たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
記録力ガガガ……私も老いたなー。
今回から、ドメルさんのちょこっとした過去編。
バーガーの過去編をやったばかりなのに、また過去編をやるなんて悪手もいいとこだという自覚はありますが、皆さんの感想を読んでるうちに佐官時代のドメルさんを書きたいなーという気持ちが沸々とw
良かったら付き合ってくださいな。
今は「
ガミラス最強の提督と呼ばれるその漢
だが、何人が覚えているのだろう?
かつて地に落ち、泥にまみれた事を
その男に無敵という言葉も、不敗という言葉も似合わない
ただ似合うのは『不屈』の二文字、それだけだ
西暦2199年、大マゼラン星雲
ハイデルンとバーガーが、”ミランガル”のブリッジで仲良くギャーギャーやってて、それをリッケ姉が「相変わらずフォムトは可愛いわねぇ……」と微笑まし気に見てる頃……
(それにしても、部下をまたテロン人の元へ行かせてしまうことになるとはな……)
提督の私室、軍艦の中にある部屋としては最上級の豪華な雰囲気のある部屋で、エルク・ドメルは、お気に入りの私物の酒が注がれたグラス片手に深くため息を突く。
第6空間機甲艦隊は今、その1/3程がローテーション……将兵の休養と戦力の更新や再編の為、本国帰還の途に就いていた。
だが、帰途する艦隊のうち状態の特に良い100隻程を抽出し、整備と短期間の休養後に出航させよと命令がきたのだ。
行き先は天の川銀河……ここの所、正規軍同士の大きな戦いはないが、ルビー戦線とは別の意味で最前線と呼べる宙域であった。
(まあ、”あの噂”が本当なら、心配は杞憂に終わる可能性もあるが……)
ドメルにまで届いていた、いや”彼の耳に届くように”意図的にリークされた噂……
真偽の確かめようのないそれを聞いた時、ドメルは無性に飲みたくなった。
「イスカンダルのお方の仲介、か……」
戦闘領域から離れてる事もあり、ほんの少しだけリラックスしているドメルは、無意識に常に軍服に付けている数少ない勲章、”
その受勲条件から、別名”
ドメルは、どこぞの国家元帥やらチョビ髭のように大量の勲章をぶら下げて、ジャラつかせながら歩く趣味はない。
だが、この勲章だけは別格なのだ。思い入れも、その重さも。
いや、おそらくはこの勲章を得た者の大半はそうではないのだろうか?
ドメルは、
地に落ち泥にまみれたのもテロン人に敗北したせいだが、同時に今の地位にあるのも地球人が元貴族を殺しまくったせいだ。
(果たして恨むべきか、感謝すべきか)
そんな内心の言葉遊びに、自分で思わず苦笑する。
「戦争に、そんなものは関係ないに決まってるのだがな……」
そして、彼の意識は記憶の奥底に潜る。
そう今から8年前の、あの戦場に……
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西暦2191年4月15日、”テレザート”恒星系外縁部
その日その時、エルク・ドメルは大佐としてガイデロール級航宙戦艦1隻と1個戦隊を任され、その宙域に居た。
経緯はそう難しい話ではない。
銀河系にきていくつめかの未知の文明生活反応(この場合は、人工的な電磁波の照射や自然界では理論上存在しないニュートリノの人工的な周期振動など)が発見され、久しぶりの”獲物”発見で元貴族の中将閣下が配下800隻の艦隊を引き連れ、「調査」名目で狩り気分で出陣したということだ。
数日前に、先遣調査部隊が消息を絶ったという話は聞いていたが、それは誰も気にしていなかった。
きっと、どこかで遊び惚けてる……特に中将閣下はそう考えていたようだ。
実際、嘆かわしいことにそのような事例は過去にあったのだ。
どうも平民上がりのドメルは、元貴族の高級軍人からは「世が世なら士官学校で門前払いを食らう平民の分際で」と思われる反面、「戦闘力のあるそこそこ優秀な猟犬。平民なので使い潰したところで胸が痛まないで済む」と、都合のいい便利な存在としても認識されていた。
なので、運悪く今回の出征に付き合わされたのだ。
本人にとってはいい迷惑だったのは言うまでもない。
端的に言ってしまえば、彼はガミラス軍人としての誇りと高い志を持つが、そうであるが故に「弱い者いじめ」を好いてはいなかった。
これまで母国が大マゼラン星雲、そして天の川銀河に進出してきても「強国」という物も「強敵」という物もついぞあったことがない。
確かに”高性能な無人兵器群”を持つ国はあったが、なんの事は無い。
無人兵器の攻略法を見つけてしまえば、自ら戦場に立つことを忘れたその文明は、こちらが何をする前に瓦解し、正規軍が進駐するようになるまでは、中途半端に抵抗したため見せしめのつもりなのか貴族達の遊び場になっていた。
どんな遊びだったかは、下劣すぎるのでドメルは口にしたくない。
ただ、古の戦場の習わし、「男は殺され、女は犯される」が、かなり趣味の入った状況で行われただけだ。
この時代の貴族、いや元貴族はガミラスが勝ち続けてるので、まさに有頂天だった(ドメルは知らなかったが、裏では問題を起こしそうな元貴族の高級軍人を総統と親衛隊、その他が共謀して、拡張政策を大義名分に積極的に遠征させていた)。
なので、正規軍の一員としてドメルが見た光景は、醜悪と表現できるものだった。
しかし、この時のドメルは気づいていない。
それが、ガミラスにとって黄金にも等しい幸運な時間だったということを……
「な、なんなんだあの敵はっ……!?」
見たこともない戦闘艦の群れ……大きさは自分達と大差ないが、その性能が異質すぎた。
考えてみれば最初からおかしかったのだ。
理解できない通信の後に放たれたのは、牽引力場のようなものだったと記憶している。
撃つなら、もっと違う物だろうとも思った。
しかし、
「ビームが一切効かない……何らかの方法で、歪曲されてるのかっ!?」
貴族制度が若き指導者により廃止されたとはいえ、社会通念として今なお強く根を張ってるガミラス帝国。
その中でエルク・ドメルという平民上がりの男が、かつては貴族の子弟にしかなれなかった大佐という地位を得るためには、並外れた努力と軍事的才覚、何より武勲が必要だった。
平民のクセにと陰口を叩かれながらも実力でねじ伏せる為に首席をとり続けた士官学校時代から軍歴は始まり、彼の半生は、まさに戦場であったと言っていい。
だが、その彼の膨大な実戦経験の中にも、「強力なはずのガミラス軍の陽電子ビーム砲を、全弾
怪しげな伝聞すら耳にしたこともなければ、想像したことさえない。
加えて、
「戦艦”ドルムント”轟沈! 重巡”ケバリア”爆沈!」
旗艦を守るように前へ出た友軍艦が、伝説に出てくる巨人に鷲掴みにされてグシャリと握り潰されるような、そんな奇妙なダメージを受けて轟沈したのだ。
「わ、我々は一体何の攻撃を受けて、何を撃たれて沈んでいるんだっ!?」
”不可視の砲撃”。そう呼ぶしかない物の直撃を浴び、味方は次々に沈んでゆく……悪夢のような現実がそこにはあった。
「大佐殿、意見具申してよろしいでしょうか!」
ブリッジ要員の一人、技術章と大尉の階級章をつけた配下が手を挙げた。
「言ってみろ」
「先ほどから重力センサーが異常な数値を示しています! 推測ですが、敵対勢力艦は何らかの方法で重力を収束、砲撃として利用しているのではないでしょうか!」
「バカなっ!?」
ガミラスとて重力制御や慣性制御の技術は持っている。むしろそれは、宇宙を生活の場とする文明の必須技術と言ってよいかも知れなかった。
だが、それは……
「君はまさか、敵艦が”戦闘艦を
「……残念ながら。それを否定できる情報はありません」
だが、それならば敵艦の異常な防御力も納得がいく。いくのだが……
「我々は一体誰と、何と敵対したんだ……?」
ドメルの問いに答えられるものは、この虚空に存在しなかった……
だが、彼は未だに気づかない。
本当の地獄は、まだ始まってもいないことに……
「お互いの強さがよくわかってない状況で、手探りの戦い」っぽさが出せたらなーと。
最初の接触(戦い)から2週間、未だ強敵の存在を知らず絶頂期でノリノリな時代のガミラスは、いったい何を見るのか?
まあ、驕れる者の末路は得てして……