たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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サブタイに対して、あんまシリアスな内容じゃないです。

まあ、バーガーらしさが書ければよいかなーと。




第42話:”フォムト・バーガーという男 その今と昔”

 

 

 

 時間軸はちょっとだけ2199年へと戻る。

 

 

 

「あー、俺、出世するようなことした覚えないんですが?」

 

 3年前に地球人に殺されかけ、フォムト・バーガーは命からがら逃げ帰ってきた。

 その後の1年はバラン鎮守府への帰還と何故か鎮守府で親衛隊が直営してる特別病院で戦傷治療の入院。別に妙な改造手術やら洗脳教育されたわけでは無い。ただ、(特に元貴族系への)箝口すべき内容や注意点は念入りに聞かされた。

 不思議と次の配属先では、箝口令を全て解除すると言われた。

 

 退院後、本国へ招聘され「バーガーの目から見た戦場を、可能な限り詳細に戦闘詳報として提出せよ」と厳命された。

 事務作業にそれほど適性があるとは言えないバーガーは、四苦八苦しながらもそれなりの分量と精度と内容の詳報を提出。

 それが受理されると同時に軍令部から休暇が言い渡され、庁舎から出てきたところを待ち構えていたメリアに捕縛され、そのままリッケ家へ連行される。

 既に親族のいない、天涯孤独といってよいバーガーに、他に待ってる人がいるわけでもなく特に文句があるわけじゃなかったが、だが……

 

 (なんで営舎にあったはずの俺の私物が、全部リッケ家にあるんだ……?)

 

 と疑問には思った。

 少し補足すると基本的にあちこち転戦する、あるいは配置転換が行われる艦隊勤務員が私物として船に持ち込めるのは精々スーツケース一個分の荷物くらいだ。別に引っ越しではなく移動なのだから当然であった。

 だが、人がそれなりに生きていればスーツケース一つには収まらない程度に持ち物は増える。それはガミラス人でも地球人でも変わらない。

 普通、そういうのは(戦死した場合も考え)実家などに置いていくのだが、バーガーのようにそもそも実家や身寄りと呼べるものが無い独身者には、福利厚生の一環として軍が営舎の部屋をアパート代わりに貸し出していた。

 広くはないがそれなりに快適だった部屋にあったはずの私物が、リッケ家にある……おそらくネレディアとメリアの策謀でこうなったのだろうが、何か釈然としなかった。

 

 まあ、リッケ姉妹の両親は、「実はずっと息子が欲しかったのよ♪」とはしゃぐ母親に、「ふむ。家がないのなら今日からウチを君の”帰るべき場所”にすればよい」と、地球との開戦前に退役し、今の軍需関連企業に就職したらしいが……主計将校として従軍経験のある父親は、上機嫌に何気に重い部分を突いてくる。バーガーは、「主計科より水雷科とかの方があってたんじゃねーのか?」とか思ったとか。

 

 気がついたら外堀が埋められていた。

 いや、むしろ内堀まで更地になっていた。

 

 状況を完全に把握する前にバーガーには”DDG410H-4 サーベッサン・ゼードラー”への機種転換訓練の命令書が届き(訓練地はリッケ家から車で通える距離だった……)、訓練後は少佐に昇進すると同時にドメル軍団への配属が決まり、現在へ至るのだが……

 

「空母、きっちり沈めたじゃねーか?」

 

 来客、ヴェム・ハイデルンのだみ声にバーガーは呆れながら、

 

「所詮、”ガトランティス製の離発着能力付きフライパン”でしょーが。あんな厄介なエネルギーシールドもないような柔い()()()、佐官ならダース単位で沈めてようやく昇進できるかどうかって代物じゃないですか」

 

 ガトランティス艦のあまりの扱いのひどさに思わず草が生えそうだが……同時にこれが少なくともドメル軍団における「ガトランティス艦に対する適切な評価」だった。

 フライパン呼びの由来は、ナスカ級打撃型航宙母艦の突き出した部分が取っ手に見えるからだろうか? あと丸みを帯びた飛行甲板の形とか。 

 蛇足ながら同じく最新鋭の”DWG262E-4 シュネー・ツヴァルケ”を愛機とする古い友人(ゲットー)のような戦闘機乗りなら、あのカブトガニのような戦闘攻撃機100機撃墜が妥当なところか?

 まあ、ガミラスにカブトガニは生息してないが。

 

 そして、バーガーはジト目になり、

 

「まさか……また”地球連邦(テロン)がらみ”じゃないでしょうね……?」

 

 バーガーは、無意識にとある階級章を撫でる。

 地球連邦戦域従軍生還章(ブラウ・デア・クリーク・テロン)……ガミラス人が尊ぶ青を基調としたその勲章は、対地球連邦戦でのあまりの損害の多さから、士気の崩壊を防ぐ一環として制定されたと噂される。

 その意味は、「地球人と勇敢に戦って生き残った勇者の証」である。

 無論、従軍し生還した全員に贈られるわけでは無いし、特に元貴族は「生き残っていたとしても」意図的にその授与対象から外されていた。

 

 そして、ドメル軍団ではその勲章の受勲者がやけに多い。

 まず、軍団筆頭の御大将ドメルからしてそうだ。

 それはすなわち、第6空間機甲艦隊がどういう性質の艦隊なのかを物語っていた……

 

 そして、同じ勲章を持つハイデルンはニヤリと笑い、

 

「良い勘してるじゃねーか? バーガー」

 

 その瞬間、バーガーは頬の傷がひどく疼いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********************************

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦(地球歴)2196年、天の川銀河辺境

 

 

 

「なあ、ライル、なんで飛行機乗りの俺様が巡洋艦のブリッジに乗り込んで、水雷隊の指揮せにゃならんのだろうな」

 

 与えられたケルカピア級航宙高速巡洋艦の1隻のブリッジで、まだ顔に傷がないころのフォムト・バーガーは不満を口にした。

 幸い、この艦のブリッジに元貴族の息のかかったものはいない。

 というより配下として押し付けられた5隻のクリピテラ級航宙駆逐艦も含め、軍部から「軍事顧問」として出向してきた面々は、乗艦ごと最先任のバーガーにぶん投げられた。

 

「ぼやくなフェムト。敵に肉薄して対艦兵器を投射する。やることはいつもと同じだろ?

 

 そう切り返すのは、ライル・ゲットー大尉。

 バーガーの数少ない古い友人で、士官学校時代からの腐れ縁。

 本当にどんな因果なのか、今回の作戦……作戦とも呼びようもないようなお粗末な威力偵察もどきの分際で、名前だけは第28次天の川銀河侵攻作戦」と立派に銘打たれた軍事行動に、二人まとめて放り込まれたのだ。

 未来の撃墜王と撃沈王のコンビと考えれば、中々に豪華な布陣ではある。

 

「いや、まったく違うからな?」

 

「それに俺に至っては、お前の”お目付け役(ふくかん)”に就任だ。不本意と言いたいのは、むしろ俺なんだが?」

 

 ただし、ゲットーは本職は戦闘機乗りだ。バーガー以上にジャンル違いだったが。

 

「おい、ライル……お前、今、副官のニュアンスどこかおかしくなかったか?」

 

「気のせいだ」

 

 あっさり言い切るゲットーだが、バーガーは少しバツが悪そうな顔で、

 

「とばっちりに関しては、正直すまんかったと思ってる」

 

 するとゲットー、口の端で小さな笑いを作りながらガミラス式の敬礼をし、

 

「いえいえ、()()大尉殿が謝罪することなど何も」

 

 対してバーガーは心底嫌そうな顔で、

 

「よせよ。そんなのあの腐れ元貴族(クソジジイ)が勝手に言い出した事だ。野戦任官でも何でもねぇよ」

 

 

 

 本来、同格の大尉である筈のバーガーとゲットー。

 どうしてバーガーが最先任になってしまったのかと言えば、

 

「フォムト、実直なのはお前の美点だが、少々口に遠慮がないのが難点だな」

 

「ふん。あの腐れ貴族がどこで誰に殺されようと知ったこっちゃねぇが、巻き込まれる兵はたまったもんじゃねぇからな……黙ってられんかったのさ」

 

「まあ、そういうのも嫌いではないがな」

 

 察するに、どうやらバーガーはお守りをすべき元貴族の少将閣下に、率直に物を言いすぎたらしかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




個人的にはゲットーが書けて満足な回w

次回は3年前の戦闘、「今のバーガーを形作った戦い」になりそうな……?

ガミラス篇、思ったより長くなりそうだなーと。

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