たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
まあ、”彼女”を出さないと色々マズいという言うか……
とりあえず、微エロ(?)込みのギャグ回(??)のようなもんです。
2199年8月13日、呉地下ドック、”SSX-Y001 ヤマト”前
「これから最後の搬入作業を始める! 全員、作業は的確に迅速に! されど安全は第一にっ!!」
「「「「「「「的確迅速! 安全第一!」」」」」」」
「作業開始っ!」
その日、なぜか古代はヤマトへの最後の搬入作業を行う空間騎兵隊の陣頭指揮をとっていた。
理由はよくわからないが、何故かめっちゃ馴染んでいるようだ。
「「「「「「「おーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」
何やら男女問わず猛々しい雄たけびの中に、
「おー♪」
何やらひどく場違いな声が混じっていた気がする。できれば、気のせいだと思いたいが……
「なんだい、あの無駄に賑やかな集団は? というか、なんで飛行実験隊のパイロットが、空間騎兵の陣頭指揮とってたんだ……?」
そうずり落ちそうになったオサレ眼鏡型情報端末をかけなおすのは、”南部康雄”中尉。ヤマトでは戦術科士官で、実は古代兄こと古代守中佐(戦術長)の部下だったりする。親交がない(進は基本、ブリッジに来ない)ので、陣頭指揮をとってるパイロットが、上官の弟で、しかも階級ではこっちも年下の上官だということに気づいてない。
ちなみにガチでいいとこのお坊ちゃんだ。実家は地球連邦有数の武器屋で、割と節操のない商売をしている。まあ、マウラーやビフォースと得意分野は少し違うが、肩を並べてるあたり結構デカい企業である。
まあ、基本的に育ちが良く、士官学校でも優等生だった南部に、「飲み会で同じ実験部隊ということで意気投合。時間があれば共同研究でもと盛り上がり、それぞれの部隊の頭である二人の少佐が一応、余裕があれば航海中にやっていいか?と上に訊ねたら、二つ返事でOKが出た。あまりに簡単な許可でどういうことかと訝しんでいると、実は空間機動甲冑の開発にもスーパーノヴァ・アライアンスの関係企業、それも割と大手が絡んでたというオチ」なんて状況わかるはずもない。
だが、より重症なのは、連れ歩いていた片割れで……
「あうあうあう……」
なんか集団を指さしたまま、あうあう小刻みに震えていた。
信じられないものを見たように大きく見開かれた瞳のせいで、せっかくの美人が「愉快なねーちゃん」テイストになってしまってる。
すると、その視線に気づいたのか、作業用なのかだぼだぼのツナギ姿の美少女(なぜか首には認識票ではなくハート形のチャームがついた首輪が巻かれていたが)がトテトテと小走りしてきて、
「ユキ~♪」
「ゆ、ユリーシャ様っ!? なんでこんな所にっ!? というか、なんでツナギ……?」
「”めかにっく”の人達に『余り物だけど、良ければどうぞ』ってもらったんだよぉ。似合う? 似合う?」
「アッ、ハイ」
何か急速に光を失いだした瞳で頷く雪だった。
「でも、ちょうどよかったよ♪ ユキってユリーシャのお世話役なんだよね?」
少し解説しよう。
彼女の名は、”森雪”。言わずと知れた原作ヒロインなのだが……なんと、このシリーズでは70話手前にして登場という扱いである。
とはいえ父は外務次官の森直之、母は森梓というらしい。ただし、この世界線の地球は極めて平穏であり、テロにより記憶と両親”あぼーん”がない為、そういう意味では不遇ではない。
本人は原作2199同様の才女で、なんと古代進より一歳若く大尉の地位にある。おまけにメジャーではないが、原作でもかなり早い段階からヤマトに関わっていたらしい。
実は、南部から見ると雪もまた「年下の上官」なのだが、幼馴染ポジ臭く二人共割と階級を気にしてないようだ。
そして、ここからが重要なのだが……父親が外務次官ということもあり、外務省から軍部を通して「帰り道でのユリーシャの世話役」を担うように内示を受け取っていた。
そして色々残務整理があり、本日合流と意気込んでいた。いたのだが……
「ええ。そうですね……あれ? ユリーシャ様って自分を呼ぶとき”そう”でしたっけ?」
「こっちが”素”だよ? それにススムがこっちの方が可愛いし、ユリーシャらしいって言ってくれたんだ♡」
「は、はあ」
(ススムって……誰っ!?)
「それでね、ユキ、もうユリーシャのお守りしなくていいんだよ?」
「は?」
その時、雪の思考が完全にフリーズしたという。
正直、ユリーシャが何を言ってるのかさっぱり理解できなくなっていた。
「えとね、ユリーシャ、航海の間にススムの部屋に住むことにしたんだ。だけどススム、地球系の娘ってあんまり興味ないみたいだから、ね?」
それは暗に『ユキがケモっ娘とかだったら誘ってたのになー』というニュアンスを含んでいるが、当然雪は気づいていない。
というか処理落ちしかけていた。
「荷物はもうススムの部屋に運んだし、
何か聞き捨てならないような単語も交じってた気もするが……
「は?」
雪の語彙力は、どうやら一時的な不調をきたしているようだ。
ちなみに手伝ったのは古代進と山本玲、両実験部隊の紳士淑女からなる有志一同。
浄化(生分解)特化型のナノマシンを詰め込んだ砂箱を見た時、地球系はともかく獣人系の反応は淡白だった。
『ん? 室内飼育? まあ、宇宙船だからそりゃそうか』だ。ちなみに「その手の行為」は自分の縄張りやら状態を主張する
何やらイスカンダル人と獣人系(雌)は、何やら通じ合うものがあるらしい。
いつの間にか玲も名前呼びになってるし。
「それにね。ユリーシャ、これから忙しくなると思うから。雑務もだけど、」
ユリーシャは首輪のチャームを右手でいじいじしながら、
「帰国までに頑張ってススムと赤ちゃん作らないと♡」
「What?」
雪の脳ミソは理解することを拒んだ。
「えっとね、地球の人にはわかり辛いかもだけど……赤ちゃん居るといないとじゃ、発言権とか色々違ってくるんだよ。国民の支持とかもね。スターシャ姉様の地位を奪う気は無いけど、ユリーシャにもちょっとはやりたいことがるんだよ?」
……存外に野心的なことをのたまうユリーシャ第三王女であった。
ちなみに「孕んでも女しか生まれない」イスカンダル人にとり、子孫を残すというのは非常に”意義のある行為”とされている。
つまり、ユリーシャが語る言葉は、的外れという訳ではないのだ。
本来の意味ではないが、”母は強し”である。
「あっ、でも安心して。解任じゃないよ? 手続き上は今のままでいいって、偉い人にも許可取ったから。これは懐妊する為に必要なことなんだよ。あっ、ユリーシャ、上手い♪」
ちなみにその報告を先ほどユリーシャから直に受けた地球連邦首脳部は、現在進行形で阿鼻叫喚だった。
確かに『怪しい報告』は受け取っていたが、ここまで事態が急変するとは思ってなかったのだ。
要するに、彼ら彼女らは、イスカンダル女の種族的な執念やら情念やらその他諸々を”
地球原産人類とは違う方向で生存に特化した種族に、油断などしちゃいけないというのに。
もっとも、それもユリーシャからの一言、
『もし、邪魔をするなら
で連邦首脳部は、とりあえず「静観」を決め込んだ。
ぶっちゃけ、古代進にぶん投げた。
言い方を変えると、古代進に地球の命運は託された。
いや、なんか違う気もするが……だが、一言だけ言わせてもらおう。権力ってコワイ……
「という事で、ユキはユリーシャの事を気にしないで、ゆっくりすごいしてね? じゃね♪」
と再びトテトテと「無駄に賑やかな集団」へと戻っていった。
その先で、『ススムススム♪ お世話役の人に許可取ってきたよ♡』『そうか。そういうのはちゃんとしないとな』『うん♪』と撫で繰り回されていたが、断じて雪は許可など出していない。
黙認を決めたのは地球連邦政府首脳部であって、彼女ではない。
だからといって、ユリーシャを止める手立てなど無いのであるが。
事態をよく吞み込めてないのは一緒だが、南部は雪の肩にポンと手を置き、
「と、とりあえずよかったじゃないか? 面倒ごとの一つから解放されたと思えばさ」
「だ、だから……」
しかし、雪はギュッとこぶしを握りしめ、
「だから一体なんなのよぉーーーっ!!?」
残念ながら、その疑問に答えられる者は、居ないわけでは無いが搬入作業でわちゃわちゃやっていたのだった。
ヤマト出航の二日前の出来事、日常の一コマであった……
何故かこの回を書いてる途中、「法被姿で大きな団扇を振り神輿に乗っかる古代進」という夏祭り的なイメージが浮かぶ怪奇現象がw
これもオモイカネ神のお怒りか?
とりあえず、頑張れ森雪w