たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
読んでくれる人がいれば良いけど。
今回は34話の別側面の視点から……みたいな話です。
たまにはイサムに頭使わせようかとw
すんげー今更ですが、イサムって良いキャラしてますよね?
『それに今回は、もっと上の思惑も絡んでるみたいなんですよ』
「上ってスーパーノヴァ・アライアンスのか?」
通信の向こう側で顔を曇らせるヤン・ノイマンは、
『もっと上……おそらく、地球連邦上層部』
「ヲイヲイヲイヲイヲイ! なんだってそんなことに……」
『推測ですが、裏取引があったんだと思います』
「イスカンダルとの、か?」
ヤンはうなずきつつも、
『あるいは、ユリーシャ・イスカンダル個人との』
「ちょっと待て! あの能天気そうなお姫さんが何でそこに絡んでくるんだ……?」
イサム・ダイソンの脳裏に浮かんだのは、古代進と山本玲に甘絡みする金髪少女の姿だったが……
『面識あるんですか?』
「まあ、少しだけな」
『だとしたら……そのイメージは一度捨てた方が良いかもしれませんよ? 確かに言動は天真爛漫で天衣無縫、天然っぽく
「……お前がそこまで言うのは珍しいな? 何かあったのか?」
ヤンはその立場ゆえに知る機会はあっても、軍用秘匿通信でも「話せない内容」に注意を払いながら言葉を選び、
『こんな噂があるんですよ。VF-11EX×4機と”X9 ver S”×4機、その
「それって……いや、しかし、ヤマトに乗せて帰るつもりなようだし、そもそもヤマトがいくらデカいと言ってもイスカンダルの船は格納できん。そこまでおかしな話ってわけじゃあ……」
『女性に甘いというか、
YF-19の開発初期からの付き合いがあり、一見すると無茶苦茶でも「YF-19の潜在能力を引き出した最初のパイロット」と認識したせいもあり、彼を最上級の友人として好意的に見てるのは間違いない。
だが、それと同時にヤンはイサム・ダイソンという人間の「本質的な在り方」も熟知していた。
イサムは、「生と死が背中合わせの、紙一重を擦り抜けるようなスリルの中でしか生きてる実感を味わえない」類の人間であり、地上で女好きになるのは、「死と隣り合わせの緊張から解放され、刺激された子孫を残したいという生物としての本能と欲求が頭をもたげる」からだ。
何のことはない。
別の世界線のシャロン・アップルの言葉は、本質的には的を射ていたのだ。
前話で大雑把なところは書いたが、この世界にシャロン・アップルは存在しない。
だが、イサムの本質は世界線が違えど変わってはいないのだ。
それがミュン・ファン・ローンが隣にいない理由であり、そしてルーシー・マクミランが共にイスカンダルへ向かう答えでもあった。
ハイスクールで”あの事件”はなかった。それは断言してもよい。
だが、同時に愛にも限界はあった。ミュンは自分より空を、あるいは
だから、”正しく終わった”。
逆にルーシーはイサムが初めて乗ったYF-19で惑星”ニューエドワーズ”の紺碧の空に描いたワイバーンに一目惚れしたのだ。
だから、見てみたくなったのだ。著しく子宮の奥底が刺激されたのだ。
ルーシーはイサムに女として愛してほしいなんてカケラほども思っていない。生存本能や男性欲求を吐き出すための止まり木? 上等じゃないか。それが対価というのなら、”それ”を特等席で眺められるというのなら自分の
ルーシー・マクミランはただ、「ワイバーンの化身のような空飛ぶケダモノが、どこまで自分の翼で飛んでいけるか」、それをただ見たいだけなのだ。
どちらの業が深いという話ではない。
ただ、どこにでもいそうな二人の女がそんな選択をしたというだけの、つまらない話だ。
ミュン・ファン・ローンは歌手としてそこそこ成功している。
夢はかなった。そして、空を飛ぶより先の未来を見つめた男がやがて迎えに来て、ボーマンという姓に変わる日が来るのかもしれない。
だがはっきり言えるのは、その日が来るとしても生きていればイサムはどこかの空やソラを駆けてることだろう。
イサム・ダイソンというのは、そういう習性の生き物なのだ。
そして自分でもそう自覚してるからこそ、
「ほっとけよ」
と一言だけ返す。
イサムははぁーっと深くため息を突き、
「ヤン、マジなのか?」
『かなり確度は高いと思います。もしかしたら、あのお姫様……』
「なんだ?」
『いえ、可能性の話なんですが……ユリーシャ・イスカンダルは、もしかしたら母国に本格的な国防軍の設立を狙ってるのではと思いまして』
「どう考えたら、そういう結論になんだよ?」
『いえ、ユリーシャ・イスカンダルが語った言葉なので、どこまで信じていいかはわかりませんが……』
ヤンはそう前置きしてから、
『高度な技術を持つイスカンダルは、強力で凶悪な古代武装のほとんどを戒めから封印し、古代より継承した技術を使った兵器開発も行ってないようです。それが歴代女王の方針らしくて』
「いや、待て。それじゃあ、これまでどうやって国防を……そのためのガミラスか?」
画面の向こう側にいるヤンは静かにうなずくのだった。
***
(あー、1000年前に当時のイスカンダル人がガミラス人を定住させた裏の理由が、”番犬を飼う”事が目的だとすれば、辻褄は合う……のか?)
そして現状、地球は「
(となると、それだけじゃないだろうな……表向きはそうだが、地球を挟まないイスカンダルとガミラスの間にも、何らかの関係変化が生じてるってことか……?)
イサムは佐官であり、知ってることも多いし、知らなければならないことも多い。だが、将官ほど許可がされている情報開示が多いわけでもないのだ。
だから、「ガミラス母星が死にかけてる」事も、「この戦争の真の目的が移住先探し」であることも知らされてない。
当然だ。それを知るのは政府や軍でも一握りに過ぎない。
しかし、イスカンダルとガミラスの母星は双子星であることはイサムも知ってるわけで……
(まさか、ガミラスが番犬として使えなくなる状況になりつつある……?)
そう思考がいたると同時に、イサムはふと思ってしまう。
自分はいつから企業間競争だの政治だのと、つまらない事を考えて飛ぶようになってしまったのだろう?と。
幸運なことに彼のお気に入りの”カワイ子ちゃん”、YF-19がまさにそのような状況があったからこそ生まれた”申し子”だということに気づいていないようだ。
「やめだやめ。ヤン、要するに俺はガキ共やVF-19Aと一緒にその”X9 ver S”とやらの面倒を見ればいいんだろ?」
何か全てが阿保らしくなってきた気分だった
『そういうことになりますね。ただ、背後に地球連邦やイスカンダル、特にユリーシャ・イスカンダルの意向があることをお忘れなく』
「知らんよ。んなもん」
『イサムさんがそう言うなら、それでも良いですが』
「ところで、その”ver S”ってのはどんな機体だっけか?」
スーパーノヴァ・アライアンス開発主導の”ver S”は、既存の技術の延長線上にあり、「可能な限り早急に開発と生産が可能となるモデル」、ギャラクシー・アライアンス開発主導の”ver G”は、「将来的に必要とされる性能を模索し、それに近づける為の無人機の開発」とコンセプトは分けられている。
『僕もそっちのプロジェクトには直接かかわってないのであまり詳しくはありませんが……確か一昔前、ガミラスとの開戦前に試作された単能、いえ”
不採用の理由がなんとも地球連邦ぽかったが、その直後に勃発したガミラスとの戦争を考えるに、正解を引いたのだろう。
「大丈夫なのかそれ?」
『無人高機動防空システムとして使うなら問題ないんじゃないかなぁ。あっ、確かその原型機の開発コードは”コスモゼロ”だと思います』
「聞いたことない機体だな?」
『当時のスーパーノヴァ・アライアンスのプライベートプランみたいなものですからしょうがないですよ。僕だってつい最近、知ったばかりですし。あっ、でも原型機は適当で良いですが、”ver S”のペットネームくらいは覚えていてくださいね? 売り込みも兼ねてるので、”ゴーストX9 ver S”じゃあ如何にもインパクト無いですし』
「そりゃかまわねーが……どんな名前なんだよ?」
『社内開発コードがそのまま流用されてて、”ブラックバード”と呼ばれてます』
はい。またまた2202からの(飛行機だけに)フライング登場のブラックバード君です。
そして、ゴーストX9とは無人機でこう繋がってきました。
詳細なスペックは次回以降にでも。
一応、停戦→和平に向けた特務艦なはずのヤマトのはずですが、どんどんヤバい物が詰め込まれていく感じがw
まあ、半分くらいはどこかの三女のせいですが。
ちなみにスターシャ姉様は末妹が何を土産に買ってくるか知りませんw