たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
ちょっと覆面座談会的な感じで楽しんでもらえれば。
太陽系第3惑星”地球”、某所……
「翅川君のプロファイリング・レポートも中々興味深い。仕事熱心で実に重畳」
「彼女は有能ですからな」
ここは、あえて名を明かさぬ……地球連邦の最高意思決定機関の一つであり、錚々たる面々が集っていた。
まあ、有り体に言えば所謂”お偉いさん”の親睦会で、時たま地球連邦全体の安全保障なんかが茶飲み話代わりに出る会合だった。
「それにしても、”ユリーシャ・イスカンダルは、イスカンダル本国とは別の意思で動いている”ですか。我々の見解と一致してますな?」
本日の議題は、どうやら”ユリーシャ・イスカンダルの奇行”についてらしい。
だが、確かに「奴隷宣言」とは予想の範疇外の行動ではあったが、対処できないほどの行動ではない。
この場にいる者は、頭や胃に痛みを感じていなかった。
「ええ。イスカンダルの現女王、スターシャ・イスカンダルは『ガミラスありき』で地球との交渉、ガミラスとの停戦合意仲介役を買って出た……それは間違いないでしょう。見ず知らずの16万8千光年彼方の星より、隣星を優遇するのは至極当然だ」
「だけど、ユリーシャ・イスカンダルはそうじゃない。むしろ、ガミラスを対地球連邦交渉の競争相手、あるいは競合相手とみなしてる……って、
「フォフォフォ。若いとはいえさすがは”
そう笑うのはいかにも長老といった風貌の
対して、まだ若い……というか幼さを残す風貌の
「そういうお世事はいいよ。ここにいるお歴々に比べれば、自分がまだ全然経験の足らない若輩だってことぐらい、ボク自身が一番わかっているから」
そう驕らぬ姿勢で返す、『昨年、
まあ、
少しだけおさらいを。
エクリプス人の母星、惑星”カンバーランド”では皇帝が治世の頂点と定められている。
皇帝が”ルドルフ”と呼ばれるのは、カンバーランド全土を統一した最初の存在(つまり、ホーシアンにとっての始皇帝)が”ルドルフ”という名で、それに敬意を表して、あるいはあやかってらしい。
これは地球の歴史でも似たような事例があり、ユリウス・カエサルのカエサルが欧州の多くの国で”皇帝”を示す呼び名(例えば、ドイツ語の皇帝を示す”カイザー”や同じくロシア語の”ツァーリ”はカエサルが語源)となったのに似ている。
そして、皇帝に就くホーシアンは、”血統”ではない。
純粋な”実力”だ。
それは厳しい初代
『我々は極めて傲慢な種族なのだ。常にどんな形でもどんな些細なことでも1番になりたがり、また自分より弱い者に傅く事を良しとしない。然らば、最強と認めらるる存在こそが皇帝に相応しいのは必然。また故に自らが衰えや限界を感じ他者の後塵を拝する事になった時、己の誇りに殉じ玉座を降りるも必定。また、後に続くものに帝道を譲るのであらば、その選定は慎重にせねばならぬ。その者が新たなる導き手に相応しいか、万人が見定められる”
かいつまんで言えば、今上皇帝はその時代時代の最強である事の証明であり、終身ではなく衰えや体力の限界を悟ったとき、自分でその地位を降りなければならない。そして降りるなら次の皇帝を選ぶ(皇帝になるだけの実力を示す)レースを主催しなければならない。
なぜレースなのかと言えば、『新たな皇帝と治世のの門出を血で汚すのは無粋の極み』と初代が定めたからだ。
ただ、レースと言っても芝やダートのサーキットを走り、スピードや順位を競うようなものではない。
もっと過酷でハチャメチャなものだ。
このあたりの話は、いつかホーシアンの歴史を振り返った時にでもやってみたい。
ただ言えるのは、蹄という文字は「足に帝」と書くのだ。
「ボクがようやく一人前と認められるのは、民が僕に相応しい”二つ名”で呼び出した頃だろうから」
彼女の言うことに噓はない。
例えば、在任中に戦争景気に乗り、巨万の富を生み出し国庫を膨らませた先代皇帝は”黄金帝”、完璧ともいえるような治世を行った先々代は”秩序帝”などという二つ名が付く。
無論、歴史を紐解けば、”暗愚帝”や”暴虐帝”のような不名誉な二つ名を民につけられ、短命に終わった皇帝もそう珍しくない。
特に明らかに衰えているのに玉座にしがみつこうとした者は、例外なく”愚帝”の烙印を押され、その多くが側近や民から支持を失った故の”裁定”が下り、惨めな最期を遂げている。
殺されるのではなく、”自分以外(民や元部下)の主催した次の皇帝を決める選定レースに、
どんな高齢でも例外はない。他者に引きずり降ろされるほど衰えきるまで玉座に居た方が悪いのだ。
そんな苛烈なお国事情はさておき、皇帝になったばかりの彼女は、「実力はあれど実績はない、何者でもない皇帝」ということだろう。
「まあ、そんな若輩のボクから言わせても、ユリーシャ・イスカンダルの”望む着地点”は薄々見えるよ。女王である姉は問題だらけの虚構の覇権主義国家にご執心。いや正確にはその”盟主に”かな? 愛の重さに定評のあるホーシアンとしてはその姿勢を理解しなくもないけど、妹としてみれば冗談じゃないだろうね」
ちなみに先代と先々代は退位後にめでたく結婚(寿退位とも……)、旦那はどっちも地球系どころか生粋の地球人で、先代の旦那はやたらと先帝の無茶ぶりに付き合わされた元外交官、先々代の旦那は軍の結構なお偉いさんだ。
「でしょうな。同等かそれ以上の”異なる敵”を相手取った二正面作戦で勝利を収めた国は、歴史上驚くほど少ない」
若くとも連邦に加盟する一国の皇帝として敬意を払う重鎮に、
「それに我々のイスカンダルへの心象は、さほど良いものではない」
「ふぉふぉ。当然じゃのう? ガミラスの戦争の大義名分に主義主張を使われておるのに、それを止めぬ者を好意的に受け止められぬわけはない。これでは”名義貸し”と思われても仕方あるまいて」
「おまけに連中、連邦を”不用品の処分場”扱いしやがってる。なんだあの気の抜けた戦争は? 殺し合いが望みなら、ちったあ本気を見せやがれってんだ」
とウサギの長老に合わせるのは銀髪の壮年の男。どのような立場かはわからぬが……生えてる耳を見る限り、おそらくは
だが、ここにいる以上は公的な身分のある”
「ガトランティスという外患と、元貴族という内患のせいで本気を出したくても出せないのでしょう。そう簡単に治癒できぬ病魔に侵されながら全力で剣をふるうのは、どんな英雄豪傑でも難しい。ましてやガミラスという国は、英雄や豪傑という概念からは程遠い」
「フン。戦闘巨人の末裔としちゃあ黙ってられないってか?」
煽るようなキャーティアンの男性の言い回しにもカールチューン人の理知的な雰囲気をさせる女性は、
「なんとでも。まあ、でも現状は
「そうだな。第三王女のメッセージを、どう解釈するかだが……」
「あれは簡単だよ。”私は姉のようにガミラスに思い入れはない”、”姉とは違う”、”ガミラスより地球との関係を欲する”……
体力だけでなく知性も抜きんでたことを示すように、目をぎらつかせながらホーシアンの娘は口を開く。
「断言なさる。随分と自信がおありのようですな?」
すると当代の
「
どこか艶めかしさを感じる手つきで下腹部を撫で、
「まず”ココ”で物を考える。メスしかいないなら、余計にね。例えば立場を変えて、もし
実は皇帝の言葉には根拠があるのだが、それは後でレポートでも出そうと思う。
ただ一つ言えるのは、色々な意味で”ガミラス軍の捕虜”には、いざ暴れられても余裕で対処できるホーシアンが多く関わっているのだ。
「生命力が低い?」
「低いよ。間違いなくね。ウサギのお爺ちゃん、ネコのおっちゃん、どう思う?」
「ふむ。考えるまでもなく低いな」
「低いな。それとおっちゃん言うなクソガキ」
その反応に満足げに、
「イスカンダル人の本質は”女”と見ない方が良いよ? あれはもっと生き汚いボク達と同じ”牝”さ。だからボクの目には、ユリーシャ・イスカンダルの”奴隷宣言”もさほど奇異には映らない。思い切った手を打ったなとは思うけど、生存戦略としては上手とも思ってしまうんだ」
「というと?」
「ガミラスへの”政治的カウンター”。つまり、」
彼女はニンマリ笑い、
「なんのことはない。”姉さんはともかく、私は
どこかで見たような、聞いたことあるような面々が混じってる気もしますが、下記のような面々がわちゃわちゃやってます。
***
第88話の登場した面々(名前だけなのも含む)
若き
惑星”カンバーランド”の現最高指導者。だが、即位したばかりで実力は本物だが、まだまだ経験不足で今後に期待。どんな二つ名がつくだろうか?
一見すると”メスガキ”系(身長や体型的にはまんまそれ)だが、実は「足もすさまじく速いが、頭の回転はそれ以上に速い」タイプだったりする。実はモデルは某”はちみー好き”だけとはかぎらない?
先代
ガミラスとの戦争景気に乗り、巨万の富を稼ぎ出し在任中に国庫を倍増させた傑物。幸運値が高く、特に金運はカンストしてるかもしれない。
引退の理由は、「ガミとの戦争も終わりそうだし、別にワタシが頭張る理由もねーわな」だった。
旦那は散々無茶ぶりをさせた地球人の元外交官で、退位後は旦那と二人で夫婦水入らずの連邦各地を漫遊中。
先々代
ガミラスと開戦する10年前くらいまで在位していたいわゆる名君。彼女の治世下ではカンバーランドは非常に安定し緩やかな右肩上がりの発展をしていたらしい。旦那は連邦軍のお偉いさんの地球人で、夫は妻の政治手腕を高く評価しており、再び政治の表舞台に立ってほしいらしいが、妻は「夫の尻を叩き(勿論、非物理的に)、出世街道を登らせることに生きがいを感じてる」らしく断っている。
実は、ガミラスとの戦争でホーシアンが大量に軍に入隊できるようになった裏側には彼女がいるという噂がある。
ウサギのお爺ちゃん
アルミラージ人の文字通りの長老。ラビティアンは他の獣人に比べ平均寿命が短いとされ(とはいえ大きな差はない)、長寿は尊敬を集める。”うさぎとかめ”の寓話につなげるわけでは無いが、「亀の甲より年の劫」を地で行くお爺ちゃん。
何気に地球連邦最大の民間投資会社「ラビットフット・カンパニー」に縁深く、今でも経済への影響は計り知れない。
ネコのおっちゃん
なぜか堅気なのに堅気に見えない人物w 実は「猫じゃなくてネコ科の別の獰猛な奴が混じってるんじゃないか? それもとびっきりの」という都市伝説がある。実は国というより各種ギルドの寄り合い所帯じみたシャパリュ人社会でまとめ目役であり、ご意見番の重鎮。
カールチューン人のおば……理知的なお姉さん
TV版のラプラミズ司令をマイクローン化して温和にした感じの人。中々にやり手の政治家。ちなみお酒と紅茶の文化を特に愛する。
ちなみに旦那さんは「ブリタイ・クリニック」という大きな病院の開業医兼医院長の同じカールチューン人。夫婦仲は極めて円満だが、一番下の息子が血気盛んで少々困ってる。夫婦ともに医者になってほしいが、本人は軍人になりたがっている。ついこの間も父に「間を取って軍医ならどうだ?」と言われ「そうじゃねぇんだよっ!?」と殴り合いの親子げんかに発展した。
地球連邦のお偉いさん一同
モブです。ただし権力はありそうw
この座談会、ちょっとだけ次回に続くんじゃよw