たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
ついでにガミラス版の「オッサン二人しか出てこない話」ですw
キャラ崩壊、します(今更その1)
ギムレー君って人が悪いよね?(今更その2)
”疑いようのない叛乱幇助の嫌疑でエリーサ・ドメルの身柄を確保”
ガミラス最大の”宇宙の英雄”と言えるエルク・ドメルに対し特効の交渉カードを手に入れたハイドム・ギムレーは、意気揚々とドメルを脅しに……と思いきや、
「どうしてこんなことに……?」
予想以上に意気消沈するドメル。
このままのテンションでは交渉も何もあったもんじゃないと結論したのか、ギムレーは少々趣向を変える事にしたようだ。
「それを私に聞きますかねぇ」
いや、別に聞いてもいないことはギムレーにもわかっていたが、これも会話の呼び水というものだ。
「私が言うのも筋違いというか、完全にお門違いなんですが……ドメル閣下、ルビー戦線に回された直後にご子息が事故で亡くなったことは存じておりますが、その後に奥方の心の隙間をしっかりと埋めましたか?」
「はっ……?」
「何かトラブルが起きた時、そのフォローやアフターケアが重要なのは世の常なんですが……まさか戦争にかまけて、息子の葬儀にも参列しなかったなんてことはないですよね? ガミラスだって、身内の葬儀に関しては休暇くらい無条件でとれるはずですが?」
ちなみにルビー戦線は大マゼランの中にある辺境戦域で、当然のように天の川銀河よりずっと近い。
「ぐっ……」
「まさか、息子を失った喪失感を紛らわす為に、家にも帰らず戦場三昧……なんてしてませんよね?」
「うぐっ!?」
ついにギムレーはかぶりを振り、
「
先に言っておくが、ギムレーは善人ではないかもしれないが、同時に間違っても『人の心を失った冷血漢』などではない。
そもそもギムレーが身を置く諜報界は、虚々実々の騙し騙されが当然の世界だ。
騙すというのは人の心の隙間を突くことであり、とてもじゃないが「人の心がわからぬ者」が勤まるような世界ではない。
諜報員の数々の覚えなければならないスキルにおいて心理学、特に”行動心理学”は必須である。
まあ、それはともかくとして……
「ごはっ!!?」
ドメル、轟沈! ガミラス篇、完!!
***
という訳にはいかないのもまた人生である。
「私が言うのもなんですがね……貴方は実に理想的なガミラス帝国軍人で、公人としては尊敬に値しますが……私人として、あるいは家人としてはどうなんしょう?」
「くっ……ギムレー長官に夫婦仲を諭されるとは、嫌な世の中になったものだ。これもバレラスの空気の悪さか?」
(私も別に木の股から生まれたわけではないですけどねぇ……)
と内心苦言を呈しながらも、
「何を言ってるんです? 確かにここ最近のバレラスの空気は特に悪いですが、それ以前から夫婦関係なんてここ数年、まともに成立してないじゃないですか?」
「うっ……!」
『もうやめたげて! ドメル大将のライフはとっくに0よ!?』と思わず言いそうになるシチュエーションだ。
「まあ、それでも若い娘の尻を撫でまわしてないあたり、今でも奥方に情があると考えてもよろしいので?」
疑わしいものを見るようなギムレーの視線に、ドメルは無駄に胸をはり、
「当たり前だ! 私は今でもエリーサを愛しているっ!!」
「だったら帰国するたびに軍艦に引きこもらず、こまめに休暇を取って、家に帰って態度に示しなさい。今回の一件、言いたくはないですが”身から出た錆”ですよ? 大将閣下」
「……息子が死んで以来、妻にどんな顔をして会えばよいのかわからなくなってしまったんだ」
「まあ、それはわからなくもないですが……」
(なんで私は、こんな場所でカウンセラーの真似事なんてしてるんでしょうか?)
と自分の行動に疑念を持ちながらも、ギムレーは質実剛健で実直な、「自分とは正反対の資質を持つ
要するに、「殺すにも、死なすにも惜しい漢」……ギムレー的には、無自覚の最大限の賛辞である。
確かにギムレーも彼の率いる親衛隊も、いわゆる”ガミラスの嫌われ者”だ。
それは、ドメル軍団でも変わらない。いや、むしろ「真っ当な軍人の寄り合い所帯」だからこそ、親衛隊を嫌う風潮は他よりも強い。
だが、その中でも例外はいる。
それこそが、首魁のエルク・ドメルだった。
第61話で描かれた事実を、確認することはできないが後に「うっすらと察した」。
彼の元に確定的情報が届いた訳ではなく、状況証拠とその後のガミラス全体の動きから、そうじゃないと説明がつかないことを察してしまったのだ。
実はこの時まで、ギムレーとドメルが顔を合わせる機会は数えるほどしかなく、また交わした会話は合計1時間にも満たないかもしれない。
だが、それなりに軍人として人を見てきた、つまり戦場で人間観察をしてきたドメルによれば、ギムレーは……
『間違っても善人ではないが、かといって悪人とも言い切れん。ガミラス有数の悪党ではあるだろうが』
という微妙な物だった。
「まあ、情があるのであれば、とりあえずまだ夫婦関係修繕の可能性はあるということですか?」
(要するに、大将閣下の心理は突き詰めれば「妻に合わせる顔がない」ということでしょうし)
物事を大きく見ずにシンプライズさせていけば、自ずとそういう結果になる。
要するに一般家庭でもあり得る「息子の死を受け入れられずに仕事に逃げた夫と、耐えたがそれでも心の疲弊が抑えきれなくなり魔が差した妻」という構図だ。
正直、これが取るに足らない相手との普通の浮気とかなら、別段ギムレーは手札にしようとは思わなかったが、
「それは重畳重畳」
ギムレーは悪党面にアルカイックスマイルを浮かべ、
「ならば、我々には交渉の余地があるということになりますな?」
***
「交渉……だと?」
「ドメル閣下、貴方はなぜわざわざ
「それはつまり……」
「余人の介入を許したくないから。他に理由はありませんよ?」
「親衛隊が……いや、ギムレー長官が、私に何を望む?」
「貴方が供出できるものが、軍事力以外におありだとでも?」
何やら様式美めいたやり取りになってきたが、
「単刀直入に申し上げれば、本国に帰国している第6空間機甲艦隊の一部戦力を、提督である貴方ごとお借りしたいんですよ。無論、永続的にではなく期間限定で」
と
「何の為に……と聞いても?」
「それは追々に。この様な防諜の整っていない場では、話辛いですな。ですが、我々に協力するのであれば、見返りは用意しましょう」
「……エリーサの身の安全か?」
「それは取引材料に含まれるので、見返りとは言いません」
立て板に水のようにギムレーは答えた。フェアという言葉が似合わない男だとは思うが、なるほど確かに「悪くない」。
そして、ギムレーはここで交渉の”押しの一手”を出すことにした。
「こんなのはいかがです? 閣下が欲しがっていた”物質転送器”の試作品を愛艦に装着するというのは?」
ギムレーには、実は軍の兵器開発局に強いコネがあった。
というのも、その縁は面白い物から繋がったのだ。
ガミラスには、いまだ地球連邦の想像もしてない艦種が存在する。
その名も”次元潜航艇”だ。
ギムレーたち親衛隊は、開発初期段階で起きたとある「スキャンダル」を比較的穏便に終息させた……当時の開発局トップは流石にどうにもならなかった(それにリスクや損失に見合うほど有能という訳でもなかった)が、重鎮の何人かは政治的に首が繋がり、また何人かは物理的に首を切られずに済んだ。
無論、そこにはデスラーの意向があったのだが……かつて親衛隊のおかげで命を長らえた者たちの多くが、今の開発局の重責にあり、また親衛隊も”(軍に比べれば)小規模で融通の利く武装勢力”として、多くの「公式には存在しない」類の彼らの実験に協力し、今の協力関係を確固たるものにしていた。
「なんとっ!?」
ギムレーはソファから今度こそ腰を浮かせたジト目で見て、
「閣下……今、奥方の身の安全が確約できた時より嬉しそうな顔をしませんでしたか?」
「そ、そんなことは……ないぞ。うむ。ないはずだ」
「そういうところですよ? ホントに。そういうとこですからね?」
と大事なことなので二度言い、今度こそ深々と溜息を突くギムレーだった。
いやね、単に「ギムレー君に(精神的に)ボコボコにされるドメル閣下」を書いてみたかっただけなんですよw
真面目に言うと、タグにもある「綺麗なギムレー君」の人物像を掘り下げてみたかったのと、猛将としてでも軍人としてでもない「人間味あふれるプライベートっぽいドメルさん」を書いてみたかったという。
実はこの2人って割と良いコンビなのではないかなーとw