たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
「艦長! 静止衛星軌道上の友軍艦から発光信号! ”汝ノ愉快ナル航海ヲ祈ル 山南”以上です」
この23世紀も目前の時代に、わざわざ発光信号を見送りの挨拶にとは実に山南修らしいチョイスではある。
通信士としての初仕事に張り切る”相原義一”少尉の報告に、
「エネルギー輻射パターンを確認。大型実験艦”ユウバリ”ですね」
「そういえば”山南のおじちゃん”、今はユウバリの艦長さんだっけ? ”新型の試製陽電子衝撃砲”乗っけてるみたいだから、ニューホワイトサンズ星系からの帰りかな?」
とすかさず沖田の右隣に立つ”ルリ21990401”と、沖田十三の膝の上でくつろぐ”ラピス21990401”が更に詳細を報告する。
完全に出番を奪われた森雪がいささか不満顔のようだが、いくら才女でも情報使いとしての基本スペックが違いすぎる。文字通りの「オモイカネと直結している量子の申し子」達とは勝負する方が無謀というものだろう。
何やら「孫娘を膝に乗せて可愛がるお爺ちゃんの図」に見えなくもないが……軍艦の艦長席で見るには、酷いというか色々台無しな構図ではある。
おかげで沖田十三を見るブリッジクルーの視線は、原作のような「威厳のある沖田に向ける尊敬の眼差し」ではなく、なんというか……生暖かさの混じった「好々爺に向ける親愛の視線」になってしまってる気がする。
まあ、沖田本人は過去の経験からラピスの問題行動を普通に受け入れてしまってるが。慣らされたとも言う。
実際、8年前の「同位体(?)と共に過ごした1年間」でも、ラピスはよく甘えてきたし、せがまれてよく一緒に風呂に入ったものだ。
いつの間にか同じ湯船につかっていたルリ(念のために言っておくが、外見は劇場版ナデシコのルリ)には最初は驚き、閉口したがそれもそのうち慣れた。
実際、存分に思うまま甘えさせた方が調子もよくなるみたいだし、メンタルケアの一助にでもなれば思えばまあ良いかなと沖田は考えていた。
蛇足ながらルリとラピスは軍人でも乗員でもない。また、乗り込んでいるはずの槙原康介議員のような民間人でもなく、強いて言うならAU-09/アナライザーと同じ”装備品”管轄だ。
アナライザーが”ヤマト”の自立型サブフレームなら、ルリとラピスは”オモイカネ”のサブフレームだ。
なので、いかなる軍規も服務規定も、彼女たちの行動を縛れない。「人ではない」とはそういうことだ。
もっとも、彼女達の行動如何は、艦長に紐づけされていることを忘れるべきではないが。
「山南君に、”
沖田はそう口元をほころばせ、自分がテレザート星系で提督をやっていた時の三度目のガミラスとの戦い、現状では「最後の戦い」に思いを馳せる。
「あの船は最初、故事来歴に因んで”鎮遠”と名付けられる予定があったことを知っているかね?」
***
沖田がテレザート星系提督として戦った最後の戦い。
その中で中々興味深いことが起きたのだ。
何がどういうわけでそうなったかは分からないが、一条輝が搭乗するVF-11Bが、たまたまその艦隊の旗艦だったゼルグート級の”円盤状のブリッジ”にとりついてしまった。
慌てたガミラスの元貴族提督は、パニックでも起こしたのか「
だが、そこはマックスやミリアとは別の方向性の才能を持つ輝だ。
ブリッジが切り離された途端に何が起こったか、そして何が起きるかを察し、振り落とされる前(あるいはワープで拉致される前)に、即座にガンポッドの引き金を引き、「お皿をハチの巣にして、真っ二つに割った」のだった。
これが致命傷となり戦いの趨勢は決まった。
gdgd感漂う戦場を制した連邦艦隊は、ほぼ無傷の「ブリッジを除くゼルグート級」を楽々入手できたというわけだ。
ちなみにこうも簡単に鹵獲できたのは、この時代のゼルグート級の構造にも原因があった。
設計上、指揮系統が脱出艇を兼ねた円盤状ブリッジに集約され過ぎていたため、ブリッジが切り離されると残された船側で全体的な指揮統制を取る手段がなく、戦闘継続が困難になってしまうのだ。
まあ、普通は脱出艇を使う場合は、「船体に重大な損傷を受けた場合」なので、重大な欠陥とは言えないが……とりあえず、使い手の愉快な判断が引き起こした”珍事”の類ではあろう。
だが、曳航された”頭のないゼルグート”のその後の処遇が、中々に地球連邦らしくて面白い。
前に書いた”沖田の凱旋”のデコレーションとされた鹵獲艦ゼルグートは、当時のルリやラピスが帰途上で事前調査や解析をしていたせいもあり、「初期のエンタープライズ型の第一船体のような新しい頭」がすぐに開発され、接続される。鹵獲したそれまでのガミラス艦の解析の積み重ねもあり、意外と簡単に動かせたのは正しく地球連邦軍技術陣の成果といってよい。。
当初、軍部は沖田の言う通り「敵から鹵獲した従来にないレアな大型戦艦」という事で、日清戦争にちなんで”鎮遠”と名づけようとしたようだ。
だが、そのネーミングに待ったをかけたのが、艦政本部や技研、軍大学だった。
曰く、
『まさか、軍はその満足なエネルギー系防御フィールドもない船を戦力として使う気なのか?』
と。
『そんな危なくて勿体無い使い方するくらいなら、技術開発に使おう。ゲシュタム機関も積んでるし、頑丈そうで図体もデカい。いろんな実験ができそうだ』
しっかり要求も押し付けた。
蛇足ながら、識別の為に同種のM理論利用半永久機関を”次元波動機関”と呼称するようになったのは、コアは鹵獲品だがエンジン自体は見よう見まねで地球連邦で試作できるようになった戦争も後半の話で、この時期はまだ、翻訳がある程度はできるようになったガミラス語のままの”ゲシュタム機関”、”ゲシュタム・ジャンプ”などが普通に使われていた。
そして、すったもんだの結果に名付けられたのが、
『装備実験艦と言えば、夕張だろう! ならユウバリで良いじゃないか!』
実はこの認識、ちょっと誤解があるのだが(ほぼほぼ”艦これ”のせいという説も……)、まあそのあたりは桐生美影にでも聞いてほしい。
オリジナルの夕張は実験艦でなく立派な実戦艦で、しかもそれなりの武勲艦だったり。
実は、狭義な意味での”イスカンダル式
「”ユウバリ”より、
「わぁ……虹色の光だねえ。キレイ♪」
そう。2人が言うように、ユウバリから放たれた七色の光はまるでヤマトに道を示すように、船を包むような軌跡を描きながら外宇宙へと伸びていった。
「祝砲のつもりなのだろう。ルリ君、返信を」
”えっ? それって俺の役目じゃないの?”という顔をする相原だったが、まあ男としては納得いくチョイスだ。
誰だって、ヤローより可愛い女の子に声をかけたい。
「なんと?」
沖田はクックと楽しげに笑い、
「”バカめ”だ」
「”バカめ”、ですか?」
沖田はうなずき、
「そして、こう続けてくれ。”私がいない間、地球を頼む”と」
「承知しました」
するとルリは微かに微笑み、
「少しアレンジしても?」
「まかせるよ」
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装備実験艦”ユウバリ”、ブリッジ
「艦長、”ヤマト”より映像通信入ってます」
「メインスクリーンに映せ」
「了解。どわぁっ!?」
通信士が思わず椅子から転げ落ちた。
いや、少将に立身出世した山南修も思わず椅子からずり落ちそうになったのは内緒だ。
なぜなら、想像以上にドアップで立体投影されたのは……
”んべぇ~~~”
思い切り”あっかんべー”する中高校生くらいの超絶美少女だった。
『バカばっか』
そしてすかさず決め台詞。
「てんめぇ~っ! ”ルリ”、久しぶりだってのにお前なぁ……」
『沖田艦長からの伝言ですので』
ちなみにこの通信画像のルリ、リアルタイム画像では無い。
この通信の為に、わざわざ瞬時モデリングで作成した物だったりする。無駄に芸が細かいのが如何にも彼女らしいが。
つまり、このお茶目なルリの姿は、残念ながらヤマトのブリッジでは披露されていない。
どうでもいいが、山南も共に過ごしたテレザート星系の1年で随分と慣れ親しんだようで何よりだ。
これならきっと、いつか彼が「ルリやラピスを従える日」が来ても大丈夫だろう。
「噓を言うな。噓を」
『多少、アレンジをしましたが、概ね合っています。それと”自分がいない間、地球を頼む”と』
「あいよ。任せな。沖田さんには、そう伝えておいてくれ」
『了解しました。確かにお伝えします。山南少将もどうかお元気で』
「ああ。”お前たちも”な」
そして、ヤマトは征く……地球を旅立ち、イスカンダルへっ!!
土方さんは出てきませんでしたが、山南さんはセルグート級改めてユウバリで再登場です。
実は、オリジナルと夕張と大和はとある天才的艦船設計者で繋がってるという隠しネタw
ふと思いついてしまった1シーン
2202の一幕ですが、とある事情から「絶対にこういう未来は来ない」と先に断言しておきますw
地球連邦はこの時代、もっとずっと強いです。
***
改造アンドロメダのブリッジにて
「ルリ、ラピス、随分寂しくなっちまったな……」
「だねー」
「ラピス、簡単に同意しない。私とラピスをダブルで膝に乗せておいて、何をシリアス顔で言ってるんですか、この提督は」
「きっと、まだ遊び足りないんだよ。出征前、お姉さまとラピスであれだシたのに、まだ足りないなんて提督さんは立派な”ぜつりん”さんだね♪」
「良いでしょう。そういう腹積もりであれば、生きて帰れたら今度こそ足腰立たなくなるまでお相手してさしあげます」
「えっ? これ、俺、生還しても撃沈されるってオチ?」
『山南? ああ。あの
おあとがよろしいようでw