たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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今回は、戦闘後の話です。
また、サブタイ通りに、西暦2196年から2199年に繋がる、各陣営やら参戦した人物やらの「その後」ですね。

まあ、中には愉快なことになってる面々もw






第51話:”Road To 2196 → 2199 小さな戦いが、その後に与えた物”

 

 

 

 西暦2196年、テレザート星系沖、地球側の呼称でいう所の”地球連邦深遠宇宙第9管区(ディープスペース・ナイン)”で起きた小規模な軍事衝突は、両陣営に大小を問わない様々な影響を与えた。

 

 ガミラス帝国側上層部は、地球連邦(テロン)が「邪魔な貴族の処分場」や「選別試験場」としての機能を十全に発揮する事に大いに満足していた。

 そして、親衛隊長官ハイドム・ギムレーは、内心ホクホク顔で新たな業務を始める。

 それは、「戦死した貴族の資産没収」だ。

 

 今のガミラスに貴族制度はなく、故に家督制度もない。

 だが、元貴族は通例としてそこそこ、あるいは膨大な資産を、公然とあるいは秘密裏にため込んでいるものだ。

 

 もうお忘れかもしれないが……国家はレゼックに艦船を「貸し出して」いたのだ。

 そして一言も”()()()()()()()()()()()”。

 正確には、「貸出費用は無料だが、損失した場合は弁済する」と契約書に明記されているのだ。

 

 無論、レゼックだってその一文は読んでいた。

 だが、当然のように彼は、「高貴なるガミラス貴族が辺境の劣等人種に負ける」ことなど想定していない。

 また、多少沈んでも「テロン人から切り取った新たな領地で十分に賄える」とも考えていたようだ。

 どうやらガミラスには「捕らぬ狸の皮算用」に該当する諺はないらしい。少なくとも元貴族には浸透してないようだ。

 

 そして弁済義務は「本人の生死を問わず発生する」。そういう契約だ。

 また、その弁済金の設定は、老朽艦は言いすぎにしても中古艦に関わらず「沈んだ船の新造時の価格」となっているという、地味に嫌な仕掛けがある。

 ちょっと想像してほしいのだが、中古のレンタカーで事故を起こして弁償を請求され、その請求額が「新車時の価格」という状況。

 

 こういう時、一番に激怒しそうなのがレゼック君の元になった国家元帥、元貴族軍人の頂点ともいえるヘルム・ゼーリックだが……彼は不気味なほどこの件に関して沈黙を貫いている。

 いや、むしろ黙認している()()さえあった。

 

 何故か? 無論、からくりはある。

 実は親衛隊とゼーリック一派には裏取引が成立している。

 親衛隊が接収した資産の一部、具体的に言えば10%がゼーリック一派に流れるようになっていたのだ。ここでミソなのは、ゼーリックへの個人献金ではなく一派の隠し口座へ流れるようになってるということ。

 実は親衛隊、ゼーリックの権威や権力をそこまで信用していなく、「巻き込むなら全員共犯にしてしまいましょう」というギムレーの判断だった。

 ちなみに「地球との開戦から最初の3年」以降の親衛隊の秘密裏に最も優先されたのは、「元貴族たちの隠し財産を含めた資産の把握」であり、「抹消すべき貴族のリストアップと順序決め」であった。

 その為、国内治安の権限をゲラン・モーレン率いる国民管理省に、支配地域の治安の権限はヒドレ・ザルメ率いる支配統治省に大部分を割譲してしまってるが、「まあ他にやるべきことがあるので仕方ありません。緊急事態に対する独自裁量権は維持できているので、良しとしましょう」とはギムレーの弁。

 

 言うまでもなくこの親衛隊の決定と行動に、財務相のメドム・ナーキンはにっこりで、法務相のローグ・モラムは親衛隊が元貴族に仕掛けた罠を感づかれぬよう、細心の注意を払って法整備と改訂を行った。

 

 ちなみにヒドレ・ザルメ支配統治相、メドム・ナーキン財務相、ローグ・モラム法務相、これにトール・トード労働相を加えた四人は、原作2202では「デスラー体制派」に属しており、対してこの世界線では、この時代すでに「国家の財を私物化して食い潰す元貴族、死すべし慈悲いらず」という思想の元、ギムレーと一致団結していたのだった。

 

 

 

***

 

 

 

 まあ、フォムト・バーガーのその後に関しては、以前書いたのであまり書くことがない。

 公的には”地球連邦戦域従軍生還章(ブラウ・デア・クリーク・テロン)”の受勲が行われ少佐に昇進(ちなみに上級大尉という階級はガミラス帝国軍にないわけではないが、基本的に兵からの叩き上げの一兵卒に対する終着点的な名誉階級であり、常設は実はされていない)、新型機”DDG410H-4 サーベッサン・ゼードラー”空間戦闘爆撃機への機種転換訓練が行われ、それを受領後は第6空間機甲艦隊、”ドメル軍団”への栄転が決まった。

 私生活では、ネレディアとメリアのリッケ姉妹の策略で外堀も内堀も不在中に土木工事され、本丸に攻め込まれたあげくに実家へ強制連行されたくらいだ。

 人生の墓場に片足突っ込んだどころか、既に埋葬済み臭いが……まあ、これも一つの幸せの形というものであろう。

 他人事だから実に気楽である。

 

 ちなみに盟友で同じく少佐しドメル軍団への栄転が内定しているに昇進したライル・ゲットーだが……最新鋭機”DWG262E-4 シュネー・ツヴァルケ”空間汎用戦闘機への機種転換訓練の時、普段クールな彼が小さくガッツポーズを決めていたのが、妙に印象深い。

 

 

 

***

 

 

 

「バカな……」

 

 実はこの戦いで一番ショックを受けたのは、他でもない司令官を務めたジャン=ジャック・ピカード大佐だった。

 確保した捕虜の尋問で、彼らの大半が「少し前なら民間人」であったり、「ガミラスに征服された人々」であることを知ったのだ。

 

 その時、ピカードは自分の足元が崩れてゆくような感覚を覚えたという。

 心身を癒すためか、戦時中にしては比較的長い休暇が取れたピカードは、妻達の待つ家へと戻り、存分に癒された。

 具体的にどう癒されたかは、対象年齢的に省くが……その時、妻たち三人全員の胎には仲良く()()新しい命が宿っていたという。

 

 殺した、死なせた分を補えるとは言わないが、死んで生まれて、こうして世界の均衡は保たれるのかもしれない。

 

 ちなみにピカードは三人の妻との間に思いのほか長かった生涯で27人の子供をもうけ、104人の孫の顔を見て逝ったのだから、人類全体として考えたら繫栄への貢献度は高い方だろう。

 

 

 

***

 

 

 

 地球連邦の政府高官や軍上層部は、3年の激戦と2年の事実上の小康状態を経て、戦争が新たな段階へと突入した事を悟った。

 

 様々な階級、肌の色の捕虜から聞き取りした結果、当初のガミラス帝国軍は「佐官以上の大半が、将官以上のほぼ全員が元貴族階級の青い肌をもつ純粋ガミラス人」で占められている事をつかんでいた。

 彼らは軍事的才能よりも権力、権威、財力などの非軍事的理由でその地位に就いていたいた事も分かった。

 また、非貴族階級のガミラス人や二等ガミラス臣民と呼ばれる被支配民からの人望は総じて低く、指揮官/司令官/提督の地位にあるそれらの者を倒せば早々に敵侵攻艦隊は統制を欠き、指揮命令系統は実質的に瓦解し、立て直しまでの時間がかかり、早期に撤退(正確に言うと”逃亡”、

 ”逃走”、”潰走”と記す方が事実に近いが、公文書では撤退という表記に統一されている)に移るケースも多いと分析された。

 

 なので、開戦から1年後にはこのような命令書が発布されている。

 

”敵旗艦を識別でき、撃沈可能と思われる場合は可能な限り早急にそれを排除すべし”

 

 優先撃沈命令であった。

 道理で開戦2年目から元貴族階級の捕虜が少ない訳である。

 

 そして、侵攻が相次いで対応に忙殺された最初の3年が過ぎ、次の2年はガミラスは挑発的な小規模侵犯を繰り返すだけだった。

 具体的には侵犯し、僅かな戦闘の後に、速やかに「統制の取れた通常の撤退行動」を行うものだ。その撤退の際の手際の良さやタイミングの的確さから、権威や権力で地位に就いた軍人でなく「まともな正規軍人の指揮下で行われてる作戦行動」と推察された。また、1艦隊当たりの規模から逆算しても、さほど地位の高くない(捕虜たちの情報から、おそらく佐官相当)司令官である事も予想された。

 地球連邦軍の一部からは「ピンポンダッシュ」と揶揄された。

 挑発と、地球連邦が防衛行動に移る”実効支配宙域”の策定と確認であることだろう事は予想できたが、現在の人口における拡張限界を迎えていると認識していた連邦に領宙/領土拡大の意思はなく、通常の防衛活動に従事するのみだった。

 

 そして、”地球連邦深遠宇宙第9管区(ディープスペース・ナイン)”で起こったおよそ2年ぶりとなる、規模は威力偵察程度だが「明確な侵攻の意図を持った軍事行動」だったが……

 

「はっ? 我々から切り取った星系を自分の領地にできる……だと?」

 

 明らかに変質している捕虜(これまでは原則、正規の軍事教練を受けた帝国軍人が捕虜だった)の構成にも頭を抱えたが、その侵攻理由にも激しい頭痛を感じた。

 しかもご丁寧に戦場に出してはならない戦争の素人のフォロー役として、正規軍人の”軍事顧問団”までつけているという。

 

「一体、あいつら(ガミラス)は何をしたいんだ……?」

 

 その一戦だけで結論を出す事は尚早とされたが、とにかく戦争が新しい局面に入ったのは確かだった。

 今回だけならこれでいいが、これが続くようなら、ドクトリンの修正が必要かもしれない……具体的には、

 

(まさか、敵国の棄民保護まで我々に考えろというのか……? 受け皿となり、その面倒を見ろと?)

 

 誰も口に出さないが、誰もがそう思ってしまった。

 原作2199の第17収容所惑星”レプタボーダ”で行なわれていた事を鑑み、ガミラス的な見地から見れば予想の斜め上の結論だが、地球連邦的にはごく普通の思考でそうなってしまっていた。そう読み取ってしまったのだ。

 

「「「「「俺たちに余計な仕事押し付けやがってーーーーっ!!」」」」」

 

 殺すのは、もちろん論外。犯罪者(特にテロとかには)には割と容赦のない地球連邦政府であるが、戦争捕虜は別に犯罪者ではない。そう明確に法的定義がある。

 むしろ戦後を考えれば、丁重に扱うべきものなのだ。

 一つの星に様々な国が存在し、互いに殺し合ってた時代の経験からそれを嫌というほど学習していた。

 捕虜虐待案件は、地球史においては面倒臭いことこの上ないと、いくつもの事例が歴史で証明していた。

 

 その日から、地球連邦で政府/軍部を問わず、残業が増えた戦争指揮を執り行う立場の人々の合言葉は、「ファ○キン、デスラー! ブルシット!」になった。きっと、「ガミラスは、仕事量で俺達の忙殺を狙ってるに違いない」と。

 本人に会っても立場もあるし大人なので面と向かって言うつもりはないが、絶対心の中でそう罵ってやろうと。

 

 

 

***

 

 

 

 その日、古代守はまだ新見姓だった頃の薫に誘われて飲みに来ていた。

 

「俺はさ、あと一歩及ばなかったんだよ……」

 

「うんうん。わかってるわ」

 

 そして、今回の戦いに思うところがあったのだろう。珍しく深酒をしていた。

 

 意識が朦朧とし初めている守を見る薫の目は、アンダーリム・フレームの眼鏡の奥で爛々と輝かせる。

 それは正しく捕食者が獲物をロックオンした時の視線!

 

 事前の調査で、守がかなり厳格な一夫一妻主義者であることは判明していた。

 計算しやすいように現在の地球連邦の総人口を250億人としよう。というか10億くらいは結婚を毛嫌いしているだろうから除外した。

 その内、女性の占める数は割合からして150億人。

 その中でも結婚適齢期にあるのは、この時代だと年齢幅広いからその半分として……まあ、西暦2021年の地球の総人口に匹敵するくらいはいるということになる。

 その中で、守の妻の座を射止められるのは、たった一人……

 

(なんて苛酷な生存競争なのかしら……)

 

 だからこそ、薫は勝負をかける事を決めた。

 抜け駆け? 騙し討ち?

 上等じゃない。それすらもできない他の女たちにとやかく言われる筋合いはない。

 

「守くん、そろそろお開きにしたら?」

 

「もう少し飲ませてくれ……」

 

「しょうがないなあ。ねえ、相当酔ってるみたいだし、今夜はウチに泊っていったら? その様子じゃ、まともに帰れるか怪しいし」

 

 その為に、自分の牙城……実家のすぐそばにある雰囲気のあるBARを、飲みに誘う場所を選んだのだ。

 両親の協力はすでに取り付けてある。

 今頃は、久しぶりに夫婦水入らずの旅行を楽しんでるはずだ。もしかしたら、年の離れた弟か妹ができるかもしれないが、それはそれでめでたいことだ。

 

「……そうする」

 

 新見薫が古代薫になるための人生をかけた決戦が、今宵始まるっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




命が消え、そしてまた新しい命が生まれる……これが、星を超えた人の営みというものですよね?w

とりあえず、地球連邦重鎮の皆さんには合掌を。
ガミラスには……特に祝福とかいらんかな?
バーガーもゲットーもそれなりに幸せそうだし、ギムレー君は楽しそうだしw

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