミラスが屈服してきた宇宙に進出できる力を持った高度文明圏は、相対的に跳ね上がった命の価値を惜しむために無人兵器で対抗しようとする者が多かった。
だが、地球連邦は全く違ったのだ。
光速を超える技術を持ち、広大な版図を持つと推測される高度文明圏でありながら、地球連邦は「戦場に人が立つことを
当然のように有人の戦闘艦が戦場に現れ、有人の戦闘機が縦横無尽に駆け回る。
連邦人は戦場を「恐れず、怯えず、退かない」。
それはガミラス人と同じ戦場でのメンタリティーであり、故にいつものような力押しが通じないことを悟ったガミラスは、中盤から地球連邦との戦争に慎重になったのだ。
無論、ガトランティスの出現も大きいが、それだけではないのは確かだった。
さて、以上のような条件が整った末の地球連邦の戦闘無人機の開発はどうなったのだろうか?
続行はした。だが、大幅な路線変更を余儀なくされたのだ。
自立式の艦隊戦兵器として使うのが難しいのなら、「半自立型の防空兵器として使えないか?」という路線にだ。
言ってしまえば、「無人高機動ドローンCIWS」としての開発だった。
そうして練られた”ゴーストX8計画”で開発された試作無人機は一応の成功とされたが、それでも性能的に不満点が多く(これはVF-17シリーズを筆頭とする可変戦闘機の高性能化が大きく影響していた)、開発は継続となった。
そして今、”ゴーストX9”は、無人機開発プロジェクトとして形になったわけだが……
「この間のVF-11の輸出仕様といい、最近の”スーパーノヴァ・アライアンス”は、ちょっとどころじゃないくれぇイカれてんぞっ……!」
『前にも言いましたが、もうなりふりは構ってられないんですよ』
ゴーストX9計画には、スーパーノヴァ・アライアンスとギャラクシー・アライアンスが参加している。
スーパーノヴァ・アライアンス側の開発機体が、ヤン・ノイマンが口にしていた”ゴーストX9 ver S”、ギャラクシー・アライアンス側が”ゴーストX9
だが、実はver Sとver Gは競合機ではない。「無人高機動CIWS」というコンセプトは同じでも、要求される条件が違ったのだ。
ver Sは、既存の技術の延長線上にあり、「可能な限り早急に開発と生産が可能となるモデル」。
ver Gは、「将来的に必要とされる性能を模索し、それに近づける為の無人機の開発」。
開発予算に明確に差がつけられたわけではない。ないのだが……
『わかりますか? イサムさん、これが今の連邦におけるスーパーノヴァ・アライアンスとギャラクシー・アライアンスの立ち位置の差なんです……』
実はこれまで、地球の無人機はあまり強くなかった……というか、むしろ弱いという驚愕の現状w
Q:優れたテクノロジーがあるならイスカンダルは、なぜガミラスから無人機を購入しないのか?
A:実は兵器転用してないだけで、原作にでてきたメイドロイドのような優れたAI制御のオートマタならイスカンダルにもある。というよりイスカンダルの方が、その分野では突っ走ってる。
次回は別の側面からの見地かな?