たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
「は? ガミラスの覇権主義っぷりには裏があると?」
「端的に言えば、そういうことさ」
「確か表向きは、”イスカンダル主義”だかなんだかを全宇宙に、とりあえずは銀河系に広めることでしたかな? それを初めて聞いた時、15万光年以上彼方から、わざわざそんなことの為に来たのかとひどく呆れた記憶があります」
拿捕したガミラス船に乗っていた政治将校だったか親衛隊だったかを尋問したとき、イッた目でそんなご高説を声高らかに叫んでいたのを沖田は思い出した。
「あれが
余談ではあるが、ユリーシャから”イスカンダルの使者”と聞いた時、連保の一部はかなり危機感を募らせ警戒していた。
ガミラスの地球に対する度重なる侵攻の黒幕が、本当にイスカンダルではないと言い切れなかったからだ。
だが、彼女の言葉を聞くうちに全てとは言わないが、かなりの部分は払しょくされたようである。
「? どういうことです」
「内乱の火種は、現総統……大ガミラス帝星永世総統”アベルト・デスラー”が就任する前からあったらしいんだが……」
藤堂の話を搔い摘めばこうなる。
かつての地球と同じ様にガミラスは一つの星でいくつかの勢力(王侯貴族)があり、その有力豪族の一つであったデスラー家がガミラス統一に乗り出した。
今から30年ほど前、現総統の叔父”エーリク・ヴァム・デスラー”の手で最初の統一が成し遂げられたが、数年を待たずして反感を持つものから暗殺され、再び内乱が勃発。
また子のいなかったエーリクの後継者と目され、再び始まった内乱を収めると期待された現総統の実兄マティウスも志半ばで凶弾に倒れた。
最終的にガミラス再統一を果たしたのが現総統、アベルト・デスラーだったが、
「だが、その当代のデスラーが永世総統とやらの地位に就いた時、大きな社会システムの改変があった」
「どんな……です?」
「貴族制度を廃止したのさ」
何やら話が途端にきな臭くなってきたが、藤堂は構わず続ける。
「話を聞く限り、宮廷貴族というより封建貴族的な色合いの強そうな者達、貴族位を持つ豪族のような者たちのように聞こえますから……さぞ反発を招いたんでしょうな」
「まあ、端的に言えばそうなる。無論、表立って不満と反発をあけすけにして叛乱を起こすような愚者はいなかったようだが……溜まったそれらはガス抜きしなければまた遠からず内乱だったろう。その手段として用いられたのが、」
「外征というわけですか……内政問題を外部に敵を作り有耶無耶にする。為政者が昔からよく使う常套手段です」
「その通りだ。彼らもまた我々と同じ人間ということなのだろう。良くも悪くも」
そう藤堂は鷹揚にうなずき、
「更にはこれには一石二鳥の効果があるのさ。いや、もしかしたら三鳥かもしれない」
「は?」
沖田がいぶかしげな顔をすると、
「沖田君、ここ数年、対ガミラス戦で明確な変化は感じられるかね?」
「戦いが散発的になってきましたな。特にここ3年くらいは事実上の小康状態にあり、おかげで年間戦死者数は1万人以下どころか千人以下となっております。喜ばしいことにね」
事実であった。対ガミラス戦で激しかったのは最初の3年。次の2年は徐々に会戦ペースが落ち、最近は年に数度しか会敵はない。
しかも艦隊戦規模はそこまで大きくはなかった。
「最初の3年は国家の威信をかけた戦線に投入できる艦隊をすべて投入した総力戦。だが、ちょうどその頃にガミラスには領域を侵犯する我々とは別の敵対勢力が現れたらしいな」
「なんとっ!?」
沖田もそれは初耳だった。
これは思いの外重要な情報だった。藤堂の話が事実なら、5年前からガミラスは二正面作戦らしきものをせざる得なくなっているというのだ。
「そのガミラスにとっての新たな外敵は”ガトランティス”と言うのらしいが……イスカンダルでもガミラスでも、その正体をつかみきれてないらしい。むしろ、勢力規模や版図、母星の位置など何一つわかってないらしい」
「なるほど……まだ儂がテレザートの提督をやっていた頃、途中から妙に連中の圧力が減ってきたと思ったら、そういうことでしたか」
「ああ。おそらく主力、とりわけ精鋭と思わしき艦隊を自国の領宙防衛に回したのだろう。皮肉だがね、地球がどれほど艦隊戦に勝とうが、領土的拡張……逆侵攻を意図しないことを我々は自ら証明してきた」
これも事実であった。
今の地球には領土的野心や覇権主義というのは一切ない。
それも当然なのだ。今の地球領土は実に歪で、完全統治下に置いてる256星系の大半は半径500光年以内の太陽系を中心とした球状空間の中にあり、100年ほど前に”テレサの呼びかけ”に応じて数年の歳月をかけて足を運んだテレザート星系の方向(アンドロメダ星雲方向)に2万光年も不自然にみにょんと伸びているのだ。言ってしまえば、テレザートは地球連邦にとって”飛び地の保護領”という扱いであり、地球本星直轄勢力圏との連絡が切られやすいからこそ、連邦は大規模な艦隊拠点を整備し、精鋭艦隊を常駐させているのだった。
そして、現在の20を超える有人惑星が連邦にはあるが、実はそれ以外にも入植可能な状態で
だからこそ、「専守防衛を基本とする徹底的な防衛戦」がメインドクトリンとなるのだ。
「主力や精鋭をそのガトランティスとやらに回すとして、今我が国を領宙を侵犯してる連中はなんなんでしょうか? 二線級戦力? 連邦と交戦状態にある事を国内にアピールするための?」
「二線級といえば二線級だろうな」
「その言い回しだと、正解というわけではないようですな」
「正確に言うなら、”元貴族の息のかかった、半ば私設艦隊”だろうね」
藤堂の説明をまとめると……
・貴族制度を廃止し、ガス抜きのための外征を目論んだ時、元貴族たちの不満や反発を抑制させる為、必然的に拡張する軍の高官、特に将軍職や提督職など特権的高級将校の地位を割り振った
・それでも地球と戦端が開かれるまでは主力は国軍であり、貴族派軍人達に目立った活躍の場があったかと言えば、そうでもない。
・また占領した惑星は彼らの領地となる訳ではなく、あくまで国家管理(管轄的には支配統治省、治安活動など実務的には親衛隊も大きい)
「だが地球連邦との戦争が膠着状態に入ったとされた3年前、ガミラス総統は大きな方針転換をした」
藤堂は一度言葉を切り、
「総統直々の勅命だったらしいが……『地球連邦の惑星を制圧、維持できた者は褒賞として手に入れた星を自らの領地として良い』とね」
それは事実上、ガミラス封建貴族の復活を許す宣言に等しかったが、
「なんと、傍迷惑な……ん? まてよ」
どうにも腑に落ちない。
正規の精鋭艦隊で押し切れなかったのに、貴族の子飼い艦隊で勝てると思ってるのだろうか……?
ガトランティスとの戦争に国軍を投入したいからといっても悪手すぎる。これではまるで、
(ガミラスは、その時点から地球との戦争に勝つ気はない……? まさかっ!)
「我々は体のいい”
藤堂は小さくうなずき、
「どうやらデスラー総統にとり、地球連邦軍は随分と腕の良い掃除人だと思われているようだね」
オマケ設定
超強化型沖田艦(レトロな表現)
コンゴウ型装甲巡航艦(改訂版)
ネームシップ就役:西暦2194年
全長 289m
デザイン 砲数、配置違い。全長が伸びてるが全幅/全高の増大率はそれ以上で、全体的にオリジナルよりずんぐりした紡錘型船体。
機関
・重力補助型熱核反応炉(ほぼマクロス式)
・重水素/反重水素型反物質炉(対消滅/対生成機関。スタートレック式に近い)
・真空相転移炉(ナデシコ式)
防御装備
・
・
・
・エネルギー転換装甲材(膨大なエネルギーを生かした可変強度素材。被弾率の高い艦前方は二重構造になっている)
・
・傾斜装甲の概念を取り入れた船体構造
攻撃兵装
・艦首単装
・36サンチ三連装偏向陽電子ビーム砲×6(船体上下面に背負い式で×2ずつ、左右側面に1基ずつ。ガミラスの陽電子ビーム砲を参考に開発された武装だが、重力レンズを砲口部に搭載することによりビームの偏向、また三門斉射の場合はレンズで収束し一本のビームとして放てる。何気に後の重力子スプレッダーなどに続く技術。上下2番砲塔と左右砲塔は水平方向全周囲旋回可能で後方への射界も確保。垂直方向は重力レンズの偏向で対応)
・光子魚雷発射管×8(魚雷搭載数40+8本)
・連装
・汎用16セルVLS×4
・四連装30mmパルスレーザーCIWS×8
非殺傷装備
・トラクタービーム(重力アンカー兼用)
・重力ビーム送電装置
・各種超光速通信機材一式
・高出力投光器など
特殊航法装置
・
・通常空間加速型
搭載機(2199現在)
・大気圏内外兼用
・空間汎用輸送機 ”SC-87 コスモシーガル”×2機(専用デッキ)
・汎用人型空間作業機”MHU-89 エステバリス5”×4機
・90式空間機動甲冑×4~8機
・小型無人多目的ドローン(ナデシコのバッタなどの子孫)
特記事項
・ブロック工法での設計のため従来の地球艦より短時間で大量建造可能
・正規1個艦隊を指揮しても余力のある軍艦としてオーバースペックであり比例して高価なオモイカネ・ユニットはオミット。ただし、分艦隊程度なら最新の量子コンピューターで指揮できる。
・上下面の2番砲塔/左右砲塔dはオリジナルのような”艦橋砲塔”に見えるが、そこは高性能光学センサーが搭載されているだけ。本当の艦橋機能は現代の戦闘艦と同じく艦重防御区画最深部の”CICルーム”にて行われている。
備考
2202の”金剛改型宇宙戦艦 / 金剛改II型宇宙戦艦”に相当する、この世界線では2199時点での地球の主力艦の一角。ただし、ナデシコという更に大型の艦が戦艦と呼ばれているために、艦種が装甲巡航艦となった。
基本的にはオリジナルを前後に、左右上下をそれ以上に伸ばした感じの船で、砲塔サイズはオリジナルと一緒なので相対的に小さく見える。
原則、高価すぎるナデシコE型から戦闘に必要な要素を抽出し、鹵獲したガミラス艦を解析したリバースエンジニアリングを掛け合わせて設計された船である。
その為、火力と防御力はオリジナルの金剛型どころか後継改良型の金剛改型宇宙戦艦 / 金剛改II型宇宙戦艦をも凌ぐが、明確に劣る分野が一つある。それは、”超光速航行能力”だ。
この時点で地球は波動コアの量産に成功していないので、どうしてもゲシュタム方式(イスカンダル方式)のワープ航法には、航続距離や速度で劣る(ただし、重力制御や慣性制御をデフォで搭載してるため、通常空間での運動性や機動力は勝る)。
また、ナデシコEでは標準装備されていた緊急離脱に使われるボゾンジャンプ装置は、「敵味方の密集度が高い大規模な艦隊戦ではかえって危険」とオミットされている。
その代わりスタートレック式通常空間ワープ・システムはナデシコEよりアップデートされた物が使われ、またディストーション・フィールドの効果が薄い実体弾に有効な傾斜装甲の概念(おそらくセルグート級の影響)や先端部のエネルギー転換装甲の二重化など装甲巡航艦の名に恥じない防御力を誇る。
加えてオリジナルの1.5倍の砲塔数(門数)の三連陽電子ビーム砲をはじめ武装もガミラス軍同クラスのデストリア級航宙重巡洋艦やメルトリア級航宙巡洋戦艦、あるいはその一つ上のガイデロール級航宙戦艦と戦っても撃ち負けることはなかったとされる。
とはいえ、この時代の地球艦はほとんどそうだが、攻撃力や防御力で勝りながらも、少なくとも戦争前半はわりとガミラスといい勝負されてしまったのは、速く足の長いガミラスの奇襲の対処に苦慮したというのも一因であろう。
また、戦争後半には鹵獲したガミラス艦から取り出したゲシュタム・コア(波動コア)を搭載した実験艦も建造されたようだ。
ガミラス戦役当時の建造数は2000隻を軽く超え、これは戦前建造分も含めたナデシコE型総建造数の10倍に届く数字だった。