たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
でも、明かされるのは「全て」ではなかったり。
謎や秘密を楽しんでもらえれば嬉しいっす。
「せ、
ネルガルの、そして地球連邦の最重要にして最高機密の研究開発施設”火星極冠研究所”……その最深部で、まだ40代だった沖田十三が、恩師のヤマサキ老人に案内され、いくつものセキュリティを潜り抜けて見た物は……
「我々は”ザ・キューブ”と呼んでいるよ」
広いドーム状構造物の中心に浮かぶ、一辺30m程の「銀色の立方体」だった。
表面に細かく幾何学模様(?)が刻まれ、時折発光もしているようだ。。
それは、地球人類が製造したとするにはあまりに異質だった。
もし貴方がかつて”機動戦艦ナデシコ”の視聴者ならば、「演算ユニットか……でも、何か変じゃね?」と思うだろう。
そして、貴方が”トレッキー”なら、「なんでこんな所に”ちっこい
「沖田君、これが全ての始まりだよ」
「は?」
「真空相転移機関にディストーション・フィールド、グラビティブラストに量子跳躍とその触媒になるチューリップ・クリスタル、数々のナノマシンテクノロジー……”火星古代遺跡由来”とされる全ての技術は、このたった一つの不可思議なキューブから始まったのさ」
「これは、一体……?」
「
一応、フォローしておくと現在地球連邦での主要超光速通信は、マクロスでお馴染みの”フォールド通信”や、スタトレ方式の光速の約20万倍の速度を出す”亜空間通信”だ。
「”何か”? 量子コンピューターではないんですか?」
するとヤマサキは面白そうな顔で、
「量子波の”自然発生的ではない
「はっ?」
「コレの中身は今のところ誰も計測できていない。今の人類の技術じゃ分解して確かめようにも方法がない。現在の地球連邦のもつ技術じゃ傷一つ満足につけられない。これはそういうモノだ」
ぽかんとする沖田にヤマサキ老はクックとしわがれた声で笑い、
「その程度で驚いてもらっては困るな。君はナデシコに搭載される”オモイカネ”が、なぜそう呼ばれるようになったか知ってるかね?」
「八百万の神々、その一柱である知恵の神”思兼神”にあやかり名付けられたと聞き及んでいますが……?」
ヤマサキは「たいへんよくできました」という表情で、
「では質問を変えよう。オモイカネはネルガル……いや人類が作ったはずなのに、なぜ”人類では
「そ、それは……」
ふと沖田の脳裏に「ある仮説」が浮かんだ。それを察したようにヤマサキはにんまりと笑い、
「君の結論はおそらく正しい。知ってるかね? 思兼神とは”思
ヤマサキが何を言わんとするのか、沖田には分ってしまった。それをヤマサキは察したのだろう。
「そうだ。目の前に”ザ・キューブ”こそが、オリジナルの”オモイカネ”だよ。”オモイカネ”とは本来、このザ・キューブを示すコードネームだったのさ」
***
「ちょ、ちょっと待ってください!
「まさか」
ヤマサキは涼しい顔で否定し、
「言ったろ? 我々にはあれの中身がどうなってるのかも分からないと。構造もわからないのに複製なんてできるわけもない」
「なら、一体……」
「イメージし辛いだろうが……ザ・キューブを、ご神木かなんかだと思ってほしい」
「は、はあ……」
「我々は「祈願して」”株分け”してもらってるのさ。いや、種子や苗木を頂戴している言った方がニュアンスは近いのか? 何せ掌に乗るサイズの物だし」
「えっ?」
「それが沖田君たちが知ってるオモイカネのブラックボックス化されているコアの正体だ。軍に納品される”オモイカネ”の冗談のような高価さは、そのほとんどが”
”愉悦”……一言で表すならそのような表情をするヤマサキに、思考が徐々に圧迫されつつある沖田は、何とか疑問を絞り出す。
「では……ルリ君やラピス君とは一体……?」
「”電子の妖精”、”量子の巫女”ね……随分と詩的な表現だとは思うが、本質は突いてないな」
ヤマサキは表情を消すようにさして面白くもなさそうな顔で、
「あれのオリジナルは天河博士……”
「”翻訳機”?」
「だから、人間とも”君たちが言うオモイカネ”とも対話ができるし、仲介もできる。”劣化版の
「なぜ、少女の姿を……?」
「明人さんが作ったオリジナルを模してるのだろう。言っておくけど、あの
「なっ!?」
「私も不思議なのだよ。ザ・キューブは、なぜあの姿で製造するのか……確かに面影はある。同じアーキテクチャも使っているのだろう。だが、あんなに”肥大化した
少しだけ感情の揺らぎを出すヤマサキ……そこには、どんな思いが去来してるのだろうか?
「沖田君、
思い出の中に居る件の人物を思い出したのか、老人は少しだけ恍惚とした顔をした。
「今の私はね、語り部に過ぎないのさ。老人ができることは、古い話を伝える事くらいしかない」
そして再び愉悦を混ぜた表情で告げる。
「沖田君、自分が老いたと、軍に執着する気が無くなったと思ったら、またここに来るといい。そのくらいまでは、おそらく私も生きているだろう。その時は、」
ヤマサキは喉の奥で乾いた笑いを作り、
「”同好の士”として歓迎しようじゃないか」
ヤマサキ老が喋ったのは、彼が「知る物」のほんの一部、触りに過ぎません。
全体から言えば、「沖田の興味を引き、好奇心を煽るための導入部」くらいです。
”ザ・キューブ”の「表層的な側面」しか語ってません。
ルリやラピスが本当は何なのか、オリジナルとはなんなのか?
彼と”初代”とされる天河明人との関係は?
年代を変えて現れる天河明人とは何なのか?
そもそも、天川明人とは何者だったのか?
ネルガル、または地球連邦の抱える闇は、まだまだ深そうです。