たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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今回は、珍しい人物からの視点です。
そして、ガミラス側でも色々と「動き始め」ます。






第75話:”闇が深くなるその前に”

 

 

 

 ガミラス帝国、もしくは”大ガミラス帝星”には、”ハイドム・ギムレー”という男がいる。

 実は彼の出自というのは明らかでない……いや、むしろ謎に包まれていると言った方が良い。

 

 彼がいつからアベルト・デスラーの側近に居るのか、正確に知る者はいない。

 ただ、「気が付いた時にはそこにいた」という意見が最も近い。

 

 だが、今の彼を知らない者は、少なくともガミラスにおいては少数派だろう。

 ただし、どちらかと言えば、”()()()()()()()”……悪名として名を馳せていると言うべきなのだが。

 

 というのも、ギムレーが小規模だが「もう一つの帝国軍」と陰で言われている、”親衛隊”の長官というのがその大きな理由だろう。

 曰く、

 

”辛酸極まる弾圧をおこなう非情な組織”

 

”情け容赦ない見せしめや刑の執行”

 

”国内の粛清の為だけに正規1個艦隊に匹敵する戦力を保有する”

 

”その非情さは(元)貴族すら恐れる”

 

”血も涙もないやり口は、あの傲慢なゼーリックも口出しできないほど”

 

 なるほど。確かに親衛隊の「広報活動」を信じれば、そう思われるのは無理もない。

 というか、そう「国民から恐れられるように情報を誘導」してるのだ。そう思ってくれなくては困る。

 

 最近の親衛隊の一番の仕事は、前にも少し書いたが……「中古艦艇を貸し出し、戦死した元貴族からの弁済金の取り立て」だ。

 ゼーリックが口を出さないのは、自派閥に取り立てを行うたびに秘密裏にインセンティブが支払われているからだ。

 

 そして、国内の統治や支配地の統治は、実は大半を国民管理省、支配統治省にそれぞれ権限を移譲させている。

 

 では、親衛隊は全く取り締まりをしていないかといえばそうではなく、「明確な反政府思考を持つ特に悪質な、あるいは武装した不穏分子」を集中的に捕縛しているのだ。

 

 そして、親衛隊は公開処刑じみた事をよく行う。

 入念に調べ上げた後、罪状を突き付けながら処刑する”アレ”だ。

 実は、親衛隊がこの世から解放した命というのは、ガミラスの年間処刑者数の中ではそう大きな数字ではない。

 更にはだが……自前の捕縛した()()だけではなく、軍や警察などの治安組織から、秘密裏に「処刑するしかない罪人」を融通してもらってるという実態がある。

 大きな声では言えないが、親衛隊は処刑代行人じみた事を請負い、それを最大限に「恐怖と力の代名詞」となるよう大声で喧伝してるのだ。

 つまりは、「()()()()()()()()()()()()()」なのである。

 

「やはり、()()()()()()には、テロン人の船に行ってもらいましょう」

 

 ギムレーはそう呟きながら、ガミラス式電子端末より立体映像として呼び出していた”ミレーネル・リンケ”という、ガミラスでは二人しか確認されてないジレル人の片割れの賃貸と出張を意味する電子書類に署名する。

 

 宣伝情報相などという大層な肩書を持つ”もう一方の片割れ(ミーゼラ・セレステラ)”は、親衛隊の長官とはいえ容易く顎で使える訳では(建前上は)ないが、今引き抜くのは”色々と”得策でないことぐらいギムレーにも分かっている。

 

(忠誠心と情愛を履き違えながら、存分に踊ってくださいね? 総統閣下を楽しませる為に)

 

 だが、ミレーネルの方は気にする必要はない。

 ちょっとした精神感応能力を持っているが、所詮はセレステラの腰巾着。特務将校とはいえ所詮は添え物の中尉だ。

 少々「異能を生かした”特殊なスパイ活動”」でもしてくれれば御の字。

 政治的に言うなら、「少しはテロン人の隙をつけるかもしれない」。

 

 無論、それは地球との停戦やその先にある和平をご破算にするような企みではない。

 そもそも、ギムレー自身は地球との停戦どころか和平も大いに賛成なのだ。

 むしろ、どんな形であれ、どんな選択肢がとられたとしても、「デスラー体制統治下のガミラス」の安定には、地球との和平は必要不可欠なのだ。

 今回の裁定も、「滅びかけた種族も重用するガミラスの懐の深さをアピール」する程度の話でしかない。

 

(セレステラは多少はごねるでしょうが、『全ては総統閣下の為』と言い包めれば、最終的に反対はしないでしょうしね)

 

 セレステラとしては不本意だろうが、ギムレーとセレステラは仕事柄会う機会が多く、その分、ギムレーは彼女の性格をわきまえていた。

 ギムレーの言葉には恐ろしいほど”噓はない”。

 間違いなく、ミレーネルの派遣は、「プラスになる」だろう。

 

 ただし、それはおそらくギムレーの予想していない方向でだが……

 いくらギムレーでも神ではない。

 

 例えば、ミレーネルに”停戦をご破算にさせない程度の精神感応式スパイ活動”をやらせようとしているのは、「地球人がジレル人を知らない」ことを前提としている。

 無理もない話だ。ギムレーにとって、いやガミラス人にとって、「ジレル人とは、この世にもはや二人しかいない種族」なのだ。

 当然、テロン人という生息域や勢力圏が16万8千光年彼方にある”辺境の民”が知っている訳はなかった。

 

 

***

 

 

 

 だが同時に、ギムレーは知らない。

 半世紀ほど前、地球連邦名物「テレサのやらかし」により、超大型古代遺産”シャンブロウ”に乗り、1000万人弱のジレル人が連邦に辿り着き、星系一つを与えられ根を張ったことに。

 

 そして今や、その血族は2000万人を超え、総人口260億人を数える地球連邦内ではまだまだ”新参の少数勢力”なれど、確固たる勢力となっていることに。

 そして、彼ら彼女らが、「古代アケーリアス文明の研究成果や解析結果」を基軸産業とし、連邦の政府や企業に売ることにより生計を立ててていることに。

 イスカンダルの少女達は、その事実は知っていたとしても、「滅びかけた民族が生きている」ことなどに興味は示さない。

 いや、それ以前にガミラスにジレル人が居ること自体、彼女達は忘れているかもしれない。

 

 意図であれ偶然であれ、「連邦に根を張り、再興の真っただ中にあるジレル人」の情報がガミラスにこの時点で流れることはない。

 なので繰り返すが、神でも転生者でもないギムレーが知ることはないのだ。

 ましてや、その事実が結果として”どのような化学反応を起こすか?”など予想できるわけはない。

 だが、先に行っておく。

 

 「ほぼほぼテレサのせい」

 

 これは間違いないところだろう。

 

 

 

***

 

 

 

 テロン人に差し向ける追加人員は、とりあえず決まったことで頭の片隅に追いやり……

 

「これはこれで頭の痛い問題ですねぇ」

 

 彼の見てるおそらくは監視カメラから撮られたであろう画像には、

 

 ”ドメル大将の屋敷に見つからないように忍び込む()()()()()姿()

 

 がしっかり写っていたのだ。

 

「さて、これをどう利用いたしましょうか……」

 

 

 今日も今日とてギムレーは、優れた頭脳を酷使しながら業務に励む。

 後年、評価が二分することも珍しくないハイドム・ギムレーだが、彼を好む者も嫌う者も、時代を問わずただ一つ一致する見解がある。

 それは、

 

 ”ギムレーは、疑いの余地なく()()()だった”

 

 という事実だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品のタグにある”綺麗なギムレー君”がいよいよアップを始めました。

確かな大きな視点から言えば、所詮「原作イベントの前振り」です。
ですが、あまりにも2199と状況が違うのも確か。

原作と同じく、ミレーネルはヤマトに来ることになるでしょう。
ですが、紡がれる物語は……

タグにまでなってるギムレー君の暗躍、本領発揮を期待してもらえると嬉しいっす。

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