たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
まあ、需要はないでしょうが名将と呼ばれる前の、「青臭い時代のドメル」を描いてみたいなーと。
(何かがおかしい……)
ふと、エルク・ドメルは戦場に違和感を感じた。
いや、ここまで一方的にガミラス艦隊が嬲られているのは、もう最初から異常事態なのだが……それでは済まされない、それだけでは説明できない奇妙な空気が戦場を覆ってる気がした。
「一体、何が……」
その時、ドメルは気づいたのだ。
「なぜ、敵はこのタイミングで半包囲を敷いている……?」
そうなのだ。
友軍が一方的に蹴散らされているのが現状とはいえ、減っていても彼我の数はまだこちらが多少は有利なはずだ。
少なくとも元貴族中将が、撤退を口にするほどの損害は(ガミラス基準では)出ていない。
驚くべきは、この短時間の間で800隻いた友軍艦が、500隻程度しかいない敵艦隊と比較して「多少有利としか言えない、そう大差ない数字」まで減らされたことだが……ガミラスの戦史の中には、全くなかった訳ではない損耗だ。
特に覇権主義国家として駆け出しだった頃には、一時的とはいえ稀にこのようなことはあった。
ガミラスのデータリンクやセンサー類は別に地球製の物に比べ極端に劣っているわけでは無く、また地球連邦軍も本気になって電子戦の類を仕掛けている様子はない。
あくまで正面からの殴り合いが好みのようだ。
そのイメージに反し、ガミラス帝国軍は真っ向勝負の正面切った殴り合いは、本質的にはさほど得意という訳ではない。
というより、そういう戦い方をしてくる相手は極めて少なかったのだ。
人というか戦争の進化論的な話をすれば、ガミラスが最初に対応に強くなったのは、前にも出てきた無人兵器の類だ。
特に自立型自動制御兵器に強い。
一定以上のレベルに至った宇宙文明は人死にを極端に怖がる傾向があるし、ならば無人兵器の発展は自明の理ともいえるだろう。
ガミラスは、そういう相手を屠ってきた。
そして、さっきとは逆に「荒っぽい軍隊のイメージ」に反して電子戦や対電子戦、いわゆるカウンターECMにも強い。
無人兵器が通用しなかった敵が次に何を考えるか?
ジャミングなどの古典的電子戦等での無効化や、ネットワークに強力なウイルスを放つクラッキングバトルなどだ。
この手の手合いは、最後まで人間が戦場にでてこない……というか、出ようにも有人兵器がそもそもないケースも珍しくない。
かつてガミラスは、戦闘経験が乏しかったころに無人兵器や電子戦で痛い目を見た時代が確かにあった。
それを糧として今があるのだ。
ガミラス艦の内部を見ると、時折
実際に制御などにアナログ部品を使ってるわけでは無いが、インターフェース周りなどが特にその傾向が強い。
それが上に書いた経験の答えでもあるのだ。
ガミラス艦隊は、ネットワークを使わない訳ではない。むしろ、文明度合いに見合ったそれなりに強力で防御強度の高いネットワーク戦闘システムを構築している。
民間の情報ネットワークは意図的に「遅らせて」いるが、軍用のそれは銀河規模でもまずまず一級品と言ってよいだろう。
だが、同時に「ネットワークが遮断された場合の戦闘」も重視していた。
アナログ的なインターフェースは「直感的に、あるいは感覚的に、本能的に」システムを操るために考え出されたものであり、シンプルさの方向で機能美を追求したともとれる。
つまり、「戦場で人が船を操り戦う」事を想定しているのだ。
何を当たり前なと思うかもしれないが、大マゼラン星雲から天の川銀河まで進出できる高度な文明が持つメンタリティーでは、どちらかと言えば「少数派に入る好戦的な思想」なのだ。
そしてガミラスは、その「人が武器を操り戦場に立つ」ことでこれまでの困難を跳ね除け、覇権主義国家として成り立っていた。
故にガミラス艦は、例えネットワークを遮断され情報学的に孤立したとしても、「単艦でも戦える。それだけの性能と、将兵の質を持っている」とされているのだ。
だが、とても残念なことにそうであるが故に、彼らは「自分たちと同じ戦場に立つことを厭わないメンタリティー」を持つ種族との交戦経験がなかった。
そりゃあ、無人兵器を打ち倒し、電子攻撃を無効化して母星をぐるりと艦隊で囲めば白旗を掲げるような者たちとばかり戦ってきたのだから当然だろう。
しかし、ドメルの見立ててでは、正体不明の敵はどうやら明らかに有人艦や有人機動兵器を使ってるようだ。
無人兵器に特化し過ぎた防空システムは、「人間の思考を忠実に、あるいは柔軟に対応する人に化ける戦闘機」に翻弄され、本来の能力を発揮できないでいた。
それは仕方のないことだとも思う。
戦闘機かと思ったら突然、「対艦装備を持つ歩兵」に化け、目的はともかく戦術パターンをコロコロ変える兵器相手にどうしろと言うのだ。
それ以上に不気味な行動は、敵艦隊の行動だ。
相手が無人艦で、性能が今対峙する敵と同等なら、まず効率的にこちらの数を削っていくことを選択するだろう。
逆にそのパターンを読み切れば、反撃の糸口も見えるし、なんなら隙をついて形勢逆転できるかもしれない。
感情や心を持たぬ機械相手では、心理戦ではなくその論理回路の思考ルーチンを読むことが重要なのだ。
だからこそ、「人間同士の戦場での戦い」に慣れてないガミラス将兵は、地球連邦艦隊の思考が読み切れない。
例えドメルほどの男をもってしてもだ。
(本来なら、包囲戦を仕掛けるなら、数的優位を確保してからのはずだ……)
機械だろうが人間だろうが、定石というものがある。
例えば、半包囲を含め包囲を敷くなら包囲網が狭すぎても駄目だ。横から回り込まれ、背後を突かれるようなら意味がない。
包囲する網の目が開きすぎても、網が薄すぎても駄目だ。
間隔が広すぎても擦り抜けられ、薄ければ容易に突破され、その時点で包囲の意味を失う。
つまり、包囲戦、特に”機動包囲戦”では、「方位する敵に対して、適切な広さ/艦隊密度/厚さを維持できる数的優位」を維持できることが条件のはず。
正直、それを行うには数の差がまだ小さく、敵艦の性能を加味してもタイミングが早すぎた。
戦の素人が焦っての行動ならまだしも、これまでの手際から考えて、どうにもそれは期待薄だ。
(何か裏があるはずだが……)
その時、ドメルはふと気付く。
(敵の航空部隊がいつの間にか引いている……?)
不可視の艦砲射撃と連携して行われていた嵐のような猛攻が、斧で断ち切ったように唐突に止んでいた。
ドメルが凡庸でないことの証明は、それが何らかの前兆であると感覚的に理解できることであろう。
そして、
「敵旗艦と思わしき大型艦とその護衛艦、僅かに突出してきてますっ!!」
そう叫ぶオペレーター。
その行動に直ぐにどんな戦術的意図があるのか、ドメルには説明できない。
だが、
「味方旗艦と直轄艦隊、前進を開始! 敵旗艦に”
「バカな……」
”ジョルト”とは、圧倒的優位に立った時に最後の抵抗を行わせ……それを力でねじ伏せ嘲笑う為に元貴族軍人が考案した、言わば「お遊び」だ。
無論、敵に突きつけるお決まりの文句は「この戦いに諸君らが勝てば、我々は引こう」であるが、ガミラスはこれまでそのような戦いで負けたことはないし、仮に負けたとしても約束は守られることはない。
そうであるが故の”お遊び”なのだが……
(敵がそのようなものを知ってるわけはないし、仮に知っていたとしても、現状で
ならば、これはどういうことだ?
しかし、何らかの結論を出す前に、エルク・ドメルは渾身の力で叫んでいた!
「我が指揮下にある全艦、後退せよっ!! 可能な限り旗艦と距離をとれっ!!」
その数瞬後、ガミラス旗艦を爆心地にし、”宇宙が
良き将になるには、「苦難と困難を生き抜くことが重要」なんて書いてしまうと、下手をすればチートな地球連邦に名将はいなくなってしまいますがw
とりあえず今回は、ドメルさんには名将として開眼するきっかけとなった「苦闘」を経験してもらおうかと。
これを生き延びられるのなら、ガトランティスも怖くない?