たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
ちょっと「雰囲気のある話」を書きたかったというのもありますが、古代と島を書いてたらつい面白くなってしまって。
あっ、サブタイは勿論……
後年、とりあえず平和と呼ばれるようになった時代に”SSX-Y001 ヤマト”は、”豪華客船ヤマト”や”高級ホテルシップ・ヤマト”と揶揄されることがあった。
それは皮肉や嫌味ではなく、その「充実しすぎた福利厚生設備」を羨んだ声だったり、あるいは幸運にも客人扱いでヤマトを訪れる事ができた人々に対する、羨望ややっかみだったりだったという。
”とある事情”から、ヤマトが民間人を
形状の元ネタの”エンタープライズD”には、船員の家族も乗り込むために学校などの教育機関もあり、本当に一つの「小さな町」の機能を有していたが、流石に「航海の半分以上を敵地=ガミラスの勢力圏を進む」ヤマトにそんな余力はない。なので槙原康介議員などの一部の例外を除き、乗り込んでいるのは軍人か軍属だけた。
その分、明らかに”色々と過剰なまでの装備”が搭載されてるが、それはいずれ明らかになるだろう。
ともかく、エンタープライズDでは家族向けに用意されていた設備リソースや空間リソースは、その多くが「恵まれた福利厚生設備」、違う言い方をすれば”娯楽施設”に振り分けられていた。
その充実しすぎた福利厚生設備の一つが、この英国風パブ”
英国式がパブで、米国式がBARだというが、まあどっちも同じようなものだろう。
”BARには人生がある”とは一体誰の言葉だったか?
そう言われる通り、確かに酒場には
***
人にはそれぞれドラマがある。
例えば、かつてはキラキラとした瞳で宇宙に憧れ星空を見ていた古代進という少年は、今は同じく曇りのない瞳で異星人の女の子を見ている。
きっと、彼にとって最も身近な宇宙が、今は女の子なのだろう。確かに神秘に満ちているという意味では、共通項はあるのかもしれない。
そして、おそらくこの先も
島大介という沖縄生まれの少年が憧れたのは父の背中だ。父である島大吾は若い頃、商船乗りだったらしい。
軍隊には「いくつかの宇宙船舶免許を取るために」入隊し、服役期間を終えて退役後は民間輸送船の船乗りになった。
だが、軍は島大吾のことを忘れてもいなければ、過去の人とも思っていなかった。
ある日、彼は軍より再スカウトされ、中々の厚遇を提示され生活のためにそれを受けた。
そして、軍に復帰して程無くガミラスと戦う羽目になったのだ。
そして、沖田十三と共に戦ったあの日から8年……今は准将の地位にいる。
これも波乱万丈なドラマだろう。
そして、この店を任された”
10代の頃は、”
青春のすべてをレースに賭けたと言っていいくらい夢中に駆け、出ることすら難しい超メジャーレースで、「3年連続3位」という……識者に言わせれば、「歴史上稀に見る偉大なる”珍記録”」、「史上最強の3番手」と人気を博した。
そして、それなりの満足を得て引退……余生は実家、東京の下町にあるスナックでも継いでのんびりしようかと思っていた。
だが、どこか色褪せたような日々を送っていた彼女の背中を押した……のではなく、ケツを思い切り良く蹴り上げたのが実の母親だった。
『そんな煮えきらないようなボサッとした顔で接客してんじゃないよ! 客商売ナメてんのかいっ!?』
『ネイ、あんたは下町とレース場しか知らないような娘だよ。でもそれじゃあ、これからの長い人生つまらないだろ? もっと若いうちにできることをしてみな。世界は広いってことを肌で感じてきてごらん』
と肝っ玉母さんに追い出された。
そんなときに目に入ったのが、「ヤマトの乗組員(軍属待遇)」の募集だった。
軍人になるのは正直勘弁してほしいが、軍属扱いならいいかなとも思った。
どうせ広い世界を見るなら、いっそ地球連邦の人間が誰も行ったことのない”遠い場所”に行くのも悪くないと思ってしまった。
レースから引退した時、ターフに置いてきたと思った
「エクリプスは地平の彼方を目指す存在」だと。
***
そして、”紆余曲折”があり、「売店の売り子でもできればいいなー」と思っていたネイ・ノーザンライトは、店を一つ任される事になった。
この紆余曲折の部分も中々面白い、あるいは興味深いエピソードがあるのだが、今は割愛しよう。
少なくとも、どこか現役時代の勝負服を彷彿させるシックでありながら可憐な服を纏い、客のなんてことのない他愛も無い話に耳を傾けながらフィッシュ&チップスを揚げる彼女は、なんだか幸せそうなのだから。
「古代って、ホントにイイ空気吸いながら人生を謳歌してる感じがするよなー」
揚げ芋をかじりながらビールをぐいっといく島がぼやけば、
「そうかな?」
と不思議そうな顔をする進。
「そうさ。俺なんか女絡みで、出航3日前に危うく死にかけたりしたんだぜ?」
”ぶほっ”
進は飲んでた”スピットファイア”を軽く吹き出し、
「お前が、女絡みでか? もしかしてヤンデレ女に二股かけて、刺されかけたとか?」
「なぜ直ぐにその発想に至ったのか小一時間ほど問い詰めたいとこだが……残念ながらというべきか、幸いにしてというべきか、直接の原因は俺じゃない」
「というと?」
「……上官だ」
すると、進の脳裏にふと島と再会した時にいたハンサムな中佐が浮かんだ。
「もしかして、”カーク中佐”か?」
実は、ヤマト主操舵士のジェームズ・フィッツジェラルド・カークの出世は、今回は見送られていた。
というのも……
「ああ」
島はうなずき、
「カーク中佐と飲みに呉の街に行ってたんだけど……その時、鉢合わせたんだよ。カーク中佐が”同時に交際していた”ホーシアンの女の子二人に」
「あー」
なんとなく展開が読めてきた古代は、ビールで乾きかけた唇を濡らし、
「いや、でもさ……ホーシアンは群れを作るだろ? 序列管理さえしっかりしておけば……」
しかし、島は進のセリフの続きを遮り、
「二人はそれぞれ”自分以外の交際相手”を知らなかったのさ。互いに”自分が唯一で一番”だと思ってたみたいだ」
進は今度こそ天を仰いだ。
異星人好きの進が、「ホーシアンは一番になりたがる生き物」であることを知らないわけなかった。
「そして始まるのは、お決まりの肉弾戦での市街戦……俺は見事に巻き込まれたって訳だ。すぐに憲兵隊が来てくれたからよかったようなものの、あとちょっと遅ければ……」
島はぶるりと小さく体を震わせる。
まあ要するに、大雑把に言えば「監督不行き届き(?)で乱闘を勃発させた」咎で、哀れカークの出世は見送りになったわけだ。
まあ、自業自得とも言うが。
進は島の肩にポンと手を置き、
「島、今日は奢るよ」
「
ネイは、男二人の友情を温める様を生暖かい横目で見ながら、追加のフィッシュ&チップスを揚げる。
(やっぱり、この商売は面白いわね~)
と思いながら。
という訳で新キャラ、ネイ・ノーザンライトの回でした。
まあ、しゃっべていたのは古代と島で、美味しいとこを持っていったのはカークでしたがw
ちなみにカークも無傷です。
相変わらずの強運っぷり?
もしかしたら、ネイはたまに出てくるキャラかもしれません。
古代と距離を詰めない異星人系女性キャラっていうのも割とレアなんですが、まあ設定書いてる段階で「不思議な立ち位置の娘」だなぁ~と。
「変なところで出てくる変なキャラ」と思っていただければとw
次回から、再びガミラス視点かな?