たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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フォムト・バーガー率いるガミラス小戦隊 vs 古代守率いる地球連邦軍小戦隊のクライマックス回です。






第49話:”ガーレ・ガミロン!!”

 

 

 

「しまったっ! その手があったかっ!!」

 

 狼狽する古代守に、

 

「ハハッ! ザマァーみやがれっ!!」

 

 してやったりのドヤァ顔フォムト・バーガー。

 その日の最後の戦いは、実に対照的な指揮官の表情で幕を閉じる事になった。

 もっとも表情とは対照的に、傷だらけなのも損傷甚大なのもガミラス側だったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************************

 

 

 

 

 

 

 二つの小戦隊が対峙し、真正面から接近する……その相対速度は凄まじく、まさに裂帛の間合いと呼ぶに相応しい物だった。

 このような状況でとれる戦術機動はさほど多くはない。

 

(高速反航戦か……)

 

 具体的に言うなら、単縦陣で突撃してくるバーガー戦隊に対し、やや複縦陣寄りの密集隊形で迎え撃つ古代戦隊というところだろう。

 定石なら、正面に互いに火力をばらまきながら短時間の正面砲雷撃戦、続いて戦隊同士がすれ違う時に発生するだろう咄嗟戦、あるいは交差戦じみた短時間反航戦……

 

 その状況を想定して守は命じる!

 

「光子魚雷、装填! 敵戦隊、予想進路上に投射用意っ!」

 

 

 

***

 

 

 

「敵もやるな。こちらと正面切って撃ちあう気だろう。一歩も引く気配がない」

 

 ゲットーの言葉にバーガーは拳と掌を打ち合わせ、

 

「上等じゃねぇかっ!!」

 

 武器は残り少なく、船も傷だらけでいつまで飛んでいられるかわからない。

 ならば、

 

「残ってるありったけの火力を前方に全集中!」

 

 それは超高速展開の宇宙艦隊戦ではあまりに無謀で、危険な命令だった!

 

「全艦、突撃用意! ()()()()()()()()()()()()()()()!!」 

 

 

 

***

 

 

 

「バカなっ!?」

 

 敵が残存火力を前方に向けて投射するのは、守の既定の範囲内だった。

 だが、

 

「爆炎を突き抜けて、戦隊正面を突破だとっ!!?」

 

 まさにバーガーの機動はそういうものだったのだ。

 自分達の持つビーム兵器やミサイルは、地球連邦(テロン)人の船には一切効かない。

 いわゆる、「この船じゃ奴らに勝てない!」という奴だ。

 なら、どう使うのか?

 

 

 

「煙幕代わりに使うしかねぇだろうがよぉっ!!」

 

 だから、バーガーは敵戦隊に撃ち落とされる前にミサイルを強制起爆させ、加えて敵から放たれる特に初速が遅い光子魚雷を予測弾幕射撃で叩き落として、更なる目くらましの閃光弾としたのだ。

 実はガミラスの宇宙魚雷の弾頭は、地球の熱核反応弾と同じく核融合をメインとする物だ。

 だが、安全性と効率を求める地球が純粋水爆に近い重力アシストのレーザー起爆方式が使われているが、対して威力を求めるガミラスでのそれは古典的な”多段階水爆(3F爆弾)”方式だった。

 

 これを簡単に説明すると、

 『核分裂の熱と圧力を触媒に核融合を召喚! 核融合の残存エネルギーを用いてもう一度核分裂!』という感じで、核分裂→核融合→核分裂を繰り返す。中に詰まってる放射性物質は地球のそれと異なっているだろうが、まあ原理は同じと考えて良い。

 この構造を持つ核兵器は21世紀の地球にも実在していて、その有名どころといえば、”AN602”……実在するリアル浪漫兵器の一つ、かの有名な”ツァーリ・ボンバ”だ。

 計画上は100メガトンの威力を有するが、実験した場合の周囲の悪影響が計り知れないとして実際の実験では50メガトンに制限された(最後の核分裂段階がオミットされた)逸話を持つこの兵器だが、実は宇宙で使う分にはとても「戦略兵器」にジャンル分け出来ないのだ。

 実際、ガミラス製の威力は同サイズの地球の反応弾にはわずかに勝るが、純粋な破壊力は光子魚雷に劣る。

 

 ちなみに地球連邦が純粋水爆方式を好むのは、過去の(具体的には第三次/第四次世界大戦の)経験から惑星上で使う場合を想定し残留放射性物質による長期の放射能汚染が原理的に発生しないこの方式を好むとされている。逆にガミラスは、そういう問題を気にしている様子はないようだ。

 どっちの考え方がより悪辣かというのは、意見が分かれるところだろう。

 

 頑丈さに定評のある新世代地球艦相手では、どういう理屈でそれが可能になるかはわからないが「ディストーション・フィールドもディフレクター・シールドもすり抜けて、エネルギー転換装甲を撃ち抜いて艦内で爆発すれば沈められるんじゃね? 無論、ディストーション・ブロックも動かないこと前提で」という感じだ。

 

 だから、バーガーが狙ったのは敵艦にダメージをあたえることではない。

 

 爆炎以外にもガミラス核兵器なら地球の反応弾と比べて多少なりともEMP効果を期待できる。距離が近ければ猶更だ。

 宇宙線という放射線が飛び交う領域で戦う宇宙艦にどこまで通用するか議論の余地があるが、現状ならやらないよりやった方がマシなのは確かだった。

 

 ディストーション・フィールドという凶悪な防御壁があるのに船乗りの本能からテロン人の船は爆炎に突っ込むのを嫌がり、僅かに相対する陣形が崩れた。

 それをバーガーは見逃さなかったのだっ!

 

「全艦、”炎の壁”を突っ切るぞっ!!」

 

 

 

***

 

 

 

 ”炎の壁”、それは決して比喩ではなかった。

 

「”オルトス”、轟沈!」

 

「おう! 見事だっ!」

 

 僚艦の1隻が、敵の集中砲撃の前に文字通り粉砕された。いや、厳密には火球に飲まれ重金属蒸気雲に一部の性質が変わった。

 陣形は多少崩れても崩れ切ってはおらず、おまけに連邦戦隊の立て直しは早い。

 嫌になるほどの手練れだが、

 

(こっちの中央突破には、まだ対応しきれてねぇっ!!)

 

 後は時間との勝負だった。

 その時、通信コンソールに入電の知らせが入った。

 ブリッジ付近に被弾したのか映像の中の様子はひどい有様で、おそらく艦長は戦死。船の指揮は青い肌の持たぬ者……おさらく二級ガミラス市民と思われる下士官が執っていた。

 

『司令官殿、この船はもうついてゆくことができないようです』

 

「……おう」

 

 「ならば降伏しろ」とバーガーは言おうとしたが、

 

『なら最後に、せめてもの花道を作りましょう』

 

 それが何を意味するのかわからないバーガーではなかった。

 

「貴様、名は?」

 

『ははっ! 我らが司令官に名を尋ねてもらえるとは光栄の極み! あの世で待つ同胞(はらから)達への良い土産になるでしょうな!』

 

 そして、覚悟を決めた男特有の笑みで、

 

『我が名はギタン・キットン! ザルツ武門の末裔なりっ! 司令官殿に武運長久を!!』

 

 そして、最後の力を振り絞るように前へ出たガミラスの駆逐艦は、

 

大ガミラスに栄光あれ(ガーレ・ガミロン)!!

 

 

 

 体当たりを敢行し、爆散して果てた。生存者は……居なかった。

 だが、その行動は無駄じゃなかったのだ。

 ユキカゼ型コルベットの1隻、”ミユキ”を中破に追い込み、彼女をこの会戦で最大の損傷艦としたのだ。

 こちらは戦死者はでていない。いや、重力制御や慣性制御でも吸収しきれなかった衝撃で持ち場から投げ出され、心肺停止になった者はいるにはいたが……それも一瞬で、直ぐに蘇生が開始され事なきを得ている。

 げに恐ろしきは火星の古代遺跡由来である地球連邦製の軍用医療ナノマシン・インプラント也や。

 この程度の戦闘では、簡単に人間を()()()()()()()()

 

 それはさておくとして、駆逐艦の命を懸けた献身は同時にバーガー戦隊にとり、離脱に直結した突破口が開いたことを意味していた。

 

(あいつの死にざまを、無駄にしてなるもんかよっ!!)

 

「突っ込むぞ! 全艦最大戦速を維持したまま、我に続けっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




その言葉を叫んで散ったのは、名もなきではなく名の与えられたモブでした……

モデルになったキャラはいますが、一応、ギタン・キットンはオリキャラです。
胸に秘めた思いは色々ある物の、勇敢さに定評のあるザルツ人の戦士の一人って感じです。

バーガーのガミラス人以外に対する評価、変わりそうです。
因みにユキカゼ型の設定であった「進路上に飛び出してきた敵駆逐艦にぶちかまし(=正面衝突)をかけて轟沈させ、自分は中破で帰ってきた」というのは、この「ミユキ(深雪)」の事です。
いや、他にもこういう事例ありそうだけど。

戦いで一番重傷化した船になってしまいましたが、「味方とごっつんこして沈まなかった」分だけ運が良いのかも?


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